105円読書 -50ページ目

すべての美人は名探偵である 著:鯨統一郎

すべての美人は名探偵である

鯨統一郎:著
光文社 ISBN:4-334-07597-5
2004年12月発行 定価910円(税込)









徳川家光の秘密を暴く歴史ミステリーであり、トラベルミステリーであり、アリバイトリックものの本格推理でもある。さらに…ビューティーコンテストの裏側や、新興宗教まで絡めて…鯨統一郎らしい軽妙な語り口で読者を惹きつける。

知性と美貌を兼ね備えた歴史学者・早乙女静香…大学の学生たちと研究旅行に訪れた沖縄で殺人事件に巻き込まれてしまった。なんと被害者は、静香がTV出演の際にトラブルを起こしたベテラン学者だったのだ。そのため…事件の容疑者にされてしまう静香。彼女に憧れる学生三宅亮太、偶然知り合った“アリバイ崩しの東子”の異名をとる美人女子大生・桜川東子の力を借りて…事件を解決しようとする。徳川家の秘密が記された古文書の争奪戦、怪しげな宗教団体の存在…静香の周りで事件は次々と起こっていく。

この間読んだ氷川透の「逆さに咲いた薔薇」もそうだったが…浮世離れしたお嬢様は、名探偵の素質があすようですね(笑)この作品に登場する“アリバイ崩しの東子”も…お金持ちのお嬢様であり、世間知らずなんだけど…何故か推理力は抜群というキャラでした。しかも…その真価が発揮されるのが、アルコールを飲んだときという、酩酊探偵(どっかで聞いたことあるぞ…この作品内では“酔推”とか言われていた)。

犯人はやっぱりな感じで意外性はなかったが…ずいずいずっころばしの童謡に隠された徳川家の秘密なんていう、胡散臭い話をもっともらしく解き明かしていくところが、なかなか面白いです。かといって…歴史とかにあまり興味がなくても、そんなに難しいわけではないので、本格的な歴史ミステリーが嫌いな人でも充分いけるのではないでしょうか?

土曜ワイドあたりで、2時間サスペンスとかにしたら、さぞ面白い作品になりそうだが…演じられる美人がそうそう見つからないか(爆)






個人的採点:65点







逆さに咲いた薔薇 著:氷川透

逆さに咲いた薔薇

氷川透:著
光文社 ISBN:4-334-07582-7
2004年9月発行 定価840円(税込)









ちょっと前に「各務原氏の逆説」という学園ミステリを読んだ氷川透の別シリーズ。今回は捜査一課の女刑事が主人公で、実際に事件を推理するのはその友人の浮世離れしたお嬢様。

女性ばかりを狙った連続殺人事件…被害者は皆、左足の小指が切断され、それを隠すかのように赤い靴下が履かされていた。同一犯による犯行が疑われるが…一向に見えてこない犯人の動機。警視庁捜査一課の新人刑事・椎名梨枝は、ある小説が実際の事件と酷似しているのを発見!事件はこの小説を模倣したものなのか?捜査が難航するなか…梨枝は、友人である祐天寺美帆に事件解決のアドバイスを求める…。

お嬢様の祐天寺美帆が一風変わった安楽椅子探偵で…このキャラが出てきた途端、血なまぐさい猟奇殺人事件の話が、まるで百合小説のような世界になってしまう。こんなキャラに事件を頼るなよってツッコミいれたくなっちゃうのですが…推理はバッチリと決めてくれます。

面白かったのが…ネットの書評サイトなどが事件解決の大きな鍵になる点。自分みたいに、小説読んで、あーだこうだ言って騒いでいる素人さんたちのことが、色々と物語の中に出てきます。普段は自分たちも書いた作者のことも考えずにいい加減に、面白い、つまらないを一方的に発言していますが、作家先生たちだって、「作品理解してないくせに、適当なこと言ってるんじゃないよ!」って気持ちもあるでしょう。逆にこういう書評サイトが良い、悪いっていうのを言いたいのかなってちょっと思いました(笑)

他にも…犯人と問題の小説との接点を論じている捜査会議の席上で、ある刑事が「ブックオフに売った」なんて発言するシーンもあり、この「逆さに咲いた薔薇」を105円で買ってきた自分は一瞬、ドキっとしてしまいました。さりげない形で、作者から一部読者への皮肉がにじみ出ていて(笑)、興味深い1冊です。

もちろん推理小説としても相変わらず見事なロジックで固めていき、探偵(代理だけど)と犯人の対決なども鮮やかに決まるので、推理小説を読んだという達成感は味わえました。面白かったです。続編も刊行予定みたいなので、期待しています!






