口銀谷の水路橋とトロッコ道 (兵庫県朝来市生野町口銀谷) | 穴と橋とあれやらこれやら

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初めまして。ヤフーブログ出身、隧道や橋といった土木構造物などを訪ねた記録を、時系列無視で記事にしています。古い情報にご注意を。その他、雑多なネタを展開中。

 
2015年8月22日、徘徊@HTKの初日。この日のネタで記事にしているのは豊川歩道橋天神隧道関連栃原隧道中島橋神子畑小学校跡行列のできる駐在所
 
 
今宵ご紹介するのは、栃原隧道探索を終えてから立ち寄った、生野町口銀谷(くちがなや)で出くわした物件。
 
 
 
生野町は生野銀山のお膝元、鉱山町として古くから栄えたところで、ここ口銀谷を中心とした一帯は、平成26年に「生野鉱山及び鉱山町の文化的景観」として、鉱山町としては全国で初めて国の重要文化的景観に選定された。
 
 

そんな街中のとある場所。

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何やら立て札が立っている。
 
 
 
 
そこは細い路地の入口で、
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「トロッコ道」なる説明が書かれている。あー、ここだここだ。
 
わたくしが目指してきたのはこのトロッコ道で、路地を抜けた先、市川に沿った道がそうなのだが…
 
 
 
路地に入った瞬間、正面に見えてきたものに、
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スコーン!と心を持って行かれた。
 
 
 
 
市川に抜けたところにあったのが、
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この水路橋!イカス!
 
一瞬この橋がトロッコの橋なのかと思ったが、そうではない。かな~り古びたコンクリート製の水路橋で、鉄管の中を水が通っているようだ。
 
 
鉄管の手前部分からは、
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小さな穴から、ピュ~ッと水が噴き出ていた。昔の漫画で、溺れた人の口から出るようなヤツ(笑)。なんかカワイイ。
 
 
で、しばし観察して冷静になり、気づいたのだが、この目前の部分で分岐してるよな~?
 
 
 
いや、正確に言えば、
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水路付け替え、か。
 
元はカクッと曲がっていたのが、曲がらずにまっすぐ鉄管を伸ばすルートに変更されたようだ。もっと言えば、これを契機に鉄管が用いられたのだろうな。本来は、この短い「廃部分」のように、コンクリの箱桁内を直接水が流れるようになっていたのだろう。
 
 

しかしまあ、なんとも、

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カッコいい水路橋やな~!
 
橋脚の段部から方杖で支える、スタイリッシュな型式。トロッコ道に来てこんなのに巡り会うとは、全くノーマークやったわ。かなり目立つ存在なのに、観光マップとかでも一切無視なんすけど…(笑)。
 
 
 
あぁ、そうそう、トロッコ道を忘れてた(笑)。
 
 
解説については、冒頭の案内板を読んでいただくとして、
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こんな感じで、市川に沿ってトロッコの軌道跡が残っている。
 
 
 
 
レールはもちろんオリジナルではないけど本物が敷かれていて、
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それなりに雰囲気はいい。
 
 
 
 

で、すでにお気づきだった方もおられるだろうが、

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コレ。
 
これらトロッコ道を支える石アーチ群を見に来たのだった、本来。でも思わぬカウンターパンチで膝がガクガクに(笑)。もちろんこれら石アーチも素晴らしかった。
 
 
 
サイドアングルで水路橋を。
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イイねえ~!イイよキミぃ!(笑)
 
 
 
 
気になる部分(笑)を、ズーム。
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方杖部分、遠目にはもしかして古レールかも、とも見えたが、どうやら違うようだ。
 
サビサビだし、コンクリートの劣化も顕著。あちこちで曝裂、鉄筋の露出が見られる。現役のはずだが、メンテの頻度が低いのか?
 
 
 

同じ場所から撮ったパノラマ。

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市川の大曲部分がイイ感じだったもので。残念ながらお山のてっぺんが切れちゃったので、大幅減点(笑)。
 
 
 
 
もう少し進んだ先にまた登場した、トロッコ軌道跡の解説板。
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各自お読みいただきたい(笑)が、注目すべきは、昭和11年ごろ撮影だというあの水路橋の写真。
 
橋脚が今とは違ってストレートで、段差がない。後年に補強されて現在の姿になったってことか。また、水の流れる箱桁も、現在よりいくぶん華奢な印象。これも後年補強されたのだろう。
 
 
少なくとも昭和11年には架かっていたのが確実なこの水路橋、「幕末以降、第二次世界大戦以前まで」という近代土木遺産の定義には当てはまっているが、実際のところ全然無名。
それは、このようにいろいろ改修を受けているから、というのもあるのかもしれない。あるいは型式その他、さほど当時として貴重なものではないのかも。素人なんでわからない。
 
が、そんなの関係ねえ!(古)
めっちゃ好きだこの水路橋。
 
 
 

このあと対岸に渡って、反対側への接近を果たした。のだが…

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これでご推察ください…(笑)。
 
お見せできるような写真は撮れなかった。季節が違えば下にも降りられただろう。ちょっと残念。
 
 
 
せいぜいこれだけ。
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何故か撮ってなかったのだが、この水路自体もなかなか雰囲気がよくって、遡って追いかけてみたくなる、そんな水路だった。
 
 
またいつか、機会があれば…。
 
 
 
 
以上、完結。