小学校での読み聞かせ活動記録 -3ページ目

ことばの種まき 2

山崎 慶子/目にうつるもの・感じるものフェリシモ出版/2001初版
少子化と核家族化が進む現代社会の子育ての中で、
絵本や読み聞かせがどのような位置づけとなっているかを書いた書籍です。
その中にちょっと気になったフレーズがありました。
ネットで子育てについての情報を収集したり
チャットをしている母親が増えているということを指摘して

それも一つの方法です。


ただ、そのような方法手しか子育てのよりどこがないということに


現代のお母さんたちの存在が失われているような気がしてなりません。*1



と言っている部分です。


子どもが寝ている時間とか、幼稚園や小学校に行っている間とか、


夜更けてからネットに向かうお母さんは増えていますが、


いくらなんでも、「そのような方法」しか手段がない人は少ないでしょう。


確かに、面と向かって話し合うよりはコミュニケーションが薄いとは思いますが


核家族化・少子化が進む実生活の中で、


井戸端会議のできる距離内に何軒も


価値観が近くて子どもの年齢の近い家庭を見つけることは困難です。


急速に進化しているネット社会には危険が一杯あるかも知れませんが


子育ての情報源の一つとして、手軽にできる息抜きの場として


これから訪れるであろう情報化社会を賢く生き抜くために


インターネットコミュニケーションは必要なツールだと考えます。


また、別の部分でも


確かに情報が速く届くことによる利便性はよく分かりますが、


それだけが人の生活を豊かにするものではないように思います。*2


と書かれています。


最終的には、情報選択能力は必須のものであり、子どもたちに対しては


充分な配慮を要する分野だと結論しています。


作者がこのように警鐘を鳴らすのは、文部科学省が情報教育に


力を入れていて、学習指導要領にまで明記してあるからかもしれません。


絵本論や読み聞かせのハウツー本で商法か社会の功徳について


書き及んでいる作品というを初めて読みました。


それだけ、子どもたちの世界にもインターネットが浸透しているって事なのでしょう。




今度は印象的な部分です。


バランスのとれた安定した精神を育てるために、


このような日常の中でのあたりまえのようなことに対する心配りは


きわめて大切な意味があると思います。*3


これは、まったくその通りだと思います。


私も子どもを産んでから、自分が子どもだった頃の事をよく思い出すようになりました。


大好きだった、甘い炒り卵を乗せたあつあつご飯。


野ねずみの子どもを飼いたいと言って母を困らせたこと。


寝るときに母が語ってくれた昔話等々。


思い出の多くは、ごく些細な日常のひとこまです。


そんなものの積み重ねが、人間らしさを形作っているんだなぁと思うのです。


だから、ごくありふれた日常をたくさん経験して、


精一杯楽しむことが豊かな人生を送ることにつながるのですよね。


乳幼児期から児童期にかけての体験は、


その人の一生の人格形成に大きな影響を及ぼすものだと思います。


大切にしたいものですね。



本と出合うということは、限りなく広がる未来への出発の合図のようなものです。


自分の目でじっくりと時間をかけて一冊の本を読むことは、


瞬間で消え去る画面の感動とは別次元の深さと奥行きを持っていると思います。*4





ところで、本書は図書館から借りてきた作品です。


図書館では、この作品の分類記号を019としています。


これは、読書論とか、読書法という分類なのですが、


本書は絵本論というよりも子育て論に近い気がしました。


後半に読み聞かせの具体的な注意点やノウハウが書いてあるから


やっぱり読書法とか読書論でいいのかしら?


