キャノンのデミEE17です。
この個体は摩訶不思議な症状が発生してしまい、その原因が皆目見当がつかなかったために修理不能と判断されてジャンクの部品取りとして保管されていたものです。
その摩訶不思議な症状というのが『1/250秒だけがシャッターが閉じずB開放と同じ動作をする』というものです。
キャノンのデミEE17です。
この個体は摩訶不思議な症状が発生してしまい、その原因が皆目見当がつかなかったために修理不能と判断されてジャンクの部品取りとして保管されていたものです。
その摩訶不思議な症状というのが『1/250秒だけがシャッターが閉じずB開放と同じ動作をする』というものです。
キャノンの7Sです。
組み上がったので
テスト撮影をしてみることにしました。
使用したフィルムはKodak UltraMax ASA400
電池の挿入時の電圧は1.481V
です。
キャノン7Sに内蔵されている露出計が「H」側の数値はよいのですが
「L」側の数値が実際のF値より大きく表示される傾向にありました。
しかし日中の屋外でASA400のフィルムでは「H」側では測定範囲を遥かにオーバーしてしまうため、今回は単体露出計の「セコニック L-188」を使って測光していきます。
まず斜め右下の窓に表示されているASA値を使うフィルムに合わせて、右側のボタンを押しながら丸いダイアル部を回転させてオレンジと緑の針が重なるようにします。
そおしてその時の数値を読み取ります。
黒文字がシャッタースピードで
赤文字がF値になっています。
画像から読み取るとシャッタースピード1/250秒でF値は5.6という事になります。
今回は二種類のレンズを使います。
まずはCANON LENS 35mm F1.5 です。
1958年から発売されました。
35mmにしては当時はとても明るいレンズでした。
マウントがライカのL39マウントのため現在でもかなりの高額で取引されています。
ただこのレンズには問題がありまして…。
前玉レンズの外端外周部に縞模様のような物があります。
カビやクモリではないしコバ落ちのようでもありません。
まるで経年劣化でレンズが瘦せてしまった痕のように見えます。
このレンズでテスト撮影を行います。
さすが銘玉と呼ばれるレンズです!
素晴らしい映りですね。
シッカリと映りながらなんとなく優しい感じが出ています。
35mmのフルサイズというのもあるのでしょうが
細部までシャープにしっかりと写っています。
針葉樹の葉の造形を描写するのはとても難しいかと思われますが
綺麗にしっかりと写っています。
これもとても良く写っています。
完全に日陰の状態(奥の一部に日光が写り込んでいる)にもかかわらず
手前から奥の方までしっかりと写っています。
被写界深度もバッチリですね。
おやおや!?
これはなんでしょう?
なんで白ボケしたんだ?
やはりレンズの縞模様が原因なのでしょうか?
でも映りはシャープですね。
いやぁ~凄いですわ!
シャープなんだけどどこかホッコリとした感じがあります。
写りや映りは素晴らしいのですが右側の一部が白くハネてしまっています。
これも厳密にいえば右端が白くなっています。
こちらには右側にしっかりとした白い線になってしまっています。
こんどは左側に白いものが…。
また右側ですね。
レンズが原因であれば度の画像にも同じような症状が出るはずだと思うんですが
キレイに写っている画像もあります。
それにこの白くなるのはフィルム室に光が入り込んだ結果に出た感じがします。
シャッター幕に穴が開いているのでしょうか?
原因の究明は一時保留にします。
次はこちらのレンズです。
NIKON の NIKKOR-S・C 5cm f1.5 です。
F1.4ではありません。
1949年に発売されました。
僅か800本程度しか作られませんでした。
このレンズはシリアル番号から236番目に造られたレンズという事が判ります。
現在ネット上で販売されている同レンズの中では一番若い番号かもしれません。
大東亜戦争で敗北した日本は戦後に連合国軍(代表国:米国)に占領されることになりました。
戦後占領下の日本の工業製品はMade in Occupied Japan(占領下の日本製)とされ西洋文化のコピー品ばかりだと欧米から揶揄されていました。
その風評を一気にひっくり返し世界中にNIKONの名前(ブランド)認知させたのがこのレンズです。
このレンズの詳細については私の過去のブログに記載しておりますのでよろしかったら読んでみてください。
ここまで古いと...。その② NIKKOR-SC 5cm f1.5 朝鮮戦争と従軍写真家 | recognizerのブログ (ameblo.jp)
このレンズに関する情報や記事はネットで必死に検索しないと見つかりません。
このレンズで撮影した当時の白黒画像は散見できますが、ネガカラーフィルムで撮影した画像というのは私は今まで見たことがないのである意味今回の撮影結果は貴重かもしれません。
あららら…。
こちらの画像にも薄っすらと白い線が出てきましたね!
