「フォトショップ」
フォトショップというコンピュータ画像処理用のソフトウェアがある。
カメラマンや、デザイナーでは定番のツールだが、
なじみのない方に説明すると、
写真、例えば、人物の場合、
シミを消したり、切り抜いて、別の背景と合成したりするような
画像処理ソフトだ。
私がこのフォトショップを使い始めたのは1999年。
バージョン5.0だったと思う。
このソフトを使って、まず何に驚いたかというと
スタンプツールだ(掲載写真の赤丸の部分)。
たとえば、人の顔で、シミがあったりすると、
シミのない部分の皮膚を、そこに移植することができるのだ。
具体的には、スタンプで、きれいな皮膚をコピーして
シミの部分に貼り付ける。
これをスタンプを押すようにできるので、
この名前が付いている。
そうすると、顔のシワとかも消すことができる。
これをやると、特に、年配の女性とか
どんどん若返っていくのだ。
ある日、
仕事で撮った女性の写真のシワを
面白半分に消しまくっていたら、
一見シワが消えて若返ったのだが、
のっぺりして不自然で不気味な顔になってしまった。
人間の顔の筋肉は、繋がっていて
うまくバランスをとっているので、
例えば、目じりのシワを極端にに消すと
そのシワから連なっている目の下の筋肉との
微妙なラインが不自然になったりする。
離れて見ると、つっぱっているようになってしまうのだ。
最近、駅に張ってあるポスターのモデルさんとか
化粧品の広告、
女性の美容雑誌を見ると、
蝋人形のような、肌が不気味につるつるとした
異様な写真が多いのに気がつく。
これはほとんど、フォトショップによる修正の結果だろう。
美しく!美しく!と思ってやった事が、
不気味な結果を招いている。
なんか、失敗した美容整形みたいだ。
「居酒屋の餃子」
昨晩、仕事仲間と新宿の行きつけの居酒屋で遅い新年会を楽しんだ。
その店は、結構古い店で、昔、寿司職人だった、オーナー兼店長が
切り盛りしている。
厨房には息子さんがいて、奥さんも店員としてがんばっている
アットホームな店だ。
仲間が「餃子を注文しよう」と言った。
その瞬間、別の仲間が
「毒は大丈夫かな?」
なんて心配そうな顔をする。
で、店長に、
「ここの餃子だいじょうぶ?」
とけっこうどきっとすることを尋ねた。
まあ、店長とは古い友人同士だから
こんな悪い冗談も通じるのだが、
私は正直言って、餃子を口にしなかった。
今回の中国の冷凍食品事件は、
もし、これが意図的なものであったとすると、
どんなに管理していても、
こういった事件は防ぐことができないことを証明した。
これはテロと同じで、防ぎようがない。
はっきり言って再発は防止できないだろう。
爆弾テロと同じだ。
この責任を政府や会社に一方的に押し付けるのはお門ちがいだと思う。
我々はテロ、災難と共存している時代にいる。
テロや危機はあってはならないと、憤慨しても仕方ない。
今そこにあるのだ。
私は80年代のニューヨークでこのことをいやというほど経験した。
自分自身でリスクを避けて身を守るしかないと思う。
あたりまえのことだが、これが分かっていない人が多すぎる。
「結婚を無効にする」
欧米、とくにカトリックの国々では、
神の前で誓った結婚を反故、つまり離婚すると、
もう2度と正式に結婚できない建前になっている。
人口にして、約8億人の人がこの宗教文化の中に生きている。
知り合いに、大学の物理学教授にしてカトリック司祭がいる。
アメリカ合衆国国籍の初老の白人だ。
彼に、一度結婚したカトリック教徒が
再び、教会で、神前で結婚できる方法があるのか聞いてみた。
彼は「それは可能だ」と言う。
彼の考えによると、
夫か妻のどちらかに、正当な、別れたい、という理由があれば、
その結婚を「無効」にできるという。
「無効」になった「結婚」は、もともと無かったも同然だから
当然、再婚は可能となる。
いかなる理由があっても離婚を認めないカトリック教会の
司祭の言うことだけに、ちょっと驚いた。
しかし、
「神に永遠の愛を誓う」結婚も
厳然たる契約であるのだ。
契約は場合によって無効にすることができ
それはなかったことになる。
事業の契約もそう。
人と人との付き合いと言って、
それだけで商売がなりたつこともある日本は、
最も商売が下手な国民のひとつだと言われる。
欧米、中近東の国々に比べ、
あきらかに技術力でリードして、
あきらかに商売で負けている日本に欠けているものを
彼らの、一般生活の考え方に見ることができる。