個人的採点:70点








17歳の処方箋 Igby goes down 著:古閑万希子

17歳の処方箋 Igby goes down

古閑万希子:著 
バー・スティアーズ:原案
ブイツーソリューション
ISBN:4-434-04887-2
2004年8月発行 定価1,000円(税込)







同名アメリカ映画のノベライズ小説なのだが、小説化は日本独自のものだそうだ。まだ、この作品は見ていないのだが…たまたま小説を入手したので先に読んでみた。

隔離入院されている父、依存症の母親には嫌われ、エリート大学生の兄には見下され…そんな家庭環境で青春時代を過ごすイグビーは、ことあるごとに学校で問題を起こし、学校を退学させられた問題児。今度は士官学校に無理矢理入学させられるが…そこからも逃げ出して…ドラックディーラーに成り下がる。代父(名づけ親)の愛人に胸をときめかしたり、ちょっと年上のガールフレンドと付き合ったりしながら…再出発のチャンスを窺う。

崩壊しきっているように見える家族の中で、ダメ人間が再出発しようとする物語なんだが…クライマックスのある出来事が最近話題になった某映画にもちょっと似ていた。

100ページ強の本なので、1時間もかからずに、スラスラと読めてしまった。映画を見ていなくても…場面を想像するのは容易いが、ノベライズに徹しすぎているので、小説としてはやや物足りなさを感じる部分もあるか?機会があったら、映画の方にも挑戦してみたいと思う。DVDが出ているそうだ。






個人的採点:60点







天使はモップを持って 著:近藤史恵

天使はモップを持って

近藤史恵:著
実業之日本社 ISBN:4-408-50409-2
2003年3月発行 定価860円(税込)









サラリーマンの青年と、そのサラリーマンが勤める会社で、清掃員をやっている美少女が遭遇する、オフィスミステリー。中には殺人事件も出てくるのだが、ほとんどはオフィスで起きる些細な事件が多い。全体的にミステリー色は軽めだが、ライトなオフィス小説として楽しみましょう。自分は男なので、もちろん新人社会人の大介に感情移入しながら…20代はじめの自分を思い出しながら読んでしまいました。大介をとりまくOLたち、どこにでもいそうなおねーさんたちで、そういう女性たちの中に1人放り込まれてしまった、緊張感みたいなのを味わえました。

ヒロインである年齢不詳(きっと若いんです)のキリコちゃんに関しては…いかにも小説的な登場人物で、なかなか面白かったです。


オペレータールームの怪
オペレータールームに配属されたばかりの新人・梶本大介、そこは女性中心の部署で一見爽やかに見えたのだが…人間関係は意外と大変。そんな時に、書類の紛失事件が続発。大介は知り合った女性清掃作業員のキリコのアドバイスで意外な犯人を突き止める!

ピクルスが見ていた
会社に出入りする保険外交員が墜死した。どうやら現場は、大介たちの会社らしい。犯行時に社内で清掃員のキリコを手伝っていた大介。事件を解く鍵は、キリコが持ってきていたカエルのぬいぐるみ“ピクルス”にあったのだ!表紙に“本格ミステリー”って書いてあるけど、これがいちばん、本格だなぁって感じた作品か。

心のしまい場所
大介たちと同じ会社に勤める中年女性が、実はマルチ商法の勧誘員だった。マルチ商法の実態を目の当たりにする大介…同僚やキリコまでもがそそのかされていくのを見て、大慌て!本当にこんな方法で、人を騙すの?ってマルチ商法の方法を一番最初に教えられました。きっと、モデルになる出来事があったんだろうなぁ。凄い…。