という事は前のキャノンのレンズに問題があったのではなくボディ側
つまりキャノン7Sに原因があるという推測ができる事になります。
こっちのレンズにも同じ症状が出てくれて良かったと安堵しています。
これでキャノンのレンズの前玉にある縞模様は撮影結果に影響しない事が判ったのは僥倖です。
それはさておいてこのレンズの映り写りを見てみます。
おぉ~!他のレンズにはない迫力のようなものが感じられます。
私には実った実や葉たちの瑞々しさといったようなものがビンビンと伝わってくる感じがします。
この状態では判りませんが、拡大してみると日陰部となる団地の壁にある汚れというかカビのようなものまでしっかりと描写されています。
前のキャノンのレンズよりも針葉樹の葉の繊細な部分が描写されています。
実は撮影前のピント調整の時に二重画像の上下が再びズレてしまったため左右だけの一致で半ば感で撮影しました。
こちらは日陰だったのもありまして二重画像がズレた状態ではピント調整がとても難しくなってしまいピンボケしました。
この後も二重画像のズレは戻ったり再発したりを繰り返します。
もの凄い解像力というか描写力です。
色合いも濃いというか植物らしさが出ています。
これが今回のテスト撮影で一番広範囲に白くハネた画像です。
この空と看板や樹木を比較しながら見ていると私には遠近感というか立体感のようなものが強烈に表現されているように感じました。
だから私には他のレンズにはないもの凄い迫力のような物を感じます。
こちらもものすごく良く映っているのですが避けな光の侵入が残念です。
これも二重画像が一致せずに被写界深度頼りで撮影しました。
白くなる時はだいたい右側からのようです。
これも右側が白いです。
ということはネガは反転しているので左側から余計な光が侵入していると思われます。
いやぁ~コレもすごい輪っかの塗料のくすみや錆の部分までしっかりと描写されています。
二本のレンズ共に素晴らしい描写力を持っていて映りがとても良かったです。
特にNIKKORの方はズバ抜けていています。
出来れば二本共売らずにキープしたいほどです。
さすが銘玉ですね。
さて…。
本体である今回のメインのキャノン7Sの方なんですが…。
まず前回か前々回に意味不明と書いていたシャッターボタン部にある「R」のポジションはフィルムを巻き戻す時にこの位置にするみたいです。リバース(Reverse)の「R」だったんですね。
そしてお次に二重画像の上下がズレる件ですが分解して修理している時に気付いていたのですが矢印の部分が多少上下に動く(ズレる)んです。
ココはアームのような形状になっていて左にずーっと伸びていて左端にミラーが乗っています。このアームの中心軸となる部分にガタがあって残念ながらそのガタを取り除くことができません。そのために持ち運びの振動でアームが上下に動いてしまい二重画像の縦ズレにに繋がります。
ズレた時はカメラに手で『トントン』と衝撃を与えることで元に戻ります。
現在縦ズレはありません。
また、焦点距離が近くなると二重画像が一致しなくなるのかなと思い実験してみましたがそんなことはありませんでした。
ただ日陰などの暗い環境下では非常にピント合わせが難しくなる機種ではないかと私には思えました。
次に画像の右側が白くなるまたは白い縦線が入る原因ですが、どこかしらから光がフィルム室へ漏れ入っているのではないかと思っています。
シャッター幕にはピンホールは見つかりませんでした。
一番怪しいのは貼り替えたモルトの厚みが足りなかったのではないかというのが考えられます。
そこで確認のためにカメラの蓋の上下に塗料を塗ってからすぐに閉じます。
そして再び蓋を開けます。
蓋がモルトにしっかりと接触すればモルト一面に塗料が付着するはずですが、結果は全体の50%くらいしか塗料が付着していませんでした。蓋がモルトにキチンと接触していない部分がありそうです。
そこから光が侵入しているのではないでしょうか。どうやらこれが原因と思われます。
今度改めて再びモルトを貼り替えます。
それと露出計なんですが…。
テスト撮影中に何度か動作チェックをしていたら「L」側でも大体適正な数値を示すようになりました。
やはり軍艦の取り外し時にシャッターにダメージを与えたことが原因のようです。
しかし、ファインダーの中にインジケーターがないために撮影前に露出を調整する度にファインダーから目を離してこの露出計をチェックするのは非常に煩わしいです。
そんなことをするよりもセコニックの露出計をポケットから取り出して露出を確認してから調整をする方が遥かに楽でした。
ハッキリ言って露出計はいらないですね。
だからキャノン7よりもキャノンPの相場の方が高くなるのかもしれませんね。
テスト撮影までしてみましたが二重画像の動作が今一なので販売できるクオリティではにですねぇ。
私自身が使用するのならば問題は無いのですが…。
今回同時にテストした二本のレンズ特にニコンのレンズの描写力に惚れこんでしまったのでこれらは売らずに個人所有としてしまうかもしれません。
キャノンの7Sの続きです。
接着剤の説明書によると、気温20度の状態で接着剤塗布後およそ10時間で実用強度に硬化しおよそ24時間で最終的な強度に硬化するそうです。
接着剤を塗布後20時間以上経過しているので強度的にはもう良いだろうと判断して
最終的な二重画像をチェックしました。
結果はズレる事無く上下左右ともバッチリと合致していました!
