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林田学監修:適格消費者団体の動向

元政府委員・薬事法ドットコム社主の林田学です。適格消費者団体の動向についてお伝えしていきます。
適格消費者団体は、景表法・特商法に関して消費者庁を補完する役割を果たしており、その動向は重要です。

 

1.消費者団体

えひめ消費者ネット

 

2.概要

 

特定非営利活動法人えひめ消費者ネットが、株式会社アクアに対し、アクアのホームページにおける、同社が販売する商品のいわゆる定期購入としての販売方法である「特別モニターコース」にて契約している消費者が中途解約を希望する場合の手段は、電話連絡による解約しか認めない旨の規定は、民法第 540 条第 1 項の規定と比べて消費者である購入者の解除権の行使を制限し、解約の機会を奪うものであって、また、不要なサービス等の対価、遅延利息及び損害金の発生など消費者が望まない費用が増加するなど、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するといえるため、消費者契約法第 10 条に規定する消費者契約の条項に該当して無効であると
して、これを是正することを求めた。

 

3.結果

令和2年 10 月9日、アクアは、えひめ消費者ネットに対し、他の解約手段を新たに加えることにより、上記の申入れに対応した旨を連絡した。
これを受けて、令和3年2月 10 日、えひめ消費者ネットは、申入れの趣旨に沿う内容の改善がなされたものとして、申入れを終了した。

 

1.消費者団体

消費者支援機構関西(ケーシーズ)

 

2.概要

 

消費者支援機構関西は、プレミアムコスメ社が通信販売サイトで販売する「極み菌活生サプリメント」の広告表示や解約方法について検討した結果、同社に対し、2021年3月26日付「お問合せ」を送付した。

その後、消費者支援機構関西はプレミアムコスメ社からの同年4月6日付の回答をもとに検討した結果、不当景品類及び不当表示防止法と消費者契約法上の問題があるとの判断し、2021年7月7日付で「申入書」を送付した。

プレミアムコスメ社は、この「申入書」に対し、2021年8月4日付で回答書を送付した。

 

申入れの趣旨

 

■申入れの趣旨
1 下記表示媒体において、下記対象となる商品につき、下記対象となる表示(ア)及び(イ)を行うことの停止を請求。
【表示媒体】
  同社ウェブサイト(同社送付資料)
【対象となる商品】
  極み菌活生サプリ
【対象となる表示】
 (ア)ビューティー菌活コースにおいて、対象となる商品を「初回480円」「初回お届け分に限り、通常価格8,294円(税込)を初回480円」等と表示し、初めて購入する場合に限って対象となる商品1袋分だけを480円で購入可能であるかのように示す表示。
 (イ)初回ポッキリ480円コースにおいて、対象となる商品を「初回480円」「継続していただける自信があるので回数縛りのお約束は一切ありません。」「初回お届け分に限り、通常価格8,294円(税込)を初回480円」等と表示し、初めて購入する場合に限って対象となる商品1袋分だけを480円で購入可能であるかのように示す表示。

2 同社が使用する返品にかかる規定( https://kinkatsunama.com/lp/tokusho.html、および、 https://kinkatsunama.com/lp/return.html )のうち、定期コースの解約の方法を、やむを得ない場合を除きLINE又は電話による方法に限定している条項、及び、やむを得ない場合にはメールによる解約を認めるもののメールによる解約の際には諸事情がある場合を除き身分証明書の添付を必須とする条項の使用停止を求める。

 

 

1.消費者団体

消費者ネットおかやま

 

2.概要

消費者ネットおかやまは、株式会社 GRACEの定期コース契約について、解約方法の電話がいつでもつながる状態ではないにもかかわらず、「ご解約はいつでも可能です」と告知するなどしていたこと、解約方法を電話に限っていたことを問題視し、2021年1月25日に申入書を送付していた。

 

2021年7月30日、消費者ネットおかやまは、株式会社 GRACEに対して差止請求訴訟を提起した(訴状)。

 

