しばりやトーマスの斜陽産業・続 -25ページ目

経済の仕組みを学ぼう『インターネット・カネゴン』

 7月から放送がスタートしたウルトラマンニュージェネレーションヒーローズの最新作『ウルトラマンアーク』は怪獣や異星人に対抗するプロフェッショナルチームの活躍を描いた『ウルトラマンブレーザー』から一転、架空の地方都市・星元市で頻発する怪獣災害を調査する調査所・SKIP(Scientific Kaiju Invessssstigation and Prevention centerの略)の活躍を描いた物語。

 地球防衛隊のように怪獣と戦ったりする兵力を持たない組織で、『怪奇大作戦』のSRIみたいなもんだ。それが他のニュージェネレーションシリーズの差異になっていて面白いのだが、今朝放送の第8話『インターネット・カネゴン』はずば抜けていた。

 

 怪獣カネゴンは『ウルトラQ』に初登場して以降、延々と続くウルトラシリーズに出演し、「お金を食べて生命活動を維持している」という設定と見た目のユーモラスさでマスコット化して本来の立ち位置とは違うキャラクターとして人気を博している。テレビ番組のシリーズとしては『ウルトラマンZ』以来の出演。

 他の怪獣と違い、登場年代ごとに設定が微妙に変更されるところがカネゴンのポイントだ。例えば今回は文字通りインターネット、電脳世界にだけ存在するデジタル怪獣なのだ。

 

 星元市では急激な物価の上昇に伴い節約が呼びかけられていた。調査員の石堂シュウは星元市で使えるデジタル通貨「ホシペイ」を使いお金を貯めればいいのでは提案。ホシペイのアプリには動画配信機能があり、人気の動画配信者は「投げ銭」がいっぱい集まるのだ。シュウは無理やりユウマ(ウルトラマンアークに変身する主人公)を巻き込んで動画配信をはじめるが、人気が出ない(そらそうよ)。二人は人気の動画配信をチェックしようということになり、現在の人気配信者が人間ではない怪獣カネゴンであることが判明。

 実はカネゴンは怪獣ではなく、ホシペイを運営する会社のCEOがホシペイ普及の一環として制作した自立型AIであった。カネゴンの配信はたちまち人気となり、投げ銭は次々と集まったがカネゴンは貯めたホシペイを使うことを知らないので多くのホシペイがカネゴンだけに集中し、市場に流通しなくなった。星元市の物価上昇の原因はカネゴンにあった!

 CEOの依頼を受けたSKIPはカネゴンのデータをアップデートして「ホシペイを使う」ことを学習させようとする。しかし実態がなくどこに現れるか神出鬼没のカネゴンにどう対処する?

 

 カネゴンは動画配信の際に必ずサーバーを経由する。それがホシペイを普及させる宣伝のためのアドバルーンだ。移動を始めたカネゴンをアドバルーンのデータセンターに閉じ込め、アドバルーンを着陸させようとするがカネゴンが暴れだしたためユウマはウルトラマンアークに変身して、ビルへの激突を防ぐ。しかしカネゴンによって電脳世界に取り込まれてしまう。

 やっつけるのが目的ではないので苦戦を強いられるアーク。SKIPは自立型AIサポートロボ、ユピーのデータを送り込んでアップデートのためのカプセルをカネゴンに飲ませるが「これはお金じゃない」と吐き出してしまう。暴れ始めたカネゴンはホシペイ運営の準備金を見つけ出して食べてしまい巨大化。準備金は星元市の財源だ。このままでは星元市の経済が完全に崩壊する!さらにユピーは電脳世界での存在を維持する財源が尽きたことで稼働が不可能になる。勝手の違うデジタル世界でウルトラマンアークは未曽有の事態に対処できるのか?

 

 デジタル世界での戦いという、円谷プロの『電光超人グリッドマン』を彷彿とさせる展開(電脳世界に転送される場面も同作のオマージュ)は特撮オタクのハートがくすぐられる。しかもユピーのCVはグリッドマンのアニメリメイク『SSSS.GRIDMAN』の主人公、響裕太役の 広瀬裕也というのもたまらないねえ。

 アークは学習データのカプセルをルーナアーマーの武器、ルーナソーサーと一体化させ投擲する。コインと勘違いしたカネゴンはそれを飲み込む。これが本当の投げ銭だ!

