七、八年前だったろうか、かつて、各都道府県を代表する人物を問う全国調査(地元は除く)があった。北から、、北海道は北島三郎、大鵬幸喜といった著名人が上位に。青森県は初代若乃花に吉幾三、伊調馨など。岩手県は鈴木善幸に大谷翔平、、らが登場する。南からは、沖縄県は安室奈美恵に仲間由紀恵などの芸能人が続き、鹿児島が西郷隆盛、宮崎県が東国原(元)知事、高知県は坂本竜馬といった具合である。

 静岡県は徳川家康、山梨県は武田信玄、新潟県は上杉謙信と不動の面々だが、こと北関東になるとどうだろう。茨城県は断トツで水戸(黄門)光國であり、群馬県は中曽根康弘と福田康夫の両名が名を連ねる。こうした中、栃木県だけがどうもおかしい。空欄そのものなのだ。どうやら誰一人として基準値(最低得票数)を満たしていないらしい。北関東の中でも唯一、栄光のトップグループに君臨しているではないか。

 やはり、ここでも人物と県名が結び付かないようだ。江川卓、萩野公介=作新学院と知っていても、作新=栃木県にはならない。船村徹や売野雅勇の曲は知っていても出身地までは分からない。総理大臣でも輩出していれば話は別だが栃木県には宰相になるような悪人?は存在しなかったということか。

 この栃木県も実は民度が高い。2019年11月末に内閣府が公表した「平成28年度県民経済計算」によると栃木県の県内総生産(名目)は8兆9584億円だった。これは、我が国GDP(名目)の1.63%に相当し、全国47都道府県の中で比較すると宮城県に次いで15番目に位置する。1人当たり県民所得は331万8千円で、過去最高の全国3位にまで上昇。これは東京を除けば全国屈指の水準なのだ。2位はトヨタを中心にした世界的企業の集積する愛知県だけに特筆に値しよう。

〈栃木県に於ける県内総生産の推移〉

〈一人当たり県民所得ランキング〉
(内閣府データより)

*「所得水準たるや全国でも東京、愛知に次いで第3位であり、大阪や神奈川をも上回っていることに注目して頂きたい」

 言葉遣い(方言)も異質だ。それも、かつての東京ぼんたや、U字工事といったお笑い芸人が駆使する訛りの強いイントネーションだけではない。鑁阿寺や足利学校で有名な足利市や、ゆるキャラグランプリで日本一になった「さのまるくん」の地元・佐野市では、「行くの?」は「行くん?」、「帰るの?」は「帰るん?」、「食べるの?」は「食べるん?」といった具合になる。そう、目立った訛りもなく、あくまで関西(京都)弁そのものなのだ。

(ゆるキャラでグランプリのさのまる)
(宇都宮ベルモールにて)

 足利市は、清和源氏義家流四男・足利氏ゆかりの地で、平安時代末期には足利義兼が源頼朝の縁戚として鎌倉幕府創設に尽力し、有力御家人の本貫地として発展した。鎌倉時代足利尊氏は後醍醐天皇の討幕運動に参加し、室町時代には足利将軍家となった。足利義康の時代から絹の産地として有り、近世近代において織物業が発達した。足利学校は学生数約3000人と記録されるほど盛況を迎え、室町時代には関東の文化の中心地として栄えた。

 また、下野市の歴史も古く、奈良時代には、僧侶に戒律を授けて正式な僧侶の資格証明書である度牒を授ける戒壇が設けられた。当寺は東国の僧侶を担当し、中央戒壇(奈良の國分金光明寺(東大寺)戒壇院)と西戒壇(福岡の観世音寺戒壇院)に対して「東戒壇」とも称されていた。これらは「本朝三戒壇」(天下三戒壇、日本三戒壇とも)と総称され、国内の僧侶を統制した場所でもある。⇒[wiki引用]

(下野薬師寺の復元画像)

(資料館より)

(同市内には下野国分寺も存在した)
(下野市ホームページより)

*「境内は南北457メートル・東西413メートル。伽藍は奈良東大寺と同じ配置で、南大門・中門・金堂・講堂が南北一直線上に並び、中門と金堂は回廊で接続。塔は回廊の外側東方に設けられ、その基壇の規模から巨大な七重塔であったと推察される

 そう、このように下野の国(栃木)は日光や那須だけではない。益子焼きや宇都宮餃子だけでもない。地図の上では日本列島の中央に位置し、歴史的にも、経済・文化的にも我が国の中枢を担っていたことになる。

 でも、これでどうして魅力がないのか、認知度が低いのか。最下位になったことで全国から注目され、露出度が増えてウハウハの福田さん(栃木県知事)には、この際、人気に便乗して「那須遷都論」を復活させて貰えないものか。「邪馬台国は栃木にあった」なんて世紀の珍発見が飛び出せば話は別だが・・。う~ん😁。