こんにちは。
今回は「高齢者の囲い込み」というテーマの中でも、囲い込みが起きやすい家庭の特徴について、心理的・経済的な背景から考えてみたいと思います。
動画にも撮りましたのでご視聴ください
そもそも「囲い込み」とは?
「囲い込み」とは、高齢の親をある家族が囲い込むように保護・管理し、他のきょうだいや第三者と接触させないようにすることです。
たとえば…
- 親を自分の家に引き取る
- 他の兄弟との面会や連絡を断つ
- 財産や通院、介護のすべてを独占的に管理する
一見すると「親思い」な行動にも見えますが、実際は親の意思が無視され、家族間の関係が断たれているケースも少なくありません。
心理的な背景にあるもの
囲い込みが起きる背景には、「心理的な要因」が大きく関わっています。以下、代表的な4つをご紹介します。
1. 未解決の家族関係
子どもの頃からの兄弟間の確執や、親との感情的なしこりが大人になっても残っていることがあります。
「弟ばかり可愛がられていた」
「兄はいつも自由でズルい」
こうした感情が、親の介護や老後をめぐる場面で再燃し、行動に影響を与えることがあるのです。
2. 「自分しかいない」という思い込み
家族内で「自分が一番親を大切にしている」「他の兄弟は冷たい」という思いが強くなると、他の家族を排除する言動につながりやすくなります。
責任感の裏に、犠牲感や優越感が潜んでいることも少なくありません。
3. 子ども側の性格傾向
自己愛的な傾向が強い人、境界性パーソナリティ傾向をもつ人など、支配欲や依存欲が強く出る場合もあります。
親の存在が「自分の価値を証明するための道具」として扱われることさえあるのです。
4. 家族システムとしての問題
もともと家族内で助け合いや感情の共有が少なかった場合、ひとりがすべてを抱え込む構造ができやすくなります。
こうした家族では、「誰も助けてくれないから、自分が全部やるしかない」という状態に陥りやすく、結果的に囲い込みの温床になります。
経済的な背景にも注目
心理的な問題だけでなく、「お金の問題」も囲い込みを引き起こす大きな要因です。
1. 親の資産が多い
土地や家、預貯金、年金などがあると、それを「誰が管理するか」が家族内の争点になりやすくなります。
「自分が親の面倒を見てるんだから、自分がもらって当然」
といった発想が、囲い込みを正当化する材料になってしまうのです。
2. 子ども側の経済的困窮
本人が働けない、収入が不安定、借金がある…などの事情で、親の年金や資産に依存したいという心理が生まれます。
「親を囲い込めば生活が安定する」と考えてしまう人もいるのです。
3. 高齢者の判断力低下
認知症や軽度認知障害などで、本人の意思確認があいまいになってくると要注意です。
「お母さん、これにサインして」と言われて内容がわからないまま署名してしまい、
財産の名義が変わっていた…という事例も実際にあります。
囲い込みが始まるサインとは?
囲い込みは、突然始まるわけではありません。
こんなサインが出てきたら、少し注意が必要です。
- 親と他のきょうだいの連絡が途絶えている
- 通院や介護の状況が共有されない
- 財産や通帳の管理を他人に触れさせない
- 実家に行っても「今忙しい」と会わせてもらえない
こうした“小さな異変”が、囲い込みの初期サインであることも。
まとめ:早期に気づけば防げる可能性も
囲い込みは、心理・経済・家族構造が複雑に絡み合って起きる問題です。
ですが、早期に気づけば、対話を再開し、親の意思を尊重する関係に立ち戻ることも可能です。
次回予告
次回は、実際に囲い込みが起きたケースと、そこから学べる教訓についてご紹介する予定です。
ご自身やご家族の今後を考えるきっかけになれば幸いです。
動画にも撮りましたのでご視聴ください