人事評価の目的
人事評価の目的を明確にして、その目的にあった仕組みにする必要があるが、その目的とはどのようなものが考えられるだろうか。ちょっと考えると、次のようなものが思い浮かぶ。
① 報酬の決定のための人事評価 (賃金の決定、賞与の決定など)
② 役職の任用、昇進を決めるための人事評価
③ 能力開発を進め、行動を改善するための人事評価
この3つの目的を同時に満たすような人事評価の仕組みをまとめて作成し運用していくのは難しいような気がする。目的に応じて、それぞれ別の仕組みを作って、それぞれ別に運用するのが良いのではないだろうか。
その中で、成果主義を目指す場合は①のウエイトを大きくし、成果主義の導入のしにくい公的な組織などは③のウエイトを大きくするようにするとうまく行くような気がする。
目標管理の注意点
目標管理には運用上、大きく分けて2つの考え方がある。ひとつは「チャレンジ加点主義の目標管理」であり、もう一つは「評価連動型目標管理」である。
「チャレンジ加点主義の目標管理」は通常業務をしっかり行うということを前提に、それにプラスして、「改善目標や重点目標」を設定するという考え方で、本人の自主性が重んじられる。本人自らがチャレンジして、成果と能力の向上を図ろうというものである。
これに対して、「評価連動型目標管理」は通常業務そのものを、目標として明確にし、その達成度合いに応じて「通常業務の成果」を測定しようというものである。通常業務であるから、本人自主性よりも組織の要望が優先される。
このように、同じ目標管理であっても目的や運用方法によって、目標に設定する内容がちがってくる。「評価連動型目標管理」を行っているのに、本人が自主的に目標を設定するような形になっていると、当然、自分に都合のいい目標設定になってしまい、目標管理そのものが機能しなくなってしまう。
もう一度、自社で運用している目標管理の目的と運用方法を整理することが必要である。
読みやすい文書チェック
● 読みやすいビジネス文書の基本
① テーマにあった内容になっているか?
対策 言いたいことをメモとして書き出し、グループ化して並び替える。
② 主語と述語の関係は適切か?
対策 主語と述語だけの文章を作り、その後に必要な説明を加える。
③ 修飾語の順番は適切か?
対策 何に対して修飾しているのかわかるように順番を入れ替える。
④ 接続語の使い方は正しいか?
対策 文と文の関係にあった接続語を使う。「だから」順接、「しかし」逆接、「つまり」説明・要約。
⑤ 指示語の使い方は適切か?
対策 指示語を使うことで文章がスリム化して読みやすくなるが、使いすぎると逆効果となる。
⑥ 疑問文の使い方は効果的になっているか?
対策 疑問文を使うことで関心を引きつけることができる。
⑦ 事実と意見の区別はされているか?
対策 客観的事実を述べているのか、主観的意見を述べているのか、を明らかにする。
⑧ 文体はそろっているか?
対策 「です」「ます」調と「である」調が混在していると、読み手に違和感を与えてしまう。後で読み返してチェックする。
人事評価と処遇
人事評価の目的は、「人が活き活きと仕事をして、組織として高い業績を上げるようにする」ことだと思う。
そのためのひとつの手段として、人事評価により「メリハリのある処遇」を行うということ必要があるといわれるが、「メリハリのある処遇」が、「人が活き活きと仕事をして、組織としての高い業績をあげること」に結びつくのであろうか。
また、「メリハリのある処遇」に耐えうる公正な評価ができるのであろうか。
どちらも、非常に難しいのではないだろうか。
金銭による「アメとムチ」は長続きしないのではないかという懸念の他に、
公正処遇を実現するために
① 処遇に連動するから、過度の「公平・公正」な評価が求められる。
② 過度の「公平・公正」が求められるので、複雑な仕組みと細かな基準が必要になる。
③ その複雑な仕組みを運用するための教育や訓練が必要になる。
④ 制度の維持・運営に労力を使い果たし、制度の目的を見失ってしまう。
⑤ 結局、複雑な仕組みと細かな基準が制度をわかりにくくし、単なる処遇決定の仕組みになってしまう。
⑥ 不満はあるが、仕組みがよくわからないので、そのままになってしまう。
⑦ 面接で無理やり納得させるという会社もあるが、さらに面接に対する時間的・精神的負担が増加し、その内容によってさらに不満が大きくなる。
