前回の続きになります。
元が日本に攻め込んできた理由の1つに、「九州特産の鉱物資源の獲得」ということが考えられる、ということでした。
この「九州特産の鉱物資源」とは一体何でしょうか❓
この問いに答えるには、「服部英雄『蒙古襲来』山川出版社 2014年」を参考にする必要があります。
この著作には、次のように説明されています。
フビライが日本征服に並々ならぬ執念を燃やした理由は、日本の九州特産の「硫黄(いおう)」獲得のためであった、と。
硫黄❔ 硫黄って、あの温泉♨の…❔
硫黄は火山地帯に多く産する鉱物です。
そして硫黄は「火薬の原料」として知られているのです。
中世(鎌倉時代・室町時代)において、硫黄は中国への重要な輸出品でした。
中国は日本から輸入した硫黄を原料として火薬を作り、その火薬を用いた兵器を完成させました。
蒙古襲来においても、「てつはう」と呼ばれた武器が使用されたのですが、この武器にも火薬が使用されていました。
火薬を作るには、硫黄が必要不可欠だったのです。
ですからフビライは、各地での戦争で火薬は必要不可欠との観点から、日本の九州特産の「硫黄」が何としても欲しかった、というわけです。
高校生からの難問。
「先生❢モンゴル軍は2度にわたって日本を攻めたわけですが、フビライの征服欲は凄いですね❢結局実現はしませんでしたが、3度目の日本遠征も考えていたのですよね!?国力をすり減らしてまで、日本を征服することにどのような意味があるのですか?」
日本史の教科書や参考書などにも答えが記載されていないこの難問に、最新の学説を用いての回答を高校生に試みてみました。
蒙古襲来は、「征服戦争」ではなく、「資源獲得戦争」という側面が強かった、という説が学会で提起されていることを受けて、歴史能力検定においても日本史1級の問題として出題されたものと思われます。
大学受験のみならず、中学受験や高校受験の際にも活かすことができる知識ではないか、と私は考えています。
歴史は学ぶほどに、その奥深さに気付かされます。
読者の皆様は、どのような感想をお持ちになられたでしょうか。