ダイエット狂想曲
ダイエットで盛り上がるオペレータールームの女性陣、そんなある日の朝、出社すると派遣社員の1人が何者かに危害を加えられ昏倒していた!ダイエットという女性が一番気にしていることをテーマにした作品。女性を容姿で判断しちゃいけない…でも判断しちゃうのが男の悲しい性です、スイマセン。

ロッカールームのひよこ
突如音信不通になったキリコ…代わりの清掃員が派遣されて来るのと同時に、ロッカールームでの盗難事件が相次ぐ。セクハラを題材にした作品であり、キリコがいなくなったというインパクトが…シリーズものとしてのマンネリを打破した感じの異色作。

桃色のパンダ
ネットワーク事業部部長が、娘にプレゼントするはずの特注のパンダのぬいぐるみが、何者かに切り刻まれて、発見された!犯人は誰なのか?そして犯行の意図とは?意外とドロドロした内容でした。

シンデレラ
毎朝、何者かによって汚される、会社のトイレ…キリコは自分への嫌がらせではないかと落ち込む。驚く程の真相でもなく…ミステリーというより、だんだんと恋愛小説的な傾向になりつつある。

史上最悪のヒーロー
母の死を契機に、結婚に踏み切った大介…しかし新婚家庭はうまくいっていなかった…。そしてオフィスにはもう、キリコの姿がなかった…。ほとんどミステリー関係なくなってます。まぁ、これだけ単行本化した時に書下ろしで追加された作品なので、作者からのファンサービス…後日談的なエピソードということなのでしょう。






個人的採点:65点







宇宙海兵隊ギガース3 著:今野敏

宇宙海兵隊ギガース3

今野敏:著
講談社 ISBN:4-06-182315-9
2003年6月発行 定価861円(税込)









今野敏のギガースの3巻目を読了…。続けて3冊読んでしまった。

地球連合軍VSジュピタリアンの戦いは…遂に月へ。一方、記者のコニー、反戦派議員のジンナイは、敵のスパイと接触。戦争の裏に隠された連合軍の秘密が徐々に明かされてくる。さらに…ギガースのパイロット、ミズキに今まで以上の秘密が隠されていた!

今現在、発売されているのがここまでなので、てっきり完結編かと思いきや、まだ物語は途中だった。このシリーズの新刊は出るのだろうか?

だいぶジュピタリアンや連合軍の秘密がわかってきたのだが…まだまだこれからどんな展開になっていくのかわからない?

デブリが発生しちゃうから、敵の船を攻撃できないなんて話が、ちょっと「プラネテス」みたいで…、1巻を読み始めた最初こそ、正直ガンダムのパクリ小説だと思っていたのだが、ガンダム以上にSF考証はしっかりしているのが伝わってきました。






個人的採点:65点








宇宙海兵隊ギガース2 著:今野敏

宇宙海兵隊ギガース2

今野敏:著 講談社 ISBN:4-06-182255-1
2002年6月発行 定価840円(税込)










今野敏のSF小説「宇宙海兵隊ギガース」の2巻目を、1巻に続き読了。

ジュピタリアンVS地球連合の戦いも大詰めに差し掛かり、激しさを増す。試験的に新型ヒュームスが配属されたカーターの海兵隊に、今度は空軍エアフォースとの共同作戦という命令が待っていた。

地球連合軍のパイロットたちが主人公なのだが、実は地球連合の方にも、暗部があり…戦争勃発の影にはどうやら秘密がありそうだぞと匂わす展開です。敵ジュピタリアンの視点では、作中余り描かれていないのだで…まだあやふやなんだけどね。ただ1巻に比べ…敵ジュピタリアンに関する情報はたくさん出てきている。地球側のジャーナリストや、反戦政治家がそれを暴き出そうと画策しているのも、物語を面白くさせている。

宇宙空間での戦闘の厳しさみたいなのは…ガンダムよりもリアルに設定されている印象を受ける。

次でラストらしい…いったいどうなるのだろうか?






