ぜんぶコロナのせいだ!/mama.
1. ぜんぶコロナのせいだ!
2019年に結成され、精力的に活動中のmama.のデジタルシングル。
新型コロナウイルス拡大防止における経済的影響を、モロに受けている音楽業界。
それに対する嘆き節を、音楽に詰め込んで直接的に吐き出してしまったのが、mama.でした。
ワンコーラスだけ、時間にして2分弱という短い楽曲。
ただし、その勢いの良さが肝となっており、どれだけの激しい怒りかが端的に伝わってきます。
デスヴォイスでまくしたてるラウドなパートから、開けてメロディアスになるサビへ、という近年の王道的な構成。
ヘヴィネスを強調したモダンなラウドサウンドは、歌詞を書き換えれば、恒常的にライブで披露できる楽曲にも再構築できそうなクオリティです。
歌詞は、"手洗い うがいはしっかりしよう!"からスタートするナンセンスさがあり、音楽性も相まって、どことなくJin-Machineあたりを思い出してしまうのだけれど、彼らがこれを敢えてやることによって、怒りの表現になるから面白いものだな、と。
曲をきちんと完成させなかったことも、その表現の一部と捉えると趣深くなりますね。
時期が過ぎたら、演奏される機会はなくなるであろう楽曲。
配信限定というリリース形態は、間違いではないでしょう。
興味深いのは、この楽曲のリリースが3月であるということ。
その段階で楽曲を作り上げ、リリースにまで持っていったという決断と行動の速さが、ここにきて注目されるきっかけになったわけで、とにかくフットワークの軽さが道を切り開くこともあるのだな、と痛感させられる1曲でした。