なかなか面白い視点の作品でした。


巻末の『私の本棚』で紹介されている作品を列挙してみました。


ABCの本 へそまがりまアルファベット/福音館

あいうえおの本/福音館

ABC絵本/戸田デザイン研究室

あいうえおえほん/戸田デザイン研究室

カタカナえほん/戸田でざいん研究室

ひらがな和英えほん/戸田デザイン研究室

ちっちゃなねずみシリーズ/くもん出版

リチャード・スキャーリー英語絵本シリーズ/Collins(アメリカ)

ちいさな1/ほるぷ出版

ふしぎなかず/ほるぷ出版

1.2.3どうぶつえんへ/偕成社

算数の呪い/小峰書店

美しい数学シリーズ/童話屋

はじめてであうすうがくの絵本/福音館

視覚ミステリーえほん/あすなろ書房

ふしぎなナイフ/福音館

ミッケ!かくれんぼ絵本シリーズ/小学館

やこうれっしゃ/福音館

おふろやさん/福音館

とこちゃんはどこ/福音館

バムとケロの絵本シリーズ/文渓堂

みんなのからだ/岩波書店

はははのはなし/福音館

あかちゃんのあそびえほんシリーズ/偕成社

赤ちゃんの誕生/あすなろ書房

赤ちゃんのはなし/福音館

おんなのこってなあに?おとこのこってなあに?/福音館

おかあさんがおかあさんになった日/童心社

しずくのぼうけん/福音館

ひとしずくの水 A DROP OF WATER/あすなろ書房

たねのずかん/福音館

木の本/福音館

リネアの12か月/世界文化社

リネア モネの庭で/世界文化社

木はいいなぁ/偕成社

はるにれ/福音館

すばらしい季節/すえもりブックス

これは のみの ぴこ/サンリード

かまきりっこ/アリス館

どうぶつえんガイド/福音館

ナヌークの贈りもの/小学館

北の森からシリーズ/リプリオ出版

はじめての発見シリーズ/岳陽舎

せいめいのれきし/岩波書店

いのちのつながり/福音館

知識の泉シリーズ/同明舎出版

スイッチョねこ/フレーベル館

手ぶくろを買いに/偕成社


今回紹介した47作品・シリーズのうち、「あぁ、あれかぁと読んだ読んだ」と


思ったものは、14作品・シリーズでした。



集団に読み聞かせをする場合には工夫が必要だと思いますが


個人的には絵の美しい安野雅一郎さんの作品(美しい数学シリーズや


はじめてであうすうがくの絵本シリーズ等)が好きです。



長女の一押しは、のみのぴこです。


言葉の練習で、一回読むごとに文章が増える作品がありました。


「うわぁ、これって『のみのぴこ』の真似してるしじゃない?」って


大喜びをしていました。


読書が苦手な長女ですが、語呂のいい作品は

耳で覚えているみたいです。


この作品は、読み聞かせで何回も使っていますが、


毎回、大好評の作品です。


作者が谷川俊太郎さんで、国語の教科書でもおなじみだからかな。



次女の一押しは、ミッケやバムとケロのシリーズです。


次女は、重箱の隅をつつくような絵の見方が大好きなのです。



親子三人でもこんなに読書傾向というか好みが違うんですね。


ちょっと驚きです。



【引用出典】

*1 山崎慶子『ことばの種まき2-目にうつるもの・感じるもの』フェリシモ出版、2001、P34


*2 同 P66-67


*3 同 P38

*4 同 P49


でんしゃにのって-ううらちゃんの乗り物シリーズ

とよた かずひこ
でんしゃにのって

35P/26cm/アリス館/1997初版/読み聞かせにかかる時間-3分/季節-基本的には通年。ううらちゃんが一人でうららかにお出かけのできる季節がお勧め。


小さなうららちゃんがおばあちゃんへお土産を渡すために電車に乗りました。


降りる駅は『ここだ』です。


停まる駅の名前は『わにだ駅』『くまだ駅』『ぞうだ駅』『うさぎだ駅』『へびだ駅』。


へんてこりんな名前の駅ばっかり。


のってくるお客さんは、ワニにくまにぞう、うさぎ、へび・・・


予想通りの乗客に子どもたちは大喜びです。


一人で電車に乗るなんて小さな子には大きな冒険談ですよね。



いねむりをしてあやうく乗り過ごしそうになるうららちゃんに


大人だって思わずどきどきしちゃいます。


とよた かずひこ
ボートにのって

36P/26cm/アリス館/1997初版/読み聞かせにかかる時間-3分/ボートに乗って気持ちのいい季節。ちょうちょやかえるやカメや鯉にあひるが元気で菜の花が素敵な季節。



