海外にいる部下の評価方法
海外事業部の幹部が、海外にいる部下の評価ができないと言って困っています。単純に5段階評価の中間の評価にしたり、好き嫌いで評価したりする状況です。どうしたらよいでしょうか?
困った状況ですね。
まず、理屈から言いますと、
「人事考課と考える前に、上司は部下の仕事のチェックや仕事ぶりの管理をしているはずである。まずそれを行うように、管理職の意識または仕組みを変える必要がある。国内にいようが、海外であろうが、上司は部下の行動を24時間すべて見ているわけではない。その中で、部下の仕事の管理や仕事ぶりのチェックができるようにすることが先決である。具体的には、役割や目標を明確に設定して、その達成度のチェックをして、うまくいったときはなぜうまくいったのか、うまく行かなかった時はなぜダメだったのかを確認するようにする。」
といこと、幹部の方々に理解させるということになります。
人事考課をただ単に処遇決めるための仕組みというよう考えているようですと、おっしゃるような状況になってしまいます。
「評価して、よいところを認めて、いけないところを指導して、業績が上がる状況を作り出して、
その結果、業績を上げる」そのための評価であるということを徹底することが必要です。
方法としては、考課者訓練等で指導教育するのも一つです。事例研究やグループ討議で、自分の考えがいかに偏っているかを認識してもらうことで、改善することができます。
また、「評価する人も評価される」という仕組みを徹底することが不可欠です。
「部下を評価し指導して、部下が頑張ることによって、上司の評価もよくなる。」という関係を作ることが大事です。
「部下の評価がよかろうが悪かろうが(単なる評価ではなく仕事の成果や仕事の内容)、上司の評価には関係ない。」ということであれば、上司は部下の人事考課は単なる点数付けになってしまいます。適当に、「普通」とつけてしまったり、感情でつけてしまったりしてしまいます。
上司の仕事を部下の仕事の連動、簡単にいえば、上司の目標に連鎖した部下の目標を設定する、(目標のブレークダウン)ことが大事です。
決断できない人
後悔の回避
決定や決断には失敗することがあり、その失敗に対して「あの時こうすればよかった」という後悔をするのがつらく、その後悔を避けたいという気持ちを持っている。
その後悔の回避が強いと、決定できない人になってしまう。
「今決定しないことも、一つの判断である(自分の決定である)」と考えることで、決定できない人から脱却できる。
錯覚する人
コントロールの幻想
宝くじなど当選確率は同じなのに、お店を選んだり、番号を自分で選ぶことによって、当選しやすくなると錯覚すること。
どこで買っても確率は同じ。たまたま当たりが出て、それを宣伝すると販売数が増えるから、また当たりが出やすくなるだけで、確率は変わらない。
先入観で判断する人
ヒューリスティックス(簡便な判断法)
「ヒューリスティックス(簡便な判断法)とは、何かを判断したり、意思決定するとき、色々考える面倒を嫌い、結論を急いで、ものごとを単純化して考えること。
「行列ができるお店の料理はおいしい」「イタリア人は陽気だ」など
自分勝手な先入観で物事を判断して失敗したこと、数え切れないほどある。もっと前に知っていれば、人生変わっていたかも?
フレーミング効果
言葉や数字の使われ方によって、無意識にそのテーマに対する枠組み(フレーム)を作ってしまう。その枠組みの違いによって、同じ選択肢であっても異なる判断をしてしまう、ことをいう。
同じことでも表現方法によって受け止め方は違う。
例えば、6割賛成、4割反対を「賛成は過半数にのぼった」「反対は半数に届かず」と表現すると「賛成多数」をイメージさせるが、「半数近くの人が反対」「賛成は6割にとどまった」と表現すると「反対強し」のイメージになる。
何事も言い方次第?
