「シマネ・コネクション」その2 | "楽音楽"の日々

"楽音楽"の日々

音楽、映画を中心にしたエンタテインメント全般についての思い入れと、日々の雑感を綴っていきます。

2010年から2019年3月まで出雲商業高校で顧問として指導し、京都橘イズムを定着させて出雲地区ナンバーワンのバンドに育て上げたO先生は、2019年4月に松江商業高校へ転勤になりました。公務員に転勤は付きもの。仕方のないことです。顧問が代わったことで心配していた出雲商業が、そのスタイルを順調に継承・発展させていることは、前回しっかり書きました。

 

で、O先生の新たな挑戦は、松江商業高校吹奏楽部を育てることでした。

以前の様子を知るための動画がほとんど見当たらないので比較することができないのが残念ですが、吹奏楽部としての基本的な実力は備えていたようです。

京都橘や出雲商業のスタイルへ変えていくことについては、スタッフや部員たちと綿密なミーティングが行われたのでしょう。彼らが出した結論は、現在の姿に現れています。

 

 

私が松江商業を認識したのは、2019年10月15日に松江市内で開催された「松江ニューオーリンズ・フェスティバル」の動画でした。この後松江商業の信頼を勝ち得て、定期演奏会などのステージでも舞台上にカメラをセッティングしたりすることになるTsubame Planningさんの動画です。今回の記事でピックアップする動画のほとんどは、彼の撮影によるものです。

 

 

新体制になって半年で、多分初めてのパレードだと思われます。演奏のまとまりも振り付けもまだまだだけど、こういったイヴェントに参加できることが楽しい、といった笑顔が印象的です。

パレードの後は広場でのドリルステージです。慣れないパレードに比べると音楽的にしっかりしているのが良くわかります。初年度なので、出雲商業とレパートリーが重なるのは仕方がないですね。

ここをスタート地点として現在までの彼らの進歩を順に追っていくと、我が子のように愛おしくなります。私は、京都橘の新入部員が成長していく様を見守るのが楽しみだと書きました。松江商業の進歩を見るにつけ、それと同じような感情を抱くのです。

 

ということで、2ヶ月後に開催された定期演奏会では、格段の進歩を見せてくれます。

 

 

「アラジン」メドレーは、以前からの彼らの実力が出ている見事な出来です。私が大好きな映画「ロシュフォールの恋人たち」の曲「キャラバンの到着」は、残念ながら未消化で軽やかさが出ていないのですが、部長兼ドラムメジャーのバリトン・サックスによるイントロでの立ち姿がカッコ良いですね。

13分過ぎからのマーチング・コンテスト・プログラムは、この年の到達点と言えるでしょう。その中にある「Somewhere」のアンサンブルの美しさは、天国的です。

動画の最後には、顧問のO先生が登場です。

 

 

この翌年の「京都さくらパレード」には、京都橘・出雲商業・松江商業の3校揃い踏みがアナウンスされていたのですが、コロナ禍で白紙になってしまいました。

その後の苦難の道は、全国の吹奏楽部がそれぞれのやり方で乗り越えて来ました。ほとんどのイヴェントが中止になった2020年は、京都橘をはじめとして全国から投稿があったsky-Aのヴィデオ・コンテストぐらいしか動画がありません。ほとんどの学校にとって、このイヴェントは貴重なものになりました。それぞれが苦労しながら作り上げた作品は、日本の吹奏楽の歴史に残る記録と言えます。松江商業も、これに参加しています。

 

 

京都橘のファンにとっては懐かしい「メリーゴーランド」が登場して、涙を誘います。

「Malaguena」は、翌年もマーチング・コンテストのプログラムに採用して、その完成度を高めていきます。

 

 

さて、2021年もコロナ禍で十分な活動ができないまま、12月の定期演奏会を迎えます。

まずは、座奏でのポップス・ステージをご覧ください。

 

 

振り付け満載の、楽しい座奏です。ポップス・ステージは、こうあって欲しいものです。観客を楽しませることが第一の目的なのですから。京都橘は、最近座奏のステージも多く見せてくれますが、こんな振り付けをほとんど見かけることができないのが寂しいです。以前は、得意としてたはずなのに・・・。

1曲目は、出雲商業や全国の吹奏楽部で人気の「Get It On」です。凝った振り付けが、とっても楽しいです。ここで、オリジナルのChaseによるライヴを見ていただきましょう。

 

 

全国の吹奏楽部の皆さん、是非このカッコ良さを目指しましょう!