うららちゃん、お父さんとボートに乗っています。


池の真ん中まで来たら、お父さんはお昼寝をしてしまいました。


おひさま ぽかぽか 


かぜ そよそよ


なのはな くんくん いいにおい


うららちゃんが「ちょうちょ」の歌を歌っているとちょうちょが「あそびましょ」ってやってきました。


「かえるのうた」を歌っているとかえるさんがやってきました。


「もしもしかめよ」を歌っていたらかめさんがゃってきました。


「池の鯉」の歌を歌ったら鯉が出てきました。


「あひるの歌」を歌ったらあひるがやってきました。


ボートは大賑わいです。そのときお父さんが目を覚ましました。


とたんに皆は、自分達のいるべきところへ帰ってしまいました。


動物達って、子どもたちが大好きだけど大人に大しては


がっかりする程、恥ずかしがり屋さんばかりだよね。




とよた かずひこ
さんりんしゃにのって

36P/26cm/アリス館/1998初版/読み聞かせにかかる時間-3分/季節-ひよこやかえるが出てくるから、やっぱり春かな。



うららちゃんは三輪車に乗っていますが、バスの運転手になったつもりです。


講演の中を三輪車で、ぐるぐる回りながら動物達を誘います。



のりませんか。



でも誰も乗ってくれません。だって、うららちゃんの三輪車には乗客席がないんですもの。


そこで、地面に四角を書きました。そこに三輪車を入れて運転席を作って・・・


かえりのバス はっしゃしまーす。


すると帰りのバスには、


ねずみもかえるもねこもひよこも乗ってきました。


無事に駅前に着いて、皆は楽しく解散しました。


うららちゃんの三輪車バスは家に向かって走りながら


しゃこに はいりまーす。


ブッブー


ブッブー


と楽しそうに走り続けています。

おーい ぽほんた

茨木 のり子, 柚木 沙弥郎
おーいぽぽんた―声で読む日本の詩歌166

娘達の通う小学校では読書活動の一環として年に一回、


外部のボランティア団体を招致して、授業時間45分を使っての


お話会が行われています。



45分間ですから、手遊びあり、素話あり、詩の朗読にブックトークと盛りだくさんです。


お母さん達が片手間に行う読み聞かせとはレベルが違います。


ボランティアさんたちは、各自で何回も図書館に足を運んだり


授業内容を確認したり、他の人たちと打ち合わせをしたりして


綿密な準備をしています。


依頼があればどこへでも出かける団体ですから


経験も豊富です。


今回、2年生の次女のクラスで「詩」の披露をして頂いたそうです。


とても楽しい「詩」で、一回聞いただけで覚えてしまったようです。


担当した方と面識があったので、早速確認して図書館で探してきました。



きりなしうた (谷川俊太郎作)


しゅくだいはやくやりなさい


  おなかがすいてできないよ


ほっとけーきをやけばいい


  こながないからやけません


こなはこなやでうってます


  こなやはぐうぐうひるねだよ


みずぶっかけておこしたら


  ばけつにあながあいている


ふうせんがむでふさぐのよ


 むしばがあるからかめません


はやくはいしゃにいきなさい


 はいしゃははわいへいってます


でんぽううってよびもどせ


  おかねがないからうてないよ


ぎんこうへいってかりといで


  はんこがないからかりられぬ


じぶんでほってつくったら


  まだしゅくだいがすんでない


編集委員 茨城のり子、大岡信、川崎洋、岸田衿子、谷川俊太郎

絵 柚木沙弥郎

『おーい ぽぽんた』福音館書店、2001、P28-29


ついでに他の作品も次女と一緒に楽しみました。


次女が気に入ったのは岸田衿子さんの『どうぶつのはいくあそび』です。


もーえーかい もーんもーんだ もんだだよー


詠み人は「もーた」さん。訳は


もーいーかい まーだだよったら まーだだよ (同書、P39)


