十三月ノ明晰夢 第五夜 「Disease」/Crucifixion
1. Disease
Crucifixionが2016年に実施した12ヵ月連続リリースの第5弾。
90年代後半のコテコテ系バンドの懐古主義的スタイルを貫く彼ら。
第4弾までもあの手この手で当時のシーンを再現していたのですが、本作では、ヘヴィーなサウンドでドロドロとした世界観を表現。
なるほど、こういうタイプの楽曲はまだやっていなかったのか、と唸らせます。
Crucifixion流の名古屋系サウンド、と言うとイメージが沸きやすいかもしれません。
ほんのりと和のテイストを落とし込んだリフに、複数のシャウトによる掛け合い。
ずっしり、どっしり、じわじわと侵食するような展開には、得体の知れない不気味さに背筋が冷たくなる。
ここにオリジナリティを加えたと言えるのがサビのメロディで、おどろおどろしさを強調する楽曲において、こうもメロディアスに開けていくとは、案外ありそうでなかった構成だったのでは。
ただ二次創作的に再現するのではなく、現代ナイズして再興を図る彼らのスタンスとしては、実に老獪な判断と言えるでしょう。
シングル的な楽曲かと問われると、まったくそんなことはないのだけれど、12枚リリースする前提だからこそ深掘りして聴いてもらえるというのも事実。
アルバムであればアクセントとして埋もれてしまいがちな楽曲のクオリティにこそ、連続リリース企画の肝がある。
彼らの場合は、そこにしっかり力を入れていたのが好印象でした。
代表曲「Hexenprozess」の次に、これを持ってくるとは勇気ありますよね。
<過去のCrucifixionに関するレビュー>
十三月ノ明晰夢 第三夜 「散美花」 / 第四夜「Hexenprozess」