しばりやトーマスの斜陽産業・続 -48ページ目

リメイク大失敗『サブウェイ123 激突』

 70年代パニック・サスペンスの傑作『サブウェイ・パニック』リメイク版。1974年のオリジナルはジョセフ・サージェント監督、ニューヨークの地下鉄をジャックした犯人グループのリーダー、ロバート・ショウと公安警察の交渉人、ウォルター・マッソーの一筋縄ではいかない駆け引き、やり取りが見どころで大金を得た犯人たちがどうやって地下鉄構内から脱出するのか?というアイデアも凝っていて、ラストにもあっと言わせる見せ場が用意されており、『ポセイドン・アドベンチャー』とか『タワーリング・インフェルノ』みたいな大味パニック映画が幅を利かせていた時代にパンチの利いた良作だった。

 

 今回のリメイク版はトニー・スコット監督ブライアン・ヘルゲランド脚本というクレジットはなんじゃないかと思えるぐらい、見どころがなく、締まりのない緊張感ゼロの内容でこれでOKが出たことが信じられない。

 オリジナルは犯人たちの正体がほぼ最後まで判別せず、目的が金なのかなんなのかわからないので不気味さを醸し出すことに成功しており、リーダー役のロバート・ショウが切れ者の演技を見せ、くしゃみばかりしている(これがラストの伏線になっている)グリーン役のマーティン・バルサムのコメディタッチのキャラが対比とし成立している。

 お互いを色の偽名で呼び合うのは素性をバレないようにするため(タランティーノが『レザボア・ドッグス』で引用するほどの模倣を生み出した)なんだが、今回の犯人グループはそういうことが一切なく、トラボルタ演じるライダーもいつもの切れ演技なので、知的に全く見えない。彼ともう一人、元運転手のレイモス役のルイス・ガスマン、この二人以外はただのやられ役なのでなんでこんなにキャラクターを薄くしてしまったのか。

 

 交渉人となるデンゼル・ワシントン演じるガーバーが公安警察の刑事から地下鉄社員にされてしまったのも意味が分からない。交渉人としての能力もない彼との交渉にライダーが固執する理由もイマイチ不明。ガーバーは賄賂を受け取った疑惑で左遷させられそうになっている。ライダーは不正を働いたせいで獄に入れられ現市長を恨んでおり、会社のために働いたのに首になろうとしているガーバーに共感する、という物語だが、実際ガーバーは子供の養育費のために賄賂を受け取っていたので悪人なのだ。賄賂を受け取っていい理由になってないし、観客の同情が得られない。こんな彼が最後にピストルもってライダーを追い詰めるってのは無理があるよ。

 

 オリジナルにない新たな要素は全部不必要。車内でネット配信している若者がいるが、それがストーリー上、劇的な展開につながることもない。ライダーたちが気づくこともないし。配信自体はガーバーや警察にすぐに知られて、レイモスの正体がバレたりするんだけど、だからってどうなるわけでもない。そもそもライダーがべらべら自分のことをしゃべりすぎ。

 クライマックスで明かされるのはライダーの目的は株価の操作で、1000万ドルの身代金は囮だったというわけなんだけど、じゃあ金を別の場所で受け取るようにして自分たちは逃げ出す、みたいな展開にすればいいのに、金の受け取り、脱出まではオリジナルに忠実なの。わけがわからん。

 オリジナルを超えるアイデアは思いつかず、どうでもいいところだけ新要素をぶち込んで全部失敗という残念映画。現金を運ぶパトカーが事故で大クラッシュ起こすところ、いかにもトニー・スコットなカチャカチャ編集で見せるんだけど、あんな派手なクラッシュはいらないよ・・・

 犯人が逃げ出せずに自ら絶命するっていうオチ、オリジナルは見所あるのに、今回のはただのバカだよ。オリジナルに遠く及ばないバカ・リメイク。オリジナルを現代風にアレンジして大失敗した『ポセイドン』と同じで、こんなもんよりオリジナルを見た方がいい。ワシントン、デカい牛乳を買って帰る前にこの映画に出ないという選択肢はなかったのか。『マイ・ボディガード』監督脚本コンビのお誘いを断ることはできなかったのか。

 

 自称映画批評家の前田有一が75点もつけて絶賛してたけど、こいつ絶対オリジナル版見たことないだろ。

 

 

 

 

 

 

ロッキーという過去からの解放を目指したが・・・『クリード 過去の逆襲』

 