です。


詩とか俳句とかというのは、いまひとつ身近な感じがしなくって


敬遠していましたが、子どもにとっては絵本も詩も俳句も関係ないのですね。


楽しい内容。心地よい響き。それさえあればジャンルは関係ないのです。


良い作品を無理してつまらなそうに読むより、


これはちょっといかがなものか???と思う作品でも


楽しそうに読むことの方が大切なんだなと思いました。


ことばの種まき 1

山崎 慶子/絵本にできること・あなたにできること /フェリシモ出版/2001

本書は、赤ちゃんとそのお母さんの絵本の世界との出会いについて


その最初の種まきの大切さを中心に書かれています。


『山の大将』『月の輪グマ』『マヤの一生』などを書いた椋鳩十の言葉に


「お母さんの声は金の鈴」というのがあるそうです。


お腹の赤ちゃんに言葉のシャワーを浴びせかけることによって


赤ちゃんはお母さんの声や響きを五感で感じ取って一体感を得るのです。


子どもの心と知能の発達段階において、言葉は大きな役割を担っています。


ドロシー・バトラーの『クシュラの奇跡』は、


その役割の大きさを余すところなく証明した作品になっています。


染色体異常という複雑で重度の障害を持って生まれた少女。


全身の痛みのために24時間むずかり続ける少女。


奇跡は、クシュラをあやすために読んだ絵本から起こりました。


生後4ヶ月、絵本に反応を示します。


自分の力で起き上がることができないクシュラが


顔を絵本にくっつけるように移動しようとします。


3歳8ヶ月で声に出して絵本を読むようになります。


実は、クシュラの母も子どもの頃に


たくさんの絵本の読み聞かせをしてもらっていたのです。


子どもと本を出逢わせるのは大人の役割です。


この作品は、子どもと絵本の仲立ちをすることの大切さを


私達に教えてくれる秀逸なものとなっています。



新生児から乳児、幼児にはお母さんや周囲の大人からの


暖かい言葉かけが重要な時期です。


子どもは、愛情のこもった言葉を吸収して


豊かな感性を磨くからです。


現代社会は、核家族が増加している上に少子化が進んでいます。


大家族だった頃と違って、格段に会話をする相手が少ないのです。


人と人とのコミュニケーションを通しての実体験が極端に


不足してしまうのは、仕方のないことなのかも知れません。


お母さんや家族の語彙の不足を補い、豊かな体験を共有するためのツールが


絵本であり、読み聞かせなのです。


それは、絵本を読むことを仲立ちにして、


言葉の交換をすることに他なりません。


五感を研ぎ澄ませて聞く子どもたちと読み手の


「心を共有すること」これが読み聞かせ活動の原点なのです。


乳児期に絵本を与えると「食べちゃったり」「破いたり」


大切な絵本をきちんと扱えませんね。


それでも身近に絵本があることの豊かさを


親子で楽しむようにしましょう。


最初は間違った使い方をしてもお母さんが


大切に扱う姿を見てゆくうちに


赤ちゃんも絵本に対して、興味を抱くようになります。


「絵本てきれいなものよ。」「絵本の中に素敵な世界が広がっているのよ。」


赤ちゃんはお母さんのそんな気持ちを感じ取ることがとても得意なのです。


興味を持つまで、きちんと扱えるようになるまで遠ざけるのではなく


絵本は常に身近にあり、お母さんが大切しにている素敵なものとして


日常的に楽しめる環境を作っておくことが大切なのです。



子どもが楽しむ前に、大人が絵本を心から楽しめるような余裕を持ちましょう。


試しに絵本を音読してみて下さい。


普段使わない、美しい日本語がたくさん書かれていることに気づきませんか?


意外なほど豊かな感性の表現を発見できるでしょう?



