DEMO / sleepyhead | 安眠妨害水族館

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DEMO/sleepyhead

 

1. 闇雲

2. 結局

3. HOPELESS

4. 狂宴騒々

5. ALIVE

 

ex-SuGのVo.武瑠さんによる新プロジェクト、sleepyhead。

本作は、始動時に行われたクラウドファンディングのリターンのデモ音源となります。

 

コースによって、音源データのみ、CDR、サイン付きCD…とレベルの差はありますが、音源としての内容はおそらく同一。

PC音源のみで制作された、正真正銘のデモ作品です。

生楽器はおろか、ボーカルも入っていませんし、構成も2分前後の原案的なもの。

ここから、アレンジだったり、歌詞だったり、展開だったりを膨らませて、完成版に仕上げていくのかと思われますが、そのファーストドラフト的な音源ということなのでしょう。

 

「闇雲」と「結局」は、会場限定シングルに収録されていた楽曲。

もっとも、こちらが元ネタとなるのかな。

「闇雲」はMVも公開されていますが、この簡素なサウンドが、最終的にはあそこまで情報量の多い楽曲になるのだから面白い。

ストレートに疾走する「結局」は、やはりバンド演奏で聴きたいな、という欲求が高まります。

 

この段階にして名曲感が見え隠れするのは「HOPELESS」。

切ないロックバラードであり、チープなサウンドでも十分に引き込まれる。

メロディにパワーがある楽曲は、こういうときに強いですね。

一方で、「狂宴騒々」のような賑やかなアッパーチューンは、まだまだ未完成感が強い。

色々な音が加わることで見違えるように化けるのだろうな、と想像してしまいます。

こういう感覚も、デモ音源だからこそ、でしょうか。

ラストは、「ALIVE」。

唯一の3分を超える楽曲で、ドラマティックなナンバーとなる片鱗を見せつつ締めくくっていました。

 

率直に言って、クオリティ的には、これだけで満足できる内容ではありません。

とはいえ、ファンとアーティストとの共同作業で何かを成し遂げるという体験が、形になって手元に残れば、一体感が増して、愛着も沸いてくる。

制作過程を覗き込む感覚。

クラウドファンディングのリターンとしては、まずまずの効果があったのでは。

 

なお、sleepyheadとしては初となるフルアルバム「DRIPPING」が、間もなくリリース。

このデモ音源に収録された5曲も、すべて完成版として世に出ていくことになりますので、本作が手元に届いたリスナーは必聴です。

既に制作に関わっておいて、最終形を聴かないわけにはいかないのですから。