という問題が出てくる。
逆に、人事評価と処遇(賃金や賞与)は切り離すと次のようなメリットが出てくる。
① 過度に「公平・公正」にこだわらないシンプルな制度となる。
② シンプルな制度なのでわかりやすく、浸透しやすい。
③ お金に連動しないから、評価者の感情などが影響せず、ルール通り、基準通りに評価できる。
④ お金に連動しないから、評価される人も素直に評価結果を受け入れることができる。
⑤ 面接が上司部下との有効なコミュニケーションの場となる。
⑥ 個人の思惑に影響させず、組織目標に連動した目標設定ができる。
⑦ 評価することは、社員の「今の状態」を知ることとなり、それに基づいて政策を立てて実施することができる。すなわち「より適正な配置」「より有効な活用」などが可能となる。
⑧ 評価基準は組織が求める行動や能力の期待像を示しており、これを公開することで、社員にあるべき姿を表明することとなる。社員の行動を変え、能力の向上を促す。
人事評価は能力活用や能力開発、目標の共有化や職場のコミュニケーション強化のために行うものと考え、報酬決定の根拠は人事評価以外のもので考えるのがよいのではないだろうか。
聞き方チェック
傾聴の技術 6ポイント (よい話の聞き方 ← 人に好かれる話し方)
1.話している相手の目を見て、話を聞く。
2.うなずく。 ← 話を聞いているという合図を送る。
3.相槌を打つ。
4.メモを取りながら、話を聞く。
5.質問する。
6.復唱する。 ← 自分の言葉でいい直す。共感を示す。
悪い話の聞き方
1.話の腰をおる。相手の話している途中で、自分が話してしまう。
2.相手の話をとってしまう。相手が話し始めた話題を奪って、自分で話してしまう。
3.相手の話を聞きながら、いたずら書きをしたり、手遊びを始める。
4.相手の話を聞きながら、そわそわした態度をとる。
5.相手の話を聞きながら、窓の外など、関係ないところを見ている。
6.あからさまに嫌そうな態度を取る。
目標設定時の指導
突然ですが、「目標設定の作成時にどのように指導してやればよいか?」教えてください。
ご質問にお答えします。
評価連動型目標管理の場合は、
組織目標達成のために必要な内容を、上司のほうから要望して、目標設定するようにします。
上司からの期待像を明確にする必要があります。
期待行動 どのような仕事をどのようにして欲しいのか?
期待成果 その結果、どのような成果を上げて欲しいのか?
この2点を明確にすることが一番大事です。
チャレンジ加点主義の目標管理の場合は、
担当業務の明細を明らかにした上で、その中から重点を絞って、どの程度レベルアップするか、あるいは改善するかを本人に考えさせるようにします。
ちょっと高い水準に挑戦した方が、自分の能力も伸びるし、会社もよくなるし、評価もよくなる
ということを、事前に教えておくようにします。
今運用していいらっしゃる目標管理の内容によって、目標設定の仕方が違ってきますので、その辺の状況を教えていただければ、もう少し詳しく説明いたします。
考課制度作成のポイント
どのような制度であっても、評価制度の「期待成果」の項目と水準の設定が必要になってきます。(能力とか、態度とか、行動とか、の他に成果の評価は絶対必要です。)
この部分を会社で明確にして、評価シートに最初から書き込んでしまう(毎年変更は可能)のか、この部分を空欄にして、上司と部下と話し合って決めるという方法(目標管理)をとるのかで違ってきます。
制度を導入するだけでしたら、目標管理制度を利用する形にして後は当事者にお任せという風にした方が簡単ですが、その後の運用で不都合が生じてくる恐れがあります。(目標管理の研修をしっかり行い、目標管理の考え方が浸透すれば運用できるようになります。)
制度を導入し、機能的に運用していくためには、会社として基準をしっかり作っていくようにした方がうまく行きます。もちろん、この基準を作るのは大変ですが、会社としてどのような成果を求めているのかを明確にするわけですから、当然必要なことなのです。
目標管理で個別に設定する場合であっても、期待成果を明確にした上で行うようにする必要があります。
職務給の特徴
職務給の制度上の特徴(グレード制の場合)
1. 同じような仕事(同じグレード内)を担当している限りは、そのグレードの上限賃金で固定。昇給は発生しない。
2.上位グレードの職務の「空き」がないと、昇格しない。
