エルサルバドルに戻る | Que sais-je? ク・セ・ジュ――われ何を知る

Que sais-je? ク・セ・ジュ――われ何を知る

エルサルバドルに単身赴任中。
気候がいいので日本よりよほど健康的な生活を送っています。
ドライブ旅行をぼちぼちしていますが、
この国で最も注意しなければならないのは交通事故。
今や治安以上に大きなリスクです。

なおヘッダーは2020年に新潟県長岡市にて撮影。

1か月余りの一時帰国が終わり、1月6日(土)に日本からエルサルバドルへと向かいます。今回の日本滞在は、大きな書類を一つ作成するという仕事を持ち越したほか、医者に7回も行ったり、鼻炎が爆発したりと体調管理に労力を費やしましたので、なかなか落ち着かない休暇でした。

それでも2泊の近場温泉旅行をできたのが満足です(もう一つの願いのスキーはできなかったけれど)。

さて、日本発は朝10時25分発のユナイテッド7936便(全日空運航便)。ヒューストンで乗り継いで、エルサルバドル着は同日の15時24分。だからと言って5時間で日本からエルサルバドルに行けるわけではないことは、拙記事をお読みになっているか、海外旅行(韓国やパラオ以外)の経験をお持ちの方ならお分かりになるでしょう。

時差です。15時間ありますから、実際には20時間かかります。

この時間に日本を出る便に乗るには、長岡からだと空港の近くに前泊する必要があります。そこで、帰国して早々に宿を予約しました。成田空港へのアクセスが良く値段もリーズナブル、グーグルマップの評価もそこそこのところで、コンフォートホテル成田を選びました。

1月5日の夕方に長岡を出て、新幹線、上野で京成線に乗り継いで、成田には20時頃着きました。

部屋で一休みし、夕食は近くのレストランを探したものの結局はコンビニで(チューハイと一緒に)買って部屋で食べ、さてさて、明日の飛行機はどのターミナルから出るのかな、と思ってチケットを確認すると、「TERMINAL 3(第3ターミナル)」と。なるほど。ではユナイテッドのチェックインカウンターはどこかな、あるいは全日空のコードシェア便なので、カウンターは全日空の方になるのか、と考えつつネットで成田空港のカウンターを調べると、いずれの航空会社も第3ターミナルにはない。

おかしいなあ、と思ってもう一度チケットを確認すると、ユナイテッド7936便は、「NRT」ではなく「HND」、すなわち羽田発ではないか!! えっ!

マヌケです、私は。

日本への帰国便と空港が違うじゃないか、フェイントだ、と怒っても仕方がない。慌てて明朝の成田から羽田に行く列車をネット検索すると、6時に出れば10時25分発の上の便に間に合うことが分かりました。胸を撫で下ろす私。

しかし、もう一度繰り返します。マヌケです、私は。

実はこのような事は以前にもありました。11年前、マラウイに赴任する時、成田発のつもりでいて出発の前日に羽田発に気づき、慌てて成田エクスプレスの切符をキャンセルしたのです。今回は成田に来てから気づいたので、もし前泊していなかったら、飛行機に乗り遅れていたかもしれません(なお、羽田発でも前泊は必要でした)。

危なかった。

それにしても、こんな事を繰り返しているあたり、根っからのマヌケです、私は。

なお、出発空港のみならず、経由地も行きとは違います。行きはロス経由でしたが、今度はヒューストン経由。

出発2時間前に羽田空港に着くと、全日空のチェックインカウンターには長蛇の列が。しかも進み具合が非常に遅い。最近はこのようなことの少ない日本の空港にして、珍しいです。

列に並んで待っていると、およそ1時間して、ヒューストン行きはまもなくゲートを閉めるので急ぐようにとのアナウンス、つまりファイナルコールが。おお、ヤバい。

ちょうど私の前の人たち――「コロナに罹る(下)」の記事で言及したメキシコ人・日本人の家族連れ風の人たち――もヒューストン行きの切符を持っているのが見え、彼らは列を飛ばして別のカウンターに優先してチェックインしてもらいましたので、私も係員に言って通してもらい、無事に乗れました。

度々焦らせないでよ。血圧に悪い。

最初の空港勘違いは自分のせいですが。

とりあえず無事にユナイテッド7936便に乗れて、離陸して窓からの景色を眺めると、それはそれは絶景。

 

 

おお~~っ、遠方には正月の富士の山が朝日に浮き出しているではないか! 「一富士二鷹三なすび」には4日遅いけど(補足説明:初夢とは1月2日の早朝に見る夢であるという話を聞いたことがありますので、1月6日の朝はそこから数えて4日遅れ)。

 

 

霞ヶ浦から東京越しに、その富士山方面を望みます。

 

 

銚子方面。ここを海に抜けると日本ともお別れです。

機内では本を読んだり(『河合隼雄の幸福論』と谷崎潤一郎の『台所太平記』)、眠ったりして、長時間飛行をあまり感じさせない、比較的疲れない飛行を経て、ヒューストンには現地時間の朝7時20分に到着(時差の関係で、出発した時の日本時間から3時間ほど遡っています)。

