OVERCOME THE VIRUS / lynch. | 安眠妨害水族館

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OVERCOME THE VIRUS/lynch.

 

1. DON'T GIVE UP

2. WALTZ

3. A GLEAM IN EYE -NEW TAKE-

 

 

コロナ禍によるライブハウスの苦境を受けて立ち上がったlynch.のライブハウス支援企画シングル。

新曲2曲を含む、全3曲が収録されています。

 

CDおよび配信による収益は、製作費を差し引いたすべてをライブハウスに寄付するというプロジェクト。

CDはオフィシャル通販での受注生産、配信は各種ダウンロードサイトや、サブスクリプションにも対応しています。

寄付の対象となるのは、これまでにlynch.が出演したことがある全国148のライブハウスということで、その辺りの公平性も保っているのも彼ららしいな、と。

 

作品タイトルからして、どストレートなのですが、1曲目の「DON'T GIVE UP」も、直接的すぎるほどのメッセージソングとなっています。

Vo.葉月さんが作詞・作曲を手掛けたハードなナンバーで、サビはお約束どおりメロディアスに。

lynch.の王道中の王道といった楽曲で、言ってしまえば新鮮味には欠けるのですが、ここは狙ってのことでしょうね。

変化球を求めるのではなく、すべてにおいてストレート。

捻りがないからこそメッセージにも裏表を感じさせず、胸に刺さる応援歌として機能しているのではないかと。

 

「WALTZ」は、Gt.悠介さんがコンポーズ。

こちらも、激しさとメロディアス性が融合した、らしさ全開のハードチューンに仕上がっています。

本作のリリース決定時に、どの段階まで構想があったのかはわかりませんが、王道の中にもアクセントとなるフレーズを細かく織り込んでいるので、変化を加える役目もきちんと果たしている。

勢いは止めず、正攻法で突き進むにあたり、この絶妙なバランスを短期間で構築してしまったところに、彼らのコンビネーションの成熟を見ることが出来ました。

 

「I BELIEVE IN ME」に収録されていた楽曲の再録となるのが、「A GLEAM IN EYE」。

アルバムのラストを飾っていたキラーチューンであり、光が差し込むような力強い歌詞が特徴とあれば、ここでピックアップされるのも納得といったところ。

メロディアスなヴォーカルラインに、エモーショナルなシャウトが重なる部分での迫力など、大幅なアレンジの変化はありませんが、ソリッドさが増した印象です。

サウンドプロダクションがモダンになったと言いますか、直近の作品と並べて聴いても違和感がなくなったのでは。

 

率直な感想としては、リリースまでのスピードを重視するのと引き換えに、手癖そのままでドロップしたレベルのベタさを感じる。

ともすれば、食傷気味になってしまうほどの代わり映えのなさではあるのだが、この作品においては、変わらない姿勢を示したことこそに意味があるのですよ。

行動力のあるバンドは人の心を動かすのだな、というのがこの作品の価値。

もちろん、相応にクオリティは維持されており、王道的なlynch.が好きなファン層や、企画に賛同してはじめて手にするリスナーにもしっかりアピールできる内容になっていますので、まずはサブスクからでもいいから聴いてもらって、ライブハウスを守り、ウイルスに打ち勝ちましょう。

 

<過去のlynch.に関するレビュー>

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