乱歩酔歩--Random Walk official blog-- -215ページ目

もう11月が終わるとか信じない

どうも遊木です。

恐ろしいことにもう11月が終わるらしいですね。
毎年「今年こそはしっかり年賀状描こう」と意気込んで、気付くともう年末になってるパターンが多いのですが、今年も同じ感じになりそうです…←

明日は進撃の巨人展に行ってきます!
上野は久しぶりです。…最後に行ったのいつだ…?
そういえば昔、上野から日本橋まで歩いたことがあるのですが、景色の移り変わりがすごい面白かったです。主に秋葉原付近…なんていうか、秋葉を抜けると「あ、現実に帰還した」って感覚になりますよね。
展覧会の感想は、上げられたら後日に。


そういえば、現在人様に向けて絵を描いているのですが筆がなかなか進みません。
なんでだろうなー…と考えていたのですが、良く考えたら随分長いこと「特定の誰か」に向けての作品創りをしていなかったことに気づきました。
自分が勝手に描いたものはもちろん、一応値段をつけて販売している同人誌でも、不特定多数の読者は意識しても「〇〇さんに対して」という感覚はないので、緊張具合が全然違いますよね。
「これは完成したら、確実にあの人のもとに届く」というのが事前にわかっていると、こんなにも制作に対する姿勢が変わるというか、腰が引けるというか…とにかく日ごろの感覚とだいぶ違って、ある意味新鮮です。
そういえば昔は、そもそも公開すること自体に腰が引けてたなぁと思い出しました。慣れた感覚は全然していなかったのですが、いつの間にか不特定多数の人に公開することも、講評されることにも慣れていたようです。こういうことは、環境が変わらないとわからないことですよね。



以下、ツイッターで流したらくがき。

まず、生誕祭に描いた初描きまこちゃん。
コレジャナイ感がはんぱないです。
食われてます。




で、次も初描き。
SAOのGGO編キリトさん。男です。男です。
でも、できればもっとかわいい感じにしたかった←

例のカラーパレット10番で塗ってます。
何故しょっぱなから10番にしたのか…目が痛い。





それでは、明日は進撃展楽しんできます~

aki

空気、ときどきメェメェ

どうも遊木です。

昨日はミーティング後、メンバーでカタンをやりました。
初カタンです!
カタンについての説明は、ひとつ前の記事で須々木氏が書いているのでそちらをどうぞ~。


メンバーを交代して2回プレイしたのですが、1回目はともかく…2回目、私は中盤まで驚きの空気っぷりでした。
位置取りは特別悪かったわけじゃないと思うのですが、なんていうかサイコロが普通なら出にくい2とか12がやたら出まくりまして…サイコロ運にことごとく見放されてました。
他の人が「やばい!バーストする!」(手札が多すぎると半分捨てるルール)とか言っているとき、「バースト?何それ美味しいの?こっちゃカードがねぇよ」という感じに←

ようやくカードが手元にきだしても、手札はひたすらメェメェ(羊)。
…これは牧場作れってことですねわかります。(牧場を作るルールはない)

後半、ようやく種類が集まりだしたころには開拓できる土地はほぼなくなっていました。
「もういいよ!」と言いながら、ひたすら発展カードを引きまくっていましたが、伏せて「おれ、発展カードいっぱいあるよ?」と見せびらかしつつ、実は引いたほとんどが騎士カードで、ポイントカードは皆無だったという


なんていうか…運のなさがすげぇ。


いいんだいいんだ…こんな所で運なんか使わない方が…(グスグス)







aki

○月×日、カタン島を開拓した。

須々木です。

ミーティング議長の特権を 濫用 有効利用して、ミーティングの後半を「カタンの開拓者たち」にあてました。

ちなみに、前半はちゃんとにマジメにやってたのでセーフということで。。

最近はかなりガッツリしたネタをやってたから、たまにはこういうのもアリかと・・・。



▼「カタンの開拓者たち」とは?(ざっくりと)

・ドイツ発祥のボードゲームです。
・運と策略で頑張る感じ。
・わりと交渉力が問われる。
・実力差があっても、他の人たちが結託して追いつめられたり。
・知略、策略を鍛えられる(?)




