その人のお世話を頼まれたのは、高校時代の友人からだった。電話が鳴ったのは、あれはそう、梅雨も明けた頃だったろうか。
「シナリオを書くのに、海を探しているんだって」
「海?」
「そう。夏だからといって、ビーチパラソルがそこら中に開くところじゃなくて、ちょっと静かな海。そこ、ぴったりよね」
「確かにここは海水浴客は少ないわね。名だたる海水浴場に挟み撃ちにされてるし」
「ホテルあったわよね」
「うん。小さいけどあるわよ」
「しばらく滞在して書きたいらしいの」
その人は、高校時代の友人の友人らしい。
友人の友人には凄い人がいたりするというのは定番だ。
実はすごい人なんだろうか。
「よく来るの?」
「犬の散歩でたまに来ますよ」
海風にとかされた髪を片手で押さえる。その人はすごい人には見えなかった。
たんなる無精ひげか、それともファッションなのか、少し鬱陶しい。
これで目が死んでいたら最悪なのだけれど、とてもしっかりとしたまなざしだった。
「じゃあ、今日は犬になろうっと」しゃがみ込んで海を見る男。面倒くさいことに尻まで振っている。なんか投げて! ワン!
どうしたものやら。扱いに困って海を見る。見た目はちょっと軽いけど、いい男らしい。そう頼まれた人なのだけれど、いい男の定義が顔なのか、性格なのか、はたまた仕事っぷりなのか。
「あたしも走ればいいんだけど、引っ張られっぱなしで」
「走ればいいじゃない」立ち上がって満面の笑みを浮かべる。
「むり無理」友人には悪いけど、この人、苦手だ。ペースを取られたら面倒くさそうだ。
構わず前に進みながらリードできそうな話題を探す。
「なぜ昼間は海から風が吹くのかって知ってますか? あ!」
砂にとられた足元、咄嗟に空をつかむ手。大丈夫? 素早く腰に回された腕。
「知ってたらどうする?」いやに顔が近い。
「いや……どうもしませんけど」背けた顔に、砂に残る足跡が見えた。
「知らなかったらどうする?」
「いえ、どうも……しませんけど」
腰に回された腕を、どう解(ほど)けばいいかもわからず、眉をしかめた。
「かわいい耳してるんだね」
「耳……ですか」
「少し赤くなってる」
真夏の出来事、秘密の思い出。
そしてまた、今年も夏が来た。
移り気な男の香りを、恥ずかしげもなくまき散らしながら。
今頃は どこにいる?
All I need is you
あなたさえいれば
Let me kiss you now
キスさせて 今
『人気者で行こう』(にんきものでいこう)は、サザンオールスターズの7枚目のオリジナル・アルバム。1984年7月7日発売。発売元はタイシタレーベル。

元々は「萎えて女も意志を持て」のB面として、桑田がジューシィ・フルーツに提供した曲であり、そのセルフカバーである。
本来は「ミス・ブランニューデイ」ではなく、こちらがシングルになる予定であった。発売間近になってシングルが差し替えられたため、既にシングル「海」としてのジャケットも印刷され始めていた。ジャケット写真自体は「ミス・ブランニュー・デイ」に使われたものと同じである。1990年に芳本美代子がカバーした。
─Wikipediaより─
移り気なアナタに Oh Oh
抱かれてしびれた
ほんのチョットだけで
こんな気持ちになるなんて
悪い人だと思うけど
Sha la la 夢のように暮らしたものさ
心から恋してる
海辺へ通う道 Oh Oh
真夏の出来事
ほんのチョットだけで
心変わりがするなんて
他の誰かを愛してる
Sha la la 見つめ合ってその気にさせて
今頃は どこにいる?
時折 名前を呼んでみた
つれない この気持ち
言葉じゃ言えない
”好きよ” All I need is you.
Sha la la 見つめ合ってその気にさせて
今頃は どこにいる?
渚に埋めた涙には 秘密の思い出が
言葉じゃ言えない
”好きよ” Let me kiss you now.
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