京都橘高校吹奏楽部のファンにとっては毎年恒例の「金沢ゆめ街道」が、今年も近づいてきました。今年は、「令和8年8月8日」というなんだか目出度い気がする8並びの日になりました。晴天と快適な気温であることを望むばかりです。
フラワークラウンさんのイラストは、いつもながら美しいです。お茶目でマニアックなネタ満載の「てるてる」シリーズとの両輪は見事で、毎回楽しみにしています。
さて、充実したパフォーマンスを披露してくれた122期については全く記事にしていなかったので、昨年の「金沢ゆめ街道」の動画を見ながらそのプログラムの素晴らしさについて綴っていきたいと思います。
パレード・プログラム各曲について書きますので、かなり長い記事になります。おヒマな時に読んでいただければ嬉しいです。
昨年のイヴェントでは、サブタイトルに「能登半島復興祈念」という言葉が付けられていました。現在でも能登の復興がなかなか進まないのは、明らかに県と国の失策が原因だと思っています。
私の記憶が確かならば、当初は消失した輪島朝市でも京都橘のパレードが計画されていたようでした。残念ながら実現はしませんでしたが、いつものルートでのパレードは見事でした。
例年にも増して多くのイヴェントに参加した昨期でしたが、金沢でのパフォーマンスもとても素晴らしい仕上がりでした。それを余すことなく記録しているのが、「チームtaketo」の皆さんによる撮影です。金沢においては、主催の北國新聞社の信頼を得て、公式撮影チームとして揃いのビブスを着用して撮影に臨んでいます。
[YouTube] 京都橘高校吹奏楽部/金沢ゆめ街道2025/Parade Scene4
パレードの隊列を正面から捉えた映像など、公式撮影ならではのショットが満載です。逆に、隊列に近過ぎるために、部員個々のミス・トーンを克明に拾ってしまうというデメリットがあるのは残念です。もっとも、部としてはそれを補って全体の完成度を高めることを目標にしているはずなので、私は気にしていません。
さて、個々の楽曲については、チャプター付きで検索しやすい「うかのみたまのみこと」さんの動画を見ながら、各曲についての私見を述べたいと思います。
[YouTube] [Clip] 京都橘高校吹奏楽部 金沢ゆめ街道2025 能登半島復興祈念オープニングパレード
「Down By The Riverside」に続く2曲目は、「Back To The Future」と表記されています。吹奏楽用の譜面は、シリーズの楽曲をメドレーにしたものが複数あるので、そこからの切り取りだと思われます。私が注目したのは、お馴染みのファンファーレに続いて出て来る西部劇風のメロディです。これは、シリーズのパート3に登場するメロディなのです。オリジナル・サウンドトラックから、お聴きください。
[YouTube] We’re Out Of Gas : Alan Silvestri - Topic
西部劇のパロディにもなっているパート3を代表するメロディで、シリーズ中でも個性的な印象の曲です。
大成功をおさめたローズ・パレードでのプログラムから採用したのは、Lady Gagaの「Poker Face」でした。きっと部員達にとっても、大切で大好きなナンバーだったんでしょうね。実に堂々としていて見事です。
この後は、私よりずっと年上でなければリアルタイムのヒットを知らない「懐メロ」が、2曲続きます。
まずは、アメリカ国民なら誰でも知っている、The Monkeesの1967年の大ヒット曲「Daydream Believer」です。動画を検索していたら、私も知らなかったオリジナルのMVを見つけました。なかなか緩くて、楽しいです。
[YouTube] The Monkees - Daydream Believer (Official Music Video)
なんだか、勝手に私の中では「古き良きアメリカ」っていうイメージの曲です。
京都橘のパフォーマンスは、お馴染みの「橘ステップ」が満載で、彼らしかできない唯一無二のものになっています。ひょっとしたら、ローズ・パレードのプログラム選定時に、候補になっていたのかもしれません。
続いての曲は、Connie Francisの1962年のヒット曲「Vacation」です。当時、日本でも複数のカヴァーが録音されてそのいずれもがヒットしたようです。さらに、本人もわざわざ日本語ヴァージョンを録音しています。
京都橘の演奏は、安定の可愛らしさで素晴らしいんですが、私にとっては苦労した記憶が結び付いているのです。実は、吹奏楽部にいた中三の頃、顧問の編曲でこの曲を演奏したのでした。これがなかなか大変で、死ぬほど練習した記憶があります。彼らの演奏を聴いていて、突然当時のことを思い出したのでした。
次の曲は、私は全く知りませんでした。SOFI TUKKERの「Best Friend」という曲です。2017年のヒット曲らしいです。
[YouTube] SOFI TUKKER - Best Friend feat. NERVO, The Knocks & Alisa Ueno (Official Video)
これを見ると、部員達はこのMVを参考にはしていないようですね。単に、ハードな曲調から振り付けを考案したように思えます。パレードのプログラムの中でも、一番ハードなステップを詰め込んでいます。更に、前後列の入れ替わりもダイナミックです。しかも、個人個人でこの振り付けをマスターするのも大変だと思われるのに、団体の動きを揃えて表現できることが「京都橘ならでは」の最大の個性です。122期のパレードを象徴する、最高のナンバーになりました。感服です。
続いての曲は、「Country Roads」。1971年の曲で、私が洋楽に初めて触れた頃なので、リアルタイムで聴いていました。我が国で現在でも愛されているのは、ジブリ映画「耳をすませば」で使われたおかげですね。それでも30年以上前の映画なんですけどね。
その映画で歌われた日本語詞で、いつもの京都橘らしい元気な歌声を聴かせてくれます。
ここでは、オリジナルのJohn Denverが歌ったライヴ映像をご覧ください。