もっと知りたい人は、wikipedia日本カタン協会の公式ページを参照のこと。

※公式の方には、ルールがわかりやすく書いてあります。




「カタンの開拓者たち」とは、ものすごく簡単に言えば、カタン島を開拓するゲームです。

現代を生きる我々に必要な開拓者精神を養うには最適なゲームです。(適当)




↓ 開拓されるカタン島 (画像は遊木氏より拝借)

catan






僕以外はだいたい初心者な感じだったので、とりあえずルールをレクチャーしながらやっていきましたが、結構スムーズに行った気がします。

まあ、カタンはルールを理解したその先が楽しく奥深いので、機会を見つけてさらなる深みに引きずり込みたいと思います。




ところで、こういうボードゲームをやるのはもちろん楽しいんですが、ちょっと自分でつくってみたいなあ・・・とかも思ったり(思いつき)。

ゲームバランスとか、プレイヤーの心理状態とか考えながらつくるのもわりと楽しい気がします。

シンプルなルールで奥深くっていうのは、結構追求しがいのあるテーマかと。

スマホアプリ全盛の中、時代に逆行するようですがねー。




sho



作業の友 ~ vocaloid music play list vol.03

須々木です。

最近冷えるようになってきたと思ったら、紅白の出演アーティストの発表がありましたね。
特に触れませんが。。

というわけで、シリーズ第3弾です。
なんか、月に1回っぽい感じ?

vol.01vol.02に引き続き、作業BGM(ボカロ)を適当にチョイス。
今回も20曲をピックアップしています。
選曲基準はフィーリング。。
聞くときは、音量やや大きめでお楽しみいただければと思います。


※上から、タイトル、ボカロ(楽曲製作者)、投稿日、須々木による適当なコメント。斜体は歌詞引用とか。



41. 蒼のクジラと電波塔
鏡音リン(バッチオ) 2014/11/02

前奏からカッコ良さと爽やかさマックス。
目の前で懐かしい光景が立ち上って来るような不思議な感覚に揺さぶられて。


42. トリノコシティ
初音ミク(40㍍P) 2010/07/29

凝ったことはしていないが、それゆえに劣化しない曲。
寂しがり屋を歌うのではなく、寂しがり屋が歌う。
跳ね回るようなアップテンポがかえって現代の寂しさにマッチする。


43. アスノヨゾラ哨戒班
IA(Orangestar) 2014/08/19

特徴的な透明感、疾走感、爽快感。
グラデーションのかかった深い空がよく似合う。
空の広がりと抱える心情の両面を余すことなく拾い上げる曲。


44. 汗ばむ肌をかくして
GUMI(aquabug) 2014/09/17

あまりにも美しく情緒的な夏の曲。
水面の波紋のように反響していく音楽が心地よい。
余韻として尾を引く蝉時雨で現実に引き戻される感覚もたまらない。


45. 曖昧劣情Lover
flower(電ポルP) 2014/08/14

flowerの中性的な歌声をいかんなく引き立てる歌唱と歌詞。
世代を超えて愛される普遍的な曲調に乗せた力強い歌声は印象的。
非の打ちどころのない安定感を見せつける。


46. 文学者の恋文
初音ミク(doriko) 2014/08/08

古き良き大正浪漫的情緒をややドラマティックに。
掌の端末からすべてを届けようとする時代へのアンチテーゼとも思えてくる。


47. R.O.C.K.E.T
初音ミク・鏡音リン・GUMI・巡音ルカ(Torero) 2013/07/09

ややラップ調の曲。
未知なる宇宙を癖になるリズムに乗せて歌い上げる。
サビの入り方が良い。


48. グラスアート
鏡音リン(パトリチェフ) 2014/10/27

お洒落に物悲しく煌めく都会の夜の歌。
これはもはやセンスとしか。
主張しすぎず絶妙なアクセントを出すPVとあわせて。


49. 被害妄想携帯女子(笑)
GUMI(ギガP) 2014/04/01

斜に構えたカッコ良さと中毒性を感じる曲。
歌詞も面白く、PVも秀逸。


50. ワンツーハロー
IA(石風呂) 2013/08/07

軽快なロックサウンドに乗せて。
なんかほっこり落ち着く曲。
わん、つー、いっせーのっ!


