8月8日、昼過ぎに帰宅した私が気になるのは、やはり金沢の天気予報。夕方には、雷雲がマダラ模様に発生するとの予報でした。京都橘のファンなら誰しも気になるようで、「フラワークラウン」さんも当日の午前中に恒例の「晴天祈願」のイラストをアップされていました。
今回初出演の予定だった遊学館高校は、野球部の甲子園の試合が同じ日に決まったことで、応援のために無念のキャンセルになりました。そのことにもちゃんと触れているのが、いかにもフラワーさんらしい気配りです。「たちこ(京都橘の部員をモチーフにしたキャラ)」は吹奏楽コンクールで関西大会出場を決めたばかりで、「白橘」での登場です。各出演団体のイラストに紛れて、初お目見えのキャラが・・・。左下で金沢名物のカツカレーを持っているのが「妖怪雨女」です。破れ傘の隙間から覗く微笑みが不穏です。
パレードが終わったあたりから続々と速報の動画がアップされて、無事開催されたことに一安心しました。
いつも楽しませてもらっている「チームtaketo」の皆さんのマルチカメラの動画で、今回のパレードの様子を振り返ります。
[YouTube] 京都橘高校吹奏楽部/金沢ゆめ街道2026/能登半島地震復興祈念パレード : st&橘ファミリーバンド[公式]さん
金沢の当日の気温は、31度。ルートに立ち並ぶ大きな街路樹から降り注ぐ蝉時雨が、暑さを増幅します。基本的に暑い季節にパレードをすることがないので、金沢の蝉時雨はこのイヴェントを象徴する「音」ですね。
彼らのパフォーマンスは、前回のパレードと比べると音も良く出ているし、振り付けも大きいです。部員それぞれが、自分のものにして自信を持って演じているように感じます。
全体を通して見て、改めて気付いたことがあります。それは、歴代のパレードの中でも、最も激しい振り付けだということです。穏やかな曲調のナンバーでも、休むヒマがありません。特筆すべきは「Sponge Bob Square Pants」です。京都橘の代名詞「ぴょんぴょん」を基本にした様々なステップのオン・パレードです。驚くほど多くの種類のステップを詰め込んだ意欲作だと思います。構成係のこだわりを感じます。
音楽的には前回書き忘れたことですが、「Sing」のイントロでのトランペットのフレーズです。グリッサンドで1オクターブ上昇します。ポップスの演奏では珍しくありませんが、こと吹奏楽では他の団体の演奏を含めて聞いたことがありません。とても印象的に使われていて、アレンジャーのセンスを感じます。
圧巻なのは、やはり「Brasil」のステップですね。それぞれの楽器が大変なのは当然ですが、スーザ隊が揃ってサンバ・ステップをしている姿は、世界中見渡しても京都橘しかできない驚異的なパフォーマンスです。
パレードのゴールは、「Timber」です。曲が始まった途端に、顧問がパーカッション・セクションまで走って、この曲で終わることを指示しています。当然、ドラムメジャーのホイッスルなしで終了します。ひょっとしたら、京都橘の後に続く団体がない場合には、一曲を最後まで演奏して終わることが部内で共有されているのかもしれません。春の「ブルーメの丘」でも同様でしたもんね。
昨年と比較すると、全体の完成度は高くないように感じました。その理由を考えてみました。マーチング・コンテストの練習と、ステージ用の新曲のブラッシュアップに忙しいのは例年通りですが、今年は吹奏楽コンクールの関西大会へ向けた練習も加わっています。単純に、パレード・プログラムの練習に割く時間が例年より短いんだと思います。これからの別府や長岡京までにまだまだ伸び代があると考えると、楽しみが続く気がします。
ここで、デスクトップPCや大型モニターで動画をご覧になる方へ、おすすめの動画を一本。
[YouTube] [夏の金沢に響く、オレンジの旋律] 京都橘高校吹奏楽部/金沢ゆめ街道2026 パレード&定点演奏 : 秋葉原リーマンさん
ここ数年積極的に動画をアップされている秋葉原リーマンさんは、広角撮影が中心で私のお気に入りです。美しく躍動的なパフォーマンスは、とても魅力的です。部員のアップを見たい方は、他の動画で探してください。「塊」としての京都橘の魅力を堪能できる、素晴らしい動画です。