決定麻痺(マヒ)の効果
選択肢が多すぎると、その選択を先延ばしにしたり、選択すること自体をやめてしまうことをいう。
食料品売り場で、ジャムを6種類並べて販売した場合と、24種類並べて販売した場合を比較すると、6種類だけ見た人は30%、24種類見た人は3%の購入率であったという心理学者の実験があるそうだ。
確かに、「見てるだけ」であれば多い方が楽しいけれど、「どれを購入するか」と考えるのは選択肢が多すぎると面倒臭くなってくる。
これはジャム以外にも使えそうだ。(笑)
ベンフォードの法則
世の中に溢れかえっている数字の先頭の数字は、圧倒的に1が多い(約30%)という法則。(本当はもっと複雑で有用なもの)
単純に考えると「0~9まで平等に表れる」と思ってしまうが、先頭の数字に限れば、1は約30%、2は18%、3は12%、以下数字が大きくなるにつれて出現率は低下して、9は約5%になるそうである。
これは数学的にも証明されていて、粉飾決算のなど人工的に手を加えたことを見破る手段にも使われているそうだ。
人事考課制度導入の順番
社長の方針で人事考課をすることになりました。段階的に導入することになりましたが、一般職クラスから導入するのと、管理職クラスから導入するのとどちらがいいでしょう。
理屈上は、上から順番(管理職から)に明確にしていく(考課用紙を作り、考課をして、管理者としてのレベルを上げる)のがよいですが、現実は、下から(一般職)導入することが多いです。
それは、一般職の方が抵抗が少ないからです。管理職にいきなり導入しようとすると結構抵抗が大きくなります。(今まで人事考課をしてこなかったということは、過去に何度も話が持ち上がり、その都度、管理職がつぶしてきたと考えられます。)
したがって、導入する時は、一般職だけでもしょうがないと思います。まず、導入することです。そうすると、一般職のほうから、管理職も人事考課するべきだという声が上がります。また、「あんな管理職に評価されるのはイヤだ」という不満が出てきて、管理者に対する教育をせざるを得ない状況になります。
人事考課をしっかり行うためには、評価する管理職の方々のレベルが高いことが不可欠ということが明白になります。それから、管理職の方を導入してもいいと思います。
接客パートの人事考課
接客業ですが、人事考課を取り入れたいという社の意向のもと、今年の夏までに作成することになりましたが、アルバイト・一般社員は、非常にモチベーションが低く、一般常識やビジネスマナーなどもできない者ばかりです。そんななかでも人事考課は有効なのでしょうか?また、評価項目はどのようなものがいいでしょうか。
そのような状況であれば、逆に、人事考課が必要です。
明確な評価基準がないから、「これでいいだろう」ということで、そのような状態になっていると思います。上司も部下もそれでいいと思っているのではないでしょうか。
あるべき姿、(行動や成果)をしっかり示してあげる必要があります。その示したものが、人事考課用紙であり考課基準になります。
評価項目は、次のように考えるとよいと思います。
○ アルバイト・一般社員は技術や能力というよりは目に見える行動を評価項目にするとよいと思います。
接客マナーなどの顧客対応や店内清掃など、行って欲しい行動を示して、そのように行っているかどうかチェックする方式でいいと思います。
例 顧客への対応
① 顧客に対して、ことば使いやマナーを守り、常に感じのよい対応をしている。
② 他の顧客に迷惑をかけている顧客に対して、適切に注意し対応している。
③ 顧客の苦情に対して、にこやかに適切に対応している。
④ 悪意のある苦情や言いがかりに対して、毅然とした態度で臨み、適切に対応している。
⑤ 不正をしている顧客に対して、規定どおりにすばやく対応している。
○ 主任リーダーなどの中堅。監督職は部下指導や機械管理などの行動を評価項目にするとよいでしょう。
○ 店長などの幹部は、部下指導や店舗管理の行動の他に、売上利益などの成果も評価項目に入れるとよいでしょう。
一般職だけの人事考課制度の導入
突然、経営者が、思いついたように人事考課表を他社からもらってきて、いきなり4月から公平な評価をするために人事考課表を作って査定すると言ってきました。しかし対象となる社員は、一般職の女子だけです。男性の総合職の社員に対しては、人事考課は行われません。この男女差別は合法ですか?
確かに理不尽な対応ですね。経営者は何を考えているのでしょうか。その目的と効果がわかりません。
ただ法律に反するかどうかという点については、難しい問題ですね。(私は法律の専門家ではありませんので、他企業の例などを紹介します。)
1.評価すること
仕事の出来栄えや仕事上の行動を評価することは、上司(管理者や経営者)の当然の義務と責任です。よい点は認め、悪い点は注意して、今後よりよい成果を出し、よりよい行動をするように指導するべきです。
考課用紙があるかないか、処遇(昇給や賞与)に連動するかしないかの違いはありますが、評価そのものはどんな会社でも行っています。
今回、内容が妥当なものかどうかは別にして、考課用紙を用意して行うということですから、評価する項目が明確になり、評価される方にとってもよいことだと思います。努力する項目がわかるわけですから。
2.総合職と一般職
今回、一般職だけに考課用紙があるということですが、考課用紙があること自体問題ありません。
逆に、総合職のほうに考課用紙がないということは、どのような項目が評価されるのかわからないので問題があります。
ケースとして、総合職は営業数字で評価するから考課用紙はいらない、一般職は数字で評価できないから、勤務態度などの評価を考課用紙に記載して評価するということは、考えられますし、そのようなことは中小企業ではよくあります。
したがって、「考課用紙がある、ない」ということが法律に反するとはいえません。
3.処遇との連動
今までもそれなりに評価をして、昇給や賞与が決まっていたと思います。(会社業績や本人の評価、世間相場などで)
今後は、評価の部分のウエイトを大きくして、今まで以上に連動性を大きくしたいということであれば、それはそれでよいことだと思います。
ただ処遇に関することですから、よく説明して、納得性を高めることが必要です。
説明もせずに一方的に実施して、賃金や賞与を今までと比較して、不利益になるようなことがあれば、問題になります。
女性の賃下げの道具として、実施されたのであれば大問題です。
4.まとめ
・ 上司が部下の仕事上の評価をすることは、普通のことと考えられます。
・ 賞与や昇給を決めるときに、ある程度評価が連動するのも普通のことと思います。多くの会社の就業規則には「昇給や賞与は勤務成績による」と書いてあります。
・ 賞与や昇給の決定方法が、変更になるのであれば、社員によく説明し、納得させることが必要です。説明もせずに、不利益な変更を行うのは問題があります。
具体的に不利益変更があるようであれば、労働基準監督署などに相談なさるとよいと思います。