†けぷけぷまたー† / ユメリープ | 安眠妨害水族館

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†けぷけぷまたー†/ユメリープ

†けぷけぷまたー† †けぷけぷまたー†
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1. ときとまり

2. ないとめあしんどろーむ

3. はざまのくろま

4. めざめのくに

5. おつきさまぷかぷか

6. ねじまきめえさん

7. とけいのはかば

 

ユメリープの"1stみにあるばむねごと"。

現体制では初のアルバム作品となります。

 

ナイトメアシンドローム名義でリリースした0thミニアルバムが「どりーむまたー」。

ユメリープとして最初にリリースした0thシングルが「うつつまたー」。

本作のタイトルは「けぷけぷまたー」とのことで、それらに続く意図があるのかどうかは定かではありませんが、「ないとめあしんどろーむ」が歌モノとしてのトップバッターとして配置されているなど、関連性を期待してしまいますね。

 

内容としては、現時点でのユメリープの魅力を全部詰め込んだ作品と言えるでしょう。

抑揚が少なく、さらっと聴くと、感情がないように見える。

だけど、機械では出せない細微な表現で味わいを深めるネムさんの歌声は、それだけで個性的。

ダークメルヘンな世界観に、しっかりとハマっており、更に中毒性を高めていました。

 

そして、無機質なボーカルが映えるのは、自分が主役だと主張する有機質な演奏が重なるからこそ。

「ないとめあしんどろーむ」、「はざまのくろま」、沸々と湧き上がるような激しさを持った楽曲が続く前半は、これまでのシングルで見せてきた彼らの王道的なアプローチで、純粋にバンドとしての成長を見せています。

いずれも、サビでは浮遊感と疾走感が強まり、メロディアスに展開する解放感も内包しており、掴みは大成功。

「めざめのくに」は、逆にサビでアンニュイな気怠さを、メロディ部分でハードに疾走するという構成でアクセントにしたのも奏功していたのかと。

 

ミニアルバムとして、そこから上乗せをしていくのは、「おつきさまぷかぷか」から。

ポップで、ほんのり切ない歌モノ要素をここに加えてきた。

ダークではなく、夢見心地のふわふわした方向にメルヘン色を求めていくのは、彼らにとってありそうでなかった曲調。

これは新機軸として期待できそうです。

MVが制作された「ねじまきめえさん」も、同じようなベクトルなのだけれど、リードトラックらしいフックを強めに立てて、キャッチーにパッケージ。

今までと同じ良さもあり、今までと違う良さもある。

ある程度のボリュームがあるからこそ両立できる面白さですよ。

 

ラストの「とけいのはかば」は、サンプリング音も巧みに取り入れ、世界観重視に仕上げたクロージングナンバー。

サビで開ける部分にはバラード的な要素も見られ、ここまでの流れを総括する意味合いもあるのかな。

壮大さを持って終わりを迎えるイメージを与え、余韻を残していきます。

 

序盤の流れで、完成度は高いものの、曲の印象が似通ってきたと懸念したのですが、後半で完全に払しょくしてくれた形。

王道から入って、バリエーションが広がることを受け入れやすくする。

あるいは、いつも通りと思わせることで、新機軸を出したときのインパクトを強烈にする。

狙いを持った構成は、実にネムさんらしいです。

ストーリーテラーとして物語を紡ぐだけでなく、トータルプロデューサーとして演出面でもこだわってこそ、彼の真骨頂。

ユメリープにはじめて触れるならこれ、という作品に仕上がっているので、なんとなく気になっているリスナーは、迷わず聴いてみてほしい1枚。

 

<過去のユメリープ(ナイトメアシンドローム)に関するレビュー>

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†かげくいまくら†

どりーむまたー