キャノンの7Sです。
組み上がったので
テスト撮影をしてみることにしました。
使用したフィルムはKodak UltraMax ASA400
電池の挿入時の電圧は1.481V
です。
キャノン7Sに内蔵されている露出計が「H」側の数値はよいのですが
「L」側の数値が実際のF値より大きく表示される傾向にありました。
しかし日中の屋外でASA400のフィルムでは「H」側では測定範囲を遥かにオーバーしてしまうため、今回は単体露出計の「セコニック L-188」を使って測光していきます。
まず斜め右下の窓に表示されているASA値を使うフィルムに合わせて、右側のボタンを押しながら丸いダイアル部を回転させてオレンジと緑の針が重なるようにします。
そおしてその時の数値を読み取ります。
黒文字がシャッタースピードで
赤文字がF値になっています。
画像から読み取るとシャッタースピード1/250秒でF値は5.6という事になります。
今回は二種類のレンズを使います。
まずはCANON LENS 35mm F1.5 です。
1958年から発売されました。
35mmにしては当時はとても明るいレンズでした。
マウントがライカのL39マウントのため現在でもかなりの高額で取引されています。
ただこのレンズには問題がありまして…。
前玉レンズの外端外周部に縞模様のような物があります。
カビやクモリではないしコバ落ちのようでもありません。
まるで経年劣化でレンズが瘦せてしまった痕のように見えます。
このレンズでテスト撮影を行います。
さすが銘玉と呼ばれるレンズです!
素晴らしい映りですね。
シッカリと映りながらなんとなく優しい感じが出ています。
35mmのフルサイズというのもあるのでしょうが
細部までシャープにしっかりと写っています。
針葉樹の葉の造形を描写するのはとても難しいかと思われますが
綺麗にしっかりと写っています。
これもとても良く写っています。
完全に日陰の状態(奥の一部に日光が写り込んでいる)にもかかわらず
手前から奥の方までしっかりと写っています。
被写界深度もバッチリですね。
おやおや!?
これはなんでしょう?
なんで白ボケしたんだ?
やはりレンズの縞模様が原因なのでしょうか?
でも映りはシャープですね。
いやぁ~凄いですわ!
シャープなんだけどどこかホッコリとした感じがあります。
写りや映りは素晴らしいのですが右側の一部が白くハネてしまっています。
これも厳密にいえば右端が白くなっています。
こちらには右側にしっかりとした白い線になってしまっています。
こんどは左側に白いものが…。
また右側ですね。
レンズが原因であれば度の画像にも同じような症状が出るはずだと思うんですが
キレイに写っている画像もあります。
それにこの白くなるのはフィルム室に光が入り込んだ結果に出た感じがします。
シャッター幕に穴が開いているのでしょうか?
原因の究明は一時保留にします。
次はこちらのレンズです。
NIKON の NIKKOR-S・C 5cm f1.5 です。
F1.4ではありません。
1949年に発売されました。
僅か800本程度しか作られませんでした。
このレンズはシリアル番号から236番目に造られたレンズという事が判ります。
現在ネット上で販売されている同レンズの中では一番若い番号かもしれません。
大東亜戦争で敗北した日本は戦後に連合国軍(代表国:米国)に占領されることになりました。
戦後占領下の日本の工業製品はMade in Occupied Japan(占領下の日本製)とされ西洋文化のコピー品ばかりだと欧米から揶揄されていました。
その風評を一気にひっくり返し世界中にNIKONの名前(ブランド)認知させたのがこのレンズです。
このレンズの詳細については私の過去のブログに記載しておりますのでよろしかったら読んでみてください。
ここまで古いと...。その② NIKKOR-SC 5cm f1.5 朝鮮戦争と従軍写真家 | recognizerのブログ (ameblo.jp)
このレンズに関する情報や記事はネットで必死に検索しないと見つかりません。
このレンズで撮影した当時の白黒画像は散見できますが、ネガカラーフィルムで撮影した画像というのは私は今まで見たことがないのである意味今回の撮影結果は貴重かもしれません。
あららら…。
こちらの画像にも薄っすらと白い線が出てきましたね!
