新アルバムのコンセプトを忠実に視覚化したステージを見てみたい。でも、やっぱり定番の曲、久しぶりの曲、バキバキの曲たちも楽しみたい。そんなファンの(つまり私の)わがままな要求をかなえてくれたライブではあった。

だが、何か満足しきれないところがあった。なんだろう? きっちり作り込まれているぶん、情報過多というか、「あそび」「ゆとり」が足りないのか? メンバー3人と観客との親密さ、一体感が過去のライブと比べてやや希薄なのだろうか?

「耳で聴いていただけではあまり好きとはいえなかった新アルバム収録曲が、ライブステージを見て一気に魅力を増した」みたいな経験(前回のPLASMAツアーのときのハテナビトのような)も初日は該当なし。ただ、このへんはツアーを見続けているうちに印象が変わる可能性はある(今までのように)。

 

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ぴあアリーナMMのスタンド最前列はスタンディング禁止。それは知っていたが、ツアー初日に最前列が当たるとは思わなかった。前方の視界は開けているが、Perfumeのライブで立ち上がれないというのは“生殺し”状態だ。観覧中に一滴の汗もかかなかったというのも初めてかもしれない。

場内に響く爆音は健在だが、4階席のせいか、音がひずんだり3人の声が聞き取りづらかったりする場面もあった。Lサイドのだいぶステージ寄りだったので、角度がきつくモニターなどがかなり見づらい。2日目もPゲート入場なのでスタンド確定だが、初日とは違った位置から眺めたい。

似たような曲調のイケイケ曲が多く、1曲1曲も短めなので、意識の表面をサラサラと流れては過ぎ、心に引っかからない。ハートにズキン、とならない。わくわくが行方不明さ。

 

演奏時間は時空花を除き3分台半ばくらいまでに収まっている。収録曲数10曲、総演奏時間35分25秒はPerfumeのアルバム史上最少。LEVEL 3は14曲64分40秒、Cosmic Explorerは14曲58分30秒だったのだが、もうそんな時代じゃないのだろうか。

 

LEVEL 3リリース時、中田ヤスタカ氏は「長い曲はその長さに意味がある」「このご時世、何かしながら音楽を聴くことが普通になっているけれど、本作は時間をかけて聴いて欲しい。集中して聴くことで見えてくるものや聞こえてくるものがある」とコメントしていたとか。とすると、本作は「ながら聞き」向けなのか(そんな感じもする)。

 

前作PLASMAの1曲目Plasma、Future PopのStart-Upのようなアルバムのオープニングテーマ(序曲)がなくなったのは何故か。

 

アルバムに先行して発表されていた曲はラヴ・クラウドとすみっコディスコの2曲のみ。PLASMAは12曲中5曲だった。すみっコディスコが収録され、Moonが外れた理由が理解不能だ。

 

時空花はツアーのエンディング曲になる予感。

 

"P.T.A."会員限定盤には初回限定盤の特典Discが付いていないことに開封後に初めて気づいて凹む。値段を上げて3枚組にするか、ホールトゥワーのDiscだけ会員向けに別売すればいいのに。

 

ディスクとバッジが収められていた紙製ケースとプラ製ケースを捨てるか、取っておくべきか、悩む。

 

ブックレットに記されたNEBURAの物語はそれなりに楽しめたが、アルバムの解釈を一方向に誘導されている気がする。

 

Cosmic Treatのミュージックビデオもそれなりに楽しめた。1:48あたりのあ~ちゃんの表情が好き。

 

その後、StyxのMr. Robotoのビデオを思い出して見たのだが、ロボット風の仮装が今見ると嘘みたいに安っぽくてびっくりした。

 

というわけで、このアルバムを引っさげた12月からのツアーを楽しめるか、とても心配だ。今回に限ったことではないが。

昼ごはんは1人で洋食屋さんへ。時間が遅めのため、店内はそれほど混んでいない。店員さんが水を持ってきてくれたので、メニューを見ながらシーフードグラタンを頼む。

 

スマホをいじりながら料理が届くのを待つ。10分、15分。グラタンはオーブンで焼くから時間がかかるのかな。20分、25分。これは…久々のアレだな。

 

