厚労省の人口問題研究所によると、2045年には90%以上の市区町村で人口が減少、65才以上の高齢化率は全ての都道府県で3割を超えると予測している。総人口は約2千万人減の1億642万人である。
取り分け深刻なのは、秋田県(-41.2%)、青森県(同37.0%)、山形県(同31.6%)などの東北地方であり、高齢化率も50.1%と半数を超える秋田県を筆頭に、青森県(46.8%)、福島県(44.2%)、岩手県(43.2%)と、ここでも東北各県が上位を占める。比較的低いとされる東京都、沖縄県、愛知県でさえ30%を超えると見られている。
だが、これらも大本営発表だ。どこまで実態を反映しているだろうか。出生率も“改善”を前提にした希望的数値であり、とても信頼に足りるものではない。社会基盤の喪失たるや、この比ではないのではなかろうか。
椅子取りゲームを御存知かと思う。椅子の数を減らしつつ最後の一つを奪った者が勝つといった仕組みだ。今の日本はこれと同じ状況にある。少子高齢化で疲弊著しい中、僅かになったパイを巡っての奪い合いは、あたかもバトル・ロワイアルを見ているかのようだ。
ふるさと納税では、豪華な謝礼品を競い、勝ち組(入超)と負け組(出超)に分かれた。謝礼は納税額の3割以内になったとはいえ産品力の“地域格差”は如何ともしがたい。多少減額したところで勝つ構図に差異はあるまい。
《2019年度のランキングでは・・》
となる。営業努力の賜物であることは否定しない。福祉や教育の充実にも役立つだろう。だが、いつまで持続可能だろうか。前述の如く、この国は縮むばかりだ。減り続ける椅子の取り合いにも限界がある。一方の生き残りは、もう一方の消滅を意味する。溶け始めた氷の奪い合いは“共倒れ”以外の何ものでもない。
地方への移住促進だって同じだ。各自治体ともに減少する人口を補うべく躍起になっている。それも定住促進や出生率の向上を前提とするものではない。あくまて移住であり、大都市、ことに東京からの流入だけが頼りなのだ。
その東京も間もなく人口減少に転じる。コロナやオリンピックの動向次第では更に早まるだろう。資金の還流だけなら未だしも、人の奪い合いは、文字通り“椅子取りゲーム”であり、消耗戦以外の何ものでもないのに。
CCRC(継続的なケア付き共同体)に代表される高齢者の移住促進も然り。地方創生とは名ばかりで、体のいい厄介払いに過ぎない。地方には「医療や介護にまだ余裕がある」とするが、とんでもない認識不足だ。5年後、10年後と、行く末は地方の方が遥かに厳しい。
高齢者の地方移住で介護士を目指す若者の転入も増えるとする目論みも見当違い甚だしい。これだけ人手(介護士や看護師)不足の折、誰が好き好んで薄給の、それも過疎地での生活を選択しようか。この先、若年労働力の涸渇は深刻を極める。地方での介護従事に期待を寄せる前に、プラチナと化した地方の若者が先に、都会のみならず成長著しい諸外国から青田買いされてしまうだろう。地方は「姥捨山」でしかないのだろうか。
評論家の多くは、こうした中でさえ「少子高齢化はAIが解決する」や「人手不足は外国人で補えばよい」の繰り返しである。ならば問いたい。少子高齢化は予測を大きく上回る早さで進んでいる。出生数も一世代後には60万人にまで縮小し、65才以上の高齢者は間もなく4000万人に達する。
本当に間に合うのだろうか。IT技術者だって不足は深刻なのだ。残された時間は僅かしかない。外国人(就労)とて変わらない。我が国の賃金は後退の一途にある。特殊技能や介護は日本が外国人に最も期待する分野だ。それが入国より出国の方が目立つといった由々しき現実。報酬は、シンガポールや中東、中国にさえ遠く及ばない現実からして仕方ないとしても、これでどうして乗り切れようか。外国人に期待する前に日本の若者が先に出ていってしまうのではなかろうか。
この流出、戦前戦後は貧困からの脱出を目的とし、その後の移住や子孫を含めて世界各地に約380万人の日系人が存在する。しかも、こうした移民を除いても、近頃では日本人の海外志向(移住)は拡大の一途にある。転勤や長期滞在ではない。以下の如くに完全移住なのだ。
(法務省データより)
人口急減の社会に忍び寄る若者の海外流出危機。置かれた状況は、明治~大正、昭和(戦後)に続く第三次移民ブームすら予感させる。少子高齢化を改善しない限りは、この国から人が消え失せてしまう。椅子取りゲームをやっている場合ではないと思うが・・。
◇◇◇◇◇◇◇
(極小折り紙)
(手前は米粒と、つま楊枝+蜜蜂)
巨像も米粒大にまで小さくなると、ほころんでしまう。今の日本はこれに近い。甘い蜜に群がる時代は、もう来ないのだろうか。
😩「トホホ!」