『ロッキー』シリーズのスピンオフとして登場した『クリード』シリーズの第三弾。

 アドニス・クリード(マイケル・B・ジョーダン)はかつて敗れた相手に再戦の末勝利を収め、現役を引退する。家族に囲まれ幸せなその後の人生を送るアドニスの前に幼馴染のデイム(ジョナサン・メジャース)が現れる。デイムはアドニスの兄貴分だったが、ある事件を起こし長い懲役を食らっていた。アマチュアボクサーとしての将来を嘱望されていたが、夢を絶たれたデイムが再起できるようにアドニスはジムを紹介するなど便宜を図るが、アドニスが目をかけている後進のボクサー、チャベスとの対戦を熱望すると渋い顔をする。懲役上がりで公式戦の経験すらないデイムとチャンピオン候補者が同じリングに立てるはずがないからだ。しかし「あんたの親父のアポロだって無名のロッキーと戦ったぜ」というデイム。

 ある日、チャベスと対戦する相手だったヴィクター・ドラゴが暴漢に襲われ負傷。アドニスは強引に対戦相手をデイムに変更させる。アポロ対ロッキーを彷彿とさせるチャンピオンVS素人の決戦にメディアは盛り上がるが、試合は反則おかまいなしのデイムがチャベスをボコボコにしてしまう。試合後、暴虐を咎めるアドニスにデイムは懲役を食らったのはお前のせいで、なのに面会にも来ず、送った手紙の返事もなかったことから恨んでいた、これはお前への復讐なんだと告げる。

 施設あがりで里親に虐待され、荒んだ生活を食っていたアドニスを救うため、過去と決別させたかったために母親はアドニスに手紙は渡さなかったと知り、刑務所の写真からドラゴを襲った黒幕はデイムだったことを知る。すべては仕組まれていた!

 過去からの決別、そして暗黒面に落ちたデイムを救うためにアドニスは引退を撤回、リング上でデイムとの決着をつけようとする。

 

 

『クリード』シリーズは『ロッキー』シリーズのスピンオフで、ロッキーのライバル、アポロ・クリードの隠し子だったアドニスが親父と同じチャンピオンを目指す物語だ。1作目『クリード チャンプを継ぐ男』では親父の名前以外は無名の何者でもなかったアドニスがロッキーの指導を受けてチャンピオンを目指す。2作目『クリード 炎の宿敵』ではアポロを殺したソ連の戦闘サイボーグ、イワン・ドラゴの息子ヴィクターとアドニスが再戦し、勝利を収める。このシリーズは『ロッキー』シリーズの焼き直しだ。3作目の監督になったマイケル・B・ジョーダンはそんな焼き直し批判を避けるためだったのか、シリーズの看板でもあったシルベスター・スタローンを出演させず、独自の展開に持ち込んだ。

 スタローンが出なかったのはパート3の内容に不満があったからともいわれている。『ロッキー』シリーズの影響からの払拭を目指しながら、成功しているとはいいがたい。チャンピオンと無名のボクサーの対決っていうのも、すでに『ロッキー』でやってる。

 1974年、モハメド・アリが当時のチャンピオン、ジョージ・フォアマンを倒してチャンピオンに返り咲いた‟キンシャサの奇跡”のあと、死闘直後のアリのために「楽に勝てる」対戦相手として無名だったチャック・ウェプナーを指名した。事前予想はアリの圧勝だったが、ボクサーだけでは食えず、生活のため昼も夜もバイトに明け暮れているほどの「負け犬」だったウェプナーはこの最後のチャンスに賭けた。試合ではどんなに殴られてもウェプナーは倒れず、逆にボディブローを入れられたアリはダウン。反則が得意技だった(デイムと同じやん)ウェプナーに足を踏まれたなどと抗議するアリだったが、試合は最終ラウンドまでもつれ、強引にレフェリーが試合をストップさせ、アリはみじめな敗戦から逃れた。

 

 この試合に感動したスタローンが『ロッキー』のシナリオを描き上げたのは有名な話。チャンピオンと無名の対決は適当な創作ではないのだ。しかし『クリード 過去の逆襲』のような公式戦にも出たことがない相手とチャンピオンの対決、そのあと引退したボクサーの復帰戦の相手がチャンピオンってのも相当無理がある。

 焼き直しの物語からの脱却を図りながら、話の筋はまたも焼き直しで、それ以外の展開は「そうはならんやろ」「なっとるやろがい!」というツッコミだらけ!主演俳優が監督をするっていうのもスタローンと同じだしねえ。

 

 肝心の因縁話もあまり盛り上がらない。少年時代のアドニスは酒屋の前で虐待する里親をボコボコにするが、仲間に襲撃。彼を救うためにデイムは拳銃を持ち出すが、運悪くパトカーがやってきた。逆に拳銃を突き付けられホールドアップされるが、隙を見てアドニスは逃げ出し、デイムだけが捕まる。こんな都合よく逃げられないよ!

