去年から何となくではありましたが、ステンシルTシャツを作りたくない気持ちが芽生え、
今年に入り、更にその気持ちは増幅されました。
でも、作らなきゃいけないモノもあり、チョコチョコとは作りました。
そんな中で、自分の中での現時点での最高点に達したと感じたステンシルがありまして、
それがコレ。
ネタのチョイス、組み合わせ、アナログコラージュ。それから限界までの細かい点や線のカット。どれも今迄に無い手応えでした。
我がステンシルのテーマであるパンキーレゲエパーティの理想形が出せたと思います。
そもそもステンシルTシャツを作り始めたのは、シルクスクリーンTシャツを一から作る手間が面倒くさかったから。
でも、やるからにはシルクスクリーンに負けないクオリティをと毎回奮闘しました。
何が出来るようになれば技術の進化と呼べるのか?の繰り返し。
ホームセンターや文房具屋で買えるレベルの道具を駆使して試行錯誤の連続。
昔からフォトプリントTシャツが好きで、それにメッセージやインパクトある文字を加えたのがたまらなく好きでした。
STUSSYやsupreme、undercover、セディショナリーズなどなど。
そんなTシャツが作りたかった。
作り始めた時は、版のラインも粗く、大きなネタ版になりがちで、
シルクスクリーンのような細かい点や線の質を求めるのは酷でした。
アナログよりアナログなステンシル。
シルクスクリーン技術の祖であるステンシル。
10年経って、ラインも文字も細かく出来るようになりました。
だけど、まだ届かないんです。
あのセディショナリーズのシルクスクリーンTシャツのような風合いには中々届かない。
20代後半から30代中盤にかけてのステンシル技術の進化と共に訪れたのが、
デザイン性の質を求める気持ち。
そう、点やラインにキレが無い。
既成には無いネタの組み合わせ、引っ張り方、チョイスでの納得いくキレが無いワケではない。
やはり点やラインです。
ペンで引いたような細いラインが出せない。細かい点が出せない。だからデザインにキレという洗練さが出ない。
曖昧、モヤモヤ、ふんわりしてしまう。ある程度はシメれるが、完全にはビシッとこない。
ステンシルで届かない部分は其処な気がします。
浮世絵木版画のようにラインを残すのならば出来るかもと思いますが、切り抜くのはかなり至難の技です。抜けたとしても、ペイントした時にどこまでラインが出るのか?怪しいところ。
20代中盤からルーツレゲエの野外フェスなどに行くにつれて、
オーガニックやヘンプ素材のTシャツボディに拘り、更にナチュラルな風合いのプリント(インクを載っけるプリントではなく、スプレーを染み込ませるプリント)で、着て洗い込む度に色が薄れていくのをアジとして売り文句にしていくようになりました。
今でも勿論、そういう風合いは好きだし、止めるつもりもありません。
ステンシルならではの曖昧、モヤモヤ、ふんわりラインとも相性が良かったです。
でも、やはり歳を重ね、ペイントや版制作技術も上がっていく中で、
もっと、シンプルながらキレとインパクトある洗練されたデザインを着たい欲も出てきました。
先ほどのパンキーレゲエパーティのTシャツで、目指していた細かいネタをやり切るって到達点に達したと感じてしまった時にかなりヤル気が失せたのです。
デカい顔ステンシルに文字をペイントしたモノなどは、そればかりだとやはり若者向けなデザインTシャツな感じがします。いくつかある中の一つなら良しですが、そればかりだと歳を重ねて経験を積んだからこそ出る洗練さが足りない。
デカい顔ステンシルのモノを作るのが簡単になってしまった今、モチベーションが上がらないし、達成感も無いのです。
より細かく、シルクスクリーンに負けないクオリティ。シルクスクリーンには出せないクオリティを求め続けた先の達成感と、限界点。
明らかに、ラインのキレが足りないからブランドとするには弱い。
デザインをPCで起こして、後は品物になるまでそれぞれのプロに任せる。そしてデザインされた仕上がり品を判断するってスタイルは取ってないし、取れない。
ステンシルペインターですから。
ブランドロゴがあって、そのブランドロゴを胸にワンポイント入れたのも、ガッツリ全体的にプリントしたものも同じ値段で出せるほどのブランド力も無い。
ステンシルペインターですから。
そんなこんなも、服を作ろうとするから悩むのであって、ペインターなんだからペイントで先ずは更に成り上がって、
ペインターブランド力を高めるしかないんです、はい。
ココでまた壁ですが、フリーハンドペインターよりも、ステンシルペイントは理解されにくい。
だからコレも理解した上で、既成概念の破壊行為を幾重にも重ねてブチかまさなければいけないんであります。
デザイナーやフリーハンドペインターに出来ないことをやらなければ意味がない。
それで悩み抜いた結果辿り着きました。
パクります。
ラインや点のキレが足りないのはもうしょうがない。ステンシルやる限り付いて回る。
だから、デザイナーがPCで作ったデジタル的デザインをガンガンにパクります。
ステンシルペイントでどこまでデザイナーさん達のデザイン力に寄せられるか?
シルクスクリーンに追いつこうと足掻いてココまできました。次はデザイナーのデザイン力に迫ります。
今までは、ペインターだからTシャツにガッツリとペイントしてこその価値あるTシャツだろうと考えてましたが、
そう、ペイント沢山載っけなきゃ申し訳ないって思ってました。
もうそんな相手の気持ちは汲み取りません。更にワガママにいきたいと思います。
これからはロゴだけのTシャツ、ロゴと何か小さなネタの組み合わせとか、文字だけとかを仕掛けてみます。
今までの制作したラインもそのまま継続しますが、少しスローペースに。
シンプルながら洗練されたインパクトあるTシャツをメインに目指してみます。
ペインターが、一から手作業のみで作ったTシャツを、洋服デザイナーがヤられた~って言って貰えるまで技術を高める旅の始まりです。
バイバイ、またね。