ファインダーから見える景色は調整前とは見違えるようなスッキリ感が出ました。
念のためもう一本別のレンズでも試してみました。
先程はニコンの50mmでしたが今度はキャノンの35mmです。
こちらも二重画像はピタリと一致しました。
これで二重画像の調整は完了です。
話がズレてしまいますが、
二重画像の調整の際に使ったこのNippon Kogaku Tokyo NIKKOR-S・C 5cm F1.5というレンズは1949年におよそ800本ほどしか生産されなかったとても貴重なレンズでしてその後の5cm F1.4とは全く違うレンズです。
このレンズなんですが操作していて不思議に思う事がありました。
フォーカスリングを最短~∞mまで回すと最短距離から途中半分ぐらいの位置まで二重画像が全く動きません。
そして何故かある場所だけでフォーカスリングの動きが固くなって止まってしまいスムーズに∞mまで回せません。
不思議に思ってフォーカスリング付近を精査してみると、画像のように真ん中にあるネジより左側の距離の刻印は黒色なのですがネジより左側の刻印は赤色になっています。
そして二重画像が動き出すのが黒色の3.5辺りからだという事が解りました。
最短距離が3.5mだって? そんなに遠いの?
ワケガワカリマセン
さらにフォーカスリングのピント調整位置に画像のようにネジが来る位置で急に固くなって回転が止まってしまうのです。
ジツニフシギデス
さらに精査していくとフォーカスリングにINF.=∞ の刻印がありその右にfeetと刻印されています。
ん?フィートだって?
あぁ、そうか!距離の表示はメートルじゃなくてフィートだったのか!
ということは最短距離 3.5 feet ≒ 1.05m だったんだ。
そして 50feet ≒ 15m 以上で ∞m になるという事ですか。それなら納得できます。
1949年当時日本はまだアメリカ軍(連合国軍)の占領下(Occupied Japan)にあったためヤード・ポンド法のフィートだけを使ったのかもしれません。
そして赤色の刻印と二重画像が動かない理由もわかってきました。
ピント調整=レンズ側と二重画像の合致=ボディ側との動きの連動は矢印のマウントの内側にあるヘリコイド部分の前後の動きを
ボディ側の矢印のローラーが受けて前後する事で連動します。
ところが画像のように赤色刻印の 1.5feet ≒ 45cm の位置だとヘリコイドがマウントの中に入り込んでしまっています。
これではボディ側は連動できませんから二重画像が動かないのです。
そして赤色刻印と黒色刻印の分岐点であるネジの位置がヘリコイドとマウントが面一(ツライチ)になる部分なのでしょう。
このことからフォーカスリングの赤色刻印はボディ側の二重画像(レンジファインダー)が連動しない距離(警告の赤色)を示し黒色刻印はレンジファインダーが連動する距離を示しているみたいです。
更にネジの位置でフォーカスリングが一時的にワザと止まるようにして目だけではなく操作感覚的にも解るようにクリック感を出して注意喚起しているのでしょう。
非常に凝った造りをしているのではないかと思います。
さて話を元に戻しまして、これからミラー部分を清掃してからキャノン7Sを再び組上げていきます。
これでもう三回目みたいなもんですからおっかなびっくりしながら作業するわけではありませんが、タイマー部の組み立てが面倒ですね。
ハイ!組み上がりました。
やはりこのカメラはタイマーの組み立てというかレバーの取付にクセがあります。
レバーの角度を合わせにくいというか、正しい位置に設定できないとシャッターが切れなかったり、タイマーを巻き上げても止まらずに走り出してしまいます。
組み上がったわけですから当然テスト撮影を行います。
このカメラのテストと共に
キャノンの35mm F1.5 と ニコンの50mm F1.5レンズのテスト撮影も兼ねます。
キャノン7Sは1965年の販売とレンジファインダーカメラとしては新しく、時代的にはもう一眼レフカメラに移行している時期でしょう。
そのせいか販売台数は16,000台程度と少なかったとか。
分解していて感じたことはとにかく造りが良いことです。
設計が古いせいなのかかなり面倒な構造をしている部分もありますが
1959年から1962年頃に生産されたホンダのバイクのように品質の良さと一緒に造り手の熱い想いが感じられました。