51. ハウトゥー世界征服
鏡音リン・鏡音レン(Neru) 2013/03/09

あんな空でミサイルが飛ぶのなら
そんなもので幸せを乞うのなら
優しい人にならなくちゃ
僕は僕を肯定していけるかな


曲自体もちろん良いが、歌詞もかなり印象的。


52. 路地裏猫の正体
GUMI(西沢さんP) 2013/12/12

変に尖がったところがなく、ストレートに入ってくる感じの曲。
カッコよさと可愛げのバランスが絶妙。


53. ハートフルメッセージ
初音ミク(19's Sound Factory) 2013/10/16

優しさに溢れた名曲。
ただ静かに聞き入りたい。


54. 愛してる
初音ミク(れるりり) 2013/02/01

良すぎる。
これはもう聞いてもらえれば良いと。


55. ひとりぼっちのユーエフオー
初音ミク(ピノキオP) 2013/07/04

確信を持って解釈することの困難な曲。
それでいて妙に心に迫るものがある。
難解なPVとともに。


56. トキヲ・ファンカ
GUMI(takamatt) 2013/05/27

和のリズム、展開の妙が光る。
せりあがるような盛り上がりが見事。
PVの男前なGUMIも必見。


57. 共犯者
鏡音リン(カラスヤサボウ) 2014/05/31

空想の都市の空を爆破して
未来なんて描いたら僕ら、まるで共犯者だ!
非常階段飛び降りてそのままさ
君の手を引いて逃げるんだ もっと、もっと、もっと


最後は本当に圧巻。


58. サイコモーション
GUMI(out of survice) 2013/01/26

ただひたすらにカッコよく。
そしてまさかのVOCALOID処女作。


59. shake it!
初音ミク・鏡音リン・鏡音レン(emon(Tes.)) 2012/04/21

もうとにかくノリノリな曲。
そして、臨場感、一体感。
yeah yeah yeah


60. overwriter
初音ミク(tilt) 2013/08/31

ボカロの許容力、世界観の広がり、つながりを感じさせる曲。
初音ミク 6th Anniversaryにあわせてリリース。
なお、PVは実写(YouTubeにもあります)。





※vol.04 (61~80) はこちら!







sho



【第1回RWラリー小説】酒と大将と俺と猫

「っか~~~うめ~~~!!!」
自然に声が漏れる。週末、仕事帰り、通いなれた居酒屋。勢い良くジョッキを空にした俺に、大将が笑いかけた。
「いい飲みっぷりだねえ!」
「おかわり!」

ああ、俺は幸せだ。滑らかに揺れる泡を眺めながらそんなことを思う。

気持ちよくお酒は進み、少し飲みすぎた身体に夜風が心地よい。
駅前から家まで、ふらふらと歩きながらぼんやり星を眺めた。
「ん~~~~~きれいだね~~~~~~~~」
灰色の空にいくつか星が散らばり、雲の間で月がぼうっと光る。
なかなか幸せな夜だ。

「ところで大将、この間の話ですが・・・」
俺は、努めて冷静に話そうとする。その横顔を涼しげな風が掠めていく。
大将の視線は星空に向けられている。大将は無言だ。
「あの・・・」
俺はさらに言葉を重ねようとするが、そこでようやく大将は視線を地上レベルに下げた。

大将は、彼らしくない重いため息を一つ吐いて、こう言った。
「…あの件は…お前の胸の内に留めといてくれねぇか」
「ぇ…でも」
俺は、予想外の言葉に瞠目する。
あの大将が、それだけは言わないと思っていたからだ。

