高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。


私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。

 

自己紹介など

1. 自己紹介

4.無料オンライン相談(30分)を受付しております(2025/7時点)。詳しくは以下のホームページをご覧ください。

 

 

28.面会を拒否されたときの文書の書き方

 

高齢の親に会いたいのに、きょうだいの一人や介護者、入所先から「今は会わせられない」と拒否される

――これは当事者に深い無力感をもたらします。

 

私は「高齢親の囲い込み解消コンサルタント/公認会計士・税理士」として、法・税・心理の視点を横断しながら、当事者が冷静に一歩進めるための「文書による働きかけ」を支援してきました。

 

本稿では、面会を拒否されたときの文書の基本構造、送付の工夫、宛先別の配慮、段階別テンプレまでを解説します。なお、以下は一般的情報であり、具体的な法的主張の作成は弁護士等にご相談ください。

 

 

 

1.文書のゴールを最初に決める

 

文書は感情の発散ではなく、次の合意を引き出すための道具です。ゴールは三つに絞ります。

  1. 面会の事実関係を丁寧に確認する(いつ・誰が・なぜ拒否したか)。
  2. 面会の意向と具体的提案(日時・方法・配慮事項)を示す。
  3. 期限と連絡手段を合意できる状態にする。
    この三点を外さなければ、読み手は「どうすればよいか」が分かります。

 

2.基本原則:事実→意図→要望→期限→連絡先

 

文章の順番が肝心です。
 

・事実:感情評価を挟まず、観察可能な出来事のみ記載。「〇月〇日〇時、△△施設入口で、□□さんから『面会はできない』と口頭で告げられました」
・意図:「親の安否を確かめ、家族として時間を共にしたい」など、建設的な目的を短く。
・要望:面会の方法(対面・オンライン・ガラス越し・短時間など)と候補日時を3つ程度。
・期限:返信期限を明記(例:「〇月〇日までにメールでご回答ください」)。
・連絡先:電話・メールの両方を記載。代理連絡がある場合はその旨も。

 

 

 

3.記録と送付の工夫(後で効く)

 

後日の紛争予防には、手順と証拠性が大切です。
 

・下書き保存:送信前の原稿と送信後のPDFを保管。ファイル名は「2025-08-18_面会要請_第一信.pdf」。
・送付手段:まずはメールまたは手紙(一般書留)。改善がない場合に限り、内容証明郵便を検討(文言作成は弁護士へ)。
・ログ化:時系列メモ(日時/相手名/対応内容/こちらの提案/相手の回答)。

 

 

4.宛先別の配慮ポイント

 

きょうだい・親族が窓口の場合

相手の「介護負担」「感染配慮」「疲弊」に共感を一文添えると通りやすくなります。責任追及口調は逆効果。

 

施設・ケアマネの場合

「面会ルールの確認」と「例外運用の相談」を分けて書きます。現場が守るべきルールを尊重しつつ、短時間・予約制・医療同席など代替案を提示。

 

介護サービス事業者の場合

職務範囲を尊重し、連絡窓口や情報提供の範囲を確認する依頼文にします。

 

 

 

5.書式の骨格(見出しで読みやすく)

 

件名:面会方法のご相談(候補日時のご提案)
本文冒頭:挨拶+関係性の明示(長男・長女等)
本文本体:1) 事実、2) 意図、3) 要望、4) 期限、5) 連絡先、6) 添付(診断書や身分証の写しが必要なとき)
結び:感謝と敬意の一文。「ご多忙の中、親のために尽力いただきありがとうございます。」

 

 

6.OK/NG表現の例

 

・OK:「事実を確認したく、記録のため文書でご連絡します」
・NG:「隠しているのは明らかだ」「法的措置を取る」などの断定・威圧(初手では避ける)。
・OK:「短時間(15分)、職員立会い、平日午後でいかがでしょうか」
・NG:「今週中に必ず会わせろ」(ゼロイチ要求は避け、複数案を)。

 

 

 

7.段階別テンプレ(コピペ可・必要に応じ調整)

 

※「書面上の表現」と「心理的な内面仮説」を分けて示します。

 

第1信:穏当な確認と提案

 

【書面上の表現】
件名:面会の方法についてのご相談
本文:
〇〇様
いつも母(〇〇)の介助にご尽力いただき、心より感謝しております。
さて、〇月〇日〇時に施設入口にて□□様から「本日は面会できない」とご案内を受けました。現場事情があると承知しつつ、母の様子を直接確認したく、以下のいずれかでの面会をご提案します。
候補日時:①〇/〇(火)14:00、②〇/〇(木)16:00、③〇/〇(土)10:00
方法:対面15分(職員同席)またはオンライン(Zoom)
配慮:マスク着用、発熱時は延期
ご都合の良い案を、〇月〇日までにメールでお知らせください。別の案があれば柔軟に調整します。
連絡先:メール/電話
以上、どうぞよろしくお願いいたします。
差出人・住所・署名