 以後のデイムはあまりに悪役すぎて観客がまったく感情移入できない。もう少し彼が観客の共感を得られるキャラにしないと。肝心の因縁の対決が盛り上がらないことでクライマックスはパンチに欠ける。ボクシング映画でパンチ力に欠けるのはダメでしょ。デイムを演じたジョナサン・メジャースは先日、女性へのDVで逮捕、セクハラ被害で訴えられる事態(その後訴えは取り下げられ、本人も疑惑を否定)に。まさに過去からの逆襲!彼の尋常でない悪役ぶりだけは悦に入っていた。

 

メジャースの騒動について詳細な記事

 

 日本のアニメに影響を受けたというジョーダンはボクシング演出に『はじめの一歩』を引用し、リング外でのボクサーの私生活描写を取り込み、回想シーンで部屋に『NARUTO疾風伝』のポスターを貼るなど、日本愛をアピール。しかし回想シーンは2002年で、『NARUTO疾風伝』の放送開始は2007年だから時期があってねえぞ!

 映画のエンドロール後には謎のSFアニメ『クリードSHINJIDAI』が流れ、これがまったくの意味不明。クリードの姓を持つ男女がディストピアからの解放を目指して戦うというもので、微妙な実写映画の最後に微妙な本編と無関係のアニメを見せられるって何?『ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー』の最後にさくら主役のアニメを見せられたのを思い出した。

 スタローンは「自分が想定したものとは違う作品になってしまった」ことを理由に降板したが、正解だったとしか言いようがない!スタローンは『ロッキー』シリーズの権利をプロデューサーのアーウィン・ウィンクラーらに独占されていると抗議しており、降板に至ったいろんな理由のひとつになっている。こっちも過去からの逆襲やん!

 こうなったらプロデューサーから『ロッキー』シリーズを奪い返すべく決着をつけるしかないのでは?もちろんリングの上で!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4人しかいない!『65/シックスティ・ファイブ』

 高度に文明が発達した惑星ソマリスで妻子と暮らしていたミルズ(アダム・ドライバー)だが、娘のネヴァイン(クロエ・コールマン)は難病に冒されていた。治療費を稼ぐためにミルズは惑星探査船の任務に就く。高給だが調査のため2年間は帰ることができない。

 

 ミルズが宇宙船の操縦士として惑星探査の任務に出て間もなく2年が経とうとしていた。コールドスリープに入った宇宙船の乗組員とともに帰路についた宇宙船は突如、小惑星帯に襲われ、宇宙船は真っ二つ。ただ一人目を覚ましたミルズは宇宙船を未知の惑星に不時着させる。コールドスリープしていた乗組員は全員死亡。緑の自然に覆われた星の表面には大気があり、ミルズは脱出ポッドの信号を追って外へ。ポッドにはコア(アリアナ・グリーンブラッド)という少女がおり、彼女がミルズ以外唯一の生存者だった。

 コアはミルズとは異なる言語を持っているため身振り手振りでしか会話ができない。コアは両親の姿を探し求めているが、みんな死んだと伝えることができないミルズ。彼女に故郷に残してきた娘の面影を感じ取ったミルズは捨て置くことができず、山頂に墜落した宇宙船の片割れまでたどり着けば脱出できるため、そこに君の両親が待っていると嘘をついてコアを連れだす。

 山頂までの道中、恐竜たちに襲われる二人。この星は6500万年前の地球だったのだ。二人は宇宙船を襲った小惑星群が地球の地表に迫っていることに気づく。脱出できなければ命はない!

 

 

 スコット・ベックとブライアン・ウッズという『クワイエット・プレイス』の脚本コンビによるSF映画で、恐竜から身を隠すために「静かにしろ(be quiet)」というセリフまである。舞台を変えただけでほぼ同じ話

 音を立てると襲い掛かってくる怪物相手にどう立ち向かうか?という部分に凝った見せ方をしていた『クワイエット・プレイス』と違い、この映画は襲い掛かってくる恐竜を退治する方法が「銃でやっつける」ぐらいしかないし、山頂に向かってひたすら進んでいくだけでひねりがない。単調かつ退屈なお話は一向に盛り上がらないのであった。

 唯一のひねりは、実は遥か遠い未来の話ではなく、6500万年前、すでに高度に発達した文明を持つ宇宙人が地球に来ていた!というところ。それも「だからどうした」レベルのネタで、それが現在の我々地球人の進化に何か影響を与えたとかいうわけでもなく、現在の技術水準以下のガジェットを使っているのも下手くそなSF描写でしか思えない。娘の真相について説明される場面もほぼ予想通りなので驚きがない。ひねりも驚きもないSF。

 登場人物がたったの4人で壮大なSFを表現しようとした度胸だけは評価する。65と言いながら4人しかいないんだから。タイトルに騙された!