事態は自分が思っていた以上に深刻なのかもしれない。
俺は先程まで気持ちよく浸れていた酔が、静かに覚めて行くのを感じた。
こんな時は能天気な自分が嫌になる。
「でも奥さんは…あれから大丈夫だったんでしょ?」
「…まぁ…な。」
大将のその言葉を聞けて一先ず安心した

「わりぃな、兄ちゃんにまで心配かけて…」
「俺こそ、でしゃばってすみません…」
真相を追求したい衝動に駆られるが、最寄駅はすぐそこだ。この距離で話を深く掘り下げるのは、俺の腕では…
「…あんた!」
街灯の下にいるのは。





============(つづきはあとで!)=============





どうも須々木です。

本日お送りしていますのは、さる日曜の午前0時より行われた「第1回RWラリー小説」です。

ちなみに、「ラリー」はミスタイプではありません。
「リレー小説」ならぬ「ラリー小説」。
これポイントです。

ルールは以下の通り。


・指定時間の5分前ぐらいに、ツイッター上で「○時からラリー小説をやる」という宣伝を入れる。(初回は遊木がやる)
・指定された時間内はひたすらラリーし、発言の最後には「#RW_ラリー」とつける。
・ラリー指名は自分の発言のあと、速やかに行う。
・タイムアップ時に指名されていた人は、その回のラリー内容を全てブログに張り付け、内容を回収してオチを書く。このオチに関してのみ、字数制限は設けない。
・ラストだった人は、次回に一番手を指名する。



これで何回まわるかな~というものです。
バレーでラリーを続けるのと同じ感じ。
ゆえに「ラリー小説」です。

「とりあえずやってみよう」というノリでやってしまった記念すべき第1回、参加者はRWメンバー全員で、遊木、須々木、霧島、米原、夏野でした。
ツイッター上、30分かけて進んだのが↑↑↑のところまで。

 霧島 → 夏野 → 須々木 → 遊木 → 米原 → 霧島 →(須々木×)

ということで、今回は30分で6回成功ということですかね。
そんでもって、最終指名者の須々木が、こうしてブログを書いているわけです。。

なお、ラリー小説実施中、書いている間にも他のメンバーは適当にああだこうだとやりとり(ツッコミ)していたので、そのあたりの様子を見たければ、こちらをどうぞ
基本、くだらないことしか言っていませんが。

あと、フォロワーの方には、タイムライン荒らしスミマセンでしたm(_ _)m
ま、別に反省とかしないけどな!

メンバー全員フォローすると、たぶんまた唐突にタイムラインが荒らされることがあるのでご注意あれ。


そんなわけで、そろそろ続きと行きましょうか。

酒を飲みかわし、帰路につく俺と大将。
いったい何があったんでしょうか?
無駄に奥さんとか出てきたし・・・

ここから先は、須々木の単独執筆です。
すべてを託されてしまいましたが、いったいどうしろと・・・

では、どうぞ↓↓↓





============(ここからつづき!)=============





大将の家は四人家族である。
大将とその奥さん、あとは娘が二人。
娘二人は年が一回りも離れているので、姉妹と言うよりは、親子に近い関係かもしれない。

妹の方、ハナちゃんと言うのだが、こちらはまだ小学生で、とにかく姉によく懐いている。
両親が甘やかして育てたせいで、かなり傍若無人なところもあるが、なかなかと愛嬌のある子に育っている。

事の発端は、そんなハナちゃんの姉の婚約だ。
というか、ハナちゃん姉と俺の婚約だ。

姉にベッタリだったハナちゃんは、この婚約にわりと大きなショックを受け、その傍若無人な振る舞いに拍車がかかる。
やりたい放題のスーパー反抗期に大突入してしまったのだ。