[YouTube] John Denver - Take Me Home, Country Roads (from The Wildlife Concert)
瑞々しい歌声で、聴き惚れてしまいます。自ら操縦した飛行機の事故で若くして亡くなったのが、とても悔やまれます。
122期のパレード・プログラムを初めて見た時に、私が最も驚いて狂喜乱舞したのが、次の曲でした。
京都橘が昔から得意としている軽快なスウィング・ジャズのリズムから登場したメロディに、私の頭の中ではマリリン・モンロー(Marilyn Monroe)の歌声が流れていました。私が大好きな、マリリンです。彼女の歌声が大好きで、ベスト盤のCDも持っています。
「Diamonds Are A Girl’s Best Friends」は、1953年のミュージカル映画「紳士は金髪がお好きGentlemen Prefer Blondes」の中でマリリンが歌う代表曲です。私が学生の頃、深夜のテレビでこういった古い映画をたくさん放映していました。その中で偶然見つけたのが、この作品でした。
オリジナルをご覧ください。
[YouTube] Diamonds Are A girl’s Best Friends (Gentlemen Prefer Blondes Theme song)
この曲の場面は有名で、後にMadonnaが「Material Girl」のMVでオマージュしているのをご存知の方も多いと思います。
それにしても、京都橘の部員やスタッフがなぜこの曲を知っていて、尚且つ選曲したのか疑問です。ということで、譜面を探してみました。こういった作業が楽しいんですよねー。
で、割と簡単に見つかりました。吹奏楽のポップスの王道「ニュー・サウンズ・イン・ブラス2005」に収録されている、岩井直溥編曲の「アメリカン・グラフィティXV」でした。アメリカの古いヒット曲5曲をメドレーにしていて、その最後を締めくくるのがこの曲でした。実は、このメドレーの中に、京都橘が以前から演奏している「ローズ(The Rose)」も入っています。ですから、この譜面は昔から京都橘の譜面庫にあったことになります。当然、この参考音源もあったはずですから、どこかで披露したいという気持ちもあったのかもしれません。この曲が始まるところからお聴きください。
[YouTube] American Graffiti XV : 岩井直溥 - トピック
テナーサックス、トランペット、トロンボーンのソロを綺麗に端折って、パレード用に再編して使っています。京都橘のパフォーマンスは、とても短いながら全員が楽しそうに演じているのが印象的です。
で、私が知らなかった曲、第二弾。Portugal. The Manというグループの2017年のヒット曲「Feel It Still」です。まずは、オリジナルのMVをどうぞ。
[YouTube] Portugal. The Man - Feel It Still (Official Music Video)
京都橘のパフォーマンスで驚いたのは、パーカッションと低音楽器だけによるイントロの部分でした。手が空いた部員の手の振り付けは、明らかに日本発祥のダンス・ムーヴメント「パラパラ」です。以前から様々なダンスを取り入れている京都橘ですが、遂に「パラパラ」まで手を出してしまいました。これには驚かされました。ちょっとクールな印象の曲ですが、その後も橘らしいステップのオンパレードで楽しませてくれます。
そして、今回のパレードの中で唯一のディズニー・ナンバー「輝く未来(I See The Light)」です。
以前からレパートリーにしてきた曲ですが、バレエ風の振り付けも板に付いてきて、優雅です。これも京都橘のパレードの特色として「売り」のひとつになってきました。こんなの、他では見れませんよね。
お馴染みのアゴゴのリズムで始まる、パレードの最後を飾るサンバ・ナンバーは、私が知らなかった曲の3曲目。川邊一彦作曲の「サンバ・デ・カリブ(Samba de Calibe)」です。
とりあえず、航空自衛隊航空中央音楽隊によるライヴ音源を聴いてください。
[YouTube] サンバ・デ・カリブ/川邊一彦 : SYMPHONIC JAZZ & POPS CONTEST for WIND ORCHESTRA
サンバのリズムを基本にはしていますが、いかにも日本人の作曲家らしい流れるようなメロディ・ラインが耳に馴染む佳曲だと思います。
京都橘のファンの方は、思い起こしてください。この年の4月、パレード・プログラムのお披露目となるイヴェント、「サン・サン・オープンエアフェスティバル」が開催されました。そこで披露されたパレードでは、サンバ曲がカットされていました。私は、驚きました。見ることができる過去の動画でも、こんなことは初めてです。その1ヶ月後の「関西ローズExpo2025」で、初めてサンバ曲が披露されたのでした。
その時点で、聴いていただいた航空自衛隊の演奏を見つけたのです。ここからは、それを聴いた時の私の勝手な推測です。
改めて聴いていただくと、メロディの後に華やかなトランペットのソロが出てきます。そのソロの前半部分を、京都橘はトランペット・セクション全員でのユニゾンにしています。この方法は、京都橘が昔からちょくちょくやっている効果的な手法です。気になる方は、遡って調べてみると楽しいですよ。
で、今回はかなり難しい速いパッセージに挑戦しています。それぞれがなんとか出来るようになったものの、全員で合わせるとなかなか揃わないということで、初披露の機会は次に見送られたのではないかと私は思ったのでした。そして、その結果は金沢のパレードでお聴きになった通り、見事なものでした。トランペット経験者の私としては、手放しで賞賛するしかありません。
ここ、金沢でのパフォーマンスは、従来の京都橘のファンも納得せざるを得ない楽しいものでした。
この後、全日本マーチングコンテストの金賞を経て、台湾での公演も大成功させる122期なのでした。
真夏の金沢のパレードは毎年充実していますが、この年は群を抜いて完成度が高かったように思います。
さて、今年はどんな仕上がりを見せてくれるか?
何より、天気に恵まれて無事に完遂できることを祈るのみです。楽しみに、待ちましょう。