 カプセルを飲み込んだカネゴンは貯め込んだホシペイを一斉に吐き出す。と同時に三次元世界で実体化するのだった。どういうことだかよくわからねえが、みんな喜んでたのでOKでしょう!

 

 デジタル通貨と流通経済の仕組みについて子供にもわかりやすく説明されたこのエピソード、中々の社会派回ではなかろうか。一か所に金が集まってもそれを使わないとお金が回らず、経済は破綻するという、どこかの誰かに教えてやったらいいと思うよ!

 

 最後は人気配信者となったシュウとユウマの配信にカネゴンが投げ銭を送るが、それを受け取ったシュウがカネゴン化するという、『ウルトラQ』のオチのオマージュになっていたのも最高ですね。

 

 今回の脚本を担当した吉上亮氏は『PSYCHO-PASS サイコパス』のノベライズなんかをやってたSF作家で特撮は初挑戦。一発目でこんな傑作を出してくるとは恐ろしい逸材だ。新しい人材が入ってくる『ウルトラマンアーク』がますます楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

42年経っても悪趣味『デス・レース2050』

先日紹介したマッドカーアクション映画『デス・レース2000』には42年後にロジャー・コーマン自らプロデュースしたリブート映画がある。『デス・レース2050』(2017)だ。タイトルは当時公開されて話題となった『ブレードランナー2049』からの安易なイタダキ。一年先の2050にする辺りがコーマンの負けん気の強さを表しているようだ。

 

 冒頭ユニバーサル映画のロゴにブチ上がる(本作の提供はユニバーサル)。まるで大作映画みたい。

 

『ブレードランナー2049』が前作の続きだったのに比べ、『デス・レース2050』は前作の焼き直しのような話。『ターミネーター』のあとの『T2』だ。

 42年経っているだけあってディストピア世界の描写は現代風である。2050年のアメリカは合衆国ではなく、ユナイテッド・コーポレイト・アメリカ(UCA)。企業の集合体が国を運営しているのだ。だから大統領ではなく会長が国のトップに立っている。会長役はマルコム・マクダウェル!『時計じかけのオレンジ』のアレックスでおなじみの!アレックスは勝手気ままに暴力を振るい、女を強姦して悪びれもしない。「俺たちはやりたい時にやりたいことをやる!」

 アレックスは逮捕され、犯罪者を矯正するルドヴィコ療法を受けさせられ、暴力に嫌悪感を示すようになり暴力に対して無防備になる「時計じかけ」状態にされてしまう。自殺未遂を起こしたことでルドヴィコ療法とそれを推進した政府は非難され、下落したイメージを回復させるため大臣はアレックスを「病から立ち直った悲劇の主人公」扱いすることにしてマスコミに宣伝させる。その後は映画では描かれないが、考えられるパターンは世間にズバリものをいうイケメンコメンテーターとして売り出し、その人気を背景に政界に進出するって感じだ。

 

『デス・レース2050』の会長はまるでアレックスがついに国を動かすトップになったのかのように見える。会長が支配する世の中は前作よりもグロテスクに描かれている。増える一方のガン患者対策としてUCAは放射線治療を推進し、国民のほとんどは老けてしまい老人と化す(どういう理屈?)労働力が低下したUCAは高性能AIに仕事を任せ、何もせずダラダラしているだけの国民はUCAが提供する娯楽デス・レースに夢中になる。デス・レースはゴープロ風のカメラとドローンの最新技術によってVR体験も可能である!これで君も有名レーサーのナビゲーターだ!