パレードの後は、ゴール地点である北國新聞社前交差点での定点演奏です。
沢山の動画がアップされていますが、その中で最も高い位置から撮影したkazu_pirelliさんの動画をご覧ください。
[YouTube] 8.Aug.2026 京都橘高等学校吹奏楽部/金沢ゆめ街道 北國新聞社前ステージ : kazu_pirelliさん
高いカメラ位置のおかげで、奥のパーカッション・セクションまで見渡せます。
スペースの問題でフォーメーション・チェンジはありませんが、その結果振り付けも演奏も非常に安定しています。まぁ、年間通して最も演奏する機会が多い二曲であることも大きな理由かもしれません。
ここでの演奏での驚きは、メインのスネア・ドラムが不在ということでした。多分、パレードの後に体調不良で出演キャンセルになったのでしょう。そこを任されたのが、一年生のサブ・スネア君。メインとしてのデビューがこんな形になるなんて、青天の霹靂だったでしょう。彼にとっては、「なんとかする京都橘」を身を持って知る貴重な体験になったはずです。そして、3年生として一人になってしまったバスドラムの部員は、「自分がまとめる!」という責任感に溢れているように見えます。
そんな二人の様子を後方から捉えた動画をご覧ください。
[YouTube] 金沢ゆめ街道 橘高校吹奏楽部 : みさおチャネルさん
背中からも緊張が伝わる一年生スネアの彼と、使命感に燃えているバスドラムとマルチタム。どちらも心から応援したくなります。
ここでのパフォーマンスで注目すべきは、「Sing, Sing, Sing」のマイナー・チェンジです。
まずは、カラーガードの振り付けです。両手を上げてジャンプするのは、初めて見ました。今年の「ローム・ミュージック・フェス」ではやってなかったので、今回のために付け加えたのでしょう。「きゃー」の直前に、そのジャンプを見れますよ。「聖域」とも思われる定番の振り付けにも、レベルアップを求めて手を入れる姿勢は、いかにも京都橘らしいと感心させられます。
そして、「Sing,~」の最後の部分が、コロナ禍以前のパターンに戻りました。118期の定期演奏会にゲストとして招かれた阿野次男氏の提案で、1小節を増やして「二拍三連」のタムを増やすことになりました。音楽的に「すっきりする」流れなんですが、賛否両論ありました。私はどちらのパターンもそれぞれの魅力があって、好きです。阿野氏ヴァージョンは、最後の一音への「最後のタメ」が緊張感を高めてくれます。最後の一音で、一気に解放されるイメージですね。それに対して、今回のヴァージョンは勢いを止めずに最後まで突っ走るイメージです。どちらも「京都橘のSing, Sing, Sing」として実に見事だと思います。
ファンの方は良くご存知の動画だと思いますが、阿野氏の提案で「阿野ヴァージョン」が出来上がるリハーサルの様子を付けておきます。
[YouTube] 京都橘高等学校吹奏楽部「リハーサル其のII」貴重な映像 : tsugio anoさん
最初は戸惑いながらも、部員たちの飲み込みの早さに舌を巻きます。
そして、金沢ゆめ街道で私が最も楽しみにしていた片町でのパフォーマンスは、妖怪雨女のせいで直前に豪雨となり、中止になってしまいました。これまでのパフォーマンスが素晴らしかっただけに、つくづく残念です。フラワークラウンさんも残念だったようで、再びイラストをアップされました。
怒り爆発の「たちこ」が、ドラで雨女に襲いかかるところを制止しようとする出演者達。石川県警音楽隊が冷静に見ているのも、芸が細かいです。いつでもやり過ぎな「たちこ」ですが、ここでは私は「たちこ」に賛同します。この悔しさは、来年晴らすことになるでしょう。
ということで、蝉時雨と妖怪雨女が私の心に刻まれた、今年の金沢ゆめ街道でした。
今回も長い記事になってしまいました。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
さて、吹奏楽コンクール関西大会が目の前です。部員達の努力が実を結びますように。