3.いつでも上位グレードの仕事ができるよう、能力向上を図ることは必要であるが、「空き」がないと、活用されない。
4.組織拡大が難しい経営環境では、上位グレード職務の「空き」が増加せず、昇格できない人が増える。
5.多能工であっても、単一能力であっても、その担当している仕事が同じであれば、賃金も同じである。
6.設計開発など、本人の能力により職務内容が変動する仕事の場合は、職務グレードの設定が難しい。
7.改善や機械設備の導入などで、難易度の高い仕事が簡単になった場合、その職務のグレードが下がり、職務給も下がる。
8.同じグレード内での職務変更は特に問題ないが、グレードを超えての職務変更は、賃金の変更につながるため、ダイナミックにできない。
職務給運用上の問題点
1.昇格させるために、無理やりポストを作ってしまう恐れがある。
2.評価がよくても昇格できないため、モラールダウンにつながる恐れがある。
3.上限賃金になった場合、昇給ストップとなり、モラールダウンにつながる恐れがある。
4.能力向上がストレートの賃金には結びつかないため、能力向上意欲が低下する恐れがある。
5.降格や役職を離脱した場合、賃金も減少するので、降格や役職の離脱を実施しにくくなる。
職務給の導入
職務給は一人一人の担当職務が明確な欧米では当たり前の考え方であり、賃金項目のグローバル・スタンダードと言えますが、応援やチームで仕事したり、一人2役や人事異動など頻繁にある日本ではなじまないとされてきました。しかし、最近は幅を持たせたジョブ・グレード制をとることで日本でも多く採用されるようになっています。
職務給の特徴
・ 同一職務同一賃金が原則(年齢、勤続、能力に関係しない)
・ 定期昇給はない。仕事が変わると賃金が変わる。
・ 高い職務につけば賃金も上がる。(欠員が出たら上がる)
・ 低い職務につけば賃金も下がる。(評価が悪い場合など)
・ 職務が変わると賃金も変わる。(人事異動で賃金も変動する)
職務給は職務給で色々と問題が出てくるが、これらは事前に対処できる問題であり、職能給よりは運用しやすく問題も少ないのではないだろうか。
やる気とは
何事にも、やる気は必要である。そして、やる気をもって取り組めば結果もよく、やる気がないとよい結果が得られないということも、よく言われることである。
しかし、このやる気というのは、本人が自覚したり、反省したりするものであって、他人が口出しするものではないように思う。特に上司が部下に「もっとやる気だせ」なんていう指導はまったく意味のないことではないだろうか。
例えば、成績のよかった部下と悪かった部下に対して、この「やる気信者の上司」は、片方には「よく頑張った、君はやる気があるな、来期もやる気を持って頑張ってくれ」片方には「君はやる気がないな、来期はもっとやる気を出して頑張ってくれ」とすべてやる気で片付けてしまう。
中には、「部下をやる気にさせる法」のような本を読んで、アメとムチをつかったり、ほめたりおだてたり、色々動機付けの方法を試みる上司もいる。そして、自分は優秀な上司であると自己満足している。勉強することはよいことであるが、ちょっと方向が違うのではないだろうか。
やる気云々の前に、やるべきことがある。成績のよかった部下は成績がよくなるやり方をしているのだ。その成績のよくなるやり方を上司が見つけて、成績の悪かった部下に教えることが先決である。
やる気があろうがなかろうが、成績のよくなる方法を教えて、それを実践させれば成績は出るのである。 成績のよくなる方法を見つけもしないで、成績のよくなる方法を教えもしないで。「やる気だ、やる気だ」と言っても始まらない。「やる気」のせいにして、指導の放棄をしていることになる。
確かにやる気は大事である、しかし、やる気に偏った指導、部下のやる気に頼った成果は実は危険なのだ。部下のやる気しだいで成果が変動してしまう。 毎日100%のやる気をもって仕事をし続ける、5年10年20年と毎日100%やる気を出し続けることができるのであろうか。人間である以上、時には気分が乗らない、やる気が出ないというときもある。それでも、成果は必要なのである。
したがって、やる気があろうがなかろうが、成果の上がるやり方を身に付けさせることが必要であり、また、成果が上がる仕組みづくりが必要である。こちらにこそ上司は力を注ぐべきであり、「やる気だせ、やる気だせ」の念仏では何の進歩もない。