乳幼児期にお母さんの声で聴く美しい日本語のシャワーは


言語機能発達の大切な核となります。


豊かな感性を育む種なのです。



【ブックリスト】

あかいふうせん/イエラ・マリ

りんごとちょう/イエラ・マリ

バートンズののりものえほん/パイロン・バートン

じぶんでひらく絵本シリーズ/H.A.レイ

くつくつあるけのほんシリーズ/林明子

おはよう/なかがわりえこ

おやすみ/なかがわりえこ

いやだいやだの絵本シリーズ/せなけいこ

おやすみなさいおつきさま/マーガレット・ワイズ・ブラウン

松谷みよ子あかちゃんの本シリーズ/松谷みよ子

はけたよはけた/かんざわとしこ

おやすみなさいコッコさん/片山健

クリスマスの三つのおくりものシリーズ/林明子

とんことり/筒井頼子

アンガスシリーズ/マージョリー・フラック

ノンタンあそぼうよシリーズ/キヨノサチコ

こぐまちゃんえほんシリーズ/もりひさし

もこもこもこ/谷川俊太郎

がちゃがちゃどんどん/元永定正

もけらもけら/山下洋輔

ぶたたぬききつねねこ/馬場のぼる

できるかな?あたまからつまさきまで/エリック・カール

かくしたのだあれ/五味太郎

たべたのだあれ/五味太郎

ぐりとぐらシリーズ/なかがわりえこ

もりのおくりものシリーズ/たるいしまこ

ぜんべいじいさんのいちご/松岡節

ひとつぶのえんどうまめ/こうみょうなおみ

ぐるんぱのようちえん/西内みなみ

かばくん/岸田衿子

ヒッポくんのおひっこし/ハリエット・ジィーフェルト

ヒッポくんのいもうと/ハリエット・ジィーフェルト

くろねこかあさん/東君平

やさしいライオン/やなせたかし

ちびゴリラのちびちび/ルース・ボーンスタイン

仔牛の春/五味太郎

だるまちゃんシリーズ/加古里子

ねずみくんの絵本シリーズ/なかえよしを

おおきなかぶ/A.トルストイ

はなのすきなうし/マンロー・リーフ

あらいぐまとねずみたち/大友康夫

こぶたがずんずん/渡辺一枝

おかあさんの目/あまんきみこ

おかあさんどーこ/ローナ・バリアン

わたしのワンピース/にしまきかやこ

まりーちゃんとひつじ/フランソワーズ

まりーちゃんのくりすます/フランソワーズ

マイク・マリガンとイチームショベル/バージニア・バートン

はたらきものじょせつしゃけいてぃー/バージニア・バートン

ちいさいケーブルカーのメリーベル/バージニア・バートン

しょうぼうじどうしゃ じぷた/渡辺茂男

スモールさんシリーズ/わたなべしげお

クシュラの奇跡/ドロシー・バトラー

うんがにおちたうし/フィリス・クラシロフスキー

かもさんおとおり/ロバート・マックロスキー

クリスマスってなあに/ディック・ブルーナ


ことばの種まき1の中で紹介されている絵本です。

様々なジャンルがピックアップしているようです。

すべてが小学校の読み聞かせに適している絵本とは言えません。

すべてが赤ちゃんが喜ぶレベルては思えません。

でも、どれも一読の価値があると思います。


55作品・シリーズのうち、24冊は記憶があります。

まだまだ読んでいない本がたくさんあります。


イエラ・マリ、ロバート・マックロスキー、バージニア・バートンの絵が好きです。



あたしもびょうきになりたいな

フランツ=ブランデンベルク, アリキ=ブランデンベルク, ふくもと ゆみこ,
Aliki Brandenberg, Franz Brandenberg
あたしもびょうきになりたいな!

32P/24cm/偕成社/1983年初版/読み引き科背にかかる時間-4分/季節-病気の流行する季節に読みたいので、冬!


エドワードが病気になりました。おかあさんもおとうさんもおばあちゃんもアンおばさんもピーターおじさんも、みんなエドワードの看病に夢中です。元気なエリザベスは、着替えてベッドを整え学校へいかなければなりません。ピアノの練習や宿題、お皿洗いに金魚や亀の餌もあげなくてはなりません。思わず、エリザベスは叫びます。


「あたしも、びょうきに なりたいなぁ!」


何日かしたら・・・エリザベスは本当に病気になりました。周囲の人はエドワードにしたのと同じようにエリザベスの看病をしてくれます。夕方になるとエドワードがやってきて、今日一日、何をしたかをエリザベスに教えてくれました。それは、エドワードが病気の時にエリザベスがした事ばかりだったのですが、エリザベスは