30分近くたったところで、店員さんに声をかける。「私の注文は通っていますか」。店員さんがいったん引っ込んだ後、メニューとオーダー端末を持って戻ってくる。「申し訳ございません。もう一度ご注文をお願いします」。やっぱり、な。「もう、いいです」と言って席を立つ。

 

今さら別の店で食べ直す時間がないので、そのまま会社に戻る。きょうは昼ごはん抜きだ。

 

飲食店で注文した品が提供されていないことをオーダー抜けというらしい。前回オーダー抜けを食らったのはこのときだったから、ざっと5年ぶりか。内心はプンプン丸だったが、なるべく顔に出さないようにこらえたよ。年を取ってから大事なのはアンガーマネジメント。

昨日、期限ギリギリで会費を払って更新。そしてきょう、P.T.A. BOOK 2023が届きました。

 

ぱらぱらめくるうちに目に入ったのが、P65の『「P.T.A.」に聞いたライブ参戦前必聴ソングTOP8!』、ではなくて、その下の〈番外編TOP3!〉。

 

P.T.A.継続年数11年~15年の1位はGLITTERではあ~りませんか! 13年生も激しく同意。

 

逆に驚くのが、継続年数1年~5年の1位のナナナナナイロ。私の中での優先順位は決して高いとは言えない曲なのだが…。世代ギャップなのだろうか。

パフュ検の結果が届いた。58点(ぱふ)。当然、LIQUIDROOMの参加資格なし。

 

受験時は終了ボタンを間違えて早々に押してしまい、時間が結構余っていたのに見直しや訂正が一切できなかった。とはいえ、ボーダーラインは70点あたりらしいので、正答数をあと3つ4つ増やしたところで届かなかったな。

 

振り返ると、2015年のP.T.A.サミットのときは、個人的にPerfume熱が一番高まっていたころだった。最近は熱量がだいぶ落ちてきたことが否めないので(とはいえライブ観覧の頻度は相変わらず常軌を逸しているが)、相応の「報い」なのかもしれない。

 

それにしても、この無念さは暫く尾を引きそうだ。P.T.A.の更新期限が今月末なのだが、腹いせにもう少し放っておく(最後は絶対更新するけど)。

座席は2階スタンド1列270番台。のっちサイドで、目の前がほぼ出島の位置。

 

1列目はスタンディング禁止かと思ったら、2階は立ってもいいらしい(3階と4階は禁止だったような)。ただ、前方のフェンス(手すり)が高さ80センチくらいしかないため、長身族としては態勢を崩すとアリーナに落下しそうで怖い。

 

結果、あのFAKE ITのときもジャンプは自粛し腕を突き上げるにとどめる。隣席との距離も前日のアリーナより狭かったような。

 

通常のライブより随分遅い時間帯、そして大晦日とあって、会場には開演前からふだんとは違う高揚感が漂っていた。アリーナでは数人の男性が早々に立ち上がって周囲の観客に手拍子を促している。私の隣の隣の男性が叫ぶ「かしゆかー」という声援が耳に刺さる。

 

セットリストは前日とほぼ同じだったような。カウントダウンの後の新年1曲目は、前日のセットリストに入っていなかったSpring of Life。生で見るのは久々な気がするし、前向きな曲なので新年にふさわしいとは言える。

 

ただ、5年前のカウントダウンライブと比べてしまうと、会場から紅白の生中継はないし、ドコモの5Gを使ったLEDライトの演出もないし、というわけで、特別感が薄く思えてしまう(あのときの「天空」は、旅行先の台湾でスマホの小さな画面で見ただけでも、心がざわざわするような感動を覚えた)。

 

SoLの曲中に、大方の予想どおり天井から銀テープが振ってきた。スタンドとはいえ1列目なので、腕を伸ばせば届きそうに思えたのだが、もう少しのところで取り損ねた。

 

この日はP.T.A.限定ライブだけあって、アリーナの観客の曲に合わせた手の振り方などがいつも以上に揃っていて壮観だった。曲の間奏部分の「お決まり」ところで、「ワー」とか「イェー」とか「ウォー」みたいな歓声が毎回上がるのも久しぶりな気がした。

 

さらなる精鋭たちに囲まれて、しかももっと小さな会場でライブを見られる機会があるとすれば、2月のLIQUIDROOMしかないのだが、先日の検定試験が不本意な出来だったので、「9年前の再来」とはなりそうにないな。