という事は前のキャノンのレンズに問題があったのではなくボディ側
つまりキャノン7Sに原因があるという推測ができる事になります。
こっちのレンズにも同じ症状が出てくれて良かったと安堵しています。
これでキャノンのレンズの前玉にある縞模様は撮影結果に影響しない事が判ったのは僥倖です。
それはさておいてこのレンズの映り写りを見てみます。
おぉ~!他のレンズにはない迫力のようなものが感じられます。
私には実った実や葉たちの瑞々しさといったようなものがビンビンと伝わってくる感じがします。
この状態では判りませんが、拡大してみると日陰部となる団地の壁にある汚れというかカビのようなものまでしっかりと描写されています。
前のキャノンのレンズよりも針葉樹の葉の繊細な部分が描写されています。
実は撮影前のピント調整の時に二重画像の上下が再びズレてしまったため左右だけの一致で半ば感で撮影しました。
こちらは日陰だったのもありまして二重画像がズレた状態ではピント調整がとても難しくなってしまいピンボケしました。
この後も二重画像のズレは戻ったり再発したりを繰り返します。
もの凄い解像力というか描写力です。
色合いも濃いというか植物らしさが出ています。
これが今回のテスト撮影で一番広範囲に白くハネた画像です。
この空と看板や樹木を比較しながら見ていると私には遠近感というか立体感のようなものが強烈に表現されているように感じました。
だから私には他のレンズにはないもの凄い迫力のような物を感じます。
こちらもものすごく良く映っているのですが避けな光の侵入が残念です。
これも二重画像が一致せずに被写界深度頼りで撮影しました。
白くなる時はだいたい右側からのようです。
これも右側が白いです。
ということはネガは反転しているので左側から余計な光が侵入していると思われます。
いやぁ~コレもすごい輪っかの塗料のくすみや錆の部分までしっかりと描写されています。
二本のレンズ共に素晴らしい描写力を持っていて映りがとても良かったです。
特にNIKKORの方はズバ抜けていています。
出来れば二本共売らずにキープしたいほどです。
さすが銘玉ですね。
さて…。
本体である今回のメインのキャノン7Sの方なんですが…。
まず前回か前々回に意味不明と書いていたシャッターボタン部にある「R」のポジションはフィルムを巻き戻す時にこの位置にするみたいです。リバース(Reverse)の「R」だったんですね。
そしてお次に二重画像の上下がズレる件ですが分解して修理している時に気付いていたのですが矢印の部分が多少上下に動く(ズレる)んです。
ココはアームのような形状になっていて左にずーっと伸びていて左端にミラーが乗っています。このアームの中心軸となる部分にガタがあって残念ながらそのガタを取り除くことができません。そのために持ち運びの振動でアームが上下に動いてしまい二重画像の縦ズレにに繋がります。
ズレた時はカメラに手で『トントン』と衝撃を与えることで元に戻ります。
現在縦ズレはありません。
また、焦点距離が近くなると二重画像が一致しなくなるのかなと思い実験してみましたがそんなことはありませんでした。
ただ日陰などの暗い環境下では非常にピント合わせが難しくなる機種ではないかと私には思えました。
次に画像の右側が白くなるまたは白い縦線が入る原因ですが、どこかしらから光がフィルム室へ漏れ入っているのではないかと思っています。
シャッター幕にはピンホールは見つかりませんでした。
一番怪しいのは貼り替えたモルトの厚みが足りなかったのではないかというのが考えられます。
そこで確認のためにカメラの蓋の上下に塗料を塗ってからすぐに閉じます。
そして再び蓋を開けます。
蓋がモルトにしっかりと接触すればモルト一面に塗料が付着するはずですが、結果は全体の50%くらいしか塗料が付着していませんでした。蓋がモルトにキチンと接触していない部分がありそうです。
そこから光が侵入しているのではないでしょうか。どうやらこれが原因と思われます。
今度改めて再びモルトを貼り替えます。
それと露出計なんですが…。
テスト撮影中に何度か動作チェックをしていたら「L」側でも大体適正な数値を示すようになりました。
やはり軍艦の取り外し時にシャッターにダメージを与えたことが原因のようです。
しかし、ファインダーの中にインジケーターがないために撮影前に露出を調整する度にファインダーから目を離してこの露出計をチェックするのは非常に煩わしいです。
そんなことをするよりもセコニックの露出計をポケットから取り出して露出を確認してから調整をする方が遥かに楽でした。
ハッキリ言って露出計はいらないですね。
だからキャノン7よりもキャノンPの相場の方が高くなるのかもしれませんね。
テスト撮影までしてみましたが二重画像の動作が今一なので販売できるクオリティではにですねぇ。
私自身が使用するのならば問題は無いのですが…。
今回同時にテストした二本のレンズ特にニコンのレンズの描写力に惚れこんでしまったのでこれらは売らずに個人所有としてしまうかもしれません。