「ずるいなぁ、もぅ!」

「エドワードばっかり いろんな ことができて。」


と悔しがります。またまた、何日か経つとエリザベスすっかり元気になって、日常を取り戻します。エドワードと一緒におかあさんやおとうさん、おばあちゃんにアンおばさんとピーターおじさんにお返しをしました。(おしまい)


元気一杯の子どもたちは、時々病気になって学校を休み、大切にされている兄弟を見て、うらやましくなったりします。本当は熱があって頭が痛かったり、咳や鼻水が出で苦しかったりしているんですけど、そういうのはなってみなくちゃ判らないものですよね。何よりも、少し良くなってきた時にじっとベットの中に居なきゃならない事や誰も話し相手がいなくて一人ぽっちな時は、本当に情けないものです。オリザベスの気持ちを味わったことのない人はいないんじゃないでしょうか。


病気になったときのエリザベスのぐったりした様子も、ちょっと可哀想だけど、絶対にありそうな感じで思わす笑えてしまいます。1月2月は、風邪やインフルエンザが大流行する時期です。病気にならないように、しっかり予防しましょうね。

おおかみと七ひきのこやぎ

グリム, フェリクス・ホフマン, せた ていじ
おおかみと七ひきのこやぎ―グリム童話

32P/22×30/福音館書店/1980年/読み聞かせにかかる時間-7~8分程度/季節-通年



お母さんは、七匹のこやぎたちに向かって


「おおかみには気をつけるんですよ。」と言って出かけます。



しばらくすると、おおかみが「お母さんですよ。」と言いながら戸を叩く。


子ども達は、おおかみのしゃがれ声に気づいて戸を開けない。


すると、オオカミはチョークを飲んで、声をきれいにする。


子ども達は、戸の隙間から見た手が黒いのでおおかみだと見破る。


すると、おおかみは粉屋に行って、手を白くする。



そして、とうとう子ども達はだまされておおかみに食べられてしまう・・・。



あまりにも有名なグリム童話です。


多くの訳者が邦訳し、挿絵を書いています。


絵本の中では、福音館のせたていじ訳/フェリックス・ホフマン絵が


最も原作に近い気がします。


ただ、最後におおかみが井戸に落ちる場面で・・・



  おおかみ、 しんだ


  おおかみ、 しんだ



こやぎ達がうれしそうに連呼する場面があるんですね。


本当の昔話を小さい頃からたくさん聞いている人たちにとっては


怖い化け物=おおかみが、大好きなお母さんのお陰で完膚なきまでに


叩きのめされ、二度と恐怖におびえる事はないという


単純な子どもの心理に働きかけた優れた童話だということが


判るのでしょうが、、、



意外に、単なる残酷物語ととらえる保護者が少なくありません。



きれいなだけのアニメ絵本やすべての生き物が仲良しという風潮を


助長する作品が氾濫している弊害でしょう。


小さな子ども達にとっては、お父さんとお母さんは絶対的に善の存在なのです。


おおかみやかちかち山のたぬきなどは、家庭を破壊する悪の存在の象徴です。


現実空想の区別があいまいな小さな人にとっては、


単純明快に善悪を判断できる物語でなくてはならないのです。


そうでないと理解できないというべきでしょうか。


悪い事をしても反省すれば許されるというのは大人の理屈です。


小さい人にとっては悪い事は、ただ、単純に悪いのです。


まずは、善悪というものを理解してから、


反省することや仲直りするという事を学ぶのです。



小さい人ほど、悪は完膚なきまでに滅びなければならない存在なのです。


そういうことを理解し、そういう経験を経て


アニメ絵本や創作童話を読むようにできればいいと思います。



ディズニーのアニメ絵本やキャラクター絵本、


昔話や童話を脚色した創作童話などは


本物を知った後で、手に取るようにすれば良いのです。

さつまのおいも

中川 ひろたか, 村上 康成
さつまのおいも

32P/21×23/童心社/1995年初版/読み聞かせにかかる時間-2分位/季節-いも堀りの季節だから秋ですね。



   おいもは つちのかなで くらしています