個人的採点:65点







宇宙海兵隊ギガース 著:今野敏

宇宙海兵隊ギガース

今野 敏:著
講談社 ISBN:4-06-182213-6
2001年10月発行 定価861円(税込)









今月は本当に読むペースが落ちているなぁ。ここらでまとめて本を読んでおきたい(いや、毎日、読んでるんことは読んでるんですよ…小説じゃなくて漫画をね)

前からコツコツ集めていた今野敏の宇宙海兵隊ギガース…、全部揃ってから読もうと思っていたのだが。ようやく3巻目を105円で見つけたので、最初から読み始めた。この作者がガンダム大好きなのは有名な話だが…もろガンダムの影響を受けた作品ですよね(笑)たしか、新刊時の帯に、富野由悠季(ガンダムの監督)が推薦文を書いていたような記憶がある。昔は、こうしたSF作品もたくさん書いていたようですが…自分は、警察モノとか、アクションものしか今野敏さんの本は読んだことがない。あっ、オタク小説の「慎治」も読んだなぁ。

独立を唱え戦争を仕掛けてきた、木星圏の反乱者ジュピタリアンとの激しい抗争が続く地球軍。コードネームG…ギガース呼ばれる最新のヒュームス(人型兵器)と共に、1人の少女が海兵隊に配属されてくる。

細かい設定は置き換えてあるけど、ガンダムですね(笑)失礼…ガンダム風SF小説、スペースオペラです。難しい言葉が出てきても、ガンダムでいうアレだななんて考えると、すんなり内容を理解できます。

「最新型は伊達じゃない」ってセリフ…「ニューガンダムは伊達じゃない」っていうのに似てて、思わずニンマリ。こういうのがチラホラと…。

海兵隊のほかにも、空間エアフォース(空軍)とか、戦争ジャーナリストとか出てきて…そういうキャラクターたちが、今後、密接に関わりをもっていくのだろうと思いますが…1巻ではまだ触り程度。美少女パイロットのミズキちゃんも、ようやくかたっくるしい軍人さんたちに認めてもらえて、これから本領発揮だなってところで…1巻は終了です。

続き読まなきゃ。






個人的採点:65点







バカなヤツらは皆殺し 著:ヴィルジニ・デパント

バカなヤツらは皆殺し

ヴィルジニ・デパント:著
稲松三千野:訳
原書房 ISBN:4-562-03305-3
2000年5月発行 定価1,470円(税込)









タイトルと表紙イラストに惹かれて買ってしまったのだが…あれ、これに似た映画を見たことあるぞと途中で気が付いた。あわてて表紙をよーく見たら、アルファベットで“Baise-Moi”って書いてあるじゃん。そう…過激なエロバイオレンス映画「ベーゼモア」の原作だったんですね。

ルームメイトを殺してしまった娼婦のナディーヌ…レイプ被害にあい、警官やチンピラを殺してしまったマニュ…2人の不良娘が運命的な出会いを果たし…意気投合した2人は、逃避行の旅に出る。

映画も、やたらとセックスと殺戮シーンを繰り返している内容だったけど…小説をかなり忠実に再現していたんだなぁと思った。映画を先に見ちゃっていたので…インパクトは若干薄れたものの…例えば2人が運命的な出会いを果たすまでの様子が丁寧に描かれていたり、二人の視点が交互に描かれていて、2人の気持ちが直接伝わってくるので、映画とはまた一味違った面白さがあった。

タイトルがなんか好きだな…映画のタイトルもこっちにスレば良かったのに。






個人的採点:70点








探偵神宮寺三郎 Early days 疾走の街 著:蕪木統文

探偵神宮寺三郎 Early days 疾走の街

蕪木統文:著
エンターブレイン ISBN:4-7577-1876-4
2004年7月発行 定価672円(税込)







ファミコン時代からある、有名アドベンチャーゲームの主人公の若かりし頃を描いた小説。ファミ通文庫だし…推理小説として捉えると、物足りなさもあるが、単純にライトノベルといっちゃうのも抵抗を感じるか?ただ、ゲームのようなハードボイルド調では全くなかった。

私立高校に通う神宮寺三郎…家庭は裕福であったが、家族関係にはいささか問題があるようだ。次兄の二郎には心を許しているが、その二郎も病弱で入院生活を送っている。ある日、二郎の様態が悪化し…骨髄移植が必要となったのだが…三郎はドナーとして適性はあたものの未成年であることからドナー登録できなかった。なんとか二郎の力になりたい三郎は…ドナー登録をするため、偽造の身分証明書を入手しようと…歌舞伎町のアンダーグラウンドの世界へ踏み込んでいく。