 

 参加するレーサーは前回と同じ5人。教団の女預言者であるタミー・ザ・テロリスト、黒人の人気歌手ミネルバ・ジェファーソン。ヒット曲の歌詞は

♪ドライブドライブ キル キル 白人どもをぶっ殺せ(笑)

 

 遺伝子工学で誕生したアスリートにして筋肉バカのジェド・パーフェクタス。前作のマシンガン・ジョー的なポジション。生まれに悲劇的な匂いを感じさせるが、ただの馬鹿なのでそんなことはない。

 AI搭載のロボット・カー、エイブ。ナビゲーターの女は車と連動したバイブレーターを股間に突っ込んでる(爆笑)

 

 そしてわれらが英雄、フランケンシュタイン!演じているのは『ホビット』シリーズや『ARROW/アロー』のマヌー・ベネット。助手席に座るのはアニー・サリバン。彼女はデス・レースを粉砕しようとするレジスタンスのメンバーだ。

 

 レーサー5人にきちんとした性格の違い、キャラの描き分けがなされているのが現代風ではある。白人の預言者女と黒人の人気歌手、筋肉バカにチャンピオンと、対立が盛り上がるようになっている。

 

 デス・レースそのもののルールはほぼ同じ、弱者を轢き殺すほど高得点、さらに今回は早くゴールすればするほど得点アップという説明がある。前作は殺すほどポイントが上がるのに、誰もいなさそうな道路を爆走していて意味がわからなかったけど、これならゴールをいち早く目指す理由が出てくる。

 預言者タミーは殉教したい信者を呼び寄せてポイント稼ぎを企むが一足お先にミネルバが信者たちを轢き殺す!ミネルバが自分のファンを路上に並べると今度はタミーがそいつを無残に肉片と変える。

「お返しだよ!」「わたしのファンなのに!」

前回の安楽死デーに匹敵するのは子供を口減らしで捨てようとする両親たちをぶっ殺すシーンに変えられてる。さらにエラーを起こしたAIが同乗者を殺して暴走する。AIは信用できないってことかな。42年前より悪趣味な描写の数々、コーマン親父の衰えなさよ!

 

 ストーリーはこっちの方が面白いんじゃないかな。しかしフランケンシュタインのキャラがレースに勝つ以外は何を考えていないという求心力にかける小物で、前作のミステリアスさが失われているのは残念。会長とはすでに不仲で、フランケンシュタインに変わる新しいスターを作り出すためお払い箱にされそうになるってのもなあ。

 ラストは前作以上に物議をかもす内容で、優勝したフランケンシュタインはテロを果たし、VR映像を見ている国民に

 

「会長もフランケンシュタインも必要ないんだ、立て!自分のレースを戦え、車に乗り込むんだ!勝利を!」

 

とアジる。影響された国民たちはVRゴーグルを捨て路上に飛び出し、所かまわず暴力を振るい街を破壊する。破壊の後に何かが生まれると信じているかのように・・・いや、ただ暴れたいだけだろう。

 今回のフランケンシュタインは国民を導く新たな支配者ではないから、燃え上がる街を見て

「子孫が必要だ」

とかなんとかいってアニーとイチャイチャして終わり。カリスマ性のかけらもなかった!

 

 猥雑なエネルギーに満ち溢れた映画で、90過ぎてこれをつくってるコーマンって本当に最高だな!

 

 

 

 

2024年9月予定告知

2024年9月予定

 

9月10日(火)

『旧シネマパラダイス』
会場:アワーズルーム 
開演:20:00  料金:¥500+1d別
解説:しばりやトーマス

カルトを研究する若人の会。

冒険心を忘れない。

 

 

9月14日(土)

『アイドル十戒 キングダム5』

場所:アワーズルーム

開演:19:00  料金:¥1500(1d別)

出演:竹内義和 しばりやトーマス

 

アイドルスキャンダルと面白動画、ライブ映像

 

 

9月16日(月・祝)

『マンデーナイトアワーズ』

場所:アワーズルーム

開演:20:00  料金:¥1500(1d別)

出演:竹内義和 オートリーヌ しばりやトーマス

 

 

9月17日(火)

『キネマサロン肥後橋』

会場:アワーズルーム

開演:19:30 ¥500+1d別

解説:しばりやトーマス

※終了後にYouTube収録アリ

 

深夜の映画番組風の映画研究会。

未知の生命体を追え!東京湾大決戦映画を研究。

 

9月23日(月・祝)