この絵本の中では、おいもは人間と同じような暮らしをしています。


  ごはんもたべるし


  はもみがきます。


これを聞いて、男の子達は「え~、うそだぁ。」と言います。


  トイレにもいくし


  おふろにもはいります


今度は女の子達から「信じらんな~い。」という声が聞こえてきます。


擬人化されたおいもたちは、規則正しい生活をして体を鍛えます。


人間の子ども達がおいも堀りにやってくるからです。


必死で綱引きをして頑張りますが


人間にはかないません。



  スッポーン


と抜かれて焼き芋にされて食べられてしまいます。


たくさん焼き芋を食べた子ども達からプーがたくさん出ました。



  はっ はっ はっ


  わたしたちの かちで ごわす



「薩摩芋」ですから、薩摩弁、最近気づきました。


ともかくも、勝ったのはおいも達だったようですね。


めでたしめでたしです。



この絵本はピーマン村シリーズの中の一冊です。


どの作品も村上康成のわかり易い色彩の絵で


このシリーズは、幼児に好まれていますが


中川 ひろたか, 村上 康成
みんなともだち

『みんなともだち』あたりは、割と年齢が上でも


訴えられるものがあるように思います。




1・2年生あたりだと「おなら」が大好きです。


せいかつ科の時間にさつまいもを育てたり


焼き芋大会をしたりする学校もありますから


秋になったら低学年に読んであげたい絵本です。



誇示的な意見ではありますが、


ピーマン村シリーズの中では、


『さつまのおいも』は、


ピカいちのオススメ絵本です。

ルピナスさん

バーバラ・クーニー, 八木田 宜子ルピナスさん

32P/21×27/ほるぷ出版/1987年初版/読み聞かせにかかる時間-11~12分程度/季節-通年だけどできれば開花期の春がいいかな。


ルピナスさんは子どもの頃はアリスという名前でした。


アメリカに移民してきた家族の一人だったのです。


昼間は祖父の仕事を手伝い、夜は祖父から色々な話を聞くのが楽しみでした。


アリスは、大きくなったら遠い国に行き、


おばあさんになったら海の近くに住みたいと祖父に話します。


すると祖父は「もう一つ、世の中を、もっと美しくするために何かしてもらいたい」と


アリスに頼みます。意味は判らないけれどとても大切な事だと思ったので


アリスは「いいわ。」と約束をします。



約束通り、アリスは成人して外国を旅して周り、年をとると海辺の家に落ち着く事になりました。


海を眺めながらミス・ランティアス(大人になったアリスはこう呼ばれていました)は


外国にもたくさん行ったし、年をとって産み紅住むこともできた。


でも、どうしたら世の中をもっと美しくできるのでしょう。


おじいさんとの約束で一番難しいものが残ってしまったのでした。



ある年の春、陰下に咲いたルピナスの花を見たミス・ランフィアスは


ルピナスの花の種をたくさん注文しました。


夏中、散歩をしながら村のいたるところにその種を蒔いたのです。


翌年の春、村中がルピナスの花で溢れました。


それからも毎年、こぼれた種が芽を出し、村は益々ルビナスで一杯になります。


おばあさんになったミス・ランティアスは、今ではルピナスさんと呼ばれています。



淡々と、一人の女性の生涯を絵本にしたお話です。


その語り口と緑あふれる挿絵は、自然を愛し美しいものを愛する


作者の気持ちが非常によく現れています。


そして作者が最も愛したのは、自然とともに生きている人間なのでしょう。


ドナルド・ホール, バーバラ・クーニー, もき かずこにぐるまひいて

という作品も、淡々とした一家の物語を書いてあります。


特別に面白い事が起るわけでもなく、事件もありません。


日々は単調に過ぎてゆきます。


一年が過ぎると、次の一年は同じことを繰り返すのです。


でも不思議なことに、全く同じ日というのは一日たりともないのです。


一瞬を大切に一生懸命生きている人々の普通の暮らしを


暖かく愛情をもって見守る絵本なのです。


なんというか、平和や平凡が一番幸せだなと想わせてくれる絵本たちです。

