ベイルートの国立美術館に入りました。レバノン国内で発掘された遺跡を展示しています。





館内はノーフラッシュならすべて写真撮影OK!日本と大違い。笑






シリアは先日の空爆やその前のISIS残党による襲撃に見られるように、まだまだ治安が安定しておらず、盗難の可能性を拭えないため写真はNGなのでしょうが、ベイルートはEU同様いくらでもOK!






日本の美術館はなんでアレほどまでに写真撮影を拒むのですかね?少しでも近づいたら、スタッフがエライ剣幕で上から物言いするのを見たことありますが、あれがムカつくので私は日本の美術館へ行かないのです。笑






しかも、日本の美術館の各部屋でボサッと座ってるスタッフは、作品のことを聞いてもほぼ何も知らない。せっかく長い時間そこにボケっとしていられるのだから、少しはその作品や作者についての知識を身に着けたら?






そういえば、横浜のどこの美術館だったかな?馬車道の神奈川県立だったかな?一昨年くらい、フリーチケットをもらったので母と訪ねたのですよね。






古代日本の農耕器具か何かの前で「これなんだろね?どうやって使うんだろね?」と二人で立ち止まって話していたら、後方から「これは、、、」と明るく積極的に声をかけ、わかりやすく説明をしてくれたスタッフの方がいました。






美術館のスタッフは、コレを目指してくれないかな。ただモサッと座ってんじゃなくてさ。





と、愚痴が止まらないのでここらへんでやめておいて。笑






ベイルート国立博物館の展示物はダマスカス同様に歴史の深さハンパなく、しかも自国からの発掘のみ。英仏独の盗品美術館とはワケが違います。ここもフェニキアン、ロマン中心にすごかった。




大変貴重なものが多いため、内戦時はすべての小物作品は地下へ、大物はコンクリで覆い、命がけで守ったそうですよ。





ダマスカスもそうですが、こういった遺品は前世から後世へしっかりと引き継ぐべき価値のある歴史の魂ですので、守るのも必死ですよね。





イラクのバグダッドにある国立美術館は相当数が盗まれてしまいましたね。盗人の中には英米軍人も。お前らホント、マジフザケンナよ。
一昨年までに英米から数万点か返却されましたが、それでも多くが不明のまま。




それでは早速ご紹介します。こちら、ダマスカスでスタッフに写真を撮ってもらったものとほぼ同じですね。アキレウスの伝説が描かれた大理石の石棺。




これはレバノンのティルス(現在のスール)で発掘されました。紀元前2世紀のものです。前面は、フェニックス、ユリシーズ、アガメムノンに囲まれています。裏面は、プリアモスがアキレスの前に跪いて手にキスをしていますね。側面は、戦争への呼びかけを聞いたアキレスが鎧を身に着けるシーン。




因みにアキレス腱のアキレスとしても有名です。






ローマ時代のFunerary stele(墓石)。ビブロスで発掘されたライムストーン製。




ビブロスはこちら。





こちらのモザイクは4世紀のバールベック。アレキサンダーの誕生を描いたものです。




バールベックはこちら。

大理石の彫像。ローマ時代のティレル(現スール)です。明日、行くつもりです。(結局行かなかったのだけど)




こちらも大理石。ビブロスから二世紀のもの。




こちらのモザイクは3世紀、ビブロスです。フェニキアの少女エウロパと彼女をクレタ島まで運んだゼウス(雄牛に変身?)を描いています。




行かれた方はご存知でしょうが、ビブロス遺跡は今、(13年前もすでに)ほとんど崩れてしまって原形を留めておらず、「海沿いにある石の転がった公園」なのですよね。




なので、こんな素晴らしいスタチューやモザイクがあったのかと思うと、とても感慨深いです。




こちらはパンサーに乗って酔っ払っているサイレヌス。こちらもビブロス、三世紀。ワイン片手に見事に酔っ払ってますね。ちょっとよくわからないのですが、サイレヌス(Silenus)はワインの神だったのかな?ローマ時代は裕福な家の装飾にはよく使われていたそう。




中心となるモザイク画も美しいのですが、額縁のような、この回りのモザイク・デザインも素敵なのですよ。








こちらは、この美術館も秘宝中の秘宝。紀元前10世紀のビブロスキング・アヒラムの石棺です。




蓋のサイドにはなんと、最古のフェニキア文字の碑文が刻まれています。




ちょっと分かりづらいですかね。フェニキア文字殆どが網羅されているらしい。あぁ、私もスラスラ読めればなぁ。。





これはベイルートで発掘されたロマンのイーグル。何を捉えているのかな?魚?ヘビ?




こちらはスフィンクスと巨像。スフィンクスは紀元前ウム・エル・アメドというティレルより南の遺跡。巨像はビブロスですが、いつのものか不明なくらい古いのだそう。




こちらは双頭牡牛ですね。サイダ(シドン)で発掘された紀元前5世紀のもの。イランのペルセポリスにも同じものがありました。兄弟かなあ?ちょうどアケメネス朝時代のものですね。




ペルセポリスはこちら。

前脚にコレは何だ?人の形をしていますね。アスタルテの玉座、ウル・エル・アメド(Umm el Amed)出土。ヘレニズム期のものです。




ブロンズのフィギュア。ビブロスから発掘の青銅器時代のもの。これ、多く出土するのですけど、何に使ったのかイマイチよくわからない。子どものおもちゃではないんだよなあ。。




これらはビブロスのオベリスク神殿から出土。青銅器時代は、石器時代のあと。銅器時代後期メソポタミアのウルク(イラク)が有名ですが、後期ということはそれよりも前にすでに青銅器時代であったのでしょうから、シュメールより前かもしれない。




そもそも青銅は銅だけではなく、鉱物(スズ)や他の鉱物に含まれる成分も必要で、その時代から冶金技術があったということなのですよね。また銅は現イラン、マガンはオマーン、スズはアフガニスタンなど、あちこちから輸入する必要があり、遠隔地を結ぶ交易網がすでにあったということも凄いなと思う。





これ、よく考えたらメキシコシティの人類学博物館だったっけなあ?あそこでも同じようなもの見た。形は同じでも、あっちは粘土だったか?繋がっているのですよね。フェニキアンはとっくにメキシコまで到達していたということなのでしょう。






美しいブレスレット。





リュトン。この豚といい、帽子部分(?)の人の絵といい、これほんと珍しい。




正面からだとこんな顔。リアル。これでワイン飲むか。。笑 豚の血を飲んでるような気になるわ。爆




フクロウ?鷲?




これは櫛だったように思う。どうやって梳かすの?




これは花瓶。ベイルートで発見されたロマンのもの。よく見ると髪の毛も手が込んでいますね。シニヨン風。




小物は2階に、




大物は一階と地下にあります。こちらは人型の石棺。ちょいちょいエジプト入るのよね。サイダで発見された紀元前6世紀のもの。




こちらはティルス発見のフレスコ画で描かれたロマンの墓。2世紀。




これは近年。オスマンの葬送の石碑です。女性のお墓の特徴であるドームが冠されています (西暦 1516 ~ 1918 年)。




ちょっと盛り沢山になってしまいました。




他にも多くの遺品が展示されるこの博物館。




もう、大満足です。




ベイルートの国立博物館は、展示の仕方も上手で飽きない。





3時間ほど滞在したかな。途中で軽食買いつつ歩いてホテルに戻りました。




地中海、美しい。




雨にも当たったし、博物館帰りは暑くて汗ばんだので、(朝、シリアから入国した時は大雪だったのに。笑)シャワーへ。