極端化傾向
少しよければすぐ最高点、少し悪ければ最低点と極端な評価をしていませんか?
極端化傾向とは、少し良ければ極端に良く、少し悪ければ極端に悪く考課してしまう考課エラー。結果として、中心化傾向とは逆に、考課結果がS・AとC・Dに二極分化する。
○ よくある事例
以前営業部門にいたP課長は、メリハリをつけて部下にハッパをかけるために、5段階評価の最低点と最高点しかつけなかった。
○ 解説
間違いである。評価の各段階の定義や意味をよく理解して、基準の基づいてつけるべきである。考課者の余計な感情が逆に不信感を招くことになる。
特に、営業経験のある人や、人事考課に対して自己流での経験がある人に発生しやすい。
中心化傾向
皆同じような評価になっていませんか?
中心化傾向とは、考課結果が『B』またはその前後に集中し、個人差がほとんど無くなる傾向。考課に不慣れ、自信がない、真剣さがないなどにより、部下の間に差をつけることをためらうことが原因である。
○ よくある事例
M課長は5人の部下がいるが、部下同士の評価に差をつけるとチームワークが乱れると思い5人とも同じ評価点をつけた。
N課長は、部下O君にはマイナス評価を2つプラス評価も2つ、部下P君にはマイナス評価を4つプラス評価も4つと、マイナス点とプラス点が同じになるように評価した。
○ 解説
間違いである。人事考課は人間そのものの評価でもなければ、順位付けでもない。事実に基づいて、ルール通りに評価すべきである。考課者の余計な感情や思惑が逆に不信感を招くことになる。
評価制度の見直し
正社員の補充のため賃金規程を見直しています。順調に利益は出ているのですが、従業員には『やる気』、会社にとっては『業績や状況』に応じた給与体系を考えています。評価制度を取り入れたいですが、少人数の会社の場合はシビアな評価できるのでしょうか?
利益も出ており成長中の企業であるとお見受けします。これだけ利益を出して成長しているということですから、立派な人事制度(賃金制度や評価制度)があるはずです。もしなければ、これだけ成長しないと思います。
御社には、立派な人事制度(賃金制度や評価制度)があるのです。ただ、それが明文化されていなく、社長さんの頭の中にあるだけで、他人から見えない状態になっているのです。ですから、社長さんの頭の中にある立派な人事制度を、他人にもわかるように明文化すればいいわけです。
そして、その明文化する時に、より今後の経営環境に合うように微調整すればよいわけです。
これまで業績を上げ続けてきたすばらしい実績がある現行人事制度(社長さんの頭の中にある仕組み)を無視して、全く違った新しい人事制度を導入すると、逆に混乱して業績が落ちてしまうことになります。
人事制度の見直しを考えていらっしゃるということですから、次の3点を見えるようにするとよいと思います。
個人の賃金は
・ 会社の業績とどう連動しているのか
・ 自分の評価はどうなっており、その評価とどのように連動しているのか
・ 自分の役職や等級、(場合によっては年齢や勤続)などとどのように連動しているのか
とうことです。
今回は、評価ができるかどうかというご相談ですが、次のことを明確にすれば可能です。
その人、その立場、役割の担当者に対して、どのような成果を上げてほしいのか、
また、そのためにどのようなことをして欲しいのか、この2点です。
私はこれを期待成果と期待行動と言っていますが、この2点を各役割について明確にすることが大切です。
○ 期待成果 (期待通りの成果を出してほしいという期待です)
どんな成果を出して欲しいのか、明確にすればよいわけです。
営業数値や生産性、不良率など仕事の結果について、評価するようにします。
○ 期待行動 (期待通りに業務を進めて欲しいという期待です)
その仕事をどのように進めて欲しいのか、 どのよう仕事ぶりがよいのか明確にすればいいんです。
これは文章で表現することになりますが、 後から判定できるように、表現に気をつける必要があります。
また、これは職種によって異なりますので、職種ごとに作るとよいと思います。
その他、必要であれば、勤務態度に関する項目を入れるとよいと思います。
評価に仕方については、評価をする人はもちろん、評価される人にも考課者訓練を行って評価ルールや基準の共有化をかかります。
評価される人にも基準やルールを公開することで、評価する方も安易にできなくなり、妥当な評価をするようになります。
対比誤差2
自分の若い頃と比較して評価していませんか?
客観的な基準ではなく、自分の経験や技量を基準に評価するエラーを対比誤差という。
○ よくある事例
若い頃いつも夜中まで残業して頑張った課長は、部下がいくら努力しても「オレの若い頃はもっと頑張った」と決してよい評価をしようとしない。
○ 解説
これも間違い。基準を明確にしないと、このように自分や自分の経験を基準にしてしまうというエラーが発生する。やはり、基準を明確に示すべきである。
対比誤差1
「自分ならできるのに」と、自分の得意分野を厳しく評価していませんか?
