Q05 quest -11ページ目

人生を動かす私の中の何か。

久しぶりに、黒いジャケットを羽織って、

先の細い、バックストラップの黒いパンプスを履いた。


会社を辞めてから、初めての面接。


webで仕事を探して、3社エントリーした。

web上の履歴書は、かなり奔放に書いた。

かしこまらず、自分らしく。


1社は、そのwebの書類選考で断られた。

1社は、手書きの履歴書を送ってくださいと。

そしてもう1社は、すぐに面接日時を指定された。



面接日時が決まった時点で、

私は、もう1社の履歴書を郵送するのを辞めた。



予感がした。

きっと決まる。




::




「即日採用なんて初めてだ。」と、若い副社長は笑っていた。



私は控えめに笑みを返しながら、

大きな声で笑いたいのをこらえていた。



きれいなオフィスであること。

私服通勤でいいこと。

家から近いこと。

見通しの明るい感じのすること。

社員の雰囲気がいいこと。

考えていた条件をすべて満たした会社で、即日採用。

描いていたよりも数倍立派なビル。

キレイなオフィス。

お洒落な社員さん達。

嬉しすぎる。嬉しすぎて笑い出しそう。

物事がぽんぽん進むのは、

それが自分に合った道である証拠だと、

ミカコちゃんも言っていたし。

大丈夫。

きっとうまくいく。




明後日から、出勤。

仕事仕事の日々になる、きっと。

覚悟をしよう。

きちんと。

力まず、進んでいく。




::




うん。

タイミングを、逃さなかった自分に感謝。


明日は本を読んで勉強しよう。

テニスコートの熱。

若菜から電話があった。

声で泣いているのだとわかった。

私ほどでもないけれど、彼女もかなり涙腺が脆い。


「負けました…。」


今日は、秋季関東リーグの最終日だった。

私の母校は、負けてしまったらしい。



::



応援に来て欲しいと、1週間ほど前に言われていたけれど、

新幹線で横浜まで行く交通費を考えると、

引っ越したばかりで無職の私にはかなり厳しいのが現実で。


私は若菜がすごく好きで、後輩として、本当に可愛い。

彼女の高校までの恩師には悪いけれど、

基本技術よりも先の、試合に勝つ術を、

彼女に教えたのは私だと、おこがましくも自負している。

もちろん、その殆どは自分の恩師からのうけうりなのだけれど。



大学で、同じコートに立っていた時、

彼女の打つボールの方向も、高さも、

それに込められた気持ちの揺れ方も、

きちんと正確に理解出来ていたと思う。



試合の最中も、終わった後も。

どんな言葉が適切なのか、

どうすればそこから前へ行けるのか、

私は、彼女と同じ熱さを持って、

それから冷静に、判断できた。



だけど、

電話じゃわからない。



泣きながら電話をかけてくる、可愛い後輩に、

私は何を伝えればいい。

テニスコートでの、緊張感や、恐怖を、

忘れてしまった私が。




ひとつ思うことは、

極めようと思ったものがあるのなら、

それを終える時はいつだって「途中」だと言うこと。

高みを見たと思っても、

見渡せばもっと高い山に囲まれてる。

死ぬまでやるか、

「途中」でやめるか。

そのどちらか。




「途中」でやめることの歯痒さを、

どれだけ軽減できるかは、








悲しきかな。



どれだけ、

情熱を失えるか。




::




そんなこと、

教えないけどね。





どうか、

若菜の選手としての最後が、

晴々とした青空のようでありますように。






close

本当は逃げ出してしまいたかった。



どうしてこんな風になってしまうんだろう。

笑顔をつくることがひどく難しい。

食べていれば喋らなくてすむから、

食べれらるものを探して食べた。



23年間も生きてきて、やっと気づいたのだけど。

私は知っている人が沢山集まる場所が苦手なのだと思う。

嫌いなわけではなくて、苦手。

どうすればいいのかわからなくなって、

本当に、子供みたいに泣き出しそうになる。

ひどく体が固くなる。




ごめんなさい。

ごめんなさい。

と、心の中で何度も彼に謝った。

もっと上手に、出来れば良かったのだけど。




::




終電で、大阪に帰ってきた。



駅のホームで、

ごめんねと言った私に、

彼は少しだけ笑った。

2人で同じ場所に帰れるのが嬉しかった。



前髪。

切った。

眉上1,5センチ。

のつもりだったのに、

美容師さんが遠慮したのか、

眉上5ミリ。

まあ、いいか。


::


前髪を切って、枝毛もごまかせる程度に切って、

それから全体的にパーマをかけた。

わりと気に入っている。


お久しぶりです。私の前髪。


::



新幹線で、名古屋へ。

結局、1週間でまた名古屋へ向かう私。

明日バーベキューをやるから、と、

仕事で朝から名古屋に行っていた彼に呼ばれた。

生理だし、あまり気が進まなかったけれど、

「香代が行くなら、行きたい。」と言われて、

あなたが行きたいなら、と思って、行くことにした。


新大阪から名古屋への道のりは、

ひどく体になじんでいる。



::



もう社員じゃない私。

恋人の恋人である私。

腰にぶらさがる鈍痛。

空中庭園

角田 光代
空中庭園

映画では小泉今日子が主演するということで、

その帯にひかれて買った。


面白かったけれど、

「幸せな家庭をつくる」ことが人生の最大の夢である私は、

ひどく考えさせられました。



幸せな家庭って何だろう。