『大阪おもしろマップ』

開場:なんば白鯨
開場 / 18:45 開演 / 19:00
料金 / 2000(D別)
出演 / 射導送水、縛りやトーマス、B・カシワギ

 

9月24日(火)

『スーパーヒーロートーク』

場所:なんば紅鶴 

開場:20:45

料金:¥1500(1d別)

出演:にしね・ザ・タイガー ソエジマ隊員 しばりやトーマス

 

新番組他、ニチアサ系ヒーロートーク

 

9月26日(木)

『僕の宗教へようこそ 木曜ロードショー』

場所:なんば白鯨

開演:19:00 料金:¥1000+1D別

出演:しばりやトーマス アシスタント・トモ

 

なんば白鯨映画トーク。夏映画と消えゆくミニシアター映画他

中学生の落書き『デス・レース2000』

 ニチアサの『爆上戦隊ブンブンジャー』26話から新幹部ディスレースが登場。

 

 

 ハシリヤン幹部はカーレース、車映画のタイトルからネーミングされているので今回のディスレースはコーマンのカルト映画『デス・レース2000年』からつけられたのだろう。

 どんな映画なんだろう?と興味を持ったニチアサキッズの君に紹介しよう。ただし、子供は見ちゃいけないぜ!


 

 

 作家・脚本家のイブ・メルキオーは休日にサーキットでレースを見ていたらクラッシュシーンに出くわした。ごうごうと燃え上がるマシンに目を背けたメルキオーだが集まった観客は悲鳴を上げるどころか大歓声

「人はこれほどまでに暴力や惨事に魅せられるのか」

 ショックを受けたメルキオーは暴力に魅せられる人間への警鐘を促すデス・レース2000の原案を書きあげる。それを手にしたB級映画の帝王ロジャー・コーマンは映画化に取り掛かる。

 時代は1970年代半ば。泥沼化するベトナム戦争からアメリカは撤退を進めていた。ヘイズコードによってバイオレンスもセックスもないハリウッド映画は下落を続けていたが、コーマンは下町のお上品でない2番館、3番館やドライブ・イン・シアターで血まみれ映画を連発して若者を熱狂させていた。

 コーマンが超バイオレンスなカーレース映画に手を出すのは当然。ただ、メルキオーの原案にあった説教臭い描写を真っ向から笑い飛ばすブラック・コメディーに舵を切った。

 

 時は西暦2000年のアメリカ。暴力と破壊によって人心が荒廃した未来のアメリカで国民は大陸横断レースに魅せられていた。三日間にわたるレースで優勝したものには大統領からお褒めの言葉をいただける名誉を授かるのだ。

 参加者は5人。ハーケン・クロイツの旗を振る“ナチスの恋人”マチルダ(ロバータ・コリンズ)、二本のツノをつけた「雄牛号」を操るウェスタン・レディ、カラミティ・ジェーン(メアリー・ウォロノフ)、ライオン号に跨る暴君ネロ(マーティン・コーヴ)、すぐに機関銃をぶっ放す粗暴な嫌われ者マシンガン・ジョー(シルヴェスター・スタローン)、そして3大会連続チャンピオンを目指す国民の英雄、事故で負った傷をマスクで覆うフランケンシュタイン(デヴィット・キャラダイン)。栄冠に輝くのは5人のうち誰か?

 

 こうしてレースがはじまるが、これがまともなレースではないことはすぐにわかる。レースの勝敗は一位でゴールしたものではない。別に計算されるポイントが最も高かった者に決められる。ポイントは路上にいる人を撥ね殺すことで加算されていく。男性より女性、成人より子供が高く、老人が一番高いポイントを稼げる。弱者の方が高得点という悪趣味ここに極まれり!さらにレースの運営側がそれを煽る。マシンガン・ジョーが男を轢き殺すと運営は男性の妻をテレビ出演させ

「おめでとうございます!あなたには最初に轢き殺された犠牲者の遺族として豪華マンションと新型テレビをプレゼント!」

 何とも言えない顔をする妻。悪趣味すぎるだろ!

