明日から私立大学の試験が始まる。

 

品川プリンスホテルでは「受験生のための宿」と銘打って、勉強部屋を用意してくれていた。

 

価格もリーズナブルだったが、より節約する目的もあって、

 

佐渡高校の友人であるJ君とツインルームに泊まる約束をしていた。

 

J君も早慶を受験するし、同じ理系だったので、受験日も同じであったのだ。

 

 

J君と部屋に入り、まずは部屋の湿気確保のために、熱湯をバスタブに注ぎ込み、風呂場のドアを全開にした。

 

湯気がモクモクと部屋中に行きわたった。

 

奇しくも、J君もsadounivと同じく風邪を引いていたため、回復を早めるためには、湿度管理はより重要であったためだ。

 

受験直前に風邪をひくなんて、健康管理がなっていないとも思えるが、離島から慣れない都会に出てきた2人にとっては、さらに体調管理までしっかりしろというのも、なかなか酷な話なのだ。

 

 

湿度が一気に上がった暖かな室内、一方で外は真冬の冷たい空気。

 

プリンスホテルの名に恥じない(?)大きな窓が一気にくもった。

 

それに気づいたsadounivは、おもむろに、「3枚のお札」を取り出した。

 

 

 

代ゼミの大学別模試を受けたときに、付録でついてきた、願掛け用のお札であった。

 

行書体で書いてあり、いかにも効果がありそうな雰囲気がする。

 

結露した窓ガラスに貼り付けて、願掛けをしようという魂胆だった。

 

3枚並べて窓に貼り付け、明日からの武運を祈るのであった。

 

J君はその様子を見て、苦笑いをするしかなかった。

 

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~~目次~~

まえがき

1.高校生sadouniv

2.センター試験

3.願書

4.いざ、東京

5.東京

6.直前期の勉強と「和田秀樹本」

7.数学ガン捨て作戦

8.風邪をひく

9.横須賀を出る日

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12.上智大学

13.慶應義塾大学

14.私大受験 中休み

15.早起きの誓い

16.高田馬場

17.早稲田大学

18.帰島

19.戦いの後

20.そして合格発表