 

 

こちらは朝焼けを背景に、幻想的な朝靄(あさもや)の中から突き出している、ヒューストンの高層ビル群。

ジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル空港に立ち寄るのは、家族と一緒にホンジュラスから一時帰国した時以来、12年振りです。

乗り継ぎ便はユナイテッド1290便で、ヒューストン12時19分発(サンサルバドル15時24分着)ですので、5時間ほど待ち時間があります。

そこで空港のコンコースを探索し、目ぼしい所でビールでも飲んで時間を過ごすことにしました。

 

 

この、ブリューワリーすなわりビール製造所を想わせる演出のQ・テキサス・バーベキュー・スモークハウス (Q Texas BBQ Smokehouse) にも心惹(ひ)かれるものがありますが、コンコースの中に中洲のようにあって、今一つ落ち着かない。

 

 

ここですかね。搭乗口の近く、コンコースの行き止まりにある、エル・プレミオ (El Premio)。英語で言うと、「ザ・プライズ (The Prize)」、つまり「賞」、「ご褒美」という意味ですな。

今の私には、スペイン語名の店の方が、何か落ち着いた気分になれるのですよ。英語だと、なんかそわそわしてしまって……。

 

 

飲んだビールは何だったか忘れましたが、とにかくメキシコの銘柄でした。ドス・エキス (Dos Equis, XX) だったか。

しかし値段が高かったことは忘れません。この記事を書くに当たって自分のつけている家計簿を確認すると、何と一杯17.68ドル、つまり約2,600円なりなりなり~~っ!!

普段エルサルバドルでは一本約150円の缶ビールで過ごしている私としては、到底2杯目を頼む気は起きず、一杯で二、三時間過ごしたのでした。

 

 

サンサルバドルには午後3時半に到着。ちょうどいい時間です。

日本に帰省してきたところなのに、アメリカを経由してエルサルバドルに着くと、何かほっとするような、第二の故郷に戻ったような気すらしてしまいます。

 

 

空港内には、まだミス・ユニバースのプロモーション掲示が掲げられていました。お祭りが終わって既に2か月近くが経つのですが、まだその余韻を感じさせます。

さて、上に飛行機の出発空港を間違えた話を書きましたが、この旅行では、最後にもう一つマヌケをしてしまったんですよね、これが。

実は空港から自宅までのウーバーに2度払いしてしまったのです。その額、37ドル、つまり約5,500円。

なぜこんな事が起こったかと言うと、原因は実は1か月前の出来事、すなわち4つ前の記事「一時帰国はロスで一泊乗り継ぎ」での事に遡(さかのぼ)ります。その最初の方に、「クレジットカードで支払いました」と書きました。


これが二度払いの元凶でした。

というのも、普段、エルサルバドルではウーバーは現金払いにしているのです。その方が、現ナマに飢えている運ちゃんの受けがいい。最悪、システムで車を見つけてもらった時にメッセージで運ちゃんから「現金払いか?」と聞かれ、「カード払いだ」と答えてオーダーをキャンセルされたという話もよく聞きます。

ロスでは、これから当地で色々と現金を使いそうなところで限りのある手持ちをあまり使いたくなかったこともあって、「クレジットカード払い」モードに切り替えていたんですよね。そのことをすっかり忘れていた。

だから、空港から自宅に着いた時に、習慣的に、うっかり現金でも請求額を支払ってしまったのです。

なぜそれに気づいたか、それは忘れてしまいましたが、とにかく気づいたのは、車が去ってしまった後の祭りの事。

仮に運ちゃんとコンタクトを取って、「金返せ」と言っても、しらばっくられたらそれまで。カード払いの証拠はウーバーからレシートが発行されますし、支払い明細も銀行の記録に残っています。しかし現金払いの証拠はありませんから。

仕方なく、忘れることにした、……というのは無理ですから、泣き寝入りしたのでした。

どうも、油断アリアリ、心の隙間アリアリの私です。

旅馴れているために、かえって緊張感がなくなってしまったのでしょうか。

私は、今回に限らず、時々(妻に言わせるとしばしば)こういう「チョンボ」をしてしまうのです。反省して繰り返さないように気を付けるべきなのですが、いつまで経ってもこの「チョンボ」癖は治らないので、これは性格だから仕方がないと諦める方が精神衛生上いいのか。

 

それなりの代償はありますが。

幸い、数多くの「チョンボ」は一定の損失に留まり、取り返しのつかないような失敗はほとんどないので、あるいは無意識に「この程度の失敗は大したことない」という判断が働いているのかもしれません。

     ☆     ☆     ☆

さて、時系列順的には、この後に、1月にアップした「コロナに罹る(上)」にてお知らせした出来事が続きます。次回からは、その後の事についてお伝えします。