最近、ゲームはやってないからわからないけど、神宮時三郎に兄弟がいたんだね。三郎って名前だから、当たり前なんだけど…ちょっと新鮮だった。ゲームのレギュラーキャラである刑事の熊野との出会いなども描かれていて、ゲームをやっている人間には嬉しいのかもしれない。プレステとかになってから、全然やってないからなぁ。

ただ…自分が知っているゲーム(新宿中央公園殺人事件とか)の雰囲気とは程遠い感じだった。病弱な兄を助けるために、偽の身分証明書を入手するっていうのが…どうなんだろう?

つまらなくはなかったけど…コアなファンじゃないので、充分には楽しめなかったなぁ。






個人的採点:60点







名探偵 木更津悠也 著:麻耶雄嵩

名探偵 木更津悠也

麻耶雄嵩:著
光文社 ISBN:4-334-07564-9
2004年5月発行 定価860円(税込)









最近、忙しくて本を読むペースが落ちているのだが、そろそろ元に戻したいと思い、手始めに麻耶雄嵩の短編集を選んでみた。相変わらず本格色が濃厚で、シンプルなタイトル同様、シンプルに謎解きを楽しめる作品になっているので…スラスラと読めた。4編の独立した短編だが…全ての事件に“白幽霊”という、巷で噂になっている幽霊騒動が絡んでくる。

白幽霊
白い幽霊が出ると噂される邸宅地にある洋館、戸梶邸で起きた殺人事件。遺産絡みで、もめる親族たちは、誰もが鉄壁のアリバイがあった。たまたま路地を歩いていた通行人が目撃した、犯人の奇怪な行動が示すものはいったい何なのか?

アリバイ崩しがメインになってくるのだが…トラベルミステリーのような凄いトリックが出てくるわけでもない。やや物足りなさを感じるか?

禁区
噂の“白幽霊”が…一年前に失踪した友人ではないかと、興味本位で正体を暴こうとした文芸部の生徒たち。彼女たちが見たのは友人とは全く関係のない幽霊の姿だった!?その後、幽霊の呪いに脅える仲間の1人が部室で殺されているのが見つかった。

基本的にはワトソン役の作家・香月からの視点で木更津悠也の活躍を描く一人称なのだが…この作品の導入部は、わりと長めに事件の当事者である高校生たちを三人称で描いているのが…他と違った印象を受けた(白幽霊でも、最初の1、2ページ、ちょこっとそういう書き方をしていたが)。

交換殺人
酔った勢いで、見ず知らずの相手と交換殺人の約束をしてしまった男。自分が殺すはずの男が偶然にも殺されてしまったことから…自分が相手に伝えた殺して欲しい相手…つまり妻が、交換殺人によって本当に殺されてしまうのではないかと懸念した男は…名探偵木更津に、事件の解明を依頼した!

4編の中で一番面白かったかな。一見、ややこしそうに見えた事件も名探偵にかかれば…。

時間外返却
1年前に失踪した女子大生が白骨死体で見つかった。彼女は失踪する前にレンタルビデオを返却していたのだが…そのビデオテープから被害者の血が見つかった!?被害者の父親からの依頼で犯人探しを始める木更津だったが…更なる事件が…。

犯人と動機は意外だった…まさかね…。


“白幽霊”を匂わしておいて…ちゃんと事件は論理的に解決していくのが、本格推理小説らしくて気持ちがいいです。これといった大仕掛けな作品ではないのだが…推理小説としてかなりフェアなので、読んでいるこちらも充分に謎解きに参加できるし…木更津と香月のやり取りだけでも楽しめる。この間、アンソロジーで1編、麻耶雄嵩を読んだけど…ちゃんと読むのは久しぶりで、木更津と香月の関係とか半分くらい忘れてるんだけど、あまりその辺は深く考えなくても楽しめたので、他の作品を知らなくても楽しめると思う。でも、色々気になるので、後で過去の麻耶作品を引っ張り出してきてみるつもりだ。






個人的採点:70点