ルーミア「りんかぁ、これなぁに?」
カリンカ「ん、これは…部活で作った作品集みたいなやつだね」
ルーミア「これ、読んでみてもいい?」
カリンカ「うん、いいよ。ってかボクまだ読んでなかったなぁ」
ルーミア「りんかも読む?」
カリンカ「いや、いいや。何か読む気が起きない」
ルーミア「そーなのかー…」ションボリ
カリンカ「い、いや、ボクはルーミアを見てようかなって?」
ルーミア「え/// えと、うん」

そういって本を読み始めるルーミア。
ボクの視線がやけに気になるようでいまいち集中できていないようだ。

カリンカ「ルーミア、面白い?」
ルーミア「え、えと、集中出来ないよぉ///」
となると、早いうちに完全な解決法を見つけないとなんだが、
妖怪として人を襲わなければならない。だがルーミアは人を襲いたくない。
この互いに背反となっている二つの事象を同時に満たすことの出来る方法は…。

ルーミア「りんかぁ、何してるの~?」
カリンカ「んぇ、あぁ、ちょっとルーミアのこと考えてた」
ルーミア「ふぇっ!/// わ、私もりんかのこと考えてたぁ…///」
カリンカ「…ルーミアぁ」ダキッ
ルーミア「りんかぁ、ぎゅ~!」
カリンカ「ルーミア、ごめんね。ボクのせいで、ルーミアが消えちゃうかも知れないなんて」
ルーミア「…りんか、私はりんかと出会ってすっごく幸せなの。だから謝らないで?」
カリンカ「…うん、ありがと。ルーミア」

ボクは、ルーミアを強く抱きしめた。細く、小さく、暖かかった。
どうすれば、ルーミアを助けられるんだろう。
ルーミア「う~…」ウズウズ
カリンカ「?」
ルーミア「りんかぁ~」ハムッ
カリンカ「!?」
ルーミア「ぁぅ~…」ムニャムニャ

※ルーミアはボクの腕を甘噛みしています。

カリンカ「…こそばゆい…!」
ルーミア「うにゅ~」ムニャムニャ
ルーミア「ぷはぁ! すっきりした!」
カリンカ「あぁ、食べたくなっちゃってた?」
ルーミア「でもはむはむしてたら落ち着いた~」

満足そうなルーミア。そうしてボクの足の間にちょこんと座るルーミア。
ルーミアとだいしゅきホールドを楽しみました。
カリンカ「と、言うわけで!ルーミア消失対策会議を始めます!」
ルーミア「わー!」
ルーミア「ってあれ、私消えちゃうの?!」
カリンカ「うり、言ってなかったっけ?」

昨日の一件からいつもみたいに明るくなったルーミア。
に事情説明。人を食べない妖怪は消えちゃうかも知れないのです。

カリンカ「一番簡単なのはルーミアが人食いに戻ることなんだけど…」
ルーミア「やだ!みんなに嫌われちゃう!!」
カリンカ「流石に人間が食べられるのは子どもにはキツいよねぇ…」
ルーミア「でも、無意識に噛み付いちゃったりしちゃうかも…」
カリンカ「寺子屋でそうならないように、ボクにいっぱい噛み付いたら?」
ルーミア「いたいかもしれないけど、いいの?」
カリンカ「試してみなきゃよく分からないから、ちょっと噛んでみて?」
ルーミア「え、えっと、こう?」かぷ
カリンカ「おぉ大丈夫、痛くない痛くない。しばらくはこれでやってこうか」
カリンカ「ルーミアぁ~」
ルーミア「えと、どーしたの?」

ルーミアが、遠慮をしているような気がする。
いつもみたいに飛びついて来ない。飛びつかないようにしているみたいだ。
だから、

カリンカ「ルーミアァぁぁぁぁぁあああ!!!!!!」
ルーミア「ぇ―――――!?」

向こうが引くなら、こっちが押すだけだ。
むぎゅっとルーミアを抱きしめるりんか。

カリンカ「ルーミア、いつもみたいに甘えてよ」
ルーミア「でも、わたし…」
カリンカ「かぷっ」
ルーミア「!?」ビクッ
カリンカ「っとと、危うくルーミアを食べちゃうところだった。これでお互い様だね!」
ルーミア「………、くすっ」
ルーミア「そういう問題じゃないんだってばぁ~!」

ボクの、あまりにも無理矢理すぎる言葉でも、ルーミアは笑ってくれた。
やっぱり、ルーミアが思っているほど事態は悪くはならないと思う。
ルーミア「私ね、りんかを食べようとした」
ルーミア「本当は食べたくないのに、ずっと一緒にいたいのに!」

懺悔をする、罪人のように。ルーミアは言った。

ルーミア「私は、りんかを食べようとしたの…」

慧音先生が言っていた、ルーミアの消失の危険。
ルーミアの妖怪としての本能が、ボクを食べさせようとしたのだろう。
だとしたら、それはボクの責任だ。ボクが、ルーミアを変えてしまったのかもしれない。
その存在意義に背いた、人を食べない妖怪へと。
そして、ルーミアは本来の姿へ戻ろうとしてる。もっとも身近な人を食べることで。

