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林田学監修:適格消費者団体の動向

元政府委員・薬事法ドットコム社主の林田学です。適格消費者団体の動向についてお伝えしていきます。
適格消費者団体は、景表法・特商法に関して消費者庁を補完する役割を果たしており、その動向は重要です。

1.消費者団体

佐賀消費者フォーラム

 

2.概要

佐賀消費者フォーラムが、ファーストビューティークリニック福岡院に対し、平成 30 年 11 月 28 日付けで、佐賀県内で配布されているフリーペーパー中の同事業者の広告において、①「15 歳以上若返り!」、②「極上の仕上がり」、③ 「三大手術特化専門センター」、「フェイスリフト(若返り)・小顔手術センター」、 「豊胸術・垂れ乳挙上術センター」、「わきが完治手術センター」との各記載及び④ 手術前後の写真が、それぞれ掲載されているところ、これらの表示は、不当景品類及び不当表示防止法第5条第1号(※1)に規定する優良誤認表示に該当するとして、 各表示の改善を申し入れた。

 

3.結果

令和元年 10 月 30 日、佐賀消費者フォーラムは、上記の申入れに関する表示はいずれも削除されたことを確認し、申入れの趣旨に沿う内容の改善がなされたものとして、 申入れを終了した。

1.消費者団体

消費者ネットおかやま

 

2.概要

消費者ネットおかやまが、アサヒカルピスウェルネス株式会社(以下「アサヒカルピスウェルネス」という。)に対し、同社が運営する「アサヒの健康通販」 オンラインショップのショッピング利用規約には、同社が一切損害賠償責任を負わな い旨の記載がされている条項(以下「本件規約条項」という。)が含まれており、本件規約条項は、消費者契約法第8条第1項第1号ないし第4号に規定する消費者契約の条項に該当し、無効であるとして、その改定を求めた。

 

3.結果

平成 31 年4月 23 日、アサヒカルピスウェルネスは、消費者ネットおかやまに対し、 本件規約条項に関し、同社は「故意または重過失による場合を除き」一切の責任を負わないこととする内容の改定をする旨連絡した。 これを受けて、令和元年5月 10 日、消費者ネットおかやまは、申入れの趣旨に沿 う内容の改善がなされたものとして、申入れを終了した。

1.消費者団体

 特定非営利活動法人埼玉消費者被害をなくす会

 

2.概要

埼玉消費者被害をなくす会が、イマジン・グルーバル・ケア㈱に対し、イマジン社が販売する「ブロリコ」に関する新聞広告及びWeb広告において下記表示①~表示④までは、景品表示法第5条第1号の規定に該当するとして適切な表示への変更を申し入れた。

 イマジン社は平成30年11月7日、埼玉消費者被害をなくす会に申入れに対応(下記の通り修正)する旨連絡。

 埼玉消費者被害をなくす会は、令和元年8月27日、申入れの趣旨に沿う改善がなされたとして申入れを終了した。

 

表示① ブロッコリーの効果に関する以下表示(一部抜粋)

           ・「驚きの元気パワー」(新聞広告) 

          修正→「健康パワー」へ

 

表示② 特許と関連した以下の表示(一部抜粋)

         ・「他社に真似できない世界発の成分」(新聞広告)

        修正→「サプリメントとして販売しているのは当社だけです」へ

 

表示③ 強調表示と打消し表示に関する以下の表示(一部抜粋)

         ・「驚きの元気パワーはプロポリスの1000倍以上」との強調表示            とそれを打ち消す表示(新聞広告) 

         修正→「健康パワー」へ

 

表示④ 体験談表示に関する表示(一部抜粋)

        ・「野菜不足を補ってくれているみたい」(新聞広告)

       ※具体的な修正は公表されていないが申入れに従い修正

  

  

 

 

 

 

 

 

1.消費者団体

埼玉消費者被害をなくす会

2.概要

 

「豆腐の盛田屋」が平成29年7月11日に行った「豆花水 しゃくなげ花酵母せっけん」の新聞広告のオファーに関し、「埼玉消費者被害をなくす会」が差止請求。「豆腐の盛田屋」は請求を認め、終結。

 

論点は2つ。

  1. 「通常価格7128円のところ半額特価3564円」としているが、ウエブでは6414円で売っている。よって、新聞でのオファーが実際以上に安いという誤認を与えている。

  2. 新聞では「本日半額」と訴求しているが、新聞に掲載されているQRコード経由で表示されるウエブサイトではその日以降も半額で買えるようになっており、誤認させている。

1.消費者団体

埼玉消費者被害をなくす会

2.概要

 

「埼玉消費者被害をなくす会」が、「株式会社エムアンドエム」に対して、9月27日、除毛系ローションのオファーを改めるように差止請求しています。

  1. 980円だけで買えるように見えるが実は定期で6回縛り。

  2. 申し込みボタンの下に「※お申込みには条件があります。詳しくはリンク先の募集概要をご確認ください。」という打消し表示があるが、無効。なぜなら、申し込みボタンに比べて字が小さく目立たないし、そこに書いていることも6回縛りには触れず抽象的。

