Supernova / Alice Nine | 安眠妨害水族館

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Supernova/Alice Nine

¥3,240
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1. SHINING
2. +-
3. SEVEN
4. メビウス
5. Daybreak
6. shooting star
7. Exist
8. 1 Minute Kidding
9. KID
10. SHADOWPLAY (Supernova Edition)
11. 開戦前夜
12. Prelude-resolution-

結成10周年を迎えたAlice Nineの6thアルバム。
シングルである「Daybreak」、「SHADOWPLAY」、「shooting star」、「SHINING」に加え、配信で先行発表されていた楽曲も収録された全12曲で構成されています。

シングル曲がメインディッシュで、アルバム曲がアクセント。
役割分担がはっきりしている印象ですな。

もっとも、だからといって、アルバム曲で手を抜いているというわけでもない。
ロックテイストで疾走していく「+-」、「SEVEN」のコンボは、トップバッターの「SHINING」から続くことで、エネルギッシュな作品であることを印象付ける。
序盤の勢いは大事。
一番目立つのは、「SHINING」かもしれないけれど、重要な役割を果たしています。

「メビウス」は、新境地。
80年代風のポップサウンドで、シンセサイザーがバリバリ。
レトロで、お洒落で、可愛らしく、こんな一面があったのかと驚かされました。
また、インストである「1 Minute Kidding」から「KID」への繋ぎは、現代的なEDM。
時間旅行のようなサウンドの変化は、単なる"アクセント"の域を超えて、インパクトを生み出している。
斬新なサウンドかと問われれば、そんなことはないのですが、Alice Nineとしては、しっかり音楽性を広げているということは言えるでしょう。

一方で、本作で取り込んだ音楽が、プラスに働いているかというのは、賛否両論分かれそう。
現代音楽に寄ったという意味では、聴きやすい、とっつきやすいという評価はあって当然ですし、それを相応に高いレベルで再現できるスキルは持っている。
特に、Vo.将さんの成長は顕著であり、ますますボーカリストとして進化していて、単体で見れば、なかなかクオリティの高い作品です。

しかしながら、「GEMINI」以降の作品で見せてきた、プログレを大胆にV-ROCKに落とし込んだ個性的なサウンドが、本作では、ほとんど聴こえなくなってしまったのは寂しいもので。
La’cryma Christi以来、どのバンドもあまり挑戦してこなかった分野ですし、ニッチ故の独自性を放っていた彼らだったのですが、ある程度駆り尽くされた、普遍的な音楽性に落ち着いてしまったのは、もったいないというか、残念というか。

10周年を迎えたからこそのテコ入れなのでしょうかね。
悪くはないのだけれど、前作、前々作を考えると、もっと冒険してほしかったです。

<過去のAlice Nine(アリス九號.)に関するレビュー>
“9”
GEMINI
絶景色