五臓六腑に染みる雨/MAMIRETA
1. 五臓六腑に染みる雨
2. ろくでなし注意報
3. 猫になりきれなかった犬
2020年9月の単独公演をもって、無期限活動休止となったMAMIRETAのシングル。
4月に発表され、実質的なラストシングルとなった本作。
制作段階で最後の音源であることを意識していたかは知る由もありませんが、表題曲は悲痛なロックバラードに仕上がっており、なんとも意味深に響きます。
もっとも、イントロから変拍子が続き、トリッキーな展開を見せるのは彼ららしいところ。
サビは、ストレートすぎるぐらいのシンプルなメロディだけに、王道と邪道が双方を引き立て合うMAMIRETAのスタイルが、ここに活きていると言えるでしょう。
カップリングも、MAMIRETA節が全開。
汚い言葉で自虐を繰り返しながら、最後まで聴くとメッセージ性を帯びているような余韻が残る「ろくでなし注意報」に、ナンセンスな歌詞で斜に構えたポーズを取りつつ、現代の闇を端的に切り取る鋭さを持った「猫になりきれなかった犬」。
どちらも、決して正統派にはなり得ないのだが、サウンドの格好良さと、捻くれ加減が強すぎて独自の個性に昇華していることが、彼らなりの安定感、王道感を生み出しているのが面白いですね。
一筋縄ではいかない作風は相変わらず。
ただし、その中でシリアスかつアイロニカルな世界観に拍車がかかっており、全体的にダウナーな雰囲気が纏わりついているのが、これまでにない特徴か。
それがラストが見えたために表出した悲壮感なのか、自分たちのフォーマットが確定したからこそ活動休止への流れになったのか、考え始めると頭がぐるぐると回り出すのですが、いずれにしても、シングルというコンパクトな媒体ではあるものの、集大成と捉えて問題ない内容。
腹を括りやすい1種売りのみのリリースですので、未聴の方は手に取ってみては。
<過去のMAMIRETA(まみれた)に関するレビュー>