かにむかし

木下 順二, 清水 崑
かにむかし―日本むかしばなし

44P/33cm/岩波書店/1976年初版/読み聞かせにかかる時間-11分くらい/季節-昔話なので通年ですが、強いて言えば・・・柿の実の熟れる秋ですね。



蟹が丹精込めて育てた柿の実を猿が横取りした挙句、


青い実を投げて蟹を殺してしまいます。


蟹の子たちは、母蟹のあだ討ちを計画し


ぱんぱん栗に蜂に牛の糞、はぜ棒と石臼が仲間になり


結託して猿を退治するという勧善懲悪の典型ともいえる


非常にメジャーな昔話の一つ。



方言や旧い言い回しが随所に出ているのだけど


昔話というのは、そういうものという感じがして


全然違和感がないのが凄いですね。


何回も読み込むうちに、語り口調が無意識のうちに


『日本昔ばなし』の市原悦子風になってしまうのが


自分の年代を彷彿させてしまうあたり、ちょっと悲しいです。


読み聞かせ仲間で井戸端会議をしていると


子どもがこの絵本が大好きで、毎日読まされたとか


図書館に行くと毎回借りるので、買ってしまったとか


べたべたな昔話なのに今でも子ども達には


根強い人気があったりしています。


こんな小さな子どもでも、


無意識のうちに日本らしいものに惹かれるのね


と不思議がったり、面白がったりしています。



そんな中で数人の方から指摘があったのが


絵が見開きになっているのに、


ストーリーが次のページに書かれている箇所です。


一番の見せ場なのに文章を読もうとすると


ページを繰らなきゃならないのよねぇ。との事です。



多くの読み手さん達は、このページだけは暗記したり


本文をコピーして、絵をみせながら読んだりしているそうです。



ちょっとした工夫や手間をかけることで


臨場感が格段にあがるので


少しだけ頑張ってみましょう。



どうぞのいす

香山 美子, 柿本 幸造
どうぞのいす

32P/25×21/ひさかたちゃいるど/1981年初版/読み聞かせにかかる時間-3~4分/季節-秋


うざさんが作った小さないすは、「どうぞのいす」とかいた立て札と一緒


に大きな木の下に置かれました。



最初にこのいすをみつけたのはろばさん。


どんぐりの一杯入ったかごをいすの上に置いて


木陰で昼寝をしてしまいました。


次に、どうぞのいすを見つけたのはくまさん。


「どうぞならば遠慮なく・・・」と言って、


ろばさんのどんぐりを全部食べてしまいました。


気のいいくまさんは「後の人にお気の毒」と言って


自分が持っていた蜂蜜を置いてゆきました。


こうして、きつねさんやりすさんが訪れて


ろばさんが目を覚ましたときに、いすの上にあったものは・・・。


というお話です。


どうぞと言われて、おいしいごちそうを頂くのは


誰だってうれしいものです。


しかも、その気持ちを次の人にも。。。と思う優しい心。


優しい色合いの優しい動物達の絵本です。



この絵本は、秋の食材を使っていますが、


似たようなお話だけど冬に読みたい絵本が


『しんせつなともだち』です。


方 軼羣, 君島 久子, 村山 知義
しんせつなともだち

28p/20×27cm/福音館書店/1965年初版/読み聞かせにかかる時間-4分程度/季節-冬



寒い冬は食べるものがとても少ないのです。


その少ない食べ物を友達同士で譲り合うお話です。


最近の家庭では兄弟が少なくなっているので


おやつを分けたり取り合ったりすることも少なくなっています。


ご近所づきあいが希薄になって


「おすそ分け」という言葉も、死語になりつつあります。


おすそ分けとか分かち合いとか、ひと昔前までは


当たり前だった美しい日本の生活習慣を


次の世代に伝えられるように親である私達が


ご近所づきあいを大切にしなくちゃいけませんね。


村山 桂子, 織茂 恭子
おかえし

32P/20×27/福音館書店/1989年/読み聞かせに罹る時間-9分程度/季節-いちごを摘んでいるから春(引越しが春に多いからとも言えるかな?)


まぁ、この絵本ほど頑張る必要はないと思いますけどね。