レンジファインダーカメラと云えばライカですよね。
画像はライカM5との比較です。
M5は1972年の販売とキャノン7Sよりさらに新しいですがcds素子の露出計を内蔵していて能力的に似ていると思われます。
好みは分かれると思いますが、私にはキャノン7Sのブライトフレームの方が使い易くて見えやすいです。ライカM5のブライトフレームは薄くて見えにくいです。
このライカM5は連休前にヤフーオークションに出品して落札されたのですが落札者よりブライトフレームが動かないのとファインダーの二重画像の動く方にカビが有るという事で返品されてしまいました。
戻ってきたカメラをチェックすると(この時にはもうキャノン7Sを分解していた)確かにカビは確認できましたが、ブライトフレームの方はは正常に動作していました。
ライカはキャノンと違ってレンズを装着するとレンズの長さに合わせて自動的にブライトフレームが変化します。
ですからレンズを装着しないとブライトフレームの確認が難しくなります。
落札様はその辺の事情を知らなかったようです。
当時の私はまだキャノン7Sを分解していませんでしたから「ブライトフレーム」という言葉の意味も構造も動作も全く分からなかったので検品が出来ませんでした。
ということで返品を無条件で受け入れました。
6月以降に改めてヤフーオークションに再出品するつもりです。
キャノンの7S レンジファインダーカメラです。
キャノン7の露出計をセレン式からcds受光素子に変更したキャノンのレンジファインダーカメラの最終形態です。
以下で説明する通り巻きもし方式で画像を掲載しているために上下の二重画像合致させる調整をしているために分解中&レンズ装着状態となっております。
キャノネットQL17のような普通のレンジファインダーカメラとは違ってレンズ交換式になっていてレンズの長さに応じてブライトフレームの大きさが変わるというライカのようなカメラです。
このカメラは数カ月前までは正常に動作していたのですが、10日くらい前に動作確認をしたらシャッタースピードが1~1/8秒でシャッターが開いても閉じなくなってしまいました。
「こりゃぁスローガバナが原因だろう」ということで分解してみることにしました。
しかし、
私はこのタイプのレンジファインダーカメラというのを今まで分解したことが無いどころか構造や使い方も全く理解していませんでした。
このため分解する必要のない所まで分解してしまったり、歯車の合わせ位置が判らなくなってしまったり、軍艦の外し方を間違えてしまい部品の一部を変形させてしまう等の失敗を繰り返してしまいました。
このため分解時に撮影するという精神的余裕が全くありませんでした。今回は組立時に撮影した画像を逆の順序にして分解の説明をしていくという巻き戻し方式となりますので分解時の説明と共に組立時の苦労譚そして特記するべき事柄や私がミスした事柄も説明していきたいと思います。
まずはフィルム巻上げレバーと巻き戻しレバーを外します。
これらは他の普通のカメラと同じ方法で外せます。
ですが巻き戻しレバーの裏側にあるスプリングの役目をする板が錆びています。
錆を可能な限り除去するためにCRC3-36に漬け込みます。
一晩漬け込みましたが錆は全く取れませんでした。
耐水ペーパーで錆を除去しようとしたのですが、地金の表面だけでなく奥まで喰い込んでいたためワイヤーブラシをボール盤に取り付けて錆を除去します。
錆が喰い込んだ痕は残りましたが錆自体は除去できました。
見た目が大分良くなりました。
さて、これ以降は私にとって未知の部分が出てきそうなのでネットで他の方がキャノン7Sを分解されているのを参考にさせていただこうと思ったのですがキャノン7Sの分解の記事を発見する事が出来ず、キャノン7の記事しか出てきませんでした。
仕方がないのでキャノン7の記事を参考にさせていただいて分解していきます。
大体というか殆どが双方のカメラの構造は同じなので参考になると思うのですが、露出機構が全く違うのでその辺の分解が心配ではありますが。。。
ネットの記事によりますとシャッターボタンは側面にある三本のイモネジを緩めることによって外せます。
あと、ボタン横の「A」と刻印されている右側の「黒い点」が撮影時の通常の位置で、左側の「赤い点」がシャッターロックになります。
「R」にすると巻き上げていたシャッターが元に戻ってしまいます。何のためにあるんでしょう?
