PLANET NINE/A9
PLANET NINE (初回盤)
3,325円
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1. PLANET NINE-INVITATION
2. F+IX=YOU
3. FIVE JOKER
4. UNREAL
5. CASTLE OF THE NINE
6. PENDULUM
7. ソナタ
8. Neophilia
9. GIGA
10. ASYLUM
11. Re:Born
A9の8thフルアルバム。
L'Arc~en~CielのGt.Kenさんがプロデュースを担当した「F+IX=YOU」、「UNREAL」を含む、全11曲を収録しています。
上記の2曲が象徴的なのですが、アルバム全体でEDMに振り切ったイメージ。
方向性が定まる前に制作されたシングル「PENDULUM」や、バランスを考慮してバンドサウンドを強調させたミドルチューン「GIGA」など、従来のA9のイメージを残す楽曲もないわけではないものの、トータル的にははっきりとデジタルサウンドに寄せてきていますね。
特に問題作となるのが、「CASTLE OF THE NINE」。
エレクトロを突き詰めるがあまり、楽器を置いて5人でボーカルをとるという、今までの彼らには在り得なかったスタイルに挑戦することに。
当然ながら歌唱力はメンバー内でムラがあり、やや企画モノ的な側面が先行してしまいますが、あくまで行動原理はロックンロール。
イロモノ系のバンドならともかく、正統派の彼らがこんなことをやってしまうなんて! という驚きを狙っているわけですよ。
前作「IDEAL」がある種の保守的な作品だっただけに、そこから突き抜けるためにチャレンジをしていると捉えるべきでしょう。
確かに今までの彼らは、生音でハードに攻めるスタイルをベースに、アクセントとして同期を加える曲作りをしてきた。
一方で、A9がシーンのど真ん中にいるイメージが転じて、シーン全体でEDMブームになっていく中で、いつデジタルサウンドがメインの楽曲が送り込まれるのだろう、というリスナーも少なくなかったはずです。
それを踏まえれば、ここまで極端に吹っ切れるのも納得というもの。
こうでもしないと、インパクトを出せないと考えたからかもしれません。
ただし、書き下ろされたアルバム曲たちに、もう少しパンチ力が欲しかったかな。
幅を広げているのは事実だし、どの楽曲にも"ここを目立たせたいのだな"というアピールポイントがあるのはわかるのだけれど、それぞれアイディアを小出しにしすぎた感もあるのかも。
スタートやクローズなど、重要な部分を任されているのはシングル曲であり、ここに食い込んでくるキラーチューンが、リードトラックである「UNREAL」のほかに、もうひとつ、ふたつあれば完璧だったのだけれど。
さて、気になるのはこれが新機軸となるのか、将来の糧となる実験作だったのか。
本格的にEDMへと舵を切るには、さすがに後れをとった感もあるので、次の展開は大事になりそう。
あくまで"宇宙"を意識した表現手法として、EDMを取り入れたということであれば納得できるので、個人的には本作固有の特性だと考えておくことにしておきます。
<過去のA9(Alice Nine)に関するレビュー>