私が長岡に居る時に好んで利用していた市立図書館「互尊文庫(ごそんぶんこ)」は、エルサルバドルに越した後の2023年7月に、明治公園から、大手通りに新しく完成した地域振興・文化複合施設である「ミライエ長岡」に移転しました。
どんな場所か、興味津々でないはずはありません。一時帰国中の12月15日(金)、早速覗(のぞ)いて、利用してみました。
天井が高く広々とした空間に背の低い書架。開放感があって、今どきの図書館の設計です。
本の配列は従来の日本十分類法の順ではなく、「くらす」「食べる」「ものづくり」といった、図書館の設定したテーマごとに関連書籍が集められています。独自の推薦図書を集めて陳列しているわけです。「こんな本どうでしょう、このような関心はありませんか?」と図書館が利用者に提案しているとも言えます。互尊文庫に受け入れられた本は6か月間貸し出しできないとのこと。館内での閲覧になります。
これはこれで面白いですが、私のように特定の関心を持って、自分で自分のテーマを見つけてそれに関する本を探すことが多い人にとっては、この書架では少々不便です。検索機で探すことになります(が、その場合は、キーワード次第では自分の求めている本がうまく見つからない時もあります)。
上に向かうエスカレーターから、これらの書架のある3階を見下ろした写真(互尊文庫は5階にもあります)。好奇心を誘うためにこのような書架の配置になっているのでしょう、迷路のようにも見えます(が、もちろん行き止まりはほとんどありません)。
新しい互尊文庫の大きな特徴の一つは、何と言っても、私語、飲食OKということでしょう。ソフトな環境音楽が微量のボリュームで流れています。もちろん、大騒ぎをしたら周りの人の迷惑ですし、飲食物で本や館内を汚してもいけません。このあたりは常識です。
私は、この「私語OK」というのが、開館前にこの新図書館のコンセプトを初めて聞いた時に心配に思った事でした。落ち着いて勉強したり作業したりすることができないのではないか。
しかし実際のところ、意外と静かで落ち着いていました。利用者の方々に常識があるということなのでしょう。また、空間が広いので、音が逃げやすい構造になっているのかもしれません。
私の心配は杞憂(きゆう)でした。気に入りました。居心地がいいです。これからもどんどん使おうという気になります。
窓際には、テーブル席とは別にカウンター席といって、事務机のような机に蛍光灯の付いた自習・ワークスペースがあります。18の座席があり、完全予約制です。館内端末かウェブで予約するのですが、その際、貸出カードの登録が必要になります。
そこで、係員のいるカウンターに。私は長岡市の住民票を外していますが、日本の自宅は長岡にあります。その旨を説明すると、運転免許証に書かれた住所で貸出カードを作ってもらえました。
これが貸出カード。館内端末で裏面のバーコードを読み、予約手続きをします。12月中に2、3回使いましたが、時間によっては結構埋まっていて、2時間待ちとか3時間待ちという場合もありました。
カウンター席では、主に日本に持ち込んだ仕事の書類作成をしました。画像ではアメブロのホームページが映っていますがね。でもブログ書きも歴(れっき)としたワーク(仕事・作業)ですから、そればかりしていたとしても、「ワークスペース」を使う資格はありますよね。
館内にはコーヒーショップもあります。11月にオープンしたばかりの BOOKMARKS CAFE。コーヒーは600円から。時々豆が変わる「Specialty」は700円と少々高いですが、館内で購入してすぐそこで飲めるというのがいいです。今回出してもらった「Specialty」はケニア。フルーティーで酸味があります。
私は、「実は2年前にケニアに住んでいたんで、懐かしいです」と、たぶん店長である男性に言いました。そして、「今住んでいるエルサルバドルもコーヒーの産地ですので、いずれお試しください」と宣伝しておきました。
後日、5階の互尊文庫以外の場所を覗いてみました。こちらは「第四北越ミュージアム」なる展示スペース。長岡の歴史関連の資料が陳列されています。
イノベーション・サロンなる不思議な(?)コーナーもあります。これは 「市内の4大学1高専、企業、行政がイノベーションを起こすための拠点」(公式サイトより)である NaDeC BASE(ナデックベース)の一部になっています。ミライエ長岡のホームページによると、「リモートワークや打合せなどビジネスで利用できる有料のコワーキングスペース」とのこと。
このように新しいコンセプトをどんどん打ち出しているミライエ長岡。なので、用語にいちいち解説が必要になります。
このイノベーション・サロンには、瞑想ルームなる、一種のカプセルルームがあります。坐禅をするに適当かなと思って覗いてみたら、このように暗室に鮮やかな色の照明(色が刻々変わります)。そして瞑想用の音楽を聴くためのヘッドホンが置いてあります。
私は日課で坐禅を組んでいるということを、以前、拙ブログで何回か書いたことがあります。坐禅は英語で Zen meditation と訳されたりしますが、これは適切な訳ではないと思っています。Meditation は「瞑想」であり、「静かに想う」ことですが、道元の『普勧坐禅儀(ふかんざぜんぎ)』にも「心意識の運転を停(や)め、念想観の測量(しきりょう)を止(や)めて」とあるように、本来は考えたり思ったりしないものなのです(それができるかどうかは別として)。
なので、この瞑想ルームは坐禅をするには全く向いていません。刺激的な光線に、心意識の運転を促す音楽。
坐禅は瞑想ではないということを、このルームの作られ方を見て再確認しました。
最後に、ミライエ長岡ではなく、そこから3キロ余り離れたところで撮ったものですが、この季節の長岡の景色を端的に表した写真を2枚。他に載せる適当な記事がなかったので。
12月18日(月)、長岡赤十字病院の歯科口腔外科で受診して出て来たところで、ショッピングモール「リバーサイド千秋(せんしゅう)」の建物方向を撮ったもの。そうなんです。降りしきる雪を撮りたかったのです。
もう一枚もほぼ同じ場所で、12月22日(金)、抜歯した後に撮ったもの。夕方遅く、既に暗くなった時間の、やはり降りしきる雪。
今シーズンの長岡はかなりの少雪でしたが、この日が一番降ったようです。近くに設置されているアメダス(緑町ですから病院から1.5キロ程の距離にあります)は翌23日に49センチを記録しており、これがシーズンの最大積雪量になっています。
今住んでいるエルサルバドルとは別世界です。