 

1.消費者団体

消費者支援機構関西(KC’s)

 

2.概要

 

 KC’sは、日本サメ軟骨普及協会が行っている、サメ軟骨由来成分を含有する健康食品の広告について、2021年5月12日付けで「要請書」を送付していました(要請の詳細はこちら)。
 これに対し、6月14日、6月21日に協会は回答書を送付し、広報活動については、疑念を持たれない内容を確立するまで無期限に停止する、という風に終結しました。

 

3.日本サメ軟骨普及協会の回答の詳細

 

 6月14日回答書

 現在、今までの経緯等を調査し回答を作成中であり、6月21日までに回答を送付する。

 

 6月21日回答書

 広報について問い合わせに応じるが、特定商品に係るカタログや注文書を送付して購入を勧誘することは行っていない。広報はサメ軟骨の効用を社会に知らしめるための記事である。しかし、広報活動については、疑念を持たれない内容を確立するまで無期限に停止する。

 

1.消費者団体

消費者支援機構関西(ケーシーズ)

 

2.概要

 

布亀株式会社が提供する「リパソールAT」の広告であるウェブサイト上の表記、容器の図柄などに関して、不当景品類及び不当表示防止法上、疑義を感じる記載があったことから、消費者支援機構関西は問合せを行った。この結果、布亀株式会社は問合せに対し、記載について一定の改善を行った。

 

 

問合せで取り上げた表示・広告

・「リパソールAT」の外箱での、「飲む前にのむ、毎日の健康に」という表示
・ウェブサイト「布亀オンラインショップ」での「スタッフのコメント」における、「飲み会の前に一本!のドリンクです!」という表示
・同ウェブサイトでの、「リパソールATでは、肝臓に良いとされる3大成分、肝臓エキス 200mg、ウコンエキス 100mg、オルニチン 200mgを配合。」との表示
・ウェブサイト「布亀ヤフー店」での、「お酒を飲む方」、「外食やお酒の席が多い方」、「飲み会が多い」、「ビールをよく飲む」等の表示

 

消費者から見ると、これらの各表示は、アルコール飲料、すなわち「お酒」を飲む前に本商品を飲むことを推奨する趣旨に出たもの、という印象を受けると考えられる。

 

改善点の概要

1.布亀株式会社は、ウェブサイト「布亀ヤフー店」において、リパソールATの掲載を削除した。
2.あわせて、ウェブサイト「布亀オンラインショップ」においても、当該商品の掲載を停止した。

 

経過

(1)2019年6月25日
 消費者支援機構関西は布亀株式会社に対し、表示・広告に関して質問を伴う、問合せを行った。
(2)2019年6月28日
 布亀株式会社は、「お問い合わせ」に対して、「弊社商品「リパソールAT」の掲載について」と題する回答において、ウェブサイトでの掲載を削除した旨の連絡をおこなった。
(3)2019年7月3日
 布亀株式会社は「布亀オンラインショップ」での掲載停止をおこなった。
(4)2021年5月7日
 消費者支援機構関西は、布亀株式会社に対して、「ご連絡(「お問合せ」活動終了通知)」を送付した。

 

1.消費者団体

消費者支援機構関西(ケーシーズ)

 

2.概要

 

日本サメ軟骨普及協会が、サメ軟骨由来成分を含有する健康食品が変形性膝関節症をはじめとする疾病に関し、治療・予防の効果・効能を有する旨を新聞折り込みチラシやホームページ等で広告していることに対し、消費者支援機構関西(ケーシーズ)は薬事法に違反するものであるとして、2021年5月12日付けで「要請書」を送付した。

 

3.要請の内容(要請書

 

【要請の趣旨】
協会が行う広告において、サメ軟骨が、変形性関節症・ヘルニア・腰痛・リウマチ・糖尿病・高血圧・骨粗しょう症・脊柱管狭窄症・腰椎症・前立腺炎・へバーデン結節・外反母趾・その他一切の疾病に関し、治療・予防の効果・効能を有する旨を表示することをやめるよう要請。