今回の公演は6月のロンドン公演をアップデートした再演、とあ~ちゃんが言っていた。ロンドン公演はディレイビューイングで見たが、すでに記憶が曖昧で、この日の公演のどのあたりがロンドン公演と同じで、どのあたりがアップデートされたものか、定かではない。

 

ステージ構成や演出がシンプルなのは各地での海外公演を思い起こさせる。一方で、ステージ背後に映し出される映像は、これまでの国内公演にも増して鮮やかかつ精巧で、それだけで鑑賞に値する。

 

観客の盛り上がりは上々と言っていいだろう。ただ、私自身はいまひとつ乗り切れなかった気がしたのはなぜか。冒頭はよかったのだが、途中から失速した感じ。セットリストとの相性もあったのか。

 

座席はアリーナ20列60番台という好位置。我々のブロックの隣がVIP席で、そのすぐ横が出島だった。

 

MMのアリーナ席は折り畳みパイプ椅子ではなく、スタンド席と同じような横につながった座席だった。ドリンクホルダーはなぜか座席の左側に配置されているようだ。

 

公演時間はちょうど2時間ほど。ワンマンライブとしては過去最短レベルではないだろうか。ただし、この日はMCがこれまた過去最短レベルだったので、曲目実演時間はいつもと同じくらいだったかもしれない。

 

終演後は規制退場ではなく即退場可。当時のブログを読み返したら、2022年1月の[polygon wave]のときは規制退場だった。規制退場でなくても、Perfumeの観客は整然と退場できるので偉い。

ニューアルバムを引っ提げた全国ツアーが新たな驚きと感動の場だとすれば、ファンクラブトゥワーはただただ楽しいひとときだった。2時間半近い公演中、ずっとニヤニヤが止まらない。周りのお客さんも、みんなそんな感じだった。このところ下がり気味だった私の中のPerfume熱が、またぐっと高まった。

 

いきなりのMoonで始まった後は、ファンのリクエスト結果を反映したレア曲や久しぶりの曲が多め。Moonとラヴ・クラウド以外にも、ファンクラブ歴11年半にして生で初めて見る曲が2曲。透明人間のフルバージョンも初披露された。

 

久々の声出し公演とあって曲が多めな分、ファンクラブトゥワーにしてはMCが短めだった。最初のほうで話していたのが、この日の3日前の3人の過ごし方。広島入りした後、かしゆかがCasa BRUTUSの取材に出掛けている間、あ~ちゃんは地元の友人とその子供とともにゲームセンターに行ったり温泉に入ったり。一方、のっちは2時間だけお母さんと行動を共にしたものの、その後はホテルの部屋にこもってYouTube三昧という、ファンの期待を裏切らないグダグダぶり。これにはかしゆかも「時空がゆがむくらい過ごし方が違う」と苦笑いしていた。

 

アンコールではかしゆかがへそ出しで登場。あ~ちゃんによると、かしゆかの腹筋の鑑賞代はチケット料金に含まれているとのこと。

 

最後がwonder2というのも、よかった。あ~ちゃんが客席に向かって繰り返し「歌って」と言い、客席の「ラー、ラー、ラー、ラー」という声がだんだんと大きくなった。Fan Service bitterの世界…。

 

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座席は1階3列目の下手寄り。ステージがとても近いが、少々近すぎて右前のお父さんの頭が視界を遮る。その隣は小学生の息子さん。小さいのにPerfumeの曲をよく知っていて感心だ。

 

ずっと飛び跳ねていたせいもあるが、随分と汗をかいた。会場内の気温が高めだったのかもしれない。音響はイマイチで、曲中に音が何度も歪んだ。

 

ちなみに、上野学園ホールのトイレはウォシュレットではない。

 

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広島の街は外国人観光客、それもアジア系ではなく白人が目立った。私が泊まったホテルのロビーでも、たぶんアメリカ人の団体客がチェックインを待っているのを見掛けた。前に来たときは、これほどではなかった気がするが。

 

公演翌日、そごう広島店10階で昼ごはんを食べた。隣のテーブルで地元の年配客3人が談笑していた。あ~ちゃん以外の人の口から発せられた生「じゃけぇ」を初めて聞いた。

 

