泳ぐ写真家龍之介 -140ページ目

「笑うキッシンジャー」

kissinger


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最近では世界の表舞台にでてきませんが、

かつては中国の周恩来や

ソ連のグロムイコと並び賞された

ヘンリー・キッシンジャーは、

20世紀を代表する政治家の一人です。


1989年に彼を撮る機会があって、

ミッドタウンの彼の事務所まで助手と出かけました。

彼はもともと不愛想で有名ですが、

特にカメラの前では絶対に笑わないと言われています。


アメリカ人のカメラマンから、

笑ってるところを撮ったらなんでも奢ってやるよ。

と言われたことを頭の片隅に入れて撮影に臨みました。



当時彼は腰を悪くしていて、

ポーズをとるのもいたいたしいほどでした。

このカットは、最後の1カットだけ切らずに、

彼に、「どうもありがとうございました。撮影終了です。」

とお礼を言った時の瞬間です。

その一瞬、彼が笑ったのです。

私はその時知らん振りしてシャッターを押しました。

彼の顔が真っ赤になったので、まずいとは思ったのですが、

「カメラの調子がおかしいな。」

などとぶつぶつ言いながら、

その場を切り抜けました。


しかし、後でプリントしてよく見てみると、

目が笑っていません。
思い出深い一枚です。



「職人文化」

m07

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少し前に、

フランスホテル協会の仕事で

フランスのプロバンスまで、撮影にでかけました。

古い修道院を改造して

ホテルとレストランにした建物で働く人や

そこで出される料理を中心に撮りました。

フランスはドイツと同じ職人の国。

厳格な職人制度があります。

何度かヨーロッパに行っていますが、

カメラマンも結構尊敬される職人の一種です。

ということで、普段は無愛想なコックさんたちも、

私を同じ職人仲間として迎え入れてくれて、

自由に厨房の中を歩き回らせてくれました。

わたしは写真をやっていて、私自身を職人として認めてくれると、

本当にうれしくなり気分がよくなります。

私はアーティストという言葉が、うさん臭くて大嫌いです。

「俺はアーティストだ」と宣言すれば、

だれでもアーティストなれそうで、

玉石混淆、魑魅魍魎といった世界なんですね。

それより、がんこ一筋、日々精進の職人の世界が好きで、

そういう人たちが働く

ヨーロッパと、日本の職人文化が大好きです。



「デジカメデータとシャープネス」

aspara

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デジカメのデータは、

通常そのままの状態では、

印刷データとしては軟調だといわれています。

特に、ニコンのデジカメは

キヤノンに比べ、かなりもやっとした感じに仕上がります。

今年になってはじめて、

デジカメで新聞原稿(ポートレート)を撮影したのですが、

カメラはキヤノン5D。

ライティングは、

傘を壁と天井にバウンスさせてかなり回る光で撮りました。

オリジナルデータはちょっとフラットに上がりました。

新聞原稿はどのくらいのシャープネスが必要なのか、

非常に不安だったのですが、

シャープネスをかけずに印刷されたであろう写真を見て、

それから大雑把に逆算して

70%くらいのアンシャープマスク(photoshop)をかけてみました。

5Dで撮ったデータは、そのままでも、

シャープネス、コントラストともに問題ないとは思ったのですが、

結果は、大体想像していたとおりのコントラストになりました。

5Dは、肌の最明部のディティールも抜群です。

やはりCMOSのサイズの大小はラティチュードに大きく関係するようです。