肥薩線(熊本県~宮崎県~鹿児島県・2011年訪問) | 『乗り鉄』中心ブログ(踏破編)

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当ブログでは、私の鉄道乗りつぶしの過程や、最近の乗り鉄のレポート等を中心に紹介いたします。

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矢岳駅にて。キハ40系の観光列車『いさぶろう・しんぺい』です。

 

今回は、熊本県八代から球磨川に沿って南下し人吉へ。そしてスイッチバックやループ線で矢岳越えをクリアして鹿児島県の吉松へ。最後は山里を南下して隼人へ至る、当初は鹿児島本線だった路線で、最近は様々な観光列車が運転されている注目のローカル線、
肥薩線(ひさつせん)を一気に紹介します。
  
尚、2020年の豪雨災害により、八代~吉松が長期運休中です(2021年11月時点)。  


 

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(Yahoo!地図を使用)

 

路線名  区間  営業キロ  備考 
JR九州:肥薩線  八代~隼人  124.2km  全線単線・非電化 
 
踏破達成時   2003年11月 
撮影時   2011年10月ほか 

  

  

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起点の八代駅は単式・島式ホームが1面ずつと、単式ホームの鹿児島方が切り欠き式で、計2面4線の構造です。さらに側線もあります。
尚、八代における九州新幹線との接続駅は、鹿児島本線を熊本方へ1駅進んだ新八代駅です。

 

八代を発車するとすぐに田園地帯に入り、右側から球磨川が寄り添います。その後肥薩おれんじ鉄道線が左へ分かれ、後に肥薩線をオーバークロスして球磨川を渡っていきます。そして早くも球磨川の峡谷に入り、九州新幹線をアンダーパスします。この先ずっと山深い中を右側に球磨川を見ながら段駅、球磨川の流れに沿って蛇行しながら坂本、葉木と進み、鎌瀬を過ぎると球磨川を渡り右岸から左岸に移って、今度は左手に球磨川を望みながら瀬戸石、八代市から芦北町に入り海路、吉尾、白石と進み、今度は球磨村に入り鍾乳洞が近い球泉洞、そして球磨村役場最寄りの一勝地に到着します。


 

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球泉洞~一勝地にて。球磨川に沿って走ります。
この付近の球磨川では「くま川下り」を楽しめます。

 

一勝地を発車すると逆S字カーブを走り那良口着。そして球磨川を渡り集落の間を縫うように走り、渡(わたり)着。その後は次第に谷が開けてきて人吉盆地に入ります。そして人吉市に入り西人吉と進み、沿線風景が田園から住宅地に変わると間もなく人吉に到着します。


 

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人吉駅は肥薩線内の拠点駅のひとつで、単式ホーム1面と島式ホーム2面の計3面5線の規模です(島式ホーム1面はくま川鉄道が使用。また、くま川鉄道の駅名は「人吉温泉」)。
現在は全ての列車が当駅で系統分割されていて、人吉を跨いでの利用は乗り換えが必要です。

 

人吉を発車すると市街地を走り、右へカーブする時にくま川鉄道湯前線と分かれます。くま川鉄道には分岐直後に相良藩願成寺駅がありますが、肥薩線にはありません。その後すぐに球磨川を渡ると丘陵地帯に入って上り勾配になり九州自動車道と並走します。九州道と別れると山深くなり、蛇行しながら徐々に高度を上げて行き、いくつかのトンネルを抜けると全国ではここだけの、ループ線の途中にスイッチバックのある駅である、大畑(おこば)に到着します。

 

大畑を発車すると山間部を三段式スイッチバック(スイッチバックが2回)でさらに高度を上げ、今度は左カーブでループ線を形成します。

 

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大畑~矢岳にて。ループ線の途中で大畑駅を一望できるポイントがあります。
小さくて分かりづらいですが、奥にある大畑駅に向けて2本の線路が合流しています。
左側の線路は手前側でもスイッチバックして勾配を上り、約270度左へカーブし続けて撮影場所に到達します。

 

ループ線区間が終わってもなお上り勾配が続きます。そして幾つものトンネルを抜けて細い谷間を走るようになると、肥薩線で最も高い所にある駅、矢岳に到着します。矢岳駅構内には蒸気機関車の展示館があり、D51 170が静態保存されています。

 

矢岳を発車するとすぐに宮崎県えびの市に入り、間もなく肥薩線最長の矢岳第一トンネル(全長2,096.17m)に入ります。ちなみにこの区間を走る「いさぶろう」と「しんぺい」の名称は、このトンネルの両側入口上部にある扁額を書いた人物にちなんでいます。