シャッタースピードダイアルはまずシャッタースピードを「B」にASA感度を400にセットします。
これはシャッター同様側面にある三本のネジにアクセスするためです。
そして1秒と1/2秒の間にあるイモネジだけ緩めて抜き取ります。
組立時に三個の穴のうちどの穴が抜き取ったネジの穴なのか判らなくなってしまいとても煩わしいのでペイントマーカーでマークしておきます。
この一カ所だけネジが長くなっています。
残りの二本のイモネジは短いです。
しかし緩めすぎると内蔵されているASAダイアルに干渉してしまいシャッターダイアルが抜けなくなってしまうので数回転手度の緩めに留めておきます。
シャッターダイアルを抜き取るとASAダイアルが出てきますのでこれも抜き取ります。
ここで最初のミスをしてしまいます。
ASAダイアルの下部は歯車になっていました。
それが露出計の歯車と噛み合っていたのですが、なんとコレがシャッタースピードのように各速度で固定されるような構造になっておらず自由に動いてしまうのです!
このように完全フリー状態となっているのを知らずに外してしまったために、組立時はどの位置でセットをすれば良いのか判らくなってしまいました。
いやぁ~、これには流石に狼狽してしまいました。
初めて分解する機種でやってしまう典型的なミスです。
正しい位置をどうやって見つける(確認する)か?
という事でYouTubeでキャノン7Sを紹介している動画を観まくってASA400の状態のシャッターダイアルが写っている動画を探しました。
そうしたらASA400で1/30秒で映っている動画を発見!
その状態で露出計の数値は画像の通りでした。
それに倣ってシャッターダイアルを仮組します。
そしてシャッターダイアルを「B」にした時の露出計の数値はご覧の通りです。
これで組上げることができるようになりました。
いよいよ軍艦を外すことになります。
軍艦は左側面のネジ一本と
右側面のストロボ接点を緩めて外します。
キャノン7にはストロボ接点にカニ目スパナ用の穴が開いているのに
この個体にはその穴が開いていないため緩めることができません。
ネットでキャノン7Sの画像を見るとキャノン7Sにもストロボ接点に穴が開いているタイプもありました。
ということでヤシカハーフ14の無限遠調整の時と同様にピンバイスで穴を開けます。
画像は下穴を開けている状態です。
最終的には0.8mmの穴を開けました。
軍艦に付いている露出計受光部の窓にはダイアルがあります。
H(橙色)とL(白色)の位置があります。
画像はHL双方が見えるようにダイアルを中間の位置にしています。
なお、軍艦を外す時はこのダイアルをLに設定してから外してください。
私はHに設定して外そうとしたために受光部のシャッターを傷つけてしまいました。
ネットで入手したキャノン7の分解方法ではセレン式の露出計なので構造が違うためこの部分の情報を入手する事が出来ませんでした。
H(橙色)とL(白色)で色が違うのは露出計のメーターの表記と関係があります。
露出計の受光部の窓をHにした場合は橙色の数値を、Lにした場合は白色の数値を見なさいと言う意味になります。
Hの時は画像のようにシャッターが左に移動して受光部の窓が前回になります。
Lの時はシャッターが受光部を覆ってしまい光量を制限します。
この動作を軍艦に付いた受光部のダイアルで操作しています。
このためダイアルをHの位置にして軍艦を外そうとするとダイアルの爪がシャッターに引っ掛かってしまい軍艦が外れません。
それでも無理に軍艦を外そうとするとこのシャッターを破損してしまいます。
私はダイアルを軍艦から取り外してしまえば軍艦から外れるのではないかと勘違いしてしまい三本のイモネジを緩めてダイアルを外してしまったのですが、その必要は全くありませんでした。
しかもダイアル裏面にはH/Lの位置決め用のクリックボールが入っていたのですが紛失してしまいました。
在庫の1.5mmのスチールボールを使ってみたのですが、それでは大きすぎたので1.3mmのスチールボールを新たに購入しました。
結局ダイアルを外したお陰でシャッターは破損こそしなかったのですが変形してしまい、ダイアルをLからHに動かした後にダイアルをHからLに戻してもシャッターが動かなくなってしまいました。つまり一度シャッターを開いたら二度と閉じなくなってしまうということです。
このため小型プライヤーとヤットコを駆使してシャッターの変形を修正してなんとかシャッターがスムーズに開閉るようになりましたがこの対応に三日という時間を割くことになってしまいました。
