鈴木 彰の ミドル・シニアランナーのためのランニングブログ -48ページ目

鈴木 彰の ミドル・シニアランナーのためのランニングブログ

@runnerのCEO、e-Athletesヘッドコーチの鈴木彰が、なるべくプライベートな部分は避けつつ、主に概ね40歳以上のミドル・シニア(中高年!)ランナー向けにランニング関係のあれこれを綴ってみようかなってとこです。

 駒沢が平成の常勝軍団なら、日体大は昭和の常勝軍団でした。


 後にオリンピック、世界陸上、アジア大会等で日本代表として活躍したスター選手をズラリと揃え、「駅伝は、こうやって勝つ!」というのをまざまざと魅せつけてくれたものです。


 時代が変わり、体育学部の人気が急降下してきたことで、駅伝に限らず、学生スポーツ界における体育大学の存在感は、どんどん薄くなってきています。


 そんな中で今回の日体大の30年ぶりの総合優勝は、なにか原点に立ち返るような感覚さえありました。


 全盛期に比べれば、非常に地味な印象は拭えず、淡々とつなぎまくっている間に他校が自滅していったようなところもあるのかも知れません。


 ただ、他校がスーパー高校生をどんどん獲得して戦力を充実させていく中、今では全国の高校の陸上部監督となっているOBの先生方が、ひたすら選手を送り続けてきた伝統の底力がここにきて実ってきたのかと~


 私も一昔前は大学駅伝に関わっており、スカウティングで全国を回っていた時期がありますが、日体大や順大のOBの先生方の結束力は非常に強いものを感じていました。「教え子は母校へ」というのが今も昔もあるかと思います。


 ただ、昔は、先生が決めた進学先に黙って従って行く~みたいな風潮があり、本人も親もそれで納得していたのですが、今の子達は、逆指名することも少なくないようですね。それも体育大衰退の1つの要因かと思います。


 そんな中での日体大の優勝~<日本 体育 大学>ですからね~。これから何かまた時代が変わるのかな??

<往路>


 大変なコンディションでしたが、なかなか見応えのあるレースでした。


 1区の展開は、<その2>を読まれた方は、けっこう面白かったのでは?


 つなぐ作戦に出てきた多くのチームに対し、早稲田と東洋は攻めに出て来ましたね。結果は明暗を分けましたが。

 

 東洋の田口くんが「崩し」にかかるも、けっこう粘られる~こうなったら面白いという、まさにその通りの展開でした。

 

 結局、田口くんが区間賞は取りましたが、それよりも何よりも、ライバルの早稲田、駒沢に対する秒差が大きかったですね。いい仕事が出来ました。


 1~2区の出遅れで、早稲田は、大迫くんが突っ込まざるを得なくなった…。淡々とペースを刻む設楽悠くんとは真逆の展開になったのも面白かったですが、やっぱりここは2人の競り合いが見たかったところでもあります。


 予想を大きく覆した駒沢は、1人1人がビミョーに不調だった感じですね。チームとしての調整に失敗したか?出遅れから負の連鎖が生じたか?

 その逆が日体大。1人1人がかなりしっかりと走りました。


 山登りの5区の接戦はまさに圧巻でした。日体大の服部くん~将来はマラソンも走れそうな良い選手ですね。



 いや~本当に面白かったけど、明日はまた分かりません。 やっぱり予想不能です。。。





 あと、大迫くんの給水にディーンが出てくるのは、ちょっと演出が過ぎるだろ。


 駅伝の特徴は、言うまでもなく、1区を除いては、前後に差が着いている状態でスタートする~ということにあります。


 ここで、前・または後ろとの差によって、序盤の走りは、「突っ込む」「イーブン」「セーブ」とに、その戦法が分かれます。


 普通、「突っ込む」というと、舞い上がっちゃって何がなんだかわからんちんのままオーバーペースになっちゃうケースが多いものですが、駅伝の場合、意識的というか作戦として突っ込むことがあります。


 たとえば~後ろと、およそ100m差で中継を迎えるとします。タスキを受けた次走のランナーはどういう作戦を取るのか・取るべきなのか~。


 ここで、慎重に焦らず、自分のペースで走り出す~というのは、本来あるべき正攻法とも考えられますが、その間、後のランナーが懸命に猛スパートし、更に次走のランナーが突っ込んできたら、100mあった差は瞬く間に縮まってくるでしょう。差が縮まり、追い付けば勢いがつき、元気になる!~というのは駅伝のセオリーであり、その逆は、焦りや不安につながります。明らかな実力差があり、追いつかれるのも計算のうちである場合はこの限りではありませんが、走力が互角でも、入りのスタンス自体で展開が違ってくることもあります。


 ただ、突っ込みは、その反動も大きく、後半~終盤の失速にもつながりかねないリスクの大きな取り組みです。そのため、いたずらにただただ突っ込むというわけにはいきません。


 それを利用し、このようなケースで、前のランナーの方がわざと(作戦として)突っ込み、後を誘う~ということもよくあります。これ以上差を広げられたくない~むしろ詰めないといけないという使命のあるランナーは、前が突っ込めば、それを追わなければいけません。この突っ込み合戦も駅伝の醍醐味の1つですね。


