Two Chics / Lill | 安眠妨害水族館

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Two Chics/Lill

Two Chics Two Chics
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1. 路上に咲く花

2. CXL

3. To Go To Meet Somebody.

4. Rewrite

 

vistlipのVo.智さんと、Ba.瑠伊さんによるユニット、Lillの1stミニアルバム。

2015年にリリースされた作品です。

 

わざわざ別ユニットとして活動するぐらいだから、vistlipとは異なるアプローチで攻めてくるのだろうな、という予測はできていたのだけれど、こうきたか。

瑠伊さんも歌に参加する、ツインボーカル編成。

バンドというよりも、90年代のアイドルユニットやアニソンに寄せた音楽性に、掛け合いやユニゾンを多用するスタイルで、随分とポップ路線で勝負してきましたね。

 

トップバッターとして送り込まれたのは、「路上に咲く花」。

キラキラしたシンセが印象的なアッパーチューンで、ストレートなメロディが爽快に響く。

サビなんかは、ここまでポップにしてしまっていいの、と戸惑うぐらいです。

続く「CXL」は、繊細なサビからスタートするミディアムナンバーで、雰囲気は少し変わりますが、やはりJ-POP的。

この段階で、Lillとして押し出していこうとするサウンドがはっきりしてくると言えるでしょう。

 

「To Go To Meet Somebody.」は、バンド演奏は抑え目で、お洒落でリッチに。

ピアノやストリングス、ブラス系の音も加わって、セレブ感のある楽曲に仕上がりました。

アルバムの中ではアクセントだけれど、こういうサウンドこそ、vistlipでは実現できない音楽なのかも。

ラストは、美しいイントロにドキっとさせられる「Rewrite」。

心地良い疾走感にも溢れていて、ミニアルバムとしては必ずしも多くはないサイズではありますが、たった4曲でガラっとvistlipという先入観を排除できたことは、評価してもいいのでは。

 

ネックとしては、まだ二人のコーラスワークがぎこちないか。

瑠伊さんに、智さん並みの歌唱スキルを求めるのは酷なのだけれど、掛け合いが多いがために、差がはっきりしてしまう側面あり。

この点に関しては、ある程度コンビネーションが確立していく2ndミニアルバム以降であれば改善されていますので、この時期ならではの初々しさと捉えておきましょう。

 

なお、レコーディングには、DaizyStripperのDr.風弥さんらのゲストミュージシャンも参加。

あえてバンドという枠組みを外しておきながら、締めるところは締める策士っぷりです。
vistlipも良いですが、Lillの活動からも目を離せない。

V系シーンでどこまで通用するかは未知数ですが、これ、企画モノと侮ってはいけませんよ。