君は誰の代わりに僕を抱く/sleepyhead
1. 君は誰の代わりに僕を抱く
sleepyheadによる2021年の第二弾となるデジタルシングル。
3周年を迎えて、3ヶ月連続でのリリースを敢行中のsleepyhead。
ドロップされた「君は誰の代わりに僕を抱く」は、ミディアム調のシリアスなトラックにライムを重ねたラップチューンに仕上がっています。
ヴォーカリストとしての幅を確実に広げている武瑠さん。
大分こなれてきた印象のラップパートは、流れるように続くサビのメロディを強調するのに効果的であったと言えるでしょう。
ラップもメロディも、優しく囁くように繰り出されるのですが、それでも十分に感情の高まりを感じさせるのです。
楽曲の尺は約2分。
シンプルな構成で、スリム化した現代音楽のフォーマットに適応しています。
ただし、そこから膨らんで溢れ出したストーリーを、短編映画として制作してしまうあたりが、sleepyheadがsleepyheadである理由ですよね。
工藤孝生さんと錫木うりさんを起用しての切ないショートフィルム「EMBRACE」を、配信と同時に公開。
「君は誰の代わりに僕を抱く」は主題歌という位置づけで、世界観を相互に補完するメディアミックスを実現してしまいました。
なお、2ndフルアルバム「センチメンタルワールズエンド」の制作に向けて、クラウドファンディングを開始。
本来は2020年にリリース予定だったものの、コロナ禍の影響を受けてイベントの中止が相次いだことにより、断念せざるを得なかったとのこと。
収録曲が発表されておらず、本作が、その先行リリースとなっているのかは不明ですが、見せ球としては十分に濃厚。
アルバムにおいてもこのクオリティで、新しい音楽との出会いを提供してくれるのであれば、何としてでも完成を目指していただきたいものです。
<過去のsleepyheadに関するレビュー>