軍艦取付時に露出計に繋がる電線を挟み込んでしまい外側のビニールの被覆が削れてしまい芯線が剥き出しになってしまいました。
そのままでは芯線とボディが接触して短絡(ショート)してしまう可能性があります。
画像の下側の電線の異様に膨れた部分がそうです。
画像は修復後の物です。
液体ゴムというのがありましてこれが今回のようなトラブルの際の修復にとても便利なんです。
水性なんですが乾くとゴムのようなビニールのようなものになります。
ですから芯線が剥き出しになった部分に液体ゴムを塗り付けて乾かすと先程の画像のようになります。
とてつもない苦労の末やっとこさ軍艦が外れたので
次は前面のカバーを外します。
その前段階としてタイマーのレバーを外します。
レバー自体は他のカメラと同じなのですが…。
今まで触れてきたカメラはタイマーのレバーを外せばそれで終わりなのですが、
レバーの下に三本のネジが隠れていました。
当初はカバーに取り付いているのだろうと思いこの状態で放置していたのですが、後にここも分解しないとカバーが外れない事が判明し外します。
三本のネジなのですが、下のネジと上の二本のネジでは色も形状も違います。
とても複雑です。
ここまで複雑な理由は何なのでしょうか。
白い部分を取り外すとシャフトが出てきます。
シャフトは画像のような形状をしていて
すき間調整用と思われるシムワッシャーが二枚入っていました。
シャフトを外すと更に溝の彫られたピンのような物が出てきます。
このピンには二つの溝が90度の位相で彫られています。
たかがタイマーとの連携でなんでここまで部品数が多くて複雑なんだろうかと思わされました。
レンズマウントを取り付けている四本のネジを外します。
上側と下側でネジの長さが違います。
長い方が上側用です。
マウントを外すと更に二本のネジが出てくるので緩めて外します。
(巻き戻し方式のため時系列が逆転しているためこの時点ではまだタイマーの取り外しが行われていません。この後取り外すことになります。)
全てのネジが外れるとこのようにカバーがカパッ!と外れます。
矢印の部分がスローガバナです。
この部分にベンジン(特級)を流し込みます。
シャッタースピード1~1/8秒が復活しました。
モルトの貼り替えをします。
このカメラは構造的にボディとカバーの間にもモルトが貼られているのでこちらも張り替えます。
本来はボディ側に貼り付けるのかもしれませんが私はカバー側に貼り付けました。
あと四角い窓の下の部分に植毛紙が貼られていますがこれは再利用します。
軍艦のファインダー部にもモルトを貼ります。
軍艦のレンジファインダー用の窓の黒い部分が剥がれているので塗料で塗って
彫刻刀とカッターで形状を修正しました。
ですが何回か軍艦を付けたり外したりしていたら塗装がポロポロと剥がれてしまいます。
三回ほど塗り直したら収集が付かなくなってしまいました。
仕方がないのでマスキングテープを使って直線を出すようにしてから
塗料の密着性を上げるためにガイアノーツのプライマーを下塗りしてから黒の塗装を
してようやくなんとか見られるようになりました。
ASAダイアルと露出計の数値を合わせて歯車をかみ合わせてからシャッタースピードダイアルを三本のイモネジで取り付けます。
ASAダイアルと露出計の数値の関係が正しいかどうか後ほど検証・確認します。
シャッターボタンを三本のイモネジで取り付けました。
巻上げレバーと巻き戻しレバーを取り付けて完成です。
本体のASAを400 & 1/250秒にセットしてボディに電池を入れて露出計のスイッチをONにして数値を読み取ります。
画像では見えないですが本体の露出計の指針のF値はF4から小さい目盛りで1つくらいF5.6寄りにあります。
セコニックL-188露出計もASA400にセットしてあるので黒い数字(シャッタースピード)の250の位置に合致している赤い文字(F値)を読み取ると4より一目盛り程5.6寄りになっているので本体とほぼ同じ数値を示しているので合っています。
という事は組立時の歯車の合わせは正しかったという事になります。
ようやく完成し、露出計も正しく動いているようなので最後にレンズを取り付けて
ブライトフレームと二重画像の動きをチェックしたところ、二重画像の縦方向がズレていました。
二重画像の調整は軍艦に付いている盲(めくら)蓋役のネジを外してその穴からマイナスドライバーを挿入してネジを左右に回して行います。
ファインダー窓横にあるこの穴が左右の調整用です。
そしてブライトフレーム設定ダイアルの上にあるのが上下の調整用の穴です。
しかし両方の穴にドライバーを挿し込んでもネジらしきものに到達できません!
