『発達障害の原因と発症メカニズム——脳神経科学からみた予防、治療・療育の可能性』(河出書房新社,2014)
著者:黒田洋一郎,木村-黒田純子
第2章 症状の多様性と診断のむずかしさ
——個性との連続と診断基準の問題点
52,53,54ページ
【第2章(8)】
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※この本には発達障害の発症のメカニズムと予防方法が書かれています。実践的な治療法を知りたい方は『発達障害を克服するデトックス栄養療法』(大森隆史)、『栄養素のチカラ』(William J. Walsh)、『心身養生のコツ』(神田橋條治)p.243-246 、療育の方法を知りたい方は『自閉症スペクトラムの子どもの感覚・運動の問題への対処法』(岩永竜一郎)も併せてお読みください。
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5. 診断の分類と症状だけの診断基準による診断の困難さ
これまで述べたように、自閉症やADHDでは、症状の多様性、個人差もあり、脳のどの部分がどのようにおかしいのか、実際発達中の子どもの脳の生物学的データで統一的に実証できないのが、発達障害研究で原因と発症メカニズムの研究が遅れている主な理由といえよう。
したがって、診断には実際の子どもの行動を観察したり、親や学校の先生から家庭環境、学校環境での子どもの様子を聞いて、経験のある臨床医が、行動レベルの分別診断に基づき行われている。
ここでは子どもの脳の異常の全体像を見るのに優れている杉山登志郎の発達障害の分類を、定義、臨床経過、頻度、 併存症の一覧として紹介しておく(表2-1)。