 突っ込みを誘った方が先にバテて逆転を許すこともあれば、思惑通り突っ込まされた後が潰れて、差が広がることもありますが、自分が潰れるリスクを承知で相手を打ちのめす~「肉を切らせて骨を断つ」的な戦法になるわけです。肉しか切れず、骨を断たれちゃうこともあるわけですが。。。


 突っ込みに誘われない~という後方待機作戦もありますね。突っ込んだ前のランナーが潰れてくるのを待つ~という作戦です。上手くいくかどうかは相手次第。相手にそのまま逃げられちゃうリスクもあるので、それなりに度胸が要ります。力がないので、待つしかないこともありますが。


 箱根駅伝に限っていえば、往路は突っ込み傾向が強い感じがありますね。学生ランナーは、だいたい20Kmを60~61分くらいで行くくらいの走力ですので、3分/kmというのが1つの目安になるのですが、入りの3~5Kmくらいをガンガン飛ばしていくことが多いようです。長いんだから、もっと落ち着けよと思うこともありますし、実際、後半ズルズルくることも少なくないのですが、前後の差を見て、心理状態や作戦を推測しながら見ていると、けっこう面白いですよ。







 花の2区に対し、1区は、かつては準エース区間として、チーム2~3番手の選手が集まるものでした。チーム事情によっては、ここにエースをぶつけないと勝負にならない…ということも。


 かつては―というのは、今は状況が違うということです。

 かつて―1区は、強くて速い選手がグイグイと押していって、実力通りの差を確保して2区のエースにつなげる区間でした。1~2区で大まかな勝負は決し、大きな順位変動は、そうそうは起こらない~みたいなところがありましたね。


 しかし昨今の1区は、もっと無難に2区につなぐ区間となり、リードを奪うというよりも、「遅れない」ことが使命となっているようです。実際、15~16Kmくらいまで集団が崩れずにほぼ一定ペースで行くことも多く、勝負はラスト3Kmくらいから~という感じになったりしますが、ここで開くペース差はせいぜい数十秒程度です。これは2区でどうにでもなる差に過ぎません。


 もちろん全体のペースはラストにグイッと上がりますので、その前段階で離れてしまうと、大変なマイナスが生じてしまいます。この「スパート時まで集団に残っていること」~が重要な任務なわけであり、それが出来るくらいの走力の選手に任されることも多くなってきているようです。


 この時代の1区にエースクラスを持ってくるのは、つなぐ作戦の他校に対し、かつてのように、最初からかましてやろうという戦法を取る場合でしょう。最初からハイペースでグイグイ持っていくか、想定よりかなり早い段階でスパートをかけ、集団を崩しにかかります。


 うまくいけば、他校のブレーキも誘い、実力通りの大差を付けることが出来ますが、崩し切れなければ、他校の5~6番手以降くらいの選手とトントン(=数十秒差程度)となり、想定の貯金を作れないばかりか、無駄駒で終わってしまうリスクもあります。


 1区のこういう局面というのは、箱根に限らず、高校駅伝やニューイヤー駅伝などでも見られますね。崩して先に行きたい選手と、崩させまいと粘る選手~。


 崩せないとイライラしてきたり不安になってきたりとリズムを崩して自滅したり、思いのほか粘りが効くと、調子に乗ってきて、力以上の頑張りが出てきたり~と、1区の波乱要因というのはこういうところにあります。


 トップでつないでもダメ出しされたり、10番目くらいでも20~30秒くらいの差なら上出来!とされることがあるのが駅伝の、特に1区の面白いところです。


 (まだ続く)



 近頃は、箱根駅伝の予想を聞かれることが多くなりました。


 知らんがな、そんなの。。。


 世間では東洋と駒沢が本命で、早稲田がそれを追う~みたいなことになっているそうですが、、、


 駅伝の予想は、当然選手の走力や実績を多角的に分析して検討するわけです。その重要な鍵になるのが5000mや10000mの個々のタイムやチームの平均タイムですね。まあ、そのチームの基本走力といって良いでしょう。


 ただ、このタイム~意外とクセモノです。最近は、ペースメーカーが引いて、集団でイーブンペースでぐるぐる回って、良いタイムを出す~という「タイム製造記録会」みたいなのがたくさんあるので、なかなかその額面通りに走力を考えるというわけにはいかないこともあります。


 実際に数字が出た以上、潜在能力としてはそれだけの力はあるのでしょうが、それがいつでもどこでも出せるとは限らない~。そもそもベストタイムというのは、ず~と長い間やっている間のいちばん良いタイムというだけのことですから。


  もちろん、10000mのタイムと、箱根駅伝のように20Kmを超えるロードのタイムがダイレクトにリンクするとは限りません。また、「タイム製造記録会」で、ずっと人の後に着いて走るのは得意でも、1人ではなかなかペースを維持出来ない選手もいれば、先頭をグイグイ飛ばしていくのが得意な選手もいます。


 そういうところで、いざ!という時に、ただ速いだけの選手(どこかの記録会で、良いタイムを出したことのある選手)と、強い選手(いつでも、どこでも、それなりの走りを自力で出来る選手)とに分かれるわけですね。


 (続く)