客観的な基準ではなく、自分の経験や技量を基準に評価するエラーを対比誤差という。
○ よくある事例
プレゼンテーションに自信を持っている課長は、部下L君の社内プレゼンテーションに立ち会うこととなった。L君のプレゼンテーションはなかなかすばらしく、参加者からも「わかりやすいプレゼンだった」と好評であった。
課長は、確かに参加者からは好評でありプレゼンテーションの内容もよかったが、自分ならもっとうまくすると細かい部分を指摘し、プレゼンテーションに関する評価を低くした。
○ 解説
これは間違い。自分を基準にするのではない。成果が出たのであれば、成果が出る根拠があるはずである。今回の場合、プレゼンテーションが良くて成果が出た(参加者から好評であった)のであれば、そこをプラス評価して今後の仕事に活用するようにすべきである。
ハロー効果
特徴的な印象に惑わされていませんか?
何か1つよいと、何もかもがよくなってしまう、何か1つ悪いと、何もかもが悪くなってしまう。ひとつの現象で全体の評価を行ってしまう人事考課のエラーをハロー効果という。
○ よくある事例
Hさんは、社内でも熱心な勉強家として名が通っている。仕事上必要な本をよみあさり、文学や歴史にも造詣が深い。課長は、Hさんの積極性、知識を「プラス評価」とし、自分の仕事に関する勉強を熱心にしているのだから、責任性も「プラス評価」とした。
○ 解説
これは間違い。Hさんは今行っている仕事(担当業務)の知識があり、さらにレベルアップのための勉強をしているのであれば積極性だけでプラス評価となる。今行っている仕事の知識が低くて、今の仕事をしっかり行うために勉強しているのであれば責任性で標準の評価となる。
なお、今勉強しているということと、知識があるということは別問題である。過去に勉強して、今は勉強していないけれど知識がある人もいれば、今勉強しているけれど、まだ、知識がついていない人もいる。
遠近効果
「半年も前のことは覚えていない」と、人事考課実施時の直前の事実だけで評価していませんか?
考課実施時の直前の事実は大きく見え、3か月前・5か月前の事実は小さく見えるために生ずるエラー。最近化傾向ともいう。
○ よくあるエラーの例
F君は期の始め頃は毎週月曜日に遅刻をしており、最初の1か月間だけで5回もしていたが、再三の注意が功を奏してか、その後ぴたりと遅刻をしなくなった。上司の課長は、この遅刻の件について、改善しているということを考慮して今期は不問(標準点)とした。
○ 解説
これは間違い。遅刻など行動や勤務態度の評価は、定められた期間を対象に評価するものである。いくら評価する時点で問題なくても、その期間全体を通して評価すべきである。
ただし、評価期間の後半の事実(直近事実)で評価する場合もある。
知識や技能などは保有能力といわれ、今日できれば明日もできるので、考課期間の「より最近の出来事」(直近事実)で判断する。
○ 例
Fさんは考課期間の当初、報告書等に誤字脱字が多くたびたび注意をしていたが、その後、本人が漢字や専門用語の勉強を積極的に行い、考課期間の後半では誤字脱字もまったくなく、専門的な用語も理解しているようになったので、知識の評価については不問(標準点)とした。これは正解。
イメージ考課
「これができるから,あれも」と、単純に評価していませんか?
事実に基づいた評価ではなく、想像やイメージで評価してしまう人事考課のエラーのひとつ。
○ よくあるエラーの例
営業部門から若手ナンバーワンといわれたE君が、このほどサービス部門に異動してきた。サービス部門の上司の課長は、「あれほどのキレ者なら能力は高いはずだ」として、今期の能力考課をプラスにつけた。
○ 解説
これは間違い。営業部門で求める能力とサービス部門で求める能力は違う。営業部門の仕事で能力が高くてもサービス部門の仕事ではどうかはわからない。サービス部門の仕事における行動や評価によって評価すべきである。
甘い評価
自分の部下はかわいいし,他部門よりはよくみてやりたいという評価者の気持ちが,そのまま評価に現れ実際よりもプラスに評価してしまう現象を寛大化傾向という。簡単に言えば「人事評価が甘い」とういうことである。
この甘い評価は、良かれと思って甘くするのであろうが、逆に色々問題が出てくる。
1. 部下が不幸になる。
2. 評価した上司が不幸になる。
3. 会社が不幸になる。
なぜか?
このブログの読者の方は、十分ご承知のことと思われるが、・・・。
知識の呪縛
「一度知ってしまったら、その知識に縛られる」という現象。
何かを一度知ってしまったら、それを知らない状態を想像することはきわめて難しいということであり、知識がその人を呪縛(心理的に自由をうばうこと)するということである。
つまり、自分はよく知っていることを誰かに伝えようとする時、「自分にとっては既知のことだからこそ、逆に相手にうまく意図が伝えられない」ということになる。
これは、コンサルタントや研修講師としては致命的な欠陥になってしまう。気をつけよう。(汗)
自分が知っていることは要約して抽象的な言葉で表現してしまうことが原因らしい。日頃から意識しているつもりであるが、改めて具体的に表現することをキモに命じよう。