大将はハナちゃんを溺愛しまくっているわけだが、さすがにここは父としての威厳を示すべきところだと思い、一念発起。
しかし、強気の言動とは裏腹に、一人だと心細いらしく奥さんと揃って二人でハナちゃんに立ち向かった。
そうして、夫婦は揃って返り討ちにあってしまう。

結論から言うと、二人は猫にされてしまうのだった。

そんな馬鹿なことがあるのかと思ったが、タネも仕掛けもなく、完璧に猫になってしまった。
ハナちゃんがシテヤッタリという表情で仁王立ちする縁側。
居間の畳の上で呆気にとられる猫二匹。

その様子が姉から写真で送られてきたときの俺の衝撃たるや。
開いた口が塞がらないというのは、まさにこのこと。

ちなみに、そのとき姉の方は庭で洗濯物を取り込んでいたそうで、縁側に置かれた洗濯籠が少しだけ写りこんでいる。
メール本文には、家族のうち二人が猫だと洗濯物が少なくなりそうでいいわね、とあった。
「問題はそこじゃねぇぇ!!」と駆けつけたのが一昨日の出来事だ。

仕事の都合もあるので、昨日、今日と、俺は大将の家と職場を行き来した。
奥さんの方は、昨日行ったときにはもう人間に戻っていて、軽食を出してくれた。
しかし、大将の方は相変わらず猫のまま。

「ニャーニャー。ニャー・・・」
「ニャーニャー言って誤魔化さないでください」
「ニャー・・・猫だと思ってなめおって」
「た、大将!? 言葉!」
「ニャー・・・どうした? ・・・お!? 喋れる、喋れるぞ!!」

すぐに職場に戻るつもりだった俺を引き留めて、縁側で一局打っている間に、どういうわけか言葉は取り戻した。
しかし、結局猫は猫のままである。
逆に、猫が言葉を喋るとさらにややこしくなりそうなので、家の外では全力で猫らしくしてもらうことにした。

そして本日。
大将不在の職場でいつもより多い仕事を片付け、その帰り、大将のヤケ酒に付き合うことになったのだ。
行きつけの居酒屋は、天気が良いと外のテーブルを利用できるのだが、その中でも一番奥の人目につきにくい席を確保した。
ヤケ酒と言っても、猫の身体に深酒はまずい気がするので、お猪口に舐める程度入れて置いた。

大将が猫のまんまという状況は、それはそれで問題だが、俺個人としては幸福度の高い今日この頃。
大将の分まで飲んでいると、すっかり良い気分になっていく。
調子に乗ってお義父さんとか呼んでしまいそうになるが、そこはまだ自重する。
猫になった大将も、うまく現実逃避してご機嫌な様子だった。

しかし、ふと現実に頭が切り替わる。
大将に聞こえないくらいの小さな声で呟く。

「ハナちゃんはどうしたものか・・・」

ハナちゃんの件については何も解決していないし、しかも放置できるものでもない。
大将は猫になる前の時点では自分がどうにかすると言っていたが、シシャモを頭からくわえて猫ライフを満喫しつつある今の状況を見ていると、正直不安だ。
もう、自分が立ち回った方が速い気もするが、大将も結構な決意を持って娘と向き合いたいようだったから、了解を得ずに出しゃばるわけにもいかない。


結局、大切なことは何も言えずに居酒屋を出て、なんだか漠然と幸せな気分のままフラフラ駅に向かう。
大将の家はここからすぐのところだが、駅まではついてくるようだった。

「…あんた!」

そんなとき、唐突に声がかかる。
振り向くと、街灯の光に照らされて、大将の奥さんが立っていた。
事態が事態だけに、心配して迎えに来たのだろうか?