もうどうにもならないので組上げたばかりの軍艦を再び取り外しました。
そして精査してみると左右の調整ネジは穴の直近に見つかったのですが、上下の調整ネジは穴の直近にはありませんでした。それらしいネジは存在するのですが、強力な接着剤で固定されておりとても調整用のネジとは思えません。
ネットでひとつ前の型のキャノン7の画像を見ると矢印の位置に盲蓋があります。
また、ネットでキャノン7Sの画像を見るとこの個体と同じ位置に盲蓋が有るタイプとキャノン7と同じ位置に盲蓋のあるタイプがあります。
そしてキャノン7の穴の位置にには矢印のような上下調整用と思しきネジがありましたがこれも調整用ではありませんでした。
ミラー固定用のネジのようです。
上下の調整ネジは無いのでしょうか?
私には見つけることができませんでした。
万事休す。
もはや修理不能と判断し組立を止めてしまいました。
しかし一晩経ってから『だったらミラーが付いている土台を力技で曲げてしまえば良いのでは?』と思い付き、最悪ミラーを破壊する覚悟でやってみることにしました。
何度も繰り返していくうちに段々と誤差が減ってきたのですが、あるところでミラーが土台から剥がれてしまいました。
そこで硬化が始まるまでに90分かかるタイプのエポキシ接着剤を使ってミラーを土台に貼り付けることにしました。
接着剤は土台の上側を厚めに塗り、下側を薄めもしくは塗らない程度にして多少は角度が付くようにしておきます。
そして硬化が始まる90分の間にミラーを極細のドライバーを使って微細に動かして二重画像の上下&左右が合致する位置を見つけ出しました。
しかし硬化が始まる前までは例えベストの位置が見つかっても再びズレてしまう可能性があります。
さらに硬化中や硬化後の接着剤の収縮等で位置がズレる可能性もあります。
ですのでミラーを貼り付けてから3時間ぐらいまでの間は30分毎にズレていないかどうかを確認します。
現在のところ二重画像のズレは発生していないので効果が安定するまでこのまま一晩放置します。
ミラーがズレないようにするため、これ以上カメラに触れないので今回はここまでとなります。
ヤシカのハーフ14です。
この個体でのテスト撮影もとうとう5回目になりました。
フィルムカメラで実際に撮影している方ならばフィルムと現像料+CDデータ書き込みの費用が5本分になるとどれくらい高額になるかご存知のはずです。
正直たまったものではありません。
今までは近所のカメラのキタムラさんで現像をお願いしていました。
値段は高いのですがわずか一時間で現像が仕上がるのが魅力なのでお願いいしていたのですが、流石にこのような事態になると少しでも費用を抑えなければなりません。
何か良い方法はないもんかと悩んでいる時にヤフオクで『フィルム 現像』で検索してみたらいくつかヒットしました!