 こんな無茶なレースを楽しむほど未来(といっても2000年だけど)のアメリカは狂っているのか?そんなことはない。反発する人々もいる。レジスタンスを率いる老女ペイン(ハリエット・メディン)はこのレースをぶっ潰そうと放送を海賊電波で乗っ取り、さらには孫娘のアニー(シモーネ・グリフェス)をナビゲーターとしてフランケンシュタインの車に同乗させる。

 

 レース途中では病院の医者や看護師らが余命僅かで車椅子に乗っている老人を路上に配置する。

「今日は安楽死デーだ」

 とフランケンシュタイン。このまま突っ込めば高得点だ!しかしハンドルを切った車は医者と看護師たちをまとめて跳ね飛ばす。素性の知れない男フランケンシュタインは悪党ではないのか?このシーンの前にアニーは彼が激しいレースと事故で体のほとんどを手術して別のものに変えていることを尋ねる。ところが顔を覆うマスクを取るとその素顔には傷ひとつなかった!それどころか体も奇麗なまま。

 レジスタンスらはレースを不成立にさせようと参加者らを次々血祭に挙げる。暴君ネロは赤ん坊を擬した爆弾で吹っ飛び、マチルダは偽装した迂回路(高校の演劇みたいなベニヤ板の装置)に誘導され谷底に落下。アニーの手引きで横道に誘い込まれたフランケンシュタインだが罠を突破。偽のフランケンシュタインと本物をすり替えようとした作戦を見破られたわけだがフランケンシュタインはアニーを車から降ろそうとしない。

 残り3名になったレースだが運営は「この国にテロなど存在しない」という大統領の言葉通りに二人を単なる事故死として処理する。傷ひとつない体を見せたフランケンシュタインだが、手の手袋だけは絶対外そうとしなかった。やがてフランケンシュタインは右手の秘密とレースに参加する本当の目的を打ち明ける…

 

 カーアクションバイオレンス女の裸ブラックジョークを詰め込んだ中学生の落書きみたいな映画である。コーマンのターゲットはそんな人たちなのでこの映画もバカ受けした。コーマンの信条である「金はかけずに心を込める(込めているように見せかける)」を貫いた『デス・レース2000』は大金を書けていない故の雑さがあちこちにみられる。大規模のレースなのに参加者が5人だけ、とか。これ以上増やすと金がかかるからである。レースなので車も用意しなければならない。彼らが乗る車はツノがついてたり、ナイフにマシンガン、大砲をそなえたマシンやらこけおどしも甚だしい。それらの装備品が活躍することはない(まさにこけおどし!)

 

 ルールも適当で、人を轢き殺す度にポイントが増えるシステムなのにレースは人なんか歩いてもいない高速道路を通る。途中で子どもが突然道の真ん中をタイヤを転がしながら歩いている場面、なんでそんなところにおるんじゃい!都市部でレースをやればいいのにと思うが、そんなことしたらエキストラを雇う金がかかるからである。またそんなシステムなのに参加者はみな我先にと1日ごとのゴールを目指してゆく。早くゴールすれば高ポイントになるとか、そんな説明もないのでなんでゴールを急ぐのかもわからない。

 

 低予算でパパっと作れることだけを重視したので詰めの甘さがマイナスになっているのが残念。けれどデスゲームものの走りともいえる本作はありとあらゆるところに影響を及ぼしたことは間違いない。クライマックスなんて『リアル鬼ごっこ』に丸パクリされてたし。あれも「中学生の書いた落書き」見たいと言われてたけど、この中学生の落書きがあらゆるクリエイターの原点と言えなくもないのだ。

 メルキオーは自分の原案がズタズタにされたことにショックを受け映画の世界から遠ざかった。でも『デス・レース2000』は50年近くたってもみんなが記憶してる忘れがたい作品だ。ニチアサのネタにされるとはメルキオーもコーマンも思ってなかったろう。

 

 

 

コーマン制作指揮、一作目のリブート

『バイオハザード』のポール・W・S・アンダーソン監督によるリメイク。出来は言うまでもない

宇宙怪物のイメージを塗り替えたSFホラーの金字塔『エイリアン』

 日本でも間もなく公開されるシリーズ最新作『エイリアン ロムルス』。先日公開開始となった全米ではぶっちぎりのNo.1ヒット。評価も上々でこいつは期待できそう。

 

