バンビと6月のはじめのこと
先週の大雨で流されてきたバンビの死体。
朝、起きると暖かく、天気も申し分なし。
弟とそのガールフレンドがいる。
お布団を干し、横の川の20mほどさきを見ると、
先週の大雨で流れてきたバンビの死体がまだある。
ひょっとしたらバンビの死体ではなく、流されてきた草とか、木とか、ゴミなんじゃあないかと、ふと思う。
確認するためにかなり近寄る。
一瞬、大きな石?と思ったけど、
やっぱりそれはバンビの死体だった。
顔は水の中に沈み、背中が草にひっかかっている。
茶色の毛並みに白い斑点のある背中には蠅がたかっていた。
やっぱりバンビだったんだ。
それは、別段悲しい光景でもなく、汚い光景でもなく、
ただ、死んでいた、という風景。
天気がいいのでスティーブ・キューン・トリオの音楽を聴くと、
それは今日のために演奏されたのではなかろうか、というぐらい心地よく楽しい音楽だった。
そのあと、友達たくさんで外であそんだ。
ひとり、はだしで散歩。
足の裏から得る情報はなんておおいんだろう。
草の感触、
木道の暖かさ、
石の気持ちよさ。
ガラス片を踏んで出血。
血が石の間でダマになっている。
靴をはいて、たくさんの知るべきことを見逃している気がした。
雨の町のこと
この小さな町は非常に雨が多い。
江戸時代の著名な日本画家でさえこの町の雨の風景を描いている。
ひそかに僕は、この町を「アバディーン」と呼んでいる。
アバディーンという町は世界にたくさんあるけれど、
シアトルのアバディーンの意味でだ。
カート・コバーンが育った町。
雨ばかりの町。
僕の町にもカート・コバーンもどきが何人かいた。
カートは橋の下で暮らし、ドブくさい魚を釣ってそれを食し、体調不良を起こしたという話があるけど、
そういうエピソードが僕の住む町にもぴったりだ。
僕の家から約2km離れた橋を越えると気候が変わる。
雨の量も、雪の積雪量も。
隣町まで行けば、すっかり青空なんてこともある。
今日も家を出たら雨で、隣町はすっかり道路が乾いていた。
帰り、自分の町に入るとまた雨。
雨の町。
Rain Land。
そういった名前をつけたりしたら、少々のなぐさみはあるけれども、
ひときわ太陽が好きな僕にとっては、ただ、晴れ間がのぞくのを待つしかない。
最近のひどい雨のせいか、横の川でバンビが死んでいた。
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いいなあ、のこと
専門学校時代、
夜間学科だった僕は昼間は個人デザイン事務所でバイトしていた。
そこのデザイナーの40ちょっとぐらいのおじさんは非常に無口だった。
朝は「おはようございます」
コーヒーを淹れてあげる。
その人の好みはかなり粗挽きのコーヒー豆だ。
それに豆乳を入れる。
その後、ずっと無言でカチカチ、パソコンに向かう。
家が近くだったのでお昼は家に帰って食べる。
昼からもカチカチ、カチカチ。
時おり、データとカンプを持ってお客さんのところまで自転車で向かう。
帰ってきてから、またカチカチ、カチカチ。
夕方6時に学校があるので「おつかれさまでした」
沖縄に遊びに行くとき、しばらく休みますと言ったら、
心から、「いいなー」とポツリとその人は言った。
あるときは、
「俺、最近家庭菜園やってるねん」とさも自信ありげに言った。
またあるときは、
突然、
「あー、田舎に住みたいなー」と言った。
とても忙しいとき、
その人は何枚もプリントアウトしたページを冊子にするためスティック糊で張り合わせていた。
お客さんにそれを渡すまでの時間が全くないらしく、
ペラペラぺたぺた、ペラペラぺたぺた、ペラぺた、ペラぺた。
「あー!!」
と叫び声が聴こえたので、よくみると、
間違えて印刷されたページを糊で張り合わせていた。
無口なその人が叫んだ、その事実と、
忙しい張り詰めたテンションでのそれは、
僕にはかなりツボだったので、
後を向いて「ブーっ!!」って笑った。
笑いの神が一番好きなのはこういう瞬間じゃあないだろうか。
絶対に笑ってはいけないとき。
僕は絶対に笑ってはいけないときに、一番笑ってしまう。
ある人がとてもシリアスな状況でも、
とてもかっこつけていても、
真剣でも、
自分がそういう状況であっても、
どこかに絶対に笑いの神様はひそんでいる。
だから、世界は喜劇だなあ、と考える。
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今日は練習だったこと
月曜日、なぜか今日はバンド練習。
なまくらして、コンガは車に置いたままでジャンベだけ持って行く。
曲を合わせて初めて車に置いてきたコンガがないことにひどく後悔した。
僕のコンガは本当はトゥンバドーラで、一番音が低い。
真ん中がコンガ、一番高い音がキント。
次に買うのは、コンガかキントか。
コンガかキントか・・・
日付が変わったさきほど、
車にのりながら進行方向にはいつも月がある。
今日はちょっとオレンジで半月で、
いつもより大きな月だった。
フジロック出たかったなあ・・・
雨、本のこと
日曜日、雨、ほぼ予定なし。
本好きにとって最高の材料が今日は揃った。
手元にないのはおもしろそうな本だけ。
図書館へ行って本を物色。
日曜日なのに人は少ない。
本の世界へいざトリップ、
ガルシア・マルケスの「誘拐」という本をめくる。
コロンビアの誘拐事件の話、
暗い、重い。
その気分を今も引きずったままで、
もうすぐ一日が終わろうとしている・・・
