【指紋】shi-mon/STELLA MARIA
1. J.F.Revenge
2. Dollies
3. 指紋 -shimon-
4. Increase
1999年にリリースされたSTELLA MARIAのミニアルバム。
結果として、単独作品としてはラストCDとなってしまいました。
「Split Milk」を最後に、フロントマンであるVo.Rayさんが脱退。
後任として、ex-LucideのTsurugiさんが加入して制作された本作。
Rayさんは透明感のある歌声だった一方、Tsurugiさんは、やや癖の強い歌い方で、あえてタイプの異なるヴォーカリストを連れてきたといったところでしょうか。
少し、DのASAGIさんと似ているところがある気がします。
音楽性としては、幾分まとまった印象ですね。
Gt.#4さんがメインコンポーザーとして君臨し、表題曲の「指紋 -shimon-」のみ、Ba.NAOYAさんが作曲者としてクレジット。
Tsurugiさんも、「Dollies」、「指紋 -shimon-」については共作扱いとなっており、バンドとしてのバラエティはむしろ広がっているのですよ。
それなのに、#4さんの趣味が色濃く出たということなのか、芯を感じることが出来る。
曲数をコンパクトにしたこともあって、彼らが挑戦しようとしていた音楽性はある程度明確になっていました。
SEを経て送り込まれたのは「Dollies」。
ダンサブルな人力ファンクロックで、シンセギターがグラマラスに絡みついてくる。
艶やかで疾走感のあるTsurugiさんの歌声が、これだけアダルティーな作風にも対応できるとならば、当たり前だがインパクトは絶大。
デジタルを生音に上手く融合させて、実験的なものをオリジナリティとして昇華しているのが面白い。
演奏には粗削りさも見て取れますが、この路線こそが新体制での軸なのかと。
「指紋 -shimon-」は、ムードを高めて届けられるミディアムバラード。
この手の楽曲だと、Rayさんのほうがハマっていたのかな、とは思ってしまうものの、曲数的には物足りなさのあるミニアルバムに、ボリューム感を付け足す効果はあったと言えるでしょう。
終盤に進むにつれて感情が盛り上がっていくヴォーカリゼーションには、ポテンシャルの高さを感じ取ることができました。
サウンド的には、もうひとつ展開があっても面白かったかな、とは思うけれど。
ラストの「Increase」は、再びダンサブルなパーティーロック。
ギミックがそこら中に散りばめられており、おもちゃ箱をひっくり返したような楽曲とは、まさにこの曲なのだろう。
音の詰め込み方をマニアックに追及するのも、一興なのかもしれません。
前任のRayさんとのギャップにより離れてしまうファンも多く、作品の実験性が、結果に結びつかなかったのは残念。
今聴いてみると、まだまだ洗練されていない部分はあるにせよ、意欲に溢れた作品だなと思えるだけに、再評価しても良い時期に差し掛かっているのでは。
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