カリンカ「そっか…」

でも、だからって、それが。ルーミアを嫌いになる理由になんてなり得ない。
ボクのせいで、ルーミアがこんなにも辛い思いをしてしまっている。
ルーミアが辛そうにしているのを見るのは嫌だ。それは、ルーミアが好きだから。

カリンカ「ルーミア、大好きだよ」
カリンカ「ルーミアぁ!」
ルーミア「りんかぁ!」

ぎゅ~っ! かぷっ

ルーミア「違うのぉ~!!」
カリンカ「うぇ!? …ど、どうしたの?」
ルーミア「ご、ごめん…。 あのね、」
ルーミア「私ね、最近無意識にりんかを噛んじゃうの」
カリンカ「あ~、最近よくかぷってするね」

慧音先生に指摘されたから、ルーミア消失の可能性と何か関係があるのだろうか?

ルーミア「それでね、えっと…」
カリンカ「…言いにくいこと?」
ルーミア「…あのね、これを聞いても私のことを、嫌いにならないでほしいの」
カリンカ「大丈夫、絶対にルーミアのことは大好きなままだよ」

絶対なんて存在しない、そんな法則すら叩き壊してしまうほど、

カリンカ「もしもしルーミア?」
ルーミア「もしもーし」
カリンカ「帰りに炭酸のジュースでも買ってこようと思うんだけど何が良い?」
ルーミア「やったぁ!じゃあね…、オレンジがいい!」
カリンカ「りょーかい、楽しみに待っててね~?」

カリンカ「ただいまー!」
ルーミア「おかえりなさい!炭酸パーティーしよ!」
カリンカ「そういうと思ってお菓子も買ってきたんだ!」
ルーミア「おぉ! じゃあ私はお皿とコップ用意するね!」トテテテ

カリンカ「どう、美味しい?」
ルーミア「すっごく美味しい!」
カリンカ「ルーミアが幸せそうで何より!」
ルーミア「あ、そうだりんか!目つぶって?」
カリンカ「ん、いいよ」

ちゅっ、かぷっ

ルーミア「えへへ、オレンジの味したかな?」
カリンカ「うん、甘かったかな」
いや、昨日なんですがね。同人とかも取り扱ってる店に行って。

カリンカ「おぉ~、品揃えすごいなぁ!」
ルーミア「本がいっぱいだぁ~!」
カリンカ「壁一面に本があるとやっぱり良いね!」
ルーミア「いくつあるんだろう…!」
カリンカ「んじゃ、ボクはここにいるからルーミアは好きなとこ見てる?」
ルーミア「ん、そーするー」

しばらく立ち読みをしていたら、ルーミアが大慌てで

ルーミア「は、早くここ出よう…!」
カリンカ「どうしたの?」
ルーミア「ここはえっちなところなの!」
カリンカ「あー、18禁コーナーに入っちゃったか」
ルーミア「早く、出ようよ!」
カリンカ「今いるここは全年齢大丈夫だから」
ルーミア「ほんとに…?」
カリンカ「ほんとに」
やはりルーミアは両手を広げて走るようだ。
なのに、また微妙に速いというやっぱり封印されるほどの妖怪なんだなぁとしみじみ。
でも弁当を頬張る姿は完全に子どもなんだよなぁとルーミアを撫でながらしみじみ。
去年同様、ルーミアが競技に参加していないときは椅子からこっち向いて両手をぶんぶん。
ん?ルーミアが横の子達に話しかけられてるな。
と思ったらルーミアの横の子たちまで手を振ってきた?!
ボクは混乱から来る苦笑いで手をひらひらと振り返した。

閉会式が終わって、ルーミアが友達と話しているとけーね先生がこちらへ向かってきた。

慧音先生「少し話がある、ルーミアに関するとても重要なことだ」
カリンカ「え、はぁ…」
慧音先生「最近、ルーミアがよく噛み付くようになったりはしていないか?」
カリンカ「え、えぇ。最近多いですが、ルーミアがどうかしたんですか…?」
慧音先生「お前と暮らすようになってから、ルーミアは人を襲っているか?」
カリンカ「いえ、襲わないようにしているようですが…」
慧音先生「それはまずいな…。いいか、妖怪の存在意義は人間を襲うことなんだ」
慧音先生「その前提で、ヒトを襲わない妖怪はどうなると思う?」
カリンカ「存在意義がなくなる…?」
慧音先生「つまり、ルーミアが消え去る可能性もある。ということだ」
カリンカ「は…?」
慧音先生「ルーミアを失いたくないなら、対策を考えなくてはならない」
慧音先生「無論、私も協力をする。だから、お願いだ…!」

もちろん、ルーミアを失いたくなんかない。