これだと日数はかかりますが、やり方によっては現像代が半額になります。
今回はこの方法で現像してもらいました。
そして今回の結果が悪ければこのカメラは修理不能としてジャンク扱いにします。
それと今までは測距離用としてアサヒペンタックスSPを随伴させていたのですが、大きくて重いので中古のレーザー距離計を入手しました。
こんな感じでレーザーを当てて距離を測ります。
コレで少しは撮影が楽になってくれればありがたいです。
それで実際に使ってみた感想なんですが…。
ハッキリ言わせてもらうととても使いにくいです⤵⤵⤵
測定する対象が樹木のように丸い物体だとエラー(測定不能)が出まくります。
距離が3mを超えると赤いレーザーの光が小さくなり過ぎて見えなくなってしまい、どこに照射しているのか判別できなくなってしまいます。
これだと本来の使用目的だろうと思われる建築関係でもほぼ使い物にならないのではないか、もしくは非常に時間と手間がかかってしまうのではないかと思われます。
ですからヤフオクやメルカリで比較的多数出品されているのではないでしょうか。
しかも傷の少ない程度の良い商品が。
まぁ、買ってしまったので不便でも今後も使い続ける予定です。
さて、今回使用したフィルムは Kodak ULTRAMAX ASA400
電池の挿入時の電圧は 1.564V でした。
いつもの窓からの風景です。
あっ、かなり良いですね、素晴らしい。
でも今までと違ってなんか粒子が荒いような気がします。
とはいえ今までとは全く違います。
どうやら今回こそ正しく修理できたようです。
正しく動作さえしてくれればヤシカハーフ14はキチンと写ります。
うん。
暗い場所でもしっかりと映っています。
特に右は殆ど絞り開放状態だったのにキチンと映っています。
そうそう、この感じの映えがハーフ14なんですよ。
細かい部分までしっかりと写る映るんです。
ただ…。粒子がどうにもキタムラさんより荒いですねぇ。
無限遠を調整した効果もしっかりと出ています。
文字も綺麗に写っています。
四角い物がしっかりと四角く写っています。しかも無限遠でもピントがピッタリ。
左の針葉樹の葉もしっかりと表現されています。
いやぁ~これはすごい!
左側がこんなに明るく綺麗に映るとは。
キャノンデミEE17やオリンパスペンEES-2とはまた違った良さがあります。
なんか中心部が少し白くボケているような気がしますが。
フレアとも違うような。
これも右の中心が白くなっていますねぇ。
でも左は白くなっていません。
左は完全な日陰、右は少し逆光気味です。
色味もすごいですねぇ。
でもやはり粒子の粗さを感じます。
左はやはり真ん中が少し白く感じます。
左は手前の黄色い動物にピントを合わせたのですが
奥の白クマまでピントが合っています。
被写界深度も優秀ですね。
やはり真ん中が白いですね。
ボケているというより色が抜けているような感じです。
この映りもよいですね。
発色や明るさもイイ感じです。
日陰も良く写っています。
この写り映りから見て今まで修理してきたヤシカハーフ14の中で一番良い描写力があります。
どぅ~も真ん中が白くなるのが気になります。
水面の描写が凄いですねぇ~。
現像屋さんが違うとこうも仕上がりに違いが出るとは思っていませんでした。
真ん中が若干白くなる件もカメラのレンズを確認してみましたが前後玉ともにクモリどころか汚れもありませんでした。
というか前4回のテスト撮影でまともに写っていた画像達には白くなる現象は出ていませんでした。
更にフィルムの粒子が荒いというか、昔のコダック トライXをASA800に増感して撮影したみたいな感じです。
それらを加味しなくても今回のテスト撮影は予測を遥かに超えた素晴らしい結果になりました。
今までで五本の指に入る美しさです。
どうやら無限遠を調整したのが今回の好結果に繋ったのではないかと思います。
この前にテスト撮影したキャノンデミEE17も無限遠を調整したのですが、今までよりもかなりシャープに映っていました。
ゾーンフォーカスカメラに無限遠の再調整をすると好結果に繋がるのかもしれません。
シャッターがまともに開かないとか、露出計の取付部のバカ穴のおかげで調整が非常に面倒くさいとか、ファインダー内の露出計の指針の数値がちょっと怪しいとか精度や品質に懐疑的な部分は多々あります。
ですがそれでも組み立てる側の人間が試行錯誤しながら時間と手間をかけてあげればとんでもなく良く写る映るカメラです。
手間のかかる子ほど可愛い。 それがヤシカ ハーフ14なんだと私は思っています。
でも…、今回は本当に辛かったなぁ~⤵⤵⤵
何度心が折れそうになったことか…。
最後に...
今回のテスト撮影ではセコニックの露出計を同行させて何回か露出をチェックしました。その結果ハーフ14のファインダー内の露出計のインジケーターの指針は概ね合っていました。
シャッタースピードの最速が1/800秒というのはやはり理論値のようで実際には1/500秒あたりが最速ではないかと思われます。