 

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トンネルを抜けると車窓左手には日本三大車窓のひとつである「矢岳越え」の絶景が楽しめ、えびの高原や霧島連山を望めます。その後はトンネルを抜けながら下り勾配が続き、三段式スイッチバックを経て、肥薩線内唯一の宮崎県にある駅、真幸(まさき)に到着します。


 

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真幸駅を八代方からの線路より望む。八代方から真幸駅へは引き上げ線に入った後スイッチバックをして入線します。

 

真幸を発車後も山間部を下り勾配で南下しますが、途中の山神第二トンネルでは1945年に大規模な列車事故があり、多数の死亡者が出ました。そして鹿児島県湧水町に入り、山を下り平地に出て、左側から吉都線が合流して住宅地に入ると吉松に到着します。



 

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吉松駅は島式ホーム2面4線の拠点駅で、1番・2番のりばにはホーム上に売店があります。
当駅も肥薩線は全ての列車が当駅で系統分割されていて(吉都線と隼人方は直通運転あり)、
八代方と隼人方を跨いでの利用は乗り換えが必要です。

 

吉松を発車すると丘陵地帯を南下し、トンネルで山地を越えると田園地帯に出ます。そして川内川を渡り市街地に入ると栗野に着きます。
栗野を発車後は山野線の廃線跡が右へ分かれた後に山間部を走り、明治時代からの駅舎が残る大隅横川、駅舎のない植村、温泉街への玄関口である霧島温泉と南下します。
霧島温泉を発車後も山間部を南下し、こちらも明治時代からの駅舎が残る嘉例川(かれいがわ)に到着します。


 

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嘉例川駅にて。写真の車両はキハ40系の特急『はやとの風』です。
『はやとの風』は当駅と大隅横川駅で長時間停車をするので、車外へ出て昔の駅舎などを見学できます。


 

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嘉例川駅の駅舎です。1903年(明治36年)の開業時からの駅舎が残存しています。

 

嘉例川を発車後も山間部を、駅舎のない中福良、乗降客がゼロに近い表木山と進みます。その後は町並みを見下ろしながら進み平地に出て日当山、そして田園地帯を進み、左側から日豊本線が合流すると終点の隼人に到着します。


 

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隼人駅にて2004年撮影。当時はキハ58系も活躍していました。
日豊本線との接続駅です。特急『はやとの風』と一部の普通列車は鹿児島中央まで乗り入れます。

  

  
乗り鉄の注意点(2011年時点)  

肥薩線では人吉~吉松を除き特急が設定されています。
八代~人吉では『くまがわ(熊本~人吉)』が下り4本と上り3本、『九州横断特急(別府~人吉)』が下り1本と上り2本運転です。
吉松~隼人では『はやとの風(吉松~鹿児島中央)』が2往復運転されています。
また、熊本~人吉では『SL人吉』が運転されている日があります(要確認)。

 

一方の普通列車は、八代~人吉では10往復の運転ですが、朝夕に本数が偏っていてデータイムには4時間近く間隔が開くこともあります。区間内運転が主ですが、下り1本と上り3本が新八代まで直通し、九州新幹線との接続を図っています。
県境の人吉~吉松は閑散区間で、5往復のみの運転です。その中で、昼間の下り2本は『いさぶろう』、上り2本は『しんぺい』と名付けられた観光列車になっています。指定席主体ですが、一部自由席(数席のみ)もあり、乗車券のみでも乗車可能です。
鹿児島県内の吉松~隼人は下り13本、上り14本の運転で、データイムは概ね2時間間隔、朝夕は概ね1時間間隔の運転です。吉都線経由で都城まで、そして日豊本線経由で鹿児島中央まで足を延ばす列車も存在します。

 

八代~人吉の所要時間は、特急で約1時間、普通列車で1時間20分程度です。
人吉~吉松の所要時間は、普通列車で約1時間、『いさぶろう』『しんぺい』は観光目的の長時間停車や徐行運転もあり1時間20分ほどを要します。
吉松~隼人の所要時間は、特急・普通列車ともに約1時間です(特急『はやとの風』は嘉例川・大隅横川で観光目的の長時間停車する為)。

  

  
のりかえ  

乗換駅  乗換路線 
八代駅  JR九州:鹿児島本線(熊本方面)。肥薩おれんじ鉄道:肥薩おれんじ鉄道線 
人吉駅  くま川鉄道(人吉温泉駅):湯前線 
吉松駅  JR九州:吉都線 
隼人駅  JR九州:日豊本線 
  
(参考:Wikipedia)