1.消費者団体

 消費者被害防止ネットワーク東海

2.概要

 

「名古屋市最多のインプラント治療」と称する「ひらい歯科」のHPに、適格消費者団体・消費者被害防止ネットワーク東海が是正を申し入れ、解決しました。

 

 1.「名古屋市最多」という表現

 >>医療広告ガイドラインによると、「国内No.1」、「シェアNo.1」、「満足度No.1」といった広告は、仮に事実であったとしても、比較広告として禁止されています。
 

 >>「名古屋屈指」に是正

 2.ビフォーアフター写真

>>「個々の患者の状態等によって当然に治療等の結果は異なるものであることを踏まえ、誤認させるおそれがある写真等については医療に関する広告としては認められない」とされ、広告が原則として禁止されています。


しかしながら、「術前又は術後の写真に通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項や、治療等の主なリスク、副作用等に関する事項等の詳細な説明を付した場合」といった例外要件を満たした場合には、広告ができるようになります。
 

>>例外(限定解除)に該当するように、治療内容・費用・リスクが記載された。

 3.予防歯科・審美歯科

>>「予防歯科」、「審美歯科」というタイトルのページがありました。
医療法においては、広告可能な診療科目が限定されており、予防歯科、審美歯科という名称は含まれていません。しかしながら、例外要件を満たした場合には広告可能とされています。
 
>>予防歯科」という記載は「検診・予防」に表現が変更され、「審美歯科」という記載は「審美治療」に表現が変更された。

1.消費者団体

 埼玉消費者被害をなくす会

2.概要

 

2019年5月10日付け「再お問合せ兼申入書」にて、モイスト社が販売する雑穀麹の生酵素に関する広告表示の一部表記が特定商取引法に違反するとして、当該表示の削除を求めていたが、削除が確認できたため申入れ活動を終了。

1.消費者団体

 埼玉消費者被害をなくす会

2.対象

 モイスト社 雑穀麺の生酵素チャレンジコース

3.タイムライン

1) 2019年5月10日 申し入れ → 5へ

2) 同年5月15日回答 → 指摘箇所の削除

4.概要

 

「初回500円定期縛り」の元祖とも言えるモイスト社。

「申込即定期縛り」を改定するよう指導された後も、そのバリエーションを作って行った感があり、時期的に解約を困難にする本件設計もその一つと言えるが、結局、目をつけられ、削除に至った。

 

5.詳細

 

1)雑穀麺の生酵素チャレンジコース

自動定期で縛りなし。初回500円で2回目以降3,960円。

解約するには発送日10日前までの連絡が必要。

 

2)しかし、2つ問題がある。

一つは、「※毎月お届けするコースです」との表示はあるものの初回購入で定期になることがわかりにくくなっている。

もう一つは、時期。

申込から発送が10日以内で、2回目以降は初回発送後30日~40日以内という設計で、解約は発送日10日前までの連絡が必要という設計。 これだと、まず、初回購入の解約は不可能。

なぜなら、(大掴みに言うと)8月1日に申し込んだ場合、初回発送は8月10日で、その初回発送日の10日前までに解約の連絡をしなければならないが、それは8月1日までということになり、申込日解約という通常ありえない事態になる。

また、3回目以降の発送は「初回発送後30-40日以内」なので、すべて9月10日頃になるはずだが、そうなると、その前10日前までの解約というのが不明確で、「顧客の意に反する」ことになる。

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1.消費者団体

 消費者機構日本

2.対象

 大東建託株式会社

3.内容

大東建託株式会社(建築請負事業者)は、申込日に期限を設けず、建物新築工事を申込後、契約に至らなかった方に対し、受領した申込金を返金(地盤調査等の費用がある場合はその額を控除)することを表明しました。

 

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1.京都消費者契約ネットワークが、アフィリエイトサイトにおいて、水素水の薬効(ガンが治る、免疫力が上がる等)をうたっていた6社(①メロディアンハーモニー、②健康家族、③伊藤園、④トラストウォーター、⑤マハロ、⑥アビスト)に関し、アフィリエイトサイトの表示を止めるように請求した。

 

2.そのロジックは以下のとおり

i.2016年6月30日の消費者庁発「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」によると、アフィリエイトサイトの 景表法の責任は広告主が負う。

ii.医薬品的効果をうたっていると、消費者は医薬品と誤認するので、その点で景表法に違反している。

iii.よって、広告主は、第三者をしてこのような表示をさせてはならない義務を負う。

>>> 2017年8月25日 差止請求書

 

3.①②は「健康オタクの水マニアが教える自分に1番合っている水が見つかるサイト」、③④は「水素水ガイド」、⑤⑥は「水素水効果ガイド」というアフィリエイトサイトとつながっていたが、結局、各々その使用を止め、決着した。

 

4.しかし、①②は自社サイトでの薬効表示により措置命令を受けている。

>>> 2017年3月3日 措置命令データブック