「あんた、何いつまでも猫やってんだい」

そうでもなかったようだ・・・
大将はなぜか全力で逃げようとするが、すぐに捕まって抱えあげられる。

「さあ、さっさと帰るよ」

大将はニャーニャー言って抵抗する。
まるで、家出したのに見つかって連れ帰られる子供のようだった。

「ニャー! お前も来るんだ! 酒の続きだ~!!」
「ハイハイ・・・」


大将の家に行くと、そのまま居間に通された。
すると、件のハナちゃんとその姉が並んで座っていた。
姉の方は普段通りのニコニコ顔。
対して、ハナちゃんの方は難しい顔をしていた。
ちょっとした緊張感が漂う。

家族四人と俺は、多くを語らず思い思いの場所に腰を下ろした。
目の前のテーブルの上には、紙が一枚。

「パパ、これで手を打ってあげる」

ハナちゃんは、紙を大将の前に移動する。
その隣に座っていた俺にもよく見える位置だ。


――『ハナを今後もめいいっぱいかわいがる』


マジックペンで大きく書かれていて、その下にはすでに二人分の署名があった。

俺は対面の姉の方を見る。
相変わらずのニコニコ顔だが、ハナちゃんをうまく誘導したのだろうということは容易に想像できた。
これで今回の件を収束させようというのだ。

「大将、これで一件落着じゃないですか?」

俺はヒソヒソ声で話す。

「ニャー・・・」

まあ、父としての威厳というやつはどうしたって話もありそうだが、それはそれ。
さっさと人間に戻ってもらおう。

居間は厳粛な空気に包まれる。
大将は背筋をピンと伸ばした。
ひと呼吸おいてから、誓いの言葉を読み上げる。

「ハナを今後も目いっぱい可愛がる」

大将は視線を上げ、正面の愛娘を見据える。

「当然じゃないか。パパはハナを全力で可愛がるに決まっている。ずっと、ずっとだ」

ハナちゃんも、大将の視線を正面から受け止める。
表情はやや硬いまま。

すると、姉の方がすっと手を伸ばす。
朱肉が置かれていた。

「お父さん、その手じゃペンは持てないでしょ?」
「ニャ・・・うむ」

大将は朱肉に手を押し付けてから、誓いの文書に捺印した。
肉球の跡が見事にプリントされた。
大将は手を引っ込め、インクで畳を汚さないよう俺にティッシュで拭かれながら、ハナちゃんの言葉を待つ。

ハナちゃんは、なおも大将を見つめ続けている。
そして、ようやく押し出すように短い言葉を紡ぐ。

「約束・・・絶対に破っちゃダメだよ?」

「当然だ」

その言葉に、ハナちゃんは少しだけ泣きそうな表情になり、姉の胸に顔をうずめる。
姉はそれを優しく抱き留め、頭をゆっくりと撫でた。

「良かったね、ハナちゃん。みんなハナちゃんのことが大好きなんだよ」

その様子をただ静かに見つめる大将は、猫の姿ではあるものの、まさしく父だった。
なんだか、ジーンと込み上げてくるものを感じた。

一分くらいはそんな感じで、そのあとハナちゃんはまた顔をこちらに向けた。
そして、少し不思議そうな顔になった。


「パパ、もう人間に戻っていいよ?」


一瞬の沈黙。

「・・・え?」

「・・・え??」

キョトンとする大将に、家族三人の視線が集中する。

「ニャ、ニャ? 元に戻っていいって、ハナ・・・」

大将がそう言うと、嘆息しながら奥さんが立ち上がる。
続いて姉も立ち上がる。

「お父さんもハナちゃんと同じ。ちょっと駄々をこねてみたくなっちゃったんだよ」
「はい、今日は解散しましょう。ハナ、もうこんな時間なんだから寝なさい」

三人はわらわらと居間を出ていく。
大将と俺だけがその場に残された。
大将の表情はここからだと窺うことができない。
でも、なんとなく想像することはできた。

ほどなくして、奥さんが酒とつまみをお盆に乗せて持ってきた。

「大将、もうちょっと飲むんでしょ?」

「・・・当たり前だ」

「ちゃんと、大事にしますから」

「・・・それも当たり前だ」

お盆を縁側に置き、居間の明かりを消した。
見上げると、相変わらず見事な星空が広がっていた。


(完)





sho