 

【要請の理由】
協会の広告は、サメ軟骨を摂取すれば、変形性関節症をはじめとする疾病に関し、治療・予防等の効果・効能を得られる旨を表示している。これによるとサメ軟骨は、薬事法2条1項2号「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物」にあたり、「医薬品」に該当する。
しかし、サメ軟骨は、「製造販売についての厚生労働大臣の承認」を受けていないものであり、協会の広報活動は、何人も、未承認の医薬品の広告をすることを禁止する薬機法68条に違反する。

 

【表示の具体例】

協会が作成・配布した新聞折り込み 広告において、 別紙1枚目上部には、

「ヨシキリザメ軟骨の驚異的効果!!」とあり、別紙がサメ軟骨を摂取することにより得られる効果・効能を説明・広報しようとするもので あることが明らか。 

そして、「ヨシキリザメ軟骨の驚異的効果!!」の表示の下には、「変形性関節 症(膝・股関節など)、ヘルニア、腰痛、リウマチ、糖尿病、高血圧、骨粗しょう 症、脊柱管狭窄症、腰椎症、前立腺炎、へバーデン結節、外反母趾」といった疾病 名が列挙され、その他の箇所においては、「痛みが取れた!!」「もう痛くない!」 「軟骨は再生する」「ヨシキリザメ軟骨の効果には、抗炎症作用、新生血管抑制作 用、軟骨そのものの成分、この3つの働きが相まって軟骨が再生、炎症が消えて痛 みが軽減していくと考えられます。」「83歳男性。膝の軟骨が再生!」「73歳 女性、1年以上軟骨を飲み続け、軟骨が再生!」「関節痛以外にも効果!」「ヨシ キリザメ軟骨には血流改善などの効果も期待できるので、高血圧、糖尿病などの末梢神経障害の予防、また新生血管抑制作用による、軟骨破壊に繋がる新生血管浸食 に対する抑制など、様々な角度から、期待ができると言えるでしょう。」「炎症に おいては、何も膝だけが炎症を起こすわけではなく、皮膚炎、肝炎、リウマチによる、様々な関節の炎症など、ヨシキリザメの軟骨の抗炎症作用はこれらの症状に大 いに役立つかと思います。」といった表示。

 

1.消費者団体

消費者支援機構福岡

 

2.概要

 

一般社団法人セントマザーに対し、同社ウェブサイト上のセントマザーが提供する役務に関する下記表示について、これらの表示が優良誤認表示に該当することを理由に、このような表示を行わないよう求めた.

 

(対象表示)

ア 

同社ウェブサイトのトップページにある「ハンドヒーリング施療」に「身体に触 れることなく、様々な痛みや重みが改善することを、どうぞご自身で実感してくだ さい。」との記載

 

イ 

同社ウェブサイトのトップページにある「ハンドヒーリングセミナー」及び「ト ピックス」にある体験談の見出しの表記

 

ウ 

同社ウェブサイトにある「ハンドヒーリングセミナー」及び「トピックス」のペ ージに記載された本件ヒーリングセミナー及び本件施療に係る体験談の記載

 

エ 

同社ウェブサイトにある「ハンドヒーリングによる施療」のページ中の「先ずは その場で痛みが取れ、身体が軽くなるという体験は実に衝撃的です。日々、痛みや 重みで苦しんでいる方は、是非、一度体験してみてください。」との記載

 

オ 

同社ウェブサイトにある「特定商取引法」のページ中の「遵守事項及び注意事項」 にある「効果が得られた場合でもセミナーによる効果か否かは証明されておらず、 また受講者全員が効果を得られるものではありません」との記載

 

 

3.結果

令和2年2月 27 日、セントマザーは、消費者支援機構福岡に対し、上記の申入れ に係る表示を中止したことについて連絡した。これを受けて、令和2年 10 月 22 日、消費者支援機構福岡は、申入れの趣旨に沿う 対応がなされたものとして、申入れを終了した。