 

【心理的な内面仮説】
「拒否は悪意だけでなく、感染対策・疲労・誤解の可能性がある。まずは関係を壊さず“代替案+期限”で扉を開ける」

 

 

第2信:再確認と期限の明確化

 

【書面上の表現】
件名:面会の再提案(期限のご確認)
本文:
前便(〇月〇日付)へのご返信が未着のため、重ねて面会方法のご提案です。
候補日時を再掲します(①~③)。難しい場合は、今後の面会ルール(頻度・方法・窓口)を文書でご教示ください。〇月〇日までにメールにてご回答をお願いできますでしょうか。
なお、母の心身の状況に鑑み、短時間でも定期的な交流が望ましいと考えております。建設的に合意できるよう努めます。
差出人ほか

 

【心理的な内面仮説】
「応答がない=意図的拒否と決めつけない。『ルールの明文化』という落としどころを提示」

 

 

第3信:正式通知の素案(専門家相談を前提)

 

【書面上の表現(骨子)】
件名:面会可否および連絡体制の文書回答のお願い(記録のため)
本文:
1)これまでの経緯(事実のみ、日付・相手・要旨)
2)当方の意向(家族としての面会・安否確認)
3)具体案(方法・頻度・同席・感染対策)
4)求める回答(面会可否と根拠、連絡窓口、緊急時の連絡方法)
5)回答期限(〇月〇日)
6)今後の手段:合意に至らない場合は、公的な話し合いの場(例:関係機関連絡・調整の相談)を検討する旨を控えめに記載
※この段階の文面は、内容証明郵便の送付も含め、弁護士に確認を依頼してください。

 

【心理的な内面仮説】
「関係を断ち切らず、交渉の道を残しながら“記録性”を高める」

 

 

 

8.よくある失敗と対策

 

・長文すぎて主旨が埋もれる→A4一枚に収め、詳細は別紙。
・感情語が先行→初段落は事実と感謝で開始。
・候補日ゼロ→最低3候補。
・期限なし→返信期限は必ず書く。
・送って終わり→電話で到達確認。記録メモを更新。
・SNSで糾弾→関係悪化と証拠化のリスク。公的文書で淡々と。

 

 

9.心のケアの視点

 

面会拒否は「見捨てられ不安」「怒り」「罪悪感」を同時に刺激します。文書作成の前に、短い深呼吸と1行メモで自分の感情を可視化しましょう。

 

「私は母の安否が心配」

「家族で話したい」。

 

この“ニーズの言語化”が、攻撃ではなく要望を伝える文面につながります。必要であれば第三者相談(地域包括支援センター、カウンセリング)を併用してください。

 

 

 

10.まとめとチェックリスト

 

・事実→意図→要望→期限→連絡先の順番になっているか
・候補日時は3つ以上か、代替案を示したか
・感謝と敬意の一文を入れたか
・A4一枚+別紙で読みやすいか
・送付手段と記録(PDF化・書留等)を整えたか

 

面会は「親は家族みんなのもの」という原則を体現する行為です。感情に飲み込まれず、記録性と誠実さのある文書で、扉を少しずつ開けていきましょう。

 

専門的な法的措置が必要と感じたら、ためらわずに弁護士等へ個別相談を。あなたの一通が、状況を前に進める第一歩になります。

 

 

 

 

 

ブログのご紹介

ブログ主宰 しらいわ は以下のブログも作成しています。併せてご覧ください。

1. 自己愛性ハラスメント対策室  ~ 感情的な人に振り回されている方向け~

2. 高齢親の囲い込み 解放アドバイザー  ~ 介護が必要になった高齢親が自分以外のきょうだいに囲い込まれて会えなくなった方へ~

3. 家族心理学・家族療法スクール オンライン ~ 家族関係に悩む方や支援職のための学びの場。家族との距離の取り方や関係性の見直しに役立つ知恵を、心理学の視点から発信

 

4. あなたのメンタルを守りたい (休止中)~心が少し軽くなるメンタルケアの情報を発信中~

5. インナーチャイルド解放コーチ しらいわとしまさ (休止中)幼少期の心の傷が未処理のため大人になっても生きづらさを感じる方へ

6. 感情の地図 〜EQナビゲーターが届ける“心の航海術”(休止中)~感情と向き合う「心の航海術」を発信中

7. 女性起業家×アドラー心理学(準備中)