 

 

 この間『エイリアン』の全シリーズ収録ブルーレイを購入したので久々に初代を観返した。

 老害世代の僕にとって『エイリアン』はテレビの映画番組(特に日曜洋画劇場)の定番タイトルだった。淀川先生が「エイリアン、怖いですねぇ~」と恐ろし気に語っていたのを覚えている。

 その日曜洋画劇場も無くなり、『エイリアン』シリーズですらテレビ放映の機会がなく、見たことない人も多いだろう。

 

 1979年公開の本作はSFホラーの歴史を塗り替えた。『エイリアン』の原案を書いたダン・オバノンは『メモリー』という未知の惑星に降り立った宇宙船の船員が謎の怪物に襲われ、寄生された体内から怪物が生まれる、というストーリーを書く。後に『スター・ビースト』→『エイリアン』と改題された脚本は買い取られ、映画化が企画されるが最初はお蔵入り寸前の状態に置かれる。しかし直前に『スター・ウォーズ』『未知との遭遇』が大ヒットを記録し、SF映画は稼げるとなるとすぐに企画はスタートしたのだった。

 

 当時、SF映画は子供が見るようなバカバカしいものとされており、時折『地球の制止する日』『禁断の惑星』『2001年宇宙の旅』のような大人の鑑賞に堪えうる作品が出てくるが、『エイリアン』はSFの中でもホラーものなのだ。宇宙を舞台にして未知の宇宙生物に襲われたり、侵略される作品といえばタコ型の宇宙人だの、ゴリラの着ぐるみにヘルメットをかぶせて宇宙人だと言い張ったり全身タイツにピンポン玉の目をつけて宇宙人でござい、とぬけぬけと言い放つゴミ溜め映画が量産されていた。『エイリアン』がずば抜けていたのはH・R・ギーガーのデザインしたエイリアンの造形だ。

 明らかには人体とは違う外観に脳が突き出てグロテスク、目がないために感覚のみで周囲を把握するであろうことが伺える地球上の生物ではない奇矯な風貌はまさしく未知の生物だった。ギーガーのデザインがなければ僕らは未だにゴリラの着ぐるみやピンポン玉の目を宇宙生物だと思わされていたのかも知れない・・・

 

 そのギーガーの造形を存分に生かしたのが監督リドリー・スコットの映像美だ。冒頭、宇宙船ノストロモ号が登場し、宇宙船内部を無音でカメラが移動していく。いちいち説明もなくそんなものは不要とばかりに純粋に映像だけで魅せようとする。よほど自信があるに違いないと冒頭だけで感じさせてくれる。

 フェイスハガーに取り憑かれた船員の体内でエイリアンが成長し、腹を食い破って出てくる。船員たちは次から次へとエイリアンの犠牲になっていく。やがて通信士のリプリー(̪シガ二ー・ウィーバー)がリーダーとなって脱出作戦を指揮していくように。シリーズ通して(4まで)の主人公は彼女だけど、1作目では終盤まで活躍の描写がなく、むしろその他大勢の一人として扱われてるのも見舞見るとかなり斬新。

 

 最後の生き残りとなった彼女はシャトルで脱出、すべてが終わったとばかり寝間着に着替えようとすると、シャトルに潜り込んでいたエイリアンと遭遇!この助かったと思ったらもう一幕残されているという展開も当時は斬新で、その後あらゆる作品に影響を与えた。またSF映画で女性が活躍するというのもそれまでほとんど例がなく、あらゆる意味で『エイリアン』は斬新で、その後のSF映画を更新したのだった。

 

CGもロクにない時代にエイリアンは着ぐるみやエアシリンダーで動作するギミックを仕込んだアナログの技術が遺憾なく発揮されていた。最新作『エイリアン ロムルス』も着ぐるみやメカニカルスーツを採用して初代のアナログ技術を再現している。CGだけでは得られない迫力が『エイリアン』にあったことを想起させてくれ、新たに進化した『エイリアン』を楽しみにしている。

 

 

 

 

『ブレードランナー』みたいになってわけがわからなくなったシリーズ第5弾

74回観た(嘘