高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。
私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。
自己紹介など
1. 自己紹介
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2.高齢親の囲い込み問題について体系的な説明(ChatGPT DeepResearchより)
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25.裁判に持ち込む前にやるべきこと
― 家族トラブル・親の囲い込み事案の現場から ―
1. なぜ裁判は最終手段なのか
家族間のトラブル、とくに高齢の親をめぐる「囲い込み」や遺産分割などの問題では、感情のもつれが深く、当事者同士の話し合いが難航することが少なくありません。
「もう裁判しかない」と思う瞬間もありますが、実務経験から申し上げると、裁判は最終手段とすべきです。
理由は大きく3つあります。
1つ目は、時間がかかること。家事事件でも半年〜1年、民事訴訟なら2〜3年かかることも珍しくありません。
2つ目は、精神的負担が大きいこと。相手の主張を正面から突きつけられる場面が続き、家族関係はさらに冷え込みます。
3つ目は、裁判の判決は白黒をつけるだけで、関係修復を目的としないことです。勝訴しても、家族としてのつながりが戻るわけではありません。
したがって、裁判に踏み切る前にやるべき準備と選択肢をしっかり検討することが重要です。
2. 現状を「冷静に」整理する
感情が先走ったまま動くと、交渉も解決も長引きます。
まずは、次の視点で現状を整理しましょう。
- 事実関係の時系列化
いつ、誰が、どのような行為や発言をしたか。感情的な評価は抜きにして、客観的に書き出します。
例:「2024年3月15日 兄が母を施設から自宅に連れ出し、以降面会ができない」 - 証拠の有無を確認
LINEのやり取り、録音、契約書、診断書など、客観的な裏付けになる資料を集めます。証拠は後から作れないため、日頃から記録を残すことが重要です。 - 法的な争点の見極め
「気に入らない」ではなく、「法律上問題となる権利侵害」かどうかを確認します。面会交流の妨害、財産の横領、遺言書の偽造など、どの法律に該当するかを整理しておきます。
3. 当事者間の直接交渉は慎重に
「まずは話し合いから」というのは原則ですが、家族間では感情の爆発や過去の恨みが持ち出されやすく、逆効果になることがあります。
直接交渉する場合は次の工夫を。
- 感情的なやりとりは避け、事実と要望を短く伝える
- 会話は録音または文書で残す
- 複数人での場は混乱を招きやすいので避け、1対1か代理人を通す
もし相手が自己愛的・攻撃的な傾向を持つ場合、直接交渉は避けるのが賢明です。挑発されて感情的になれば、こちらが不利な証拠を残してしまうこともあります。
4. 第三者機関の活用
裁判に至る前の有効な選択肢として、第三者機関を活用する方法があります。
- 家庭裁判所の調停
裁判官と調停委員が間に入り、話し合いで解決を目指します。判決ではなく合意形成を目標とするため、柔軟な解決が可能です。費用も訴訟より低額です。 - 行政の相談窓口
市区町村の高齢者支援課、地域包括支援センターなどは、福祉的な視点から関わってくれます。施設入所や介護サービスの利用調整も期待できます。 - 弁護士による内容証明郵便
感情的なやりとりを避けつつ、相手に「法的対応の可能性」を意識させられます。ただし、送った瞬間に関係が硬直化するリスクもあるため、タイミングが重要です。
5. 心理的な準備
法的な選択肢を検討する一方で、心のケアも欠かせません。
長期戦になるほど、当事者は疲弊します。特に親の囲い込み問題では、「親に会えない喪失感」が深く、焦りや怒りに支配されがちです。
心理面での準備としては:
- 信頼できる友人やカウンセラーに定期的に気持ちを吐き出す
- 睡眠・食事・運動など、体調を保つ基本習慣を守る
- 相手を変えようとするより、自分の心の守りを優先する
これらを意識することで、冷静な判断力を維持できます。
6. 裁判を選ぶ場合の覚悟
最終的に裁判を選択する場合は、以下の覚悟が必要です。
- 時間と費用の負担
弁護士費用、印紙代、郵送費など、まとまった資金が必要になります。訴訟の途中で資金不足にならない計画を立てましょう。 - 勝っても完全な解決にならない可能性
判決は法的な決着であって、感情的な和解を意味しません。むしろ関係が完全に断絶することも多いです。 - 証拠がすべて
「正義は必ず勝つ」という考えは危険です。裁判は証拠と法律で進みます。証拠がなければ、真実でも負けることがあります。
7. 専門家と早めに連携する
弁護士だけでなく、税理士、公認会計士、司法書士、臨床心理士など、ケースによって必要な専門家は異なります。
特に親の財産や相続が絡む場合、税務や会計の視点からも早めにアドバイスを受けることで、法廷に持ち込まずに解決できる道が見えることがあります。
また、家族心理に詳しい専門家と組むことで、感情的な衝突を減らし、現実的な着地点を見つけやすくなります。
8. まとめ ― 行動の優先順位
裁判に踏み切る前にやるべきことは、次の順序で整理できます。
- 事実関係と証拠を整理する
- 直接交渉の可否を判断する
- 第三者機関の活用を検討する
- 心のケアを行う
- 裁判を選ぶ場合は覚悟を固める
- 早めに専門家と連携する
このステップを踏むことで、「感情に流されて裁判に突入し、後悔する」という事態を避けられます。
親の囲い込み問題や家族トラブルは、長期化すればするほど傷が深まります。冷静さと計画性を持ち、最終手段としての裁判を選ぶかどうか、しっかり見極めましょう。
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(期間: 2025/7/17~2025/8/16)
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2. 高齢親の囲い込み 解放アドバイザー ~ 介護が必要になった高齢親が自分以外のきょうだいに囲い込まれて会えなくなった方へ~
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