そごう広島店1階にて

その昔、アイドル・南野陽子(以下「nanno」)がお気に入りだった。CDを買ったこともなくコンサートに行くことなど考えたこともない、ごくごくライトなファンだったが、歌番組で姿を見るのが楽しみだったし、フジテレビのドラマ「あいつがトラブル」は毎週録画していた。

 

日曜夜はニッポン放送「ナンノこれしきっ!」に耳を傾けた。スポンサーはオンキヨーで、番組中のCMで使われていたnannoの曲がタイトルもわからないままずっと脳裏に残っていた。

 

それから十数年たったころだろうか。ふと思い立って地元の公立図書館でnannoのCDを何枚か借り出し、あのCMの曲が5thアルバム「GLOBAL」(1988年7月リリース)収録の「SPLASH」であることを探り当てた。

 

(背後にNYワールドトレードセンター・ツインタワーが見える)

 

さらに十数年が過ぎてまたもやふと思い立ち、2、3週間前からSpotifyで「GLOBAL」をよく聴いている。ほかのアルバムも聴いたが、「GLOBAL」が私の好みに一番合う。1曲目の「Hello! Goodmorning」の切ないほどの懐かしさ。シングル曲「あなたを愛したい」は納得のクオリティー。

 

そして2曲目の「月のファウンテン」。歌詞を見ながら何度か聴いているうち、冒頭の「月がきれい」の意味がわかったような気がして“はっ”とした。歌詞は以下のように続く。

 

「月がきれい」

夜空を語るように

想う気持ち

伝えたいの

 

そこで思い出したのが、漱石にまつわる話だ。

 

小説家・夏目漱石が英語教師をしていたとき、生徒が " I love you " の一文を「我君を愛す」と訳したのを聞き、「日本人はそんなことを(直接的に)言わない。(直訳ではなく意訳して)月が綺麗ですね、とでもしておきなさい」と言ったとされる逸話

(ピクシブ百科事典「月が綺麗ですね」より)

 

歌詞が暗示している「月がきれい」=「あなたが好き」という連想は漱石の逸話と同様だ。歌詞はさらに続く。

 

好きと言わない あなただから

 

日本男子は今も昔も「好き」なんて簡単に言わないのである。

 

作詞の平出よしかつ氏が漱石の逸話を意識していたかどうかはわからない。むしろ意識していなかったほうが、「月がきれい」=「あなたが好き」という連想の普遍性を裏付けるようで興味深い。

 

ところで、先ほどの漱石の逸話は、裏付けとなる資料が存在せず、作り話である可能性が濃厚らしい。その幻の資料を題材にしたのがドラマ「相棒」season13の第12話 「学び舎」であった。

ライブビューイングだし、しかもディレイだし、客席の盛り上がりに欠けるのは予想の範囲内。一番の原因は私を含む観客のシャイさなのだが、興行側ももう少し工夫してほしい。事前に声出しOKだとはっきり案内するとか、スタンディングを認めるとか、前半分は着席で後ろ半分はスタンディングにするとか。

 

いっそ、ライブハウスのステージ上に大スクリーン(または大画面モニター)を設えて、観客はオールスタンディングというのはどうだろう。小ぶりなハコに定員ギリギリまで詰め込むもよし。もちろん、音響は重低音ブリバリで。そのくらいしないと、日本人はライブビューイングで弾けないと思うよ。

 

とはいえ、左隣のお姉さんは私と同じくらい「あ、あ、あああ」や「ディスコ!」や外内外外をやっていたし、2列くらい後ろの男子たちは結構声を出していた。右隣の男はポップコーンをむしゃむしゃ食べてたけど。

 

新曲のlove cloudはどことなく80年代シティポップの香りがするようで正直微妙な印象。振り付けがキュートで、ライブ映えしそうではある。まあ、聴き慣れて(というか、見慣れて)いくうちに個人的評価が上がるという、いつものパターンをたどりそうな気は大いにするが。

 

Perfumeの掟のパフォーマンスは2010年東京ドームの発展的再現といったところ。10人のかしゆかを知っている現地観客はどのくらいいたんだろうか。私はたまたま一昨日にこんな動画を見たばかりだったので、「バッテリー切れ」の場面でちょっと泣けた。