「慎一郎&杏太 3rdANNIVERSARY 世迷歌~誰が為に音は鳴る~」の第二部に行ってきました。
慎一郎&杏太というユニット自体は、ジュリィー結成前から存在していましたが、慎一郎さんが復帰してからカウントして3周年。
ホタルでは迎えることができなかった4年目を迎えるということで、なんだか感慨深い。
実際、思い入れが強い楽曲が多くリストアップされていたように思います。
赤坂SO-DAは、もはやお約束の会場。
普段であれば、1曲ずつにMCを挟み、曲の解説や練習中のエピソードなどを語ってくれるなど、アットホームなライブが展開されていくのですが、この日の試みとしてMCは極力挟まず、曲を続けて演奏することで世界観を深めていく手法を採用していました。
喋るとゆるく、歌うとピリっと引き締まる。
そんな緩急も慎一郎&杏太の魅力ではあるのですが、ひたすら曲の世界に入り込むのも、また一興。
イベントライブになかなか行けない身としては、"よそ行き"的なライブ構成を見る機会も少ないので、これはこれで嬉しい企画です。
梅雨の季節、ということもあってだろうけれど、1曲目からジュリィーの「傘」。
周年ライブの1曲目に、こんな定番でもない暗い曲が演奏されるとは予想しておらず、驚かされましたよ。
やはり、歌謡曲ベースの楽曲は、ギター1本のアレンジでも沁みますね。
当然、アコースティックバージョンでは初聴きだったのですが、そうとは思えない馴染み具合。
続く「積み木」への繋ぎもスムーズで、導入からグッと引き込まれます。
そして、早くもふたつめのサプライズとなるのが、ホタルの「手」。
一度、バンド編成でセルフカヴァーしていたのは覚えているのですが、アコースティック編成でもやってくれるとは。
ホタルでもあまり演奏される機会に恵まれなかったのだが、名曲は名曲。
慎一郎さんの熱量の高い歌声を聴けば、既にスイッチが入り切っていることは明確でした。
その結果、本人が語るように「鉛の雨」が感情のピークとなったのかな。
ボーカルもギターも、これ以上ないのではないかというぐらいに集中力が高まっていて、キーも高いし、アレンジも複雑だしで難しかったとは思うのですが、それを感じさせない表現の匠。
シンプルなアコースティックスタイルでも、ここまで出来るのだなと、心の底から拍手を送りたくなる鬼気迫る演奏でしたよ。
早くも燃え尽き感が出たところで、空気を変えるのは、カヴァー曲ゾーン。
慎一郎さんが「本能」を選んだきっかけを話していたはずなのに、杏太さんがちょっかいを出して、いつものゆるい掛け合いMCが顔を出してくる。
ホタルのDr.がおさんに届くように歌う、という流れになってしまったことに不本意そうな慎一郎さん。
杏太さんがセレクトしたのは、CM発の、BiSHとキリンレモンのコラボレーション曲。
こういう隠れた名曲を引っ張り出してくれるのが、カヴァーコーナーの醍醐味で、爽やかで甘酸っぱくて、とてもいい感じ。
重くなりすぎず、軽やかな空気で休憩タイムに入ることができた意味でも、絶妙な選曲だったのでは。
MCは、ドリンクのおかわりタイムとなる休憩中にまとめて行うスタイル。
(といっても、なんだかんだ、タイミングがあればゆるゆる喋っていた気がするけれど。)
YouTubeで隔週更新しているラジオ風コンテンツ「勝手にしやがれ」の公開収録ということで、MCというよりもトークイベントのような雰囲気です。
二人でamazarashiのライブを見に行ったという話題だったはずが、徐々に話が転がり出して、慎一郎さんが"想像していたよりも大きいものが怖い"というトークに。
自分の中に思い描くトンボのイメージよりも大きいからオニヤンマが苦手だとか、漁港に入ってきたタンカーが想像よりも長かったから腰を抜かしてしまったとか、独特の感性を披露する慎一郎さんに、杏太さんが"プードルとか見たら駄目だと思う"と一言。
その場で画像検索を始めるのですが、案の定、トイプードルの大きさを想像していた慎一郎さんが猟犬のプードルを見て絶叫するという流れが、間違いなくこのMCのハイライトでしょう。
まぁ、こういうのは文字では伝わり切らないので、公開されたら改めて聴いてみてください。
後半戦は、同じく周年ライブを行っているという盟友heidi.に向けて、「ひゅるり」のカヴァーを。
なんというか、センスが重なっているというのがよくわかる、しっくりくる感覚。
これ、慎一郎&杏太のオリジナルでしょ、と言っても違和感がないレベルでした。
曲を続けることで深い意味を持ったのは、「社会に散った日」から「最後の夢」の流れ。
"幾つも夢を捨てて此処に居る"と歌った後に、「最後の夢」ですよ。
これは本当にグッときた。
はじまりの曲である「同じ空」や、一体感を出す目的で送り込まれた「グローリージェネレーション」、「いつか死ぬ僕らの死なない歌」も、そりゃ良かったのですけれど、この2曲で全部出し切ったというか、この2曲があったからこその一体感だろうな、という。
最後の「たからもの。」は別格として、これだけで来た甲斐があったな、と思えるほど心を揺さぶられましたね。
なお、入場者特典はサイン入りのポストカード。
YouTubeでは、スタジオライブ音源と言っていたので肩透かしを喰らった気分ではあるけれど、慎一郎さんが体調を崩してラジオの収録を欠席していたので、その影響もあったのかな。
その中で特典を準備してくれたのは、ただ感謝しかありません。
この日も万全ではなかったようで、MC中に咳込む場面も多かった慎一郎さん。
それなのに歌っている途中には絶対咳をしないのは、集中力のたまものなのか、プロ意識か。
リハ中に杏太さんにも風邪がうつったということで、距離の近い赤坂SO-DA、パンデミックが不安ではありますが、今のところ咳は出ていないので、良しとする。
仮にうつっていたとしても、良いライブを見せてもらったということで良しとする。
9月と1月に、それぞれのバースデーライブを行うことも発表され、間は空くけれど楽しみは続きます。
どちらかのライブで、音源が出来ていたりすると更に嬉しいのですが、さて、どんなもんでしょうかね。
1. 傘
2. 積み木
3. 手
4. 鉛の雨
5. 本能(椎名林檎)
6. キリンレモン(BiSH)
7. ひゅるり(heidi.)
8. 社会に散った日
9. 最後の夢
10. 同じ空
11. グローリージェネレーション
12. いつか死ぬ僕らの死なない歌
13. たからもの。