 

そして、ステージ・マーチングです。

 

 

メカニカルなメロディが印象的な難曲「Spain」は、荒っぽいけど勢いがあって私は好きです。対する「Malaguena」は、マーチング・コンテストに向けて練習を繰り返してたはずなので、完成度は高いです。

 

 

「キャラバンの到着」は、2019年から確実に進歩しています。とても軽やかで魅力的です。

「Another Day Of Sun」は、京都橘のレパートリーでもありますが、歌やダンス入りで、カラー・ガードがないのを十分に補っています。とは言え、華やかなフラッグがあれば更に素敵なのに、と「無い物ねだり」の独り言です。

この曲は、ミュージカルが大好きな私にとって特別な映画「La La Land」のオープニング・ナンバーです。演奏する方達は当然見てるでしょうけど、ご存知ない方の為にオリジナルをどうぞ。

 

 

クリスマス公演でもある定期演奏会ならではの「White Christmas」は、トナカイの風船が楽しいです。O-vils.のファンの方なら、見覚えありますよね。

 

 

当然ながら、この仕掛人はマーチング・コーチであるY氏。出雲商業時代にO先生に請われて指導していた縁で、松江商業でもコーチを引き受けています。そして、彼が演出をしているのが、京都橘の卒業生を中心に結成されたO-vils.なんですね。ほとんど同時期にこの演出を両方で披露するところを見ると、彼のお気に入りだったんでしょう。

「Swing,Swing,Swing」と「Cantina Band a.la. Sing,Sing,Sing」のミックスは、京都橘や出雲商業との関係性を表しているようで、感慨深いものがあります。ちなみに、トランペット・ソロを披露した部員は、卒業後すぐにO-vils.に加入しています。

 

 

2022年は、更に充実の一年になりました。

先日開催されたマーチング・コンテストの島根県大会では、出雲商業と並んで中国大会への出場を勝ち取りました。2校共にベストを尽くしてほしいと思います。この2022年には、念願の全国大会に初出場を果たしました。その半月前のイヴェント「出雲ドーム2000人の吹奏楽」でコンテストのプログラムを披露しています。

 

 

トランペット・セクションの充実ぶりが印象に残ります。

 

 

今年になっても、松江商業の快進撃は続きます。

懸案であった「京都さくらパレード」に初めての参加。前日には「ケープ3姉妹」の交流会も行われたそうです。

st.taketoさんの動画でご覧ください。

 

 

 

2019年の初パレードと比べても、とても充実しています。何よりも、部員たちが「さくらパレード」の景色を楽しんでることが印象的です。

 

地域でも、その実力とエンタテインメント性が認知されてきて、地域のイヴェントへ引っ張りだこになってきました。

今年の8月に開催された「カラコロマルシェ夜市」でのパフォーマンスは、とっても楽しいものになりました。Sound of Wind Bandさん撮影の動画をご覧ください。

 

 

歌う・踊る・小芝居する。これが、エンタテインメントですね。地域住民も、これを期待してるんですよね。

 

 

 

京都橘と出雲商業・松江商業は、ユニフォームのデザインから「ケープ3姉妹」と呼ばれているようです。それぞれに個性があって、ホントの姉妹みたいです。オールマイティの長女、真面目でしっかり者の次女、天真爛漫な末っ子。私の勝手な印象です。

これからファンとして望むことは、本格的な3姉妹共演のステージですね。

 

京都と島根の不思議な縁を作ってくれたO先生には、心から感謝です。

「島根コネクション」のような形が全国に広がって行くことを夢見ているのは、私だけではないはずです。