Deodatoの「Love Island」 | "楽音楽"の日々

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音楽、映画を中心にしたエンタテインメント全般についての思い入れと、日々の雑感を綴っていきます。

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フュージョン期真っただ中のデオダート(Deodato)の代表作と言えば、1978年リリースの「Love Island」でしょう。
$"楽音楽"の日々-Love Island
フュージョンやAORの名プロデューサー、Tommy LiPumaを共同プロデューサーに迎えていることで、そのクオリティは約束されたようなものです。

早速冒頭の「Area Code 808」を聴いて下さい。



アナログ・シンセを使った重低音とメロディが印象的です。
また、当時Crusadersでファンキーなグルーヴを提供していたLarry Carltonのハードなリズム・ギターが、とても新鮮です。こんなLarryの音は、他では聴けません。

リズムを支えるドラムスとベースは、Harvey MasonとRobert "Pops" Popwellです。
もう、このリズムはジャズでもなければ、ロックでもない。まさにフュージョンだと思います。

2曲目の「Whistle Bump」は、Deodato自身は気に入っているようですが、私は魅力を感じません。
リズムだけで、メロディがないのです。

3曲目からが、このアルバムの聴き所です。
まさにDeodatoにしか作り出せない「リゾート・ミュージック」の世界です。

「Tahiti Hut」は、アース、ウィンド アンド ファイアー(Earth, Wind & Fire)のMaurice Whiteとの共作です。



Deodatoは、1977年のアースの大ヒット作「太陽神(All 'N' All)」でアレンジを担当していますので、そのつながりであることは明らかです。
アースから、ドラムスのFreddie White、ベースのVerdine White、ギターのAl McKay、パーカッションのPhilip Baileyが参加しています。

けれども、メンツから想像するようなファンクではなくて、まさにリゾート・ミュージックです。
このゆったりしたサウンドは、カリブ海に面したリゾート地で過ごすバカンスにぴったりです。もちろん、私は行ったことはありませんが。

このアルバムの中で、一番好きな曲なのです。

アースのメンバーの豪華なバッキングで、Sam BurtisとWayne Andreのトロンボーンが印象的なメロディを奏でています。
さらに、Deodatoはローズのソロに自身のスキャットを重ねて、リラックスしたムードを盛り上げてくれます。

続く「San Juan Sunset」は同じムードを引き継いでいて、もう仕事する気分なんか全くなくなります。



これも、Deodatoのローズとスキャットが気持ち良いナンバーです。
それに加えて、Larry Carltonのギター・ソロが良い感じです。同時期のMichael Franksの「Sleeping Gypsy」におけるソロに近い雰囲気があります。Larryのファンは、必聴のソロでしょう。

さらに、この曲を気に入ったのが、ギタリストLee Ritenourです。
彼は、1979年の「In Rio」で、この曲をカヴァーしています。



曲の後半はLeeが付け加えたオリジナルですが、Leeのガット・ギターにぴったりの曲に仕上がっています。
このヴァージョンは、Deodatoもいたく気に入っていたらしいです。

アルバム・タイトル曲「Love Island」も、トロンボーンのメロディがゆったりしていて、とても美しい曲です。



Larryのリズム・ギターも、とても美しくて気に入っています。
当時から話題になったのが、ギター・ソロです。
クレジットに載っていないのですが、明らかにGeorge Bensonです。
まぁ彼らしい「手癖」で弾いていて、素晴らしいプレイとは言えませんが、誰が聴いてもGeorgeのプレイです。

また、ラスト近くのトロンボーンを真似たと思われるDeodatoのスキャットは、私のお気に入りです。


いかがでしょうか?

緻密に作り込んだサウンドなんですが、聴いているほうはリラックスできる気分になれるのは、ひとえにTommy LiPumaのプロデュースのおかげでしょう。



おまけです。

翌年、Deodato単独のプロデュースでリリースされたのが「Knights Of Fantasy」です。
$"楽音楽"の日々-Knights Of Fantasy
この作品は、完全にディスコ寄りの作風になっていて、とても評判の悪いものです。

ただ、私はこのレコードに合わせてベースの練習をしていたので、個人的に思い入れがあるんです。
ほぼ全曲にわたってベースをプレイしているNeil Jasonの重いベース・サウンドが、他の軽薄なディスコ・サウンドとは一線を画しているように思えます。

タイトル曲の「Knights Of Fantasy」を聴いて下さい。

ローズの音が気持ち良いです。また、John Tropeaのギター・ソロもなかなか魅力的です。

他の曲は、6分以上のディスコ用の曲で、聴いていても退屈です。
もともとDeodatoはメロディ・メイカーではないので、リズムやグルーヴ感が命です。
それがどんどんデジタル的なサウンドになると、彼の個性がなくなってしまいます。

この後、「Night Cruiser」、「Happyhour」、「Motion」と、ディスコ風の作品を作り続けるんですが、彼らしさがなくなっていって、私の興味もなくなっていったのでした。


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