IDEAL / A9 | 安眠妨害水族館

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IDEAL/A9

 

1. REAL-Instrumental-

2. IDEA

3. MEMENTO

4. 造花の代償

5. UNDEAD PARTY

6. ECHO

7. 荊棘

8. 輪廻と一夜の物語

9. Adam

10. ONE

 

A9に名義を変更してから初となるフルアルバム。

アリス九號.の頃から通算すれば、7枚目となります。

 

様々なチャレンジを経ての原点回帰。

培ってきた強みを凝縮して、1枚にまとめたといったところでしょうか。

新曲が大半を占める作品において、こうもオールタイムベスト感があるアルバムは、あまり他に見たことがありません。

 

モダンなヘヴィネスを感じさせるハードな演奏。

キャッチーで耳馴染みが良いメロディ。

この辺りは、現代的なV-ROCKといったところで、今のA9を表現している部分と思われるのだが、変拍子やテンポチェンジを駆使したプログレ風のアプローチは、「GEMINI」あたりで開花させた魅力。

和風のフレーズを多く取り入れて、初期の雰囲気を残す部分もあれば、ここ最近の作品で見せていた近未来的なEDMも取り込んで、バラエティ豊かに彩っていきます。

 

これだけ手広くやっているので、散漫になってしまうかと思いきや、しっかりまとまっている印象。
幅を広げつつも、A9の王道とは何ぞや、というのがよく考えられていて、未知の領域にはあえて踏み込まず。
その結果、パッションは感じても、勢いだけで突っ走っているわけではない、バランス感覚に溢れた作品に仕上がったのではないかと。

もちろん、無難を目指したわけではなく、例えば「ECHO」でのツインボーカル編成には驚かされた人も多いのでは。
女声ボーカリスト・AISHAさんを迎えたことで、将さんがミドルレンジでサビを歌うという新たな試みが可能に。
ギラギラした彼らのイメージとは対照的に、渋い大人の色気を放っており、こうやって進化した姿を見せるという手法もあるのだな、とついつい感心してしまいましたよ。

停滞したか、と思わせて、急浮上する成長曲線。
必ずしも右肩上がりではありませんが、だからこその試行錯誤が、彼らの場合は何度目かの大化けに繋がっているのだから面白い。
バンド名を変更せざるを得ない状況に追い込まれてもなお、同じバンドを続けることに拘ったA9の矜持。
さらりと聴いても格好良いのだけれど、どうせだったら、じっくりと聴き込みたい1枚です。

 

<過去のA9(Alice Nine)に関するレビュー>

Supernova

“9”
GEMINI
絶景色