 

 

1.消費者団体

京都消費者契約ネットワーク(KCCN)

 

2.概要

 

京都消費者契約ネットワークは、定期購入が条件でありながら、1袋だけを低価格で購入できると誤認させる広告が有利誤認にあたるとして、表示差止請求を行っていた。>>

 

(対象表示)

本件商品を「200円」、「95%OFF」等と表示し、本件商品1袋分だけを200円で購入可能であるかのように示す表示

 

(実際)

2回目分の10袋、3回目分の10袋(合計20袋で3万8,900円)を購入することが条件となっていた。また、同コースの「ご注文確認画面」では、同商品1袋を購入したことが表示されるだけで、定期購入の条件は枠外に記載されていた。

 

3.結果

story株式会社から、本件商品の広告表示を削除した、という回答を受け(>>)、京都消費者契約ネットワークは、申入れの趣旨に沿う対応がなされたものとして、申入れを終了した。

 

 

1.消費者団体

消費者支援機構関西(KC's)

 

2.概要

 

消費者支援機構関西は、興和社が販売するカンゾコーワドリンク」及び「カンゾコーワ粒」について、商品の容器、包材、テレビCM、ウェブサイト上の表示について、数度の興和社とのやり取りの後、景品類及び不当表示防止法上の「優良誤認」にあたるとして「申入書」を送付した(>>)。

 

3.申入書

 

①趣旨

商品の容器、包材、テレビCM、ウェブサイト上の表示において、カンゾコーワには、アルコールを分解する、二日酔いを防止・緩和するといった効果・効能があると不特定かつ多数の一般消費者に誤認される表示を行わないことを求める

 

ex.「『飲み会』を科学する11種類の成分」「医薬品メーカーが飲み会を科学しました」「飲むぞ!行くぞ!Kanzo!」 などの「飲み会」に関連した表示

 

②申入れの理由

カンゾコーワには、肝臓加水分解物やウコン抽出物等の成分が含まれるが、それらの成分を摂取したとしても、アルコールが分解されたり、二日酔いが防止・緩和されたりすることはないと考えられる。よって、消費者がカンゾコーワを摂取したとしても、アルコールが分解される、二日酔いが防止・緩和されるといった効果・効能を得られるわけではないことになる。
 【例】にあげたような表示は、 カンゾコーワについて、 実際には、アルコールを分解する、二日酔いを防止・緩和するといった効果・効能が無いにもかかわらず、一般消費者にそうした効果・効能があると思わせるものであり、優良誤認にあたる。

 

1.消費者団体

さいたま消費者被害をなくす会(=なくす会)

 

2.概要

 

なくす会は、2020年8月27日付で、ジャパンベストヘルス社に対して、サプリメントに関するウェブサイトの一部表示の削除又は適切な表現に修正することを求め申し入れをおこなった(>>)。申し入れの内容は以下の通り。

 

【1】申し入れの対象となる表示

①「第1位 エイジングケア部門」の表示

②「\みてみて/始めた人から喜びの声続々!」と題する体験談の表示

③「4ヶ月継続した方の中の96.1%が効果を実感できたと回答」及び、「96.1%弊社のモニター回答より」との表示

④.「通常9800円(税抜き) 初回特別価格1980円」との表示

 

【2】利用規約第14条の削除

「尚、出荷準備期間中やお届け済み商品代金の未払いがあるときは次回お届け分の休止または解約をお受けすることができませんので、お支払をお済ませの上、出荷準備期間前(次回お届け予定日より約7日前)にご連絡頂きますようお願いいたします。」

 

 

ジャパンベストヘルス社は広告を「全面的に停止」と回答(>>

ただし、4月にも「全面的に停止」と回答したが修正されておらず、なくす会は広告削除の最終確認をして検討するとしている。