 

 

 

 

 

マイケル・B・ジョーダン、オタクとして致命的なミス

 先週末より日本公開となった『クリード 過去の逆襲』。『ロッキー』のスピンオフ『クリード』シリーズの三作目で、ロッキーと死闘を演じたアポロの隠し子、クリードが亡き父と同じチャンピオンを目指す物語で、アポロを倒した男ドラゴの息子と決戦する前作『クリード 炎の宿敵』は評価が高く、今回の期待値も高めだったのだが…

 

 この『クリード 過去の逆襲』の日本興行成績が惨敗といってもいいほど落ち込んでいる。公開3日間の成績は4048万円と前作の8583万円の半分以下。圏外スタートである。

 

 

 

 本国アメリカではシリーズ最高のスタート記録を更新し続けてきた人気作だが、第一作『クリード チャンプを継ぐ男』は圏外スタート、2週目にランクイン、2作目『炎の宿敵』も下位スタート。日本ではなぜか不人気シリーズなのだった

 主演のマイケル・B・ジョーダンは『ブラックパンサー』のキルモンガー役などで知られるスターなのに、日本での知名度がイマイチだからか?

 しかし本人は日本の漫画やアニメが大好きなオタクで、今回も来日キャンペーンでジョーダンが大好きなアニメ『NARUTO』を製作しているStudioぴえろに行くぐらい。そこまで日本大好きアピールをしているのに、全然日本人に伝わってないですよ!

 

 

 日本大好きなのはともかく、オタクとしてはややヌルイといった感じがする。なんでかというと『クリード 過去の逆襲』の劇中、過去の回想シーンでクリードの部屋にNARUTO疾風伝のポスターが貼ってある、という場面があるんだけど、それは2002年の話で、『NARUTO疾風伝』の放送、2007年やん!

 このオタクとしては致命的なミスのせいで、日本での興行が奮ってないのでは・・・?過去の逆襲ならぬ過去の失敗だ。おいジョーダン、しっかりしろ!そんなことでは真のオタクになれないぞ(なるとは言ってない)

 

シリーズを振り返ろう

 

 

ジョーダンの傑作集

 

 

 

 

 

2023年6月予定

6月予定

 

6月8日(木)

『スーパーヒーロートーク』

場所:なんば紅鶴 

開場:19:30

料金:¥1000(1d別)

出演:にしね・ザ・タイガー ソエジマ隊員 しばりやトーマス

 

ニチアサ系ヒーローの話題で盛り上がるイベント

 

6月10日(土)

『アイドル十戒 新たなる支配者其の十』

場所:アワーズルーム 開演:19:00 

料金:¥1500(1d別)

出演:竹内義和 しばりやトーマス

 

アイドルや声優の悲しい話題をする会。惜しまれつつも最終回です。

 

6月15日(木)

『旧シネマパラダイス』

会場:アワーズルーム 

開演:20:00 

料金:¥500+1d別

解説:しばりやトーマス

 

カルトを研究する若人の会。今月は70年代を象徴するパニック・サスペンス『サブウェイ・パニック』

地下鉄乗っ取り犯の要求は100万ドル。犯人グループ対公安警察の息詰まる攻防戦!

 

6月19日(月)
『ヒーローと呼ばないで!2〜大阪でストレスを発散したいだけなんです〜』

open 19:15 start 19:30
¥3000-(1drink別)

出演 /
原田篤
にしね・ザ・タイガー

 

予約はコチラから↓
https://tiget.net/events/248390

配信はコチラから↓
https://twitcasting.tv/namba_hakugei/shopcart/236772

ヒーロー大好き芸人、にしね・ザ・タイガーと、元戦隊(救急戦隊ゴーゴーファイブ)、元仮面ライダー(仮面ライダーデルタ)の原田篤のトークライブ第2回!

 

6月27日(火)

『キネマサロン肥後橋』

会場:アワーズルーム

開演:19:30 ¥500+1d別

解説:しばりやトーマス

※終了後にYouTube収録アリ

 

深夜の映画番組風の映画研究会。今回はももクロ15周年記念、5人時代の青春映画『幕が上がる』を大研究。

私たちは、舞台の上でなら、どこまでも行ける。

 

6月30日(金)

『僕の宗教へようこそ第一六三教義~地下ニュースグランプリ大復刻』 

場所:アワーズルーム 開演:19:30 料金:¥1000+1D別

出演:しばりやトーマス アシスタント・トモ

 

「世間から忘れ去られたどうでもいいニュース」を扱う地下ニュースグランプリ。新会場アワーズルームで